ソラ・ルデ・ビアスの書架

梢瓏

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第三章 世界樹の守護者

第32話 郵便局長の

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 セレスがクレモストナカの街で会いたかった人物は、まだ郵便局の中に居た。

郵便局と言うだけあって、クレモストナカの街の中や近隣の山村などにも郵便物を配達している。

配達の方法は小型の飛竜に乗って配達する方法と、飛翔能力のある者が自身の力を使って飛んで配達していた。

中でも郵便局長の『ライル・ラナートス』は銀狼族で、あのニーアーライルと同様の特異な能力である『疾風の技』を使えた。

セレスはこの、ライルの疾風の技でアルメイレに飛ぼうと言う算段だったのだ。

「ライル~!居る?ちょっと頼みがあるんだけど!」

郵便局に入るなり、他の局員には目もくれず、セレスはライルを呼びつけた。

他の郵便局員は、あの世界樹の守護者のセレスが郵便局に入ってきたとあって、オロオロしたり慌てている者も居る。

セレスはあまり守護者としての使命とかそう言う面倒くさい事を率先してやって来なかったので、クレモストナカではあまり親しみが無い守護者の様な扱いを受けているのだが、まさか郵便局に入って来るとは?!と、郵便局に来ていた客からも大層驚かれた。

「そんなに驚く事か~?」

セレスは首をかしげながら周囲を見渡す。

周囲の皆々は、セレスを一目見ようと、郵便局の入り口に人垣ができる程になっていた。

「やあやあセレス!久しぶりだね、今日は何の用かな?」

ライルは少し年長な銀狼族で、見た目は銀狼族特有の銀色の髪で頭には狼の耳が生えていて年齢は人間の50歳位のオジサンに見える。

ニーアーライルの様な突然変異の様な風貌はしていない、ごくごく普通の銀狼族だった。

「実は最近腰痛が酷くてね、かつての様に精力的に配達に出る事は無いんだけど。」

言いながら、痛いと言っていた腰をさすっている。

「アタシも、最近年の所為か肩が痛くてね。この間調子に乗って肩をグルグル回したら、バキーーって何かやばい音がしたよ!」

とセレスも言って、お互いの老化現象について談笑した。

 談笑も楽しいが、セレス的には少々時間が無かったので、早速ライルに目的を伝える。

「実は急用が出来てアルメイレに行かなければならなくなったんだ。世界樹の方は今ミカゲに任せてある。これからちょっとチラっとアタシをアルメイレに連れてってくれないか?アルメイレなら、どこの場所でも構わない。」

と、ライルに頼んだ。

ライルは、「ほぉー!」と言いながら頭をかいて、

「セレスはタイミングが非常に良いね~僕もこれからルキソに行かなくてはならなくてね。副郵便局長にしばらく郵便局の運営を任せていた所だったんだよ。」

ルキソと言うのは、主にルキソミュフィア出身の人が言う国名を短縮した呼び名で、メルヴィ・メルヴィレッジ人が国名を短縮してメルヴィレッジとだけ言っているのと同じだ。

ルキソミュフィアには、蒼壁の大陸に生き残っている殆どの銀狼族が身を寄せている国と言う事で、ライルも基本的な本拠地をルキソミュフィアに置いていた。

ルキソミュフィアに行かなければならない理由は多分、ニーアーライルが言っていた「ソルフゲイルとの戦争」の加勢の為なんだろうとセレスは思ったが、思った所までにしておいた。

この事を誰かの口から聞くとしたら多分、ルキソミュフィアに国籍を置く者からだけだろうと思った。

「そうなんだ、やっぱりね。その辺は昨日ニーアーライルから少し事情を聞いていてね、少しだけなら分かるよ。アタシも加勢に行きたい所だけど守護者は基本的に移動が難しいからね、だからこの守護者の権限を元の本来の守護者に還そうと思って、それでアルメイレに行く必要があるんだ。」

セレスは、自分がアルメイレに行く理由をライルに説明した。

ライルはまた、「ほーーっ!」とか言いながら聞いていたが、最後の方は「なるほどね」と言って頷いていた。

「そう言う事なら僕の力を貸そう。な~にアルメイレなんてすぐ隣の国、一瞬で着いてしまうよ。場所はどこでも良いんだっけ?更に簡単な仕事だね。セレスが守護者じゃなくなるのはサミシイけど、自由に動ける様になってルキソに来てくれるのなら大歓迎だよ!」

と言って喜んだ。

「話が早くて助かるよ!じゃあ、早速飛んで欲しいんだが~・・・ライルの用事は大丈夫なのか?」

セレスは自分の要請がすんなり受け入れられた事に安堵しつつ、ライルの予定を確認する。

ライルは、

「大丈夫、僕の用事はもう済んでるからね、あとは本当にルキソに飛ぶだけだったんだよ。」

と言って笑った。



 郵便局の裏手の少し開けた広場の様な所に出た二人は、まずセレスがライルの手を取り、ライルはセレスの肩に手を置いた。

そして。

「いいかい?行くよセレス?」

とライルがセレスに最後の確認をすると、

「大丈夫だ、任せたライル!」

セレスはそう答えて大きく頷いた。

その瞬間!

2人は広場から一瞬にして消えた。

2人の飛ぶ様子を見に来ていたクレモストナカの民衆の目の前で、瞬く間に2人は消えた。
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