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見えない敵
第二十四話 森は笑わない④
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「そんな顔をするな……私が……望んで……やった……こと、だ」
メリッサは僕の頬をゆっくりなでながら優しく微笑んだ。
「違う! 僕のせいだ、僕がいたらなかったせいで君を傷つけた」
メリッサは少し咳き込みながら語り掛けてくれる。それが何よりもつらかった。
「何を……言ってる……パートナーだろ……」
「メリッサ……!」
「何を泣いている……男が人前で泣いて良いのは……母親が死んだ時って……授業で……習っただろ──」
僕は大粒の涙を流しながら、血だらけの僕の好きな人を強く抱きしめる。彼女はひどく疲れているのか目をつぶって安らかに告げた。
「少しこのままで……休ませて……くれ……とても温かい──」
そう言うと彼女はしばしの間こと切れた──。
──――僕はこうやってメリッサを傷つけて楽しんでいるんだろ?――──
違う! 僕はメリッサを、彼女を誰よりも大切に思っている。傷つけたいなんて思っていない!
──――大切だなんて嘘だな。彼女を犠牲にして勝ち進んでいく、そうやって行けば楽じゃないか――──
嫌だ! 彼女を傷つけたくない。本当は僕が犠牲になりたかった、でも、僕は弱くて、ちっぽけで、彼女を救えなかった。僕はなんて無力なんだ、好きな女の子一人救えないなんて……!
──――本当にそう思うか? なら感情を捨てろ、他のことを考えるな。それがお前にできる彼女を救う唯一の手段だ――──
感情を捨てる? 僕には力がない。選択肢を減らしていって彼女を傷つけない選択を最優先にして選ぶしかない。そのためには悪魔にだって……!
「──メリッサ聞いてくれ。最初は君が苦手だった。僕のつらいところをついてそれを楽しんでいるんじゃないかって」
だが、僕は勢いよく首を振った。
「 でもそれは違う、僕のことを思って叱ってくれてたんだな……。僕があんまりにも情けなくて弱っちいから怒ってくれたんだな。僕は母親にもそんなこと言われたことなかった。本当に僕のこと思ってくれていたのは、メリッサ、君だけだ……」
心からの思い、どんどん言葉が紡ぎ出てあふれてくる。
「……君はいつも僕のことを見てくれている。君は僕のことをパートナーだと言った、でも、それ以上のことを君は与えてくれる。嬉しかった、僕を想ってくれる人なんてこれまで誰もいない!
そうだ、君だけだ、君だけなんだ!」
僕は嗚咽を含みながら涙を流しつづけた。僕は涙が止まらない。
「本当は最初の時から惹かれていた、なんて美しい娘なんだろうって。でも見た目だけで、その美しさが表現できる訳じゃないんだ。
優しくて、可愛くて、素直で、いじらしくて、僕のことを一番に考えてくれるし、とても君は頭が良い。
──こんなに素敵な女の子に初めて出会った……。
僕はすぐに夢中になった。そばにいるときも何を考えているのだろう、どんな言葉をかけてくれるのだろうっていつもドキドキしていた。そばにいてくれない時なんて不安で不安でしかたなかった。
こんなことは初めてだ、いつも君のことばかり考えていた、君がそばにいてくれている。それだけで僕は普通以上の幸せを感じていた。
君がいてくれるだけで他には何もいらない。メリッサ……、君のすべてが欲しい。僕のモノにしたい、でも、それを望んでなければそれでいい。君のそばにいれるだけで僕は幸せなんだ。
もう絶対に誰も君を傷つけさせはしない、君は僕が守る。そう、ただ……。
──メリッサ、君を愛している……!」
僕はメリッサの唇に口づけをする。永遠よりも長いキス、長い長い口づけ、僕はメリッサのほのかに温かく、柔らかい唇をうばう。
僕はもう、息ができないくらい、胸を張り詰めていた、愛おしい……。こんな感情が僕にもあるなんて……。
生きてて初めて誰かを想う幸せを感じていた。このまま時が止まってしまえば良い、そう思ってしまった。辺りは静かで僕とメリッサ以外誰もいない。
僕とメリッサだけの世界だ。こんな世界の果てでこんなにも美しい少女に出会えた。
今、僕はどんな世界の男よりも幸せだろう、こんな神聖なキスができるのは僕だけだ。
好きだ……。好きだ……! メリッサ──!
「――ところでだ、気分が入っているところで悪いが、私はもう、とっくの昔に起きているぞ」
……え? 気絶したんじゃなかったのか? すると今までの告白全部聞かれて……? 僕の動揺にもかかわらず、メリッサは何事もなかったように静かに目をつぶる。
「あまり私がおとなしいからといって、いたずらするな、バカ者……!」
途端に僕の全身が赤くなる音がして、ゆでられたように火照っていた。
コイツ、わかってて黙っていたのかくそっ! ああ、ちくしょう可愛いなコイツは、よう。そうだよ夢中だよ。悪いかバカ! むしろ、お前が可愛いから悪いんだよ!
僕は気を失いそうだった、でも心を落ち着かせて、もう一度静かにキスをする、彼女は何も抵抗しなかった。僕はそのまま何時間もメリッサをただ抱きしめてキスをしていた……。
──男は僕たちのことを笑ったが、森はただ静かに僕たち二人を見守っていた。
メリッサは僕の頬をゆっくりなでながら優しく微笑んだ。
「違う! 僕のせいだ、僕がいたらなかったせいで君を傷つけた」
メリッサは少し咳き込みながら語り掛けてくれる。それが何よりもつらかった。
「何を……言ってる……パートナーだろ……」
「メリッサ……!」
「何を泣いている……男が人前で泣いて良いのは……母親が死んだ時って……授業で……習っただろ──」
僕は大粒の涙を流しながら、血だらけの僕の好きな人を強く抱きしめる。彼女はひどく疲れているのか目をつぶって安らかに告げた。
「少しこのままで……休ませて……くれ……とても温かい──」
そう言うと彼女はしばしの間こと切れた──。
──――僕はこうやってメリッサを傷つけて楽しんでいるんだろ?――──
違う! 僕はメリッサを、彼女を誰よりも大切に思っている。傷つけたいなんて思っていない!
──――大切だなんて嘘だな。彼女を犠牲にして勝ち進んでいく、そうやって行けば楽じゃないか――──
嫌だ! 彼女を傷つけたくない。本当は僕が犠牲になりたかった、でも、僕は弱くて、ちっぽけで、彼女を救えなかった。僕はなんて無力なんだ、好きな女の子一人救えないなんて……!
──――本当にそう思うか? なら感情を捨てろ、他のことを考えるな。それがお前にできる彼女を救う唯一の手段だ――──
感情を捨てる? 僕には力がない。選択肢を減らしていって彼女を傷つけない選択を最優先にして選ぶしかない。そのためには悪魔にだって……!
「──メリッサ聞いてくれ。最初は君が苦手だった。僕のつらいところをついてそれを楽しんでいるんじゃないかって」
だが、僕は勢いよく首を振った。
「 でもそれは違う、僕のことを思って叱ってくれてたんだな……。僕があんまりにも情けなくて弱っちいから怒ってくれたんだな。僕は母親にもそんなこと言われたことなかった。本当に僕のこと思ってくれていたのは、メリッサ、君だけだ……」
心からの思い、どんどん言葉が紡ぎ出てあふれてくる。
「……君はいつも僕のことを見てくれている。君は僕のことをパートナーだと言った、でも、それ以上のことを君は与えてくれる。嬉しかった、僕を想ってくれる人なんてこれまで誰もいない!
そうだ、君だけだ、君だけなんだ!」
僕は嗚咽を含みながら涙を流しつづけた。僕は涙が止まらない。
「本当は最初の時から惹かれていた、なんて美しい娘なんだろうって。でも見た目だけで、その美しさが表現できる訳じゃないんだ。
優しくて、可愛くて、素直で、いじらしくて、僕のことを一番に考えてくれるし、とても君は頭が良い。
──こんなに素敵な女の子に初めて出会った……。
僕はすぐに夢中になった。そばにいるときも何を考えているのだろう、どんな言葉をかけてくれるのだろうっていつもドキドキしていた。そばにいてくれない時なんて不安で不安でしかたなかった。
こんなことは初めてだ、いつも君のことばかり考えていた、君がそばにいてくれている。それだけで僕は普通以上の幸せを感じていた。
君がいてくれるだけで他には何もいらない。メリッサ……、君のすべてが欲しい。僕のモノにしたい、でも、それを望んでなければそれでいい。君のそばにいれるだけで僕は幸せなんだ。
もう絶対に誰も君を傷つけさせはしない、君は僕が守る。そう、ただ……。
──メリッサ、君を愛している……!」
僕はメリッサの唇に口づけをする。永遠よりも長いキス、長い長い口づけ、僕はメリッサのほのかに温かく、柔らかい唇をうばう。
僕はもう、息ができないくらい、胸を張り詰めていた、愛おしい……。こんな感情が僕にもあるなんて……。
生きてて初めて誰かを想う幸せを感じていた。このまま時が止まってしまえば良い、そう思ってしまった。辺りは静かで僕とメリッサ以外誰もいない。
僕とメリッサだけの世界だ。こんな世界の果てでこんなにも美しい少女に出会えた。
今、僕はどんな世界の男よりも幸せだろう、こんな神聖なキスができるのは僕だけだ。
好きだ……。好きだ……! メリッサ──!
「――ところでだ、気分が入っているところで悪いが、私はもう、とっくの昔に起きているぞ」
……え? 気絶したんじゃなかったのか? すると今までの告白全部聞かれて……? 僕の動揺にもかかわらず、メリッサは何事もなかったように静かに目をつぶる。
「あまり私がおとなしいからといって、いたずらするな、バカ者……!」
途端に僕の全身が赤くなる音がして、ゆでられたように火照っていた。
コイツ、わかってて黙っていたのかくそっ! ああ、ちくしょう可愛いなコイツは、よう。そうだよ夢中だよ。悪いかバカ! むしろ、お前が可愛いから悪いんだよ!
僕は気を失いそうだった、でも心を落ち着かせて、もう一度静かにキスをする、彼女は何も抵抗しなかった。僕はそのまま何時間もメリッサをただ抱きしめてキスをしていた……。
──男は僕たちのことを笑ったが、森はただ静かに僕たち二人を見守っていた。
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