のんきな兎は今日も外に出る【完】

おはぎ

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番外編 のんきな兎は甘える

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「ロイどこ行くの?僕も行く……。」

二人揃っての休日、朝起きて飯作るかとベッドから出ようとすると、ウルルが寝ぼけ眼で起き上がろうとする。

「飯作ってくるだけだ。眠いなら寝てろ。」

額に唇を落として撫でてやると目を細めて気持ち良さそうに擦り寄ってくる。昨夜、無理をさせた覚えがあるため休んでいろという意味でそう言い、立ち上がろうとすると、

「やだ、僕も行くの……。」

腕に抱き着いてきて自分も行くと言い張るウルル。寝ぼけたウルルは基本的にこうなることが多いため、起こした身体をまた横たえて、ウルルの頭を撫でながら寝かし付ける。擦り寄ってきたウルルがぐりぐりと頭を押し付けてきたため、兎耳に手を滑らせる。しばらくすると寝息が聞こえてきて、そっと離れて起き上がる。台所に行き、簡単に朝食を作っていると、

――カタン

音が聞こえて振り向いたと同時に、パタパタと音が聞こえて背中に軽い衝撃が。

「もう起きたのか?」

「うぅ、ロイいなかった……!」

兎耳を垂らしてそう言いながら見上げて来る瞳が濡れていて、仕方ねぇなと思いながらも口角が上がり、寂しがりの兎の目元にキスを落とす。

「ロイ、僕のこと置いていった……!」

ご機嫌斜めの兎はそう言って俺の尻尾を掴んできた。

「飯作ってただけだ、機嫌直せ。」

ウルルの手から尻尾をするっと抜け出すと、身体に巻き付けるようにして機嫌を取る。

「ギュってしてくれない、尻尾しかギュってしてくれない……。」

そう言って、めそめそし出すウルル。何だこの可愛いのは。俺はウルルの腕を引っ張り前に出すと、腕の中に閉じ込める。

「どうした、ウルル。お前、今日は甘えたに磨きがかかってるぞ。」

「ロイ好き、大好き。よしよしして。」

満足そうなウルルはそう言って俺の首辺りに顔を埋めるとちゅっちゅっと可愛らしくキスしてくる。何かあったのか?と思いながらも、抱き上げて寝室へと向かう足。またベッドに逆戻りして、上から覆い被さるようにウルルと顔を合わせると、その頬が赤くなっていることに気付く。

「……ウルル、お前、発情期だろ。さては薬飲んでねぇな?」

「ロイ好き……。」

もはや答えになっていない返答に溜め息をつきながらも、据え膳は美味しく頂くか、と両手を伸ばすウルルに捕まってやると唇を合わせた。可愛い反応をするウルルに我慢できるわけもなく、休みをベッドの上で過ごした俺達。

そして少し熱が落ち着いた時、

「お腹空いた……。うぅ、力出ない、起きれない。ロイ抱っこ……。」

お腹が空いたとしくしく泣き出すウルル。

「お前、本能に忠実すぎるぞ。ったく。おら、来い。」

ウルルにシーツを巻き付けて抱き上げると、俺は上半身裸のままで寝室を出る。俺の肩を甘噛みしてくるこいつをまたベッドに縫い付けてやろうかと思いながらも、何とか台所まで行って作っていた飯を皿に盛る。

机に置き、ソファに座ると俺の頬に唇を押し付けては嬉しそうなウルルに、噛み付くようなキスを贈ってやる。すると、くったりしながらも嬉しそうに兎耳を揺らして啄む様なキスをしてくる。こいつの、俺に何されても嬉しいという態度が余計に止まらなくさせるんだが、分かってるわけねぇよなぁ。可愛い俺の兎にまた覆い被さろうとすると、

―――きゅるるる。

ウルルの腹から音が鳴ったため、動きが止まる。

「お腹がね、空っぽだよ~って言ってるの。」

さすがに腹が鳴る意味ぐらい知ってる。のほほんとそう言うウルルは、さっきまでの甘い雰囲気はどこかへやって、お腹空いたと擦り寄ってくる。俺はため息をついて、口を開けて待ってるウルルに飯を運んでやる。飯の後、保冷庫から氷菓を取って来て食わせてやると、目を輝かせて美味しい美味しいと連呼するため、また買い足しておくかと決める。そして、とろんとしてきたウルルをまたベッドに運んで寝かせてやるが、

「ギュってして……?」

泣きそうな声で寂しいと訴えてくるため、結局一緒にベッドに入ることになり。嬉しそうにくっついてくるこいつに触れてしまうと、そのまま熱を共有するように身体を重ねるのだった。




―――次の日

「ロイおはよ、すごくスッキリしてるの!でも何故か起きられない……。」

「……だろうな。お前、発情期が来るの、もう感覚で分かるだろ。薬はどうした。」

寝転んだまま、目はぱっちり開いて俺を見るウルルに肘を立てて見下ろしながら言うと。

「どうして?ロイが愛してくれるのに。」

不思議そうにそう返されて、少し面食らう。

「お前、それ、発情期を俺に任せるってことだぞ。……この馬鹿うさぎ。」

脱力してシーツに顔を埋めた俺は、意味が分かっていないながらも恐らくウルルにとって当たり前に思っていることなんだろうと思い、柄にもなく歓喜に口角が上がる。

発情期を相手に任せるっていうのは、最大級の信頼の証だ。番になっても、発情すると理性を失ったり本能的に行ってしまうために、薬を飲んで最低限の予防をするのが一般的だ。また、本能が強く出るために発情期の時にはその姿を見せたくないと思う者も少なくない。それが、こいつは全面的に俺に任せるつもりでいるときた。それを言われて嬉しくないやつがいるわけない。

ウルルは、そんな俺に首を傾げて不思議そうに見てきたが、近付いてスリッと頭を擦り付けてくると、撫でろと強要してくる。そんなウルルに笑って抱き寄せると、望み通り撫でて甘やかしてやるのだった。




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