わらしな生活（幼女、はじめました）

お年玉企画～部長とおせちの甘い罠②～

Q1
美形の上司から自宅に招かれた上、いきなりキレられ顎クイされているのですが、こんな時はいったいどうすればすんなり解放されるでしょうか。

①土下座して謝る
②いっそ流されてみる
③物理で解決


「よし来た③番………！」
「………ぐっ！？」

叫ぶと同時に斜め下方向へ放たれた渾身の頭突きは、部長の意表をつく見事な改心の一撃だった。

「………！？」

……思った以上の強度を誇る部長の大胸筋に阻まれさえしなければ、の話ではあるが。

「お……おそろしやシックスパッド！！」
「………涙目になりながら言う台詞がそれか」
「だって思った以上にこちらの受けるダメ―ジが大きくて悔しかったんですよ！！大胸筋万歳！！」
「俺が求めているのはそういう事じゃない」
「………謝罪は断固拒否します！」

あからさまに不機嫌な部長から目をそらし、ぷぅと頬を膨らませる高瀬。
『そもそも謝れと言った覚えはないんだがな……』という部長のぼやきも耳に入らない。

さぁ今こそ思い出せクレ―マ―対策。

開き直り上等。
ここは先に謝った方が敗けだ……！！

「……そう、これは寧ろ詐欺案件です！！」

よし、頑張れ自分、丸め込め自分！！

「…………詐欺………？」

予想通りに怪訝そうな表情を浮かべる部長。　

これはいける(←過信)

「だって詐欺じゃないですか！？散々甘やかしておいて、今更怒り出すとか鬼畜の所業！しかも気の迷いとはいえ、一時はプロポーズまでした相手が目の前で無防備に口を開けて待ってるんですよ！？そこはもう何も聞かず、男ならやることは一つに決まってるでしょう！！」

部長程のエリートならきっと知っているはず。
動物業界では雄が雌にご馳走を貢ぐのが愛の証。
つまりは潔く可愛い部下にご馳走を貢ぐべし………！

yes！！

勝った……！と内心でガッツポ―ズを決める高瀬だが、そんな高瀬の頭上には早くも暗雲が。

「……そうか」
「ん？」

部長の手が再び高瀬に伸び、ぷしゅうと空気の抜けた柔らかなその頬に触れ………。

「………そこまで理解してるなら、それで構わないと言うことだな？」
「ほえ？」

あ、近い。
部長の顔がMAXで違い。
毛穴まで見える勢いですが、これが噂のVR…………じゃないな！！

「ぶ、部長！？」
「黙りなさい。君が言ったことだろう。
………言葉には責任を持つことだ」

男なら、やることは一つ。
うん、確かに言った。

Q2
この体制、この至近距離。
ズバリ、男なら今やるべき事は？

「そりゃあキス…………ってみぎゃぁぁぁぁぁ！！！」

くすりと言う笑い声と共に、生暖かい吐息が高瀬の耳を犯した――。