22 / 25
2U 夢とカコ頑張る
しおりを挟む
2U 夢とカコ頑張る 大学1 フィリピン 彩の件 学生連合 4月
U-1 格闘プロと戦闘 前より強い奴
U-2 デモで暴走 警官を誘拐
U-3 彩 不良に絡まれる
U-4 学生連合 喧嘩
U-1 格闘プロと戦闘
儚と嘉紀は、大学から帰宅の途中、数人の男達に囲まれた。
「ヨシオ、今度は、前の様には行かんぞ。北米一と言われる、プロの男だぞ。」
「又か? 大概にしつこいな? 儚、頼むわ。」
今度の奴も白人だったが、かなりの大男である。
儚は、余りやりたく無い様子だったが、嘉紀に押されて、やむを得ず前に出た。
「私も、やりたくは無いんだけどね? 早く済ませよう。」
それを聞いた、男は怒った。
「えゃー。」
言うだけ有って、かなり鋭い。儚は、蹴り足を打ち落とす。
「ほう、あれを止めるか?」
後に居た白人が儚を襲う。飛び蹴り、アッパー、ジャブ、回し蹴り、踵落とし等、攻撃の嵐だ。
「凄いね? 中々の物だ。」
「あれでも届かぬか? お前達は、一体何なんだ? 」
「我々は、護身の為に古武術をやっている。忍者の系統でも有るらしい。」
普通なら、当たった攻撃も有りそうだが、儚や嘉紀の場合は、非常に感応が敏感だ。悪意や害意を感じた時、自動的に身体が逃げる。ナイフや拳銃にも通じる。
最近、儚と嘉紀そして仁美は、合同で古武術の訓練もしている。恐らく、嘉紀が祖父から貰った古武術の力が、儚と仁美に再感応を起こした。天勝流古武術の奥義が、儚と仁美にも伝染った。
相手の男達は、何とも胡散臭げに、儚や、その他の女の子達を眺めて居た。
U-2 デモで暴走
その日嘉紀は、一人でお茶を飲んでいる。儚の都合が悪く、嘉紀は一人だ。
そんな時、組織から電話が掛かった。
次の日の午前、夢とカコと嘉紀は、組織の飛行機の中に居た。
「山臥さん、今回は何なのですか?」
「反政府組織の暴走だ。」
今回の事件は、東南アジアの某国で、反政府組織が起こした事件だ。デモの途中で暴走を起こし、周囲の店舗を破壊した。警察が介入したのだが、双方怪我人を出しながら衝突し、反政府側の暴徒に、警察官の一人が捉まった。それでも、政府は退く訳にも行かず、膠着状態に陥った。
今回の様な場合、どちらに正義が有るかの判定は難しい。それでも人質は駄目だ。
「どちらが正義か解らないが、人質は駄目だ。卑怯だと思う。」
「難しい所ですね?」
嘉紀は、人質を認めていない。どう考えても卑怯だと思うのだ。その本人の視点から見るならば、大迷惑である。正直、どちらが正義かは分からないが、嘉紀としては、人質は解放して置きたい。
「着いたよ。今からは車だ。」
組織の車に乗り換えた三人は、一時間半程で、組織の現地事務所に着いた。
「ここから、どのくらいの位置ですか?」
「三キロ余り先の民家だ。人家はまばらだから、近づきにくい。」
「外灯なんかは、有りますか?」
「いや、そんな設備は無い。」
状況は大体分かった。三人は地図を貰って、現地の民家に近づく。
明るい内は身を隠す所もない。夜間なら、少しは隙が出来るかも知れない。
「暗視ゴーグルを持って来たのは、正解だった。」
「だけど、見廻りのスキが無いですよ。」
見廻りの間隔は狭いのだが、見廻りが通路を曲がれば、若干時間が有る。
「見廻りが通り過ぎたら、家に突入する。」
家に入るには、そんな時しか隙がないのだ。
「いつまで待っても、同じ状況ですね?」
「カコは、直ぐに床下に潜り、人質の気配を保護圏内に取り込んでくれ。」
「分かりました。人質の気配を探します。」
「人質に近づければ、取り敢えず、こちらの勝ちだ。」
「そうか、保護圏内に入れば、人質は死なずに済みますね?」
「そう言う事だ。騒ぎが小さければ幸いだけど、人質の命が最優先だ。」
見廻りか行き過ぎた。嘉紀の合図で三人は突っ込んだ。
カコは、直ぐに床下にもぐる。続いて嘉紀と夢が、壁を抜く。
「人質が、こちらに居る。」
その男に間違いがないか、写真と照合し、皆んなは小屋を飛び出した。
ここからは、いつもと同じだ。敵兵は、やみくもに撃ってくる。
「止まるな、そのまま、突っ込め。ジグザグに走るぞ。」
行く手に回り込む奴も居るが、嘉紀が、蹴ったり投げたり、片っ端から排除をする。
「えーっい」
カコも、敵を投げ飛ばしている。
夢は、銃撃の中を、人質を引っ張って、闇の中に逃れる。
人質は、銃撃に怯え通しだったが、夢の他保護能力で、何とか命は救えた。
これだけ距離が短いと、防御幕を張る暇も無い。
「すばっしっこいな? ああ動かれては弾が当たらん。」
当たった弾も有るのだが、他保護範囲に入った瞬間消滅するので、当たらないふりをしている。
一同は、雑木林の中で、追撃を振り切り、大廻りして組織の陣営に走り込んだ。
これで何とか作戦は成功した。
「疲れたね? 一時は、どうなるかと思った。」
「よしんば、周りを囲まれても、強引に進むしか無いからね?」
「それに慣れてるから、儚姉さんも仁美姉さんも、何にも動揺しないのかな?」
「多分ね? 撃たれても死なないけど、弾に当たっていない振りもする。」
それから、組織の交通手段で、日本に帰って来た。ちょうど二日間掛かった。
U-3 彩
儚たちが、お茶を飲んで居る時、遅れて居た夢とカコが現れた。
「済みません。遅くなりました。」
「いや、大丈夫。」
「この前は、お疲れ様。」
儚が、ねぎらいの言葉を掛けた。
「はい、良い経験になりました。」
色々と話は進んだが、夢が、伊豆旅行の話を振った。
「それより、この前の旅行が、面白かったですね?」
「あぁ、伊豆旅行ね? 久し振りに、のんびりしたしね?」
「時々は、ああ言うのも、いいわね?
話は弾んだが、嘉紀が、数ヶ所先の席を見て、頭を傾げている。
「夢、あそこの子、彩じゃないか? 男に囲まれてる女の子。」
「えっ、本当だ。彩だ。ちょっと行って見る。」
夢は、その席に近づき、女の子に声を掛けた。
「彩じゃない、久し振りだね?」
「何だ、お前は? 関係の無い奴は引っ込んで居れ。」
男が喚く。
夢は、彩の顔を見ていたが、突然、彩の側へ行き彩の手を引く。
「彩、こんな所に居る必要は無い。山臥さんの所へ行こう。」
「うるさい。向こうへ行け。」
「せっかく会ったのに、話しぐらい、させてくれる?」
夢は、そう言いながら、彩を引っ張って来る。
「こっちで話をしよう。しばらく、彩を借りるわね?」
「何を勝手に言ってやがる? こっちへ戻れ。」
今度は、儚が男達に言っている。
「少しぐらい、お喋りさせてやりなさいよ。男らしく無いよ。」
「彩、どうしたの? あいつ等は知り合い?」
彩は顔を横に振った。目には涙を溜めている。夢は覚った。彩は脅されている。
「夢、外へ出ようか? 店に迷惑を掛ける。」
儚の声に、夢も頷いた。カコも腰を浮かせている。
「君達、声が大きいから、店に迷惑だよ。外へ出よう。」
儚は、男達に、そう告げた。
「勝手に仕切るな、彩、ここに居ろ。」
彩はびく付いていたが、夢は、強引に外へ連れ出す。
「彩、大丈夫だよ。儚姉さん達に任せれば。その代わり皆んな話して。」
儚は、夢とカコに囁やいた。
「夢、最初は二発程殴られてよ。監視カメラが有るから。反撃はそれから。」
夢は頷いて外へ出る。
男達も怒って、儚達の後からついて出た。
外には、他に何人か集っている。男達の仲間だろう。電話で呼ばれた様だ。
「この落とし前は、どう付けてくれるんだ?」
「いや、彩を連れて行くだけだよ。あんた等はもう要らないわよ。」
儚は、却って煽る様な言い方をしている。
「なに? 俺等を舐めとんのか?」
「いや、そんな顔、舐められないわよ。」
男の一人が、儚の肩を掴みに来る。儚は、するりと逃げる。男は髪を掴んだ。
夢の方にも男が迫る。夢は右に左に逃げている。痺れを切らした男が、夢を殴る。
「きゃー。」
夢が叫ぶ。カコも殴られている。
「いやー、助けて。」
「夢、カコ、もういいよ。」
すれ違いざま、嘉紀が囁いた。男に髪を掴まれて、引っ張られていた儚が、最初に動いた。取り敢えず、髪から男の手を離す。
「よくも、やってくれたわね?」
言いざま、儚は男の足を払った。男は一瞬宙に浮き、背中から落ちる。
夢も、殴られるのを止め、男の腕を掴んで、背負いを掛ける。
「ぎゃっ」
男は、見事に放り投げられた。カコも仁美も、男達を投げ付けて居る。瞬く間に半分以上が倒された。
「しようが無いか?」
残っている男が、重い腰を上げた。スキが無さそうだ。そこで嘉紀が動いた。
「儚、こいつは任せた。中々強そうだよ。」
「え、私?」
「儚で、丁度良さそうだ。」
「女だと? 舐めやがって。」
「私に勝ってから言ってね?」
儚が、男を挑撥する。
男は、じりじり、間合いを詰めて来る。嘉紀は呑気に眺めている。
「かっー」
気合と同時に蹴りが来る。儚は手で払う。次は正拳突きだ。それは平手で受ける。
その次は、組み技で来た。儚は、呑気に構えている。相手は投げ技を掛けた。
儚は宙を飛んだが、相手の頭を支えに、ポンと足から降りた。
「もう、いいかな? 満足した?」
「くそ、何だお前は?」
「単なる大学生だよ。柔刀術は習っているけどね?」
「柔刀術だと? そんな術に、そんな余裕があるか?」
「経験が違うんだよ。あんたの何倍も戦ってるよ。」
「くそ、皆引け。警察が来る前に、ここを出るぞ。」
男達は諦めたのか、路地裏に消えた。
「彩、夢かカコを、泊めてくれないか? 護衛をさせる。無理なら良いが?」
「そうだよ。朝、学校迄一緒に行くよ。」
明日から当分、目に付かないように護衛を付ける。彩には内緒になる。
幸い、朝までは大丈夫だった様だ。後は、SSS に護衛を頼んだ。
「夢、カコ、学校でも気を付けていて。専門家には、頼んでいるけど。」
数日後、まだ、彩に絡んだ奴がいた。護衛に、顔が歪む程殴られた
そして散々脅された。それからグループが代わり、その度に脅された。
「いい加減に、止めた方が良いと思うぞ。山臥君は怒ると怖いぞ。我々でも手が付けられない奴だぞ。」
ところが、男達は懲りていない。まだ絡む奴が居た。恐らく別のグループだろう?
嘉紀は本気で怒った。奴等は、殺されるかと思う程、投げ付けられた。
全く懲りない奴等だ。これでは、夢とカコの時と、全く同じでは無いか?
U-4 学生連合
話は戻って、入学式から数日後、フィリピンから帰った直後である。
儚と嘉紀は、いつもの駅でお茶を飲んでいる。何も、ここで飲む必要は無いのだが、二人共、自宅がこの街である。さて帰ろうかと、店を出て、大通りを歩いて居ると、大学生のグループと鉢合わせた。
「山臥君だな? 我々は、学生連合を組織している。山臥君にも入って貰いたい。芙蓉さんにも、神園さんにも、頼みたいと思っている。」
「多分無理でしょうね? 今、名前を挙げられた三人は、アルバイトが有りますので、二ヶ月に一週間は、用事で休みます。とても、そちらを手伝え無いでしょう。」
「それを曲げて、手伝って貰いたい。」
「どう思っても無理の様です。たまになら、ともかく。」
「今日のところは、この位にして置くが、我々は諦めていない。」
そう言って、彼等は去って行ったが、煩い事になりそうだ。
「こちらも、一波乱有りそうだ。面倒だな?」
その日は、そのまま帰ったが、学校の用事で、いつも悩まされる。
中学も高校もだったが、大学で迄、用事をさせらるのは、勘弁して貰いたい。
「山臥さん、山臥さん、学長室まで、お願いします。学長がお呼びです。」
「山臥さん、学長室まで、お越し下さい。学長がお呼びです。」
山臥嘉紀は今日、儚と共に講義を聞いていた。そんな時、学長に呼出された。
何度も呼出されるのは煩いな? そう思った嘉紀は、学長室に出向いた。
「山臥ですが、何か用事ですか?」
「来たか、ちょっと、頼みたい事が有るんだが?」
「何でしょうか? 出来る事が有れば、やりますが?」
「聞いてくれるか? それでは、明日に頼みたい用事が、有るんだが?」
「明日は無理です。予定が有ります。」
「こちらの用事を、優先して欲しいのだが?」
「先約が有るので、それは無理です。」
「生徒連合に、頼まれているので、無理を聞いて貰いたい。」
「決まってしまった用事は、今更変更出来ませんので。」
学長も中々しつこい。嘉紀は、きっぱりと断って、学長室を出た。
儚も仁美も、要請が有った様だが、どちらも断っている。
嘉紀は今日、儚の買い物に付き合っている。仁美も一緒で有る。
街並みに入る手前で、又、学生等に捉まった。
「山臥君、この前、学長に頼んだが、考えてくれたか?」
「それは、断わりましたよ。無理ですからね?」
そいつは、儚と仁美を指差して、君達にも頼んだ筈だが? と言う。
「いえ、私も断りましたよ、仁美も、断ったと言ってたね?」
「学長でも駄目なのか、お前達は何を考えている? ちょっと来い。」
そいつ等は、横の路地に、嘉紀達を引き込んだ。嘉紀は、後ろの壁にもたれて、儚の話を聞いていたが、欠伸をした振りをして、壁に何かを貼り付けた。
「君達は、何故そんなに聞き分けが悪い? 先輩ちょっと頼みます。」
そいつは、後ろの奴に囁いた。そいつは嘉紀の胸を取った。
そして、嘉紀の顔に、往復ビンタを食らわせた。そこで嘉紀が動いた。
そいつの腕を外し足を払う。そいつは、一瞬宙に浮き背中から落ちる。
「ぎやっ。」
後ろの奴の蹴りが来る。それを避けて足を払う。
「ぐっー。」
足払いは、一番簡単な技で有るが、タイミングが難しい。重心のスキを狙わないと、倒せない。嘉紀としては、一番省エネの技になる。
襲って来る様子が無くなったので、嘉紀達は、そこを離れた。
「結局こうなるか? いつもいつも、鬱陶しい事だな?」
「仕事柄、やむを得ないわね? 詳しい事は言えないし。」
「そうだよね? 普通の人は、大学の用事を、喜んで受けるからね。」
「本当は、大学の近くでの喧嘩は、やりたく無いんだけど。」
「本当だね? 大学有利の証言が集まるね?」
それも有って、嘉紀は動画を撮る。壁に貼り付けた物も、カメラと発信器だ。
「僕は、出来るだけ動画を撮っている。動画が駄目な時は、音声を取って、ネットに保存している。」
「どんな動画が、取れてるの? ちょっと見せてよ。」
「これだよ。」
嘉紀は、そのデーターを、儚の携帯電話に送った。
儚は、その画面を見ている。最近の携帯電話は、スマホと称しているが、本体は超小型コンピューターだ。動画もしっかり撮れる。
「なるほど、ばっちりだね? 先に殴られてるのも、撮れてるね?」
「これ等は、ネットにも、保存されている。」
「この位の用心は、必要かな?」
「だから、先に殴られろって、いつも言ってる。」
「全く、用心深い事だね?」
しかし、これからの大学生活も、前途多難だ。
U-1 格闘プロと戦闘 前より強い奴
U-2 デモで暴走 警官を誘拐
U-3 彩 不良に絡まれる
U-4 学生連合 喧嘩
U-1 格闘プロと戦闘
儚と嘉紀は、大学から帰宅の途中、数人の男達に囲まれた。
「ヨシオ、今度は、前の様には行かんぞ。北米一と言われる、プロの男だぞ。」
「又か? 大概にしつこいな? 儚、頼むわ。」
今度の奴も白人だったが、かなりの大男である。
儚は、余りやりたく無い様子だったが、嘉紀に押されて、やむを得ず前に出た。
「私も、やりたくは無いんだけどね? 早く済ませよう。」
それを聞いた、男は怒った。
「えゃー。」
言うだけ有って、かなり鋭い。儚は、蹴り足を打ち落とす。
「ほう、あれを止めるか?」
後に居た白人が儚を襲う。飛び蹴り、アッパー、ジャブ、回し蹴り、踵落とし等、攻撃の嵐だ。
「凄いね? 中々の物だ。」
「あれでも届かぬか? お前達は、一体何なんだ? 」
「我々は、護身の為に古武術をやっている。忍者の系統でも有るらしい。」
普通なら、当たった攻撃も有りそうだが、儚や嘉紀の場合は、非常に感応が敏感だ。悪意や害意を感じた時、自動的に身体が逃げる。ナイフや拳銃にも通じる。
最近、儚と嘉紀そして仁美は、合同で古武術の訓練もしている。恐らく、嘉紀が祖父から貰った古武術の力が、儚と仁美に再感応を起こした。天勝流古武術の奥義が、儚と仁美にも伝染った。
相手の男達は、何とも胡散臭げに、儚や、その他の女の子達を眺めて居た。
U-2 デモで暴走
その日嘉紀は、一人でお茶を飲んでいる。儚の都合が悪く、嘉紀は一人だ。
そんな時、組織から電話が掛かった。
次の日の午前、夢とカコと嘉紀は、組織の飛行機の中に居た。
「山臥さん、今回は何なのですか?」
「反政府組織の暴走だ。」
今回の事件は、東南アジアの某国で、反政府組織が起こした事件だ。デモの途中で暴走を起こし、周囲の店舗を破壊した。警察が介入したのだが、双方怪我人を出しながら衝突し、反政府側の暴徒に、警察官の一人が捉まった。それでも、政府は退く訳にも行かず、膠着状態に陥った。
今回の様な場合、どちらに正義が有るかの判定は難しい。それでも人質は駄目だ。
「どちらが正義か解らないが、人質は駄目だ。卑怯だと思う。」
「難しい所ですね?」
嘉紀は、人質を認めていない。どう考えても卑怯だと思うのだ。その本人の視点から見るならば、大迷惑である。正直、どちらが正義かは分からないが、嘉紀としては、人質は解放して置きたい。
「着いたよ。今からは車だ。」
組織の車に乗り換えた三人は、一時間半程で、組織の現地事務所に着いた。
「ここから、どのくらいの位置ですか?」
「三キロ余り先の民家だ。人家はまばらだから、近づきにくい。」
「外灯なんかは、有りますか?」
「いや、そんな設備は無い。」
状況は大体分かった。三人は地図を貰って、現地の民家に近づく。
明るい内は身を隠す所もない。夜間なら、少しは隙が出来るかも知れない。
「暗視ゴーグルを持って来たのは、正解だった。」
「だけど、見廻りのスキが無いですよ。」
見廻りの間隔は狭いのだが、見廻りが通路を曲がれば、若干時間が有る。
「見廻りが通り過ぎたら、家に突入する。」
家に入るには、そんな時しか隙がないのだ。
「いつまで待っても、同じ状況ですね?」
「カコは、直ぐに床下に潜り、人質の気配を保護圏内に取り込んでくれ。」
「分かりました。人質の気配を探します。」
「人質に近づければ、取り敢えず、こちらの勝ちだ。」
「そうか、保護圏内に入れば、人質は死なずに済みますね?」
「そう言う事だ。騒ぎが小さければ幸いだけど、人質の命が最優先だ。」
見廻りか行き過ぎた。嘉紀の合図で三人は突っ込んだ。
カコは、直ぐに床下にもぐる。続いて嘉紀と夢が、壁を抜く。
「人質が、こちらに居る。」
その男に間違いがないか、写真と照合し、皆んなは小屋を飛び出した。
ここからは、いつもと同じだ。敵兵は、やみくもに撃ってくる。
「止まるな、そのまま、突っ込め。ジグザグに走るぞ。」
行く手に回り込む奴も居るが、嘉紀が、蹴ったり投げたり、片っ端から排除をする。
「えーっい」
カコも、敵を投げ飛ばしている。
夢は、銃撃の中を、人質を引っ張って、闇の中に逃れる。
人質は、銃撃に怯え通しだったが、夢の他保護能力で、何とか命は救えた。
これだけ距離が短いと、防御幕を張る暇も無い。
「すばっしっこいな? ああ動かれては弾が当たらん。」
当たった弾も有るのだが、他保護範囲に入った瞬間消滅するので、当たらないふりをしている。
一同は、雑木林の中で、追撃を振り切り、大廻りして組織の陣営に走り込んだ。
これで何とか作戦は成功した。
「疲れたね? 一時は、どうなるかと思った。」
「よしんば、周りを囲まれても、強引に進むしか無いからね?」
「それに慣れてるから、儚姉さんも仁美姉さんも、何にも動揺しないのかな?」
「多分ね? 撃たれても死なないけど、弾に当たっていない振りもする。」
それから、組織の交通手段で、日本に帰って来た。ちょうど二日間掛かった。
U-3 彩
儚たちが、お茶を飲んで居る時、遅れて居た夢とカコが現れた。
「済みません。遅くなりました。」
「いや、大丈夫。」
「この前は、お疲れ様。」
儚が、ねぎらいの言葉を掛けた。
「はい、良い経験になりました。」
色々と話は進んだが、夢が、伊豆旅行の話を振った。
「それより、この前の旅行が、面白かったですね?」
「あぁ、伊豆旅行ね? 久し振りに、のんびりしたしね?」
「時々は、ああ言うのも、いいわね?
話は弾んだが、嘉紀が、数ヶ所先の席を見て、頭を傾げている。
「夢、あそこの子、彩じゃないか? 男に囲まれてる女の子。」
「えっ、本当だ。彩だ。ちょっと行って見る。」
夢は、その席に近づき、女の子に声を掛けた。
「彩じゃない、久し振りだね?」
「何だ、お前は? 関係の無い奴は引っ込んで居れ。」
男が喚く。
夢は、彩の顔を見ていたが、突然、彩の側へ行き彩の手を引く。
「彩、こんな所に居る必要は無い。山臥さんの所へ行こう。」
「うるさい。向こうへ行け。」
「せっかく会ったのに、話しぐらい、させてくれる?」
夢は、そう言いながら、彩を引っ張って来る。
「こっちで話をしよう。しばらく、彩を借りるわね?」
「何を勝手に言ってやがる? こっちへ戻れ。」
今度は、儚が男達に言っている。
「少しぐらい、お喋りさせてやりなさいよ。男らしく無いよ。」
「彩、どうしたの? あいつ等は知り合い?」
彩は顔を横に振った。目には涙を溜めている。夢は覚った。彩は脅されている。
「夢、外へ出ようか? 店に迷惑を掛ける。」
儚の声に、夢も頷いた。カコも腰を浮かせている。
「君達、声が大きいから、店に迷惑だよ。外へ出よう。」
儚は、男達に、そう告げた。
「勝手に仕切るな、彩、ここに居ろ。」
彩はびく付いていたが、夢は、強引に外へ連れ出す。
「彩、大丈夫だよ。儚姉さん達に任せれば。その代わり皆んな話して。」
儚は、夢とカコに囁やいた。
「夢、最初は二発程殴られてよ。監視カメラが有るから。反撃はそれから。」
夢は頷いて外へ出る。
男達も怒って、儚達の後からついて出た。
外には、他に何人か集っている。男達の仲間だろう。電話で呼ばれた様だ。
「この落とし前は、どう付けてくれるんだ?」
「いや、彩を連れて行くだけだよ。あんた等はもう要らないわよ。」
儚は、却って煽る様な言い方をしている。
「なに? 俺等を舐めとんのか?」
「いや、そんな顔、舐められないわよ。」
男の一人が、儚の肩を掴みに来る。儚は、するりと逃げる。男は髪を掴んだ。
夢の方にも男が迫る。夢は右に左に逃げている。痺れを切らした男が、夢を殴る。
「きゃー。」
夢が叫ぶ。カコも殴られている。
「いやー、助けて。」
「夢、カコ、もういいよ。」
すれ違いざま、嘉紀が囁いた。男に髪を掴まれて、引っ張られていた儚が、最初に動いた。取り敢えず、髪から男の手を離す。
「よくも、やってくれたわね?」
言いざま、儚は男の足を払った。男は一瞬宙に浮き、背中から落ちる。
夢も、殴られるのを止め、男の腕を掴んで、背負いを掛ける。
「ぎゃっ」
男は、見事に放り投げられた。カコも仁美も、男達を投げ付けて居る。瞬く間に半分以上が倒された。
「しようが無いか?」
残っている男が、重い腰を上げた。スキが無さそうだ。そこで嘉紀が動いた。
「儚、こいつは任せた。中々強そうだよ。」
「え、私?」
「儚で、丁度良さそうだ。」
「女だと? 舐めやがって。」
「私に勝ってから言ってね?」
儚が、男を挑撥する。
男は、じりじり、間合いを詰めて来る。嘉紀は呑気に眺めている。
「かっー」
気合と同時に蹴りが来る。儚は手で払う。次は正拳突きだ。それは平手で受ける。
その次は、組み技で来た。儚は、呑気に構えている。相手は投げ技を掛けた。
儚は宙を飛んだが、相手の頭を支えに、ポンと足から降りた。
「もう、いいかな? 満足した?」
「くそ、何だお前は?」
「単なる大学生だよ。柔刀術は習っているけどね?」
「柔刀術だと? そんな術に、そんな余裕があるか?」
「経験が違うんだよ。あんたの何倍も戦ってるよ。」
「くそ、皆引け。警察が来る前に、ここを出るぞ。」
男達は諦めたのか、路地裏に消えた。
「彩、夢かカコを、泊めてくれないか? 護衛をさせる。無理なら良いが?」
「そうだよ。朝、学校迄一緒に行くよ。」
明日から当分、目に付かないように護衛を付ける。彩には内緒になる。
幸い、朝までは大丈夫だった様だ。後は、SSS に護衛を頼んだ。
「夢、カコ、学校でも気を付けていて。専門家には、頼んでいるけど。」
数日後、まだ、彩に絡んだ奴がいた。護衛に、顔が歪む程殴られた
そして散々脅された。それからグループが代わり、その度に脅された。
「いい加減に、止めた方が良いと思うぞ。山臥君は怒ると怖いぞ。我々でも手が付けられない奴だぞ。」
ところが、男達は懲りていない。まだ絡む奴が居た。恐らく別のグループだろう?
嘉紀は本気で怒った。奴等は、殺されるかと思う程、投げ付けられた。
全く懲りない奴等だ。これでは、夢とカコの時と、全く同じでは無いか?
U-4 学生連合
話は戻って、入学式から数日後、フィリピンから帰った直後である。
儚と嘉紀は、いつもの駅でお茶を飲んでいる。何も、ここで飲む必要は無いのだが、二人共、自宅がこの街である。さて帰ろうかと、店を出て、大通りを歩いて居ると、大学生のグループと鉢合わせた。
「山臥君だな? 我々は、学生連合を組織している。山臥君にも入って貰いたい。芙蓉さんにも、神園さんにも、頼みたいと思っている。」
「多分無理でしょうね? 今、名前を挙げられた三人は、アルバイトが有りますので、二ヶ月に一週間は、用事で休みます。とても、そちらを手伝え無いでしょう。」
「それを曲げて、手伝って貰いたい。」
「どう思っても無理の様です。たまになら、ともかく。」
「今日のところは、この位にして置くが、我々は諦めていない。」
そう言って、彼等は去って行ったが、煩い事になりそうだ。
「こちらも、一波乱有りそうだ。面倒だな?」
その日は、そのまま帰ったが、学校の用事で、いつも悩まされる。
中学も高校もだったが、大学で迄、用事をさせらるのは、勘弁して貰いたい。
「山臥さん、山臥さん、学長室まで、お願いします。学長がお呼びです。」
「山臥さん、学長室まで、お越し下さい。学長がお呼びです。」
山臥嘉紀は今日、儚と共に講義を聞いていた。そんな時、学長に呼出された。
何度も呼出されるのは煩いな? そう思った嘉紀は、学長室に出向いた。
「山臥ですが、何か用事ですか?」
「来たか、ちょっと、頼みたい事が有るんだが?」
「何でしょうか? 出来る事が有れば、やりますが?」
「聞いてくれるか? それでは、明日に頼みたい用事が、有るんだが?」
「明日は無理です。予定が有ります。」
「こちらの用事を、優先して欲しいのだが?」
「先約が有るので、それは無理です。」
「生徒連合に、頼まれているので、無理を聞いて貰いたい。」
「決まってしまった用事は、今更変更出来ませんので。」
学長も中々しつこい。嘉紀は、きっぱりと断って、学長室を出た。
儚も仁美も、要請が有った様だが、どちらも断っている。
嘉紀は今日、儚の買い物に付き合っている。仁美も一緒で有る。
街並みに入る手前で、又、学生等に捉まった。
「山臥君、この前、学長に頼んだが、考えてくれたか?」
「それは、断わりましたよ。無理ですからね?」
そいつは、儚と仁美を指差して、君達にも頼んだ筈だが? と言う。
「いえ、私も断りましたよ、仁美も、断ったと言ってたね?」
「学長でも駄目なのか、お前達は何を考えている? ちょっと来い。」
そいつ等は、横の路地に、嘉紀達を引き込んだ。嘉紀は、後ろの壁にもたれて、儚の話を聞いていたが、欠伸をした振りをして、壁に何かを貼り付けた。
「君達は、何故そんなに聞き分けが悪い? 先輩ちょっと頼みます。」
そいつは、後ろの奴に囁いた。そいつは嘉紀の胸を取った。
そして、嘉紀の顔に、往復ビンタを食らわせた。そこで嘉紀が動いた。
そいつの腕を外し足を払う。そいつは、一瞬宙に浮き背中から落ちる。
「ぎやっ。」
後ろの奴の蹴りが来る。それを避けて足を払う。
「ぐっー。」
足払いは、一番簡単な技で有るが、タイミングが難しい。重心のスキを狙わないと、倒せない。嘉紀としては、一番省エネの技になる。
襲って来る様子が無くなったので、嘉紀達は、そこを離れた。
「結局こうなるか? いつもいつも、鬱陶しい事だな?」
「仕事柄、やむを得ないわね? 詳しい事は言えないし。」
「そうだよね? 普通の人は、大学の用事を、喜んで受けるからね。」
「本当は、大学の近くでの喧嘩は、やりたく無いんだけど。」
「本当だね? 大学有利の証言が集まるね?」
それも有って、嘉紀は動画を撮る。壁に貼り付けた物も、カメラと発信器だ。
「僕は、出来るだけ動画を撮っている。動画が駄目な時は、音声を取って、ネットに保存している。」
「どんな動画が、取れてるの? ちょっと見せてよ。」
「これだよ。」
嘉紀は、そのデーターを、儚の携帯電話に送った。
儚は、その画面を見ている。最近の携帯電話は、スマホと称しているが、本体は超小型コンピューターだ。動画もしっかり撮れる。
「なるほど、ばっちりだね? 先に殴られてるのも、撮れてるね?」
「これ等は、ネットにも、保存されている。」
「この位の用心は、必要かな?」
「だから、先に殴られろって、いつも言ってる。」
「全く、用心深い事だね?」
しかし、これからの大学生活も、前途多難だ。
0
あなたにおすすめの小説
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密
藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。
そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。
しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。
過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる