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国王陛下の言葉に満足そうに頷くと、ブライアンは2人に対する罰を口にします。
「王太子は廃嫡。王族からも籍を抜け。そこの令嬢も平民になるから問題ないぞ、身分は。あとは、2人は婚姻を。アリーヤを貶めてまで結婚したかったのだろう?」
「えっ?」
何を驚いているの。これは、まだ甘い方じゃない。
不敬罪で処刑だってできるのに。
「連れて行け」
国王陛下が一言告げると、近衛が呆然とするお2人を連れていきました。
次期国王は第二王子がなることでしょう。元王太子と違いとても優秀だと聞いているのでこの国は将来安泰でしょうね。
「ブライアン、良かったの?」
「あぁ。あの娘は王太子という立場に固執していたからな。平民となった元王太子とどうなるか、面白いだろう?」
甘い罰だと思ったけれどあのお2人にとっては重い罰なのでしょう。相変わらず考えてることが真っ黒です。
「アリーヤ、何を考えているの?」
「な、なんでもないわ。それよりも、この状況をどうするの?」
「大丈夫。考えてある」
彼は、そう言うと未だに混乱している貴族の皆様に向き直った。
「皆、騒がせたな。ここで、一つ知らせておくことがある。私とアリーヤの結婚が決まった。今日から一ヶ月後のアリーヤの誕生日だ」
……え?
聞いてないですよ! 全く!
最近、忙しかったのは結婚式を早く挙げるためだったのですね。嬉しいサプライズですけど、先に知らせて欲しかったです。
「ほぉ、それはめでたい。ぜひ、結婚式には呼んでもらたいな」
「もちろんです、陛下。お待ちしておりますわ」
さすが、陛下。立ち直りが早いです。
慌てて答えれば、ブライアンから笑いを堪えてるような気配が伝わってきます。
「ところで、ブライアン。お仕事はどうしたのかしら?」
「え、えーと。ほら、アリーヤが危なかっただろう」
「終わってないのね?」
私が、不甲斐なかったせいなのだろうけど……。
それとこれとは話が別です。ブライアンには早く帝国に帰ってもらいましょう。
「お仕事終わっていないなら早く帰ってください」
「じゃあ、アリーヤも一緒に」
「嫌です。久しぶりに両親と会えるのですから、たまには親子の会話というものをしようと思いまして」
ニッコリ笑いながら告げれば、ガァーンと効果音がつきそうな程暗い顔をしてしまいました。けれど、これは甘いのです。
「どうせ、一ヶ月後には婚姻なのですからそれ以降はずっと一緒にいられるのでしょう? それに、私はお仕事をしてるブライアンの方が好きよ?」
そう告げれば見る見る間にブライアンの顔が緩んでいきます。あのですね、ここは国王陛下の誕生記念パーティーでたくさんの人が見ているんですよ。他の貴族の方はブライアンのこんな表情を見たことがないのでしょう。いつもは冷たい氷のような表情をしていますものね。
「じゃあ、私は帝国に戻るよ。早くアリーヤに会えるように頑張るから、待っててね」
「もちろんよ。楽しみにしてるわ」
ブライアンは来た時と同様に魔法陣の中に消えていきました。やっぱり、転移は便利ですよね。魔法陣を描けないと使えませんが。
その後のパーティーはつつがなく終了しました。
そうそう、元王太子殿下のライナー様ですが私を婚約者だと思い込んでいたのはとある貴族の方々に教えられたからと仰られていたそうです。その方々は、元王太子殿下を傀儡にして国を乗っ取ろうしとしていたようです。ですが、想定していたより元王太子殿下がアホ……ではなく頭が緩く成長してしまったので今回の騒動に発展したのでしょう。
同情は出来ませんがこれから頑張ってくださいね。
***
その後の話をしましょう。
私たちは予定通り結婚し、その一年後には第一皇子が生まれました。また、その一年後に第一皇女も生まれ、現在わたしは三人目の赤ちゃんを妊娠しています。悩みといったらブライアンが私を心配して四六時中付きまとってくることぐらいでしょうか。すこしはお仕事をして欲しいです。皇帝としてお仕事している時はもっとキリッとしているのですが。
今、幸せの絶頂期にいるといったら言い過ぎでしょうか。けれど、私はとても幸せです。
「王太子は廃嫡。王族からも籍を抜け。そこの令嬢も平民になるから問題ないぞ、身分は。あとは、2人は婚姻を。アリーヤを貶めてまで結婚したかったのだろう?」
「えっ?」
何を驚いているの。これは、まだ甘い方じゃない。
不敬罪で処刑だってできるのに。
「連れて行け」
国王陛下が一言告げると、近衛が呆然とするお2人を連れていきました。
次期国王は第二王子がなることでしょう。元王太子と違いとても優秀だと聞いているのでこの国は将来安泰でしょうね。
「ブライアン、良かったの?」
「あぁ。あの娘は王太子という立場に固執していたからな。平民となった元王太子とどうなるか、面白いだろう?」
甘い罰だと思ったけれどあのお2人にとっては重い罰なのでしょう。相変わらず考えてることが真っ黒です。
「アリーヤ、何を考えているの?」
「な、なんでもないわ。それよりも、この状況をどうするの?」
「大丈夫。考えてある」
彼は、そう言うと未だに混乱している貴族の皆様に向き直った。
「皆、騒がせたな。ここで、一つ知らせておくことがある。私とアリーヤの結婚が決まった。今日から一ヶ月後のアリーヤの誕生日だ」
……え?
聞いてないですよ! 全く!
最近、忙しかったのは結婚式を早く挙げるためだったのですね。嬉しいサプライズですけど、先に知らせて欲しかったです。
「ほぉ、それはめでたい。ぜひ、結婚式には呼んでもらたいな」
「もちろんです、陛下。お待ちしておりますわ」
さすが、陛下。立ち直りが早いです。
慌てて答えれば、ブライアンから笑いを堪えてるような気配が伝わってきます。
「ところで、ブライアン。お仕事はどうしたのかしら?」
「え、えーと。ほら、アリーヤが危なかっただろう」
「終わってないのね?」
私が、不甲斐なかったせいなのだろうけど……。
それとこれとは話が別です。ブライアンには早く帝国に帰ってもらいましょう。
「お仕事終わっていないなら早く帰ってください」
「じゃあ、アリーヤも一緒に」
「嫌です。久しぶりに両親と会えるのですから、たまには親子の会話というものをしようと思いまして」
ニッコリ笑いながら告げれば、ガァーンと効果音がつきそうな程暗い顔をしてしまいました。けれど、これは甘いのです。
「どうせ、一ヶ月後には婚姻なのですからそれ以降はずっと一緒にいられるのでしょう? それに、私はお仕事をしてるブライアンの方が好きよ?」
そう告げれば見る見る間にブライアンの顔が緩んでいきます。あのですね、ここは国王陛下の誕生記念パーティーでたくさんの人が見ているんですよ。他の貴族の方はブライアンのこんな表情を見たことがないのでしょう。いつもは冷たい氷のような表情をしていますものね。
「じゃあ、私は帝国に戻るよ。早くアリーヤに会えるように頑張るから、待っててね」
「もちろんよ。楽しみにしてるわ」
ブライアンは来た時と同様に魔法陣の中に消えていきました。やっぱり、転移は便利ですよね。魔法陣を描けないと使えませんが。
その後のパーティーはつつがなく終了しました。
そうそう、元王太子殿下のライナー様ですが私を婚約者だと思い込んでいたのはとある貴族の方々に教えられたからと仰られていたそうです。その方々は、元王太子殿下を傀儡にして国を乗っ取ろうしとしていたようです。ですが、想定していたより元王太子殿下がアホ……ではなく頭が緩く成長してしまったので今回の騒動に発展したのでしょう。
同情は出来ませんがこれから頑張ってくださいね。
***
その後の話をしましょう。
私たちは予定通り結婚し、その一年後には第一皇子が生まれました。また、その一年後に第一皇女も生まれ、現在わたしは三人目の赤ちゃんを妊娠しています。悩みといったらブライアンが私を心配して四六時中付きまとってくることぐらいでしょうか。すこしはお仕事をして欲しいです。皇帝としてお仕事している時はもっとキリッとしているのですが。
今、幸せの絶頂期にいるといったら言い過ぎでしょうか。けれど、私はとても幸せです。
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