翼のない竜-土竜の話-

12時のトキノカネ

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担いでいた肩から覆面を下ろした時点で覆面が被っていたフードが外れて、殆ど白髪に近い金髪が現れている。
活を背中に入れたことでゆっくり見開かれた目は先ほども見たイケメンの涼やかな切れ長の瞳で、目の色も俺みたいな髪も目も真っ黒な日本人だった頃のまんまの姿とは違って日本人のコンプレックスを刺激するような白人みたいな青い目だった。

まあ、この異世界じゃ俺みたいな黒の配色のほうが珍しいんだけどね…。

前世のモテない俺を刺激する全部モテ要素に見えてしまうこの覆面は生きてるだけで有害な気がしてくる。

しかし、そんな俺の後ろ向きな感情は今は置いといて
現実的なメリットを優先しましょう。

つまりこいつを俺がこちらの人間の世界に慣れるまでのパイプじゃないが小間使いにしてアドバイスをさせこき使ってやりましょうって計画だ。
もちろんこの計画は強制実行なので否やはない。
もともと覆面の意見なんて聞く気がないし。

「目が覚めて頭も働いてきたか?俺が誰だか分かるか?」

城門手前の大通りの邪魔にならない隅っこで覆面を座らせにっこり笑って
確認する。

相手はさっき意識を落としたのが残っているのか、はじめぼんやりとして
次第に目に意思が見えてきて、状況が把握できたのか青い顔をしてから頷いた。

よしよし、話しても大丈夫そうだな。それまで待ってあげる俺優しい。

「俺の名前はテグリス(偽名)だ。お前の名前は」

用心深い俺は用意しておいた偽名を名乗る。
竜の本名って知らないが、前世の知識で真名知られると縛られるうんたらが頭をよぎって言っていいのか分からなかったから用心して偽名を使うことにしていた。

まあ、それだけでなくなんか合った時、最悪、竜バレした時に逃げるのに
本名はやばいってのもあるんだけど。

そんなことを脳裏で考えていると覆面が遠慮がちに答えた

「ダガー」

それが名前ってことね。それも偽名っぽい。いいけど。

「ダガーか。俺のことは様付けしなくてテグリスって呼び捨てでかまわないからな。まあ、これからしばらく旅の仲間になるんだから堅苦しくなくよろしく」

「仲間?」

「そう、お前も受付での話を聞く限りギルドの新人冒険者なんだろ。俺もなんだ。そしてお前は気づいているみたいだから言うがお察しのとおり俺は普通の人間じゃない。人間じゃないんで人間の習慣が良く分からない部分があるからお前をこれからその補助としてアドバイザーとして旅の同行者にすることに決めた。よろしく頼む」

言いたいことだけ言って覆面の返事を待たず、肩を叩いて中腰姿勢だったのを立ち上がる。
返事を待たなかったのは、だって、覆面…、ダガーか、が快く受けると思ってないからだ。顔からにじみ出る拒否も俺は理解している。

まあな。竜の気はそれが分かる人間には恐怖だろうよ。

でも土竜はおとなしい竜。食ったりしないから安心しろよ。

「草食だし」

「?」

「こっちの話」

にっと笑ってごまかす。

さてと、お互いこれからの友好を確認できたところで、目的の城門へ向かうか。


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