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闘技大会開幕
第百五十四話 闘技大会開幕
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僕たちは闘技大会が間近に迫って、チームの中でどうすればより効果的か館で話していた。
「なあシェリーちょっといいか?」
「ん、何だ、佑月?」
上着を脱いで黒いシャツでラフな格好をしていたシェリーは、かなりチームワークにも慣れてきたようでリラックスしていた。
「なあ僕が裏抜けをするときサポートしてくれないか」
「サポート? どんな?」
「だいたい、相手のことを敵側がわかってくると、このチームの要は僕だと気づき僕を狙ってくるだろう、その場合、裏を抜けて背後をつくには君が囮として敵を相手してくれるとありがたい、また僕が背後をつくと敵は動揺し、君も戦いやすくなる」
「なーるほどね、アンタ賢いね、アンタら夫婦そんなこと考えながら戦ってたのか、あたしはカンで戦ってたけど」
「それはそれで迷いなく戦えるからそれでいい、僕は理詰めで戦うタイプだからこういう戦い方しかできないんだ」
「ふーん、むしろあたしは羨ましいくらいだけどね、あの手この手考えてさ」
「いや、僕は君に期待しているよ、みんなを守る盾と矛だ、君がいないとパーティーが崩れる、決して命を無駄にしないでくれ」
「あいよ、無駄死になんてごめんだからな」
メリッサとユリアも戦術について話し合っていたようだ。
「ヴァルキュリアとエインヘリャルが同時に近づいてきたらどうします?」
「エインヘリャルを優先したほうが良い、何でもいいから足止めしたほうが良いだろう、何なら銃を置いて剣をもって壁になる方法も取り得る」
ユリアの問いにメリッサがさらっと答えた。
「壁ですか……はあ、気が重い、攻撃しなければいいんですよねエインヘリャルに対して」
「そうだ、私の経験上、攻撃してきて妨害した奴はエインヘリャルの法則で、パートナーに被害が及ぶが、体を張って、妨害した場合は大丈夫だった」
「うわー、わっかりました、努力します……」
ユリアは流石に肉の壁になることには抵抗があるようだ、メリッサみたいに自己犠牲が出来るヴァルキュリアは珍しいと言うことか。そういえばヴィオネスの確かルリアだっけか、あいつはあいつで体張ってヴィオネスを守っていたからかなり厄介だったな。
家人がやって来て、客人が来たとのことで、どういうやつかと聞くと、教会団から来たと聞いて、僕たちは客室に集まり、教会団の使者を迎えた。
客室で待っていると赤い髪の白銀の鎧を着た女性が入ってきた、前、闘技大会の事を知らせたクラリーナだ。
「まずは佑月さんメリッサさん、結婚おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます」
「ありがとうクラリーナ、君は確か偉い手のはずだったけど、君が教会団の使者なのかい?」
「ええ、まあこちらもゴタゴタがありまして、何分信用のおける人材が教会も不足していまして、私があなた方の担当の使者を任されました、今後ともよろしくお願いいたします」
ゴタゴタ? 何か気になるが、内部事情をぺらぺら話す女性とは感じなかったし、たぶん答えないだろう。無理に探って不信感を与えるよりもとりあえずそれは置いておこう。
「確か大会のルールを説明してくれるとか」
「はい、事前に申した通り、エインヘリャルとヴァルキュリアをあわせて10対10の戦いが基本で、死亡した場合補充できません、ですのであらかじめ登録したメンバーしか出場できません、これは意外と重要なのでよく覚えていてください。それによって作戦が変わりますので」
「場所は?」
メリッサがシンプルにクラリーナに尋ねた。
「マハロブの中心街にあるコロッセウムを使います。不安の場合は下見しても構いません。その時はあらかじめ所定の手続きをお願いします」
「試合中のルールは?」
僕の質問にクラリーナが応える。
「聖帝様のご命令により角笛が吹かれ、大太鼓が叩かれます。それが開始の合図です。試合中の戦い方は自由です、あなた方の個性を生かして、ご存分にお働きを。終了は出場者両チームが終了を同意したのみ決着とみなします。その時は生存者が多いほうが勝ちです」
「じゃあ、初めからメンバーが少ない場合はどうなるんだい?」
「それも変わりませんメンバーが少ないほうが負けです」
「負けのペナルティーは?」
「特にありません」
ん? どういうことだ、エインヘリャルを効率的に減らすのが目的のはずだ、あまりにも温いルールだ。
「勝ったらどうなるんだい?」
「トーナメント方式で同じブロックで勝ち上がったチームと戦います。勝負は六回で決勝、つまり64チームが参加します」
「64チーム? そんなにもか!」
64チームということは320人のエインヘリャルがいるということだ。今の残りのエインヘリャルが1000人以下だと言っていたから、3分の一だ。メリッサも動揺した様子だった。
「他にルールはあるのかい?」
「戦いは一チーム5日ごとに行われますので、勝負に勝ったら十分に疲れをお取りください──以上です」
「以上⁉」
メリッサが驚きのあまり、声を上げた。ルールがアバウトすぎる、あきらかにおかしいぞ。
「ええ、そうですが、何か質問はありますか?」
「そんなはずはないだろ、だって──」
「メリッサ、いい。わかった了解した。使者の務めお疲れ様、ありがとう」
「では」
そう言ってクラリーナは去っていった。当然メリッサは怒り出した。
「何考えているんだ佑月! これは明らかに罠だぞ! 闘技大会とは名ばかりで、負けたら教会団のエインヘリャルたちが敗北者を殺すつもりだ。これは、エインヘリャルを呼び出して処理するためのエサ、そのための大会だ!」
「ああそうだろう、ほとんどルールを決めていない以上、教会団側も何でもありだ、だが逆に考えてみよう、ルールが決まっていない以上、ルール外なら何をしても僕たちも構わないということだ」
「お前……」
僕の言葉に、メリッサは黙ってしまった。生き延びるためには何でもする、家族を守るためなら何でもする。僕はそう誓った。なら手段は選ぶつもりはない。
ほかのメンバーはあまり僕たちの会話が理解できていないのか、押し黙っていた。むしろ何か問題でもあったのか? といった感じだ。状況を把握できないならそれでいい、僕が彼らを導く。
次の日、僕たちは大会場のコロッセウムを下見してきた、戦場は割と広くなりそうで、僕たちの戦術に丁度良かった。なら問題ない。問題なのは初戦の相手だ、いきなり知らない相手と戦った時、相性が悪かったらかなり不利だ。
しかし、事前に相手を知らされていない以上、こちらでも確かめようがない、なら戦場で何が起きてもいいように、頭の中でシミュレーションをしておこう。メリッサともそう打ち合わせをして大会日を迎えた。
──これから始まる命を懸けた、絶対に負けられない闘技大会が今始まった。
「なあシェリーちょっといいか?」
「ん、何だ、佑月?」
上着を脱いで黒いシャツでラフな格好をしていたシェリーは、かなりチームワークにも慣れてきたようでリラックスしていた。
「なあ僕が裏抜けをするときサポートしてくれないか」
「サポート? どんな?」
「だいたい、相手のことを敵側がわかってくると、このチームの要は僕だと気づき僕を狙ってくるだろう、その場合、裏を抜けて背後をつくには君が囮として敵を相手してくれるとありがたい、また僕が背後をつくと敵は動揺し、君も戦いやすくなる」
「なーるほどね、アンタ賢いね、アンタら夫婦そんなこと考えながら戦ってたのか、あたしはカンで戦ってたけど」
「それはそれで迷いなく戦えるからそれでいい、僕は理詰めで戦うタイプだからこういう戦い方しかできないんだ」
「ふーん、むしろあたしは羨ましいくらいだけどね、あの手この手考えてさ」
「いや、僕は君に期待しているよ、みんなを守る盾と矛だ、君がいないとパーティーが崩れる、決して命を無駄にしないでくれ」
「あいよ、無駄死になんてごめんだからな」
メリッサとユリアも戦術について話し合っていたようだ。
「ヴァルキュリアとエインヘリャルが同時に近づいてきたらどうします?」
「エインヘリャルを優先したほうが良い、何でもいいから足止めしたほうが良いだろう、何なら銃を置いて剣をもって壁になる方法も取り得る」
ユリアの問いにメリッサがさらっと答えた。
「壁ですか……はあ、気が重い、攻撃しなければいいんですよねエインヘリャルに対して」
「そうだ、私の経験上、攻撃してきて妨害した奴はエインヘリャルの法則で、パートナーに被害が及ぶが、体を張って、妨害した場合は大丈夫だった」
「うわー、わっかりました、努力します……」
ユリアは流石に肉の壁になることには抵抗があるようだ、メリッサみたいに自己犠牲が出来るヴァルキュリアは珍しいと言うことか。そういえばヴィオネスの確かルリアだっけか、あいつはあいつで体張ってヴィオネスを守っていたからかなり厄介だったな。
家人がやって来て、客人が来たとのことで、どういうやつかと聞くと、教会団から来たと聞いて、僕たちは客室に集まり、教会団の使者を迎えた。
客室で待っていると赤い髪の白銀の鎧を着た女性が入ってきた、前、闘技大会の事を知らせたクラリーナだ。
「まずは佑月さんメリッサさん、結婚おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます」
「ありがとうクラリーナ、君は確か偉い手のはずだったけど、君が教会団の使者なのかい?」
「ええ、まあこちらもゴタゴタがありまして、何分信用のおける人材が教会も不足していまして、私があなた方の担当の使者を任されました、今後ともよろしくお願いいたします」
ゴタゴタ? 何か気になるが、内部事情をぺらぺら話す女性とは感じなかったし、たぶん答えないだろう。無理に探って不信感を与えるよりもとりあえずそれは置いておこう。
「確か大会のルールを説明してくれるとか」
「はい、事前に申した通り、エインヘリャルとヴァルキュリアをあわせて10対10の戦いが基本で、死亡した場合補充できません、ですのであらかじめ登録したメンバーしか出場できません、これは意外と重要なのでよく覚えていてください。それによって作戦が変わりますので」
「場所は?」
メリッサがシンプルにクラリーナに尋ねた。
「マハロブの中心街にあるコロッセウムを使います。不安の場合は下見しても構いません。その時はあらかじめ所定の手続きをお願いします」
「試合中のルールは?」
僕の質問にクラリーナが応える。
「聖帝様のご命令により角笛が吹かれ、大太鼓が叩かれます。それが開始の合図です。試合中の戦い方は自由です、あなた方の個性を生かして、ご存分にお働きを。終了は出場者両チームが終了を同意したのみ決着とみなします。その時は生存者が多いほうが勝ちです」
「じゃあ、初めからメンバーが少ない場合はどうなるんだい?」
「それも変わりませんメンバーが少ないほうが負けです」
「負けのペナルティーは?」
「特にありません」
ん? どういうことだ、エインヘリャルを効率的に減らすのが目的のはずだ、あまりにも温いルールだ。
「勝ったらどうなるんだい?」
「トーナメント方式で同じブロックで勝ち上がったチームと戦います。勝負は六回で決勝、つまり64チームが参加します」
「64チーム? そんなにもか!」
64チームということは320人のエインヘリャルがいるということだ。今の残りのエインヘリャルが1000人以下だと言っていたから、3分の一だ。メリッサも動揺した様子だった。
「他にルールはあるのかい?」
「戦いは一チーム5日ごとに行われますので、勝負に勝ったら十分に疲れをお取りください──以上です」
「以上⁉」
メリッサが驚きのあまり、声を上げた。ルールがアバウトすぎる、あきらかにおかしいぞ。
「ええ、そうですが、何か質問はありますか?」
「そんなはずはないだろ、だって──」
「メリッサ、いい。わかった了解した。使者の務めお疲れ様、ありがとう」
「では」
そう言ってクラリーナは去っていった。当然メリッサは怒り出した。
「何考えているんだ佑月! これは明らかに罠だぞ! 闘技大会とは名ばかりで、負けたら教会団のエインヘリャルたちが敗北者を殺すつもりだ。これは、エインヘリャルを呼び出して処理するためのエサ、そのための大会だ!」
「ああそうだろう、ほとんどルールを決めていない以上、教会団側も何でもありだ、だが逆に考えてみよう、ルールが決まっていない以上、ルール外なら何をしても僕たちも構わないということだ」
「お前……」
僕の言葉に、メリッサは黙ってしまった。生き延びるためには何でもする、家族を守るためなら何でもする。僕はそう誓った。なら手段は選ぶつもりはない。
ほかのメンバーはあまり僕たちの会話が理解できていないのか、押し黙っていた。むしろ何か問題でもあったのか? といった感じだ。状況を把握できないならそれでいい、僕が彼らを導く。
次の日、僕たちは大会場のコロッセウムを下見してきた、戦場は割と広くなりそうで、僕たちの戦術に丁度良かった。なら問題ない。問題なのは初戦の相手だ、いきなり知らない相手と戦った時、相性が悪かったらかなり不利だ。
しかし、事前に相手を知らされていない以上、こちらでも確かめようがない、なら戦場で何が起きてもいいように、頭の中でシミュレーションをしておこう。メリッサともそう打ち合わせをして大会日を迎えた。
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