ばか狼(いぬ)が迎えに参りました。

12時のトキノカネ

文字の大きさ
18 / 28

17 これもお仕事です。

しおりを挟む
.


吉村は菫に声をかけるとさっさとユニホームに着替えてサッカー部の準備に一人黙々と入る。いつも人より早く来てみんなの分も先に部活の準備をする。

美形だ何だと騒がれはしているが、菫はサッカー大好きと一番その気持ちが現れているこの準備を嬉々として行っている吉村が一番好きだ。
面倒なことも大好きなサッカーのためには苦ではない。それさえも楽しいといっているような無邪気さがかわいいと思う。

「んじゃいってきます。あんま無理しないでね。適当にやってくれれば後は俺たちでできるから」

「うん、適当にやっとく」

途中で加わった数名の部員とともにグラウンドに出て行く吉村に案外気遣い屋だと苦笑して送り出す。そう、その人柄も吉村はとても気さくだ。

そしてそれは部員もそうで、菫が手伝ってくれていることを知っている男性部員はみんな頭を下げるなり、さり気に手伝ってくれたりしてそれがこの手伝いの一番心温まることでやめずについ来てしまう理由だったりもする。

『すぐやめても良いから一回でも良いから手伝ってくれないかな?』

汚く荒れた部室を背に拝む吉村の姿を思い出す。
思い出しながら水を流している流し場でシューズをごしごしと洗う。

弟はサッカーにバスケ、小さい頃は色々なスポーツに興味を持ち遊んで帰ってきた。いつも汚れた弟のユニホームを母は怒りながらもうれしそうに洗っていた。
それが菫になり、そして菫は今、それをかわれて部活の手伝いをしている。

今では臨時で他の部活の手伝いも頼み込まれるがそういやではない。
重労働を無償でするなんて気が知れないというかもしれないがそこから繋がる人の輪もあるし、それに綺麗になった部室や道具を見るのは気持ちがいいものだ。

「よいしょっと」

立ち上がり腰を叩いて、グランドを見る。
もうそろそろ自分の手伝いは終わり。手伝いといっても多くて週2回。だいたい週一回しか手伝わない。その他は家の事があるし、バイトがある。

一人、仕事を終えた菫は変える準備に入る。







※部活のマネージャー、創造です。適当。やったことないですから(笑)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後

空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。 魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。 そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。 すると、キースの態度が豹変して……?

愛する義兄に憎まれています

ミカン♬
恋愛
自分と婚約予定の義兄が子爵令嬢の恋人を両親に紹介すると聞いたフィーナは、悲しくて辛くて、やがて心は闇に染まっていった。 義兄はフィーナと結婚して侯爵家を継ぐはずだった、なのにフィーナも両親も裏切って真実の愛を貫くと言う。 許せない!そんなフィーナがとった行動は愛する義兄に憎まれるものだった。 2023/12/27 ミモザと義兄の閑話を投稿しました。 ふわっと設定でサクっと終わります。 他サイトにも投稿。

私、お母様の言うとおりにお見合いをしただけですわ。

いさき遊雨
恋愛
お母様にお見合いの定石?を教わり、初めてのお見合いに臨んだ私にその方は言いました。 「僕には想い合う相手いる!」 初めてのお見合いのお相手には、真実に愛する人がいるそうです。 小説家になろうさまにも登録しています。

見捨てられた(無自覚な)王女は、溺愛には気付かない

みん
恋愛
精霊に護られた国ルテリアル。精霊の加護のお陰で豊かで平和な国ではあったが、近年ではその精霊の加護も薄れていき、他国から侵略されそうになる。戦いを知らない国王は、スネフリング帝国に助けを求めるが、その見返りに要求されたのは──。 精霊に護られた国の王女として生まれたにも関わらず、魔力を持って生まれなかった事で、母である王妃以外から冷遇されているカミリア第二王女。このカミリアが、人質同然にスネフリング帝国に行く事になり─。 ❋独自設定有り。 ❋誤字脱字には気を付けていますが、あると思います。すみません。気付き次第修正していきます。

私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?

水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。 日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。 そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。 一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。 ◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です! ◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

いや、無理。 (本編完結)

詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
細かいことは気にせずお読みください。 一旦完結にしましたが、他者視点を随時更新の間連載中に戻します。 もはや定番となった卒業パーティー、急に冷たくなって公の場にエスコートすらしなくなった婚約者に身に覚えのない言い掛かりをつけられ、婚約破棄を突きつけられるーーからの新しい婚約者の紹介へ移るという、公式行事の私物化も甚だしい一連の行動に、私は冷めた瞳をむけていたーー目の前の男は言い訳が終わると、 「わかってくれるだろう?ミーナ」 と手を差し伸べた。 だから私はこう答えた。 「いや、無理」 と。

あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」 結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は…… 短いお話です。 新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。 4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』

処理中です...