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風を切る翼
(あだ花姫)別れ
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「パパァ……」
私より先に娘が仕事から帰ってきた夫の足に抱きつく。
シュナイダーと結ばれて四年が経った。
二歳になる娘は夫と同じ金色の翼を持って生まれた。
翼を持って生まれた娘を見た時、夫は声をあげて泣いた。
訓戒を受けた者から、天人は生まれることはない。
しかし娘は天人としての祝福を受けたのだ。
「クリスティーナ、娘を天界にいる両親に預けようと思っている。
天人として学ぶべき事が地上では教えてあげられない。
今は翼が小さいからごまかせるが、そのうち隠せなくなる。
娘には翼を隠して生きるより、堂々と生きてほしいんだ。」
夫の言葉にうなずくことしか出来なかった。
私も夫も本当の姿を隠して暮らしている。
だからせめて娘にはありのまま暮らして欲しい。
親なら子供の幸せを願うのは当たり前だ。
「ママァ…」
夫に抱かれてご満悦な娘が小さな金色の翼をパタパタ羽ばたかせて喜んでいる。
「二人とも愛しているわ」
私は夫と娘に抱きついた。
私さえいなくなれば、天人の二人なら共に天界へ戻れるのに…
私は知っている。
夫に啓示が降りたことを。
真夜中目が覚めた時、夫がベッドに居ないことに胸騒ぎを覚えて眠っている娘を起こさぬよう、静かに部屋を抜け出したのだ。
リビングの窓辺に夫は跪き祈りを捧げている。
月明かりに照らされて金色の翼が光を帯びて見える。
一瞬、部屋中が眩しくなったと思ったら夫の身体が光を放ちはじめる。
「私には妻が居るので帰れません。
主よ…娘をお願いします。私は妻と二人、ここで暮らそうと思います。」
夫は私のせいで失ってばかりだ。
私さえいなければ、私さえあの夜、教会に行かなければ……
夫には天人としての輝かしい未来があったのに…
翼を折り畳み隠して暮らすことなどなかったのに。
娘の3回目の誕生日。
お祝いを終えた次の日、
娘を天界の夫の両親に預けることになっている。
「あなたご馳走を作って待っているわ。
いってらっしゃい…」
笑顔で娘と二人夫を見送る。
私は小さなカバンに荷物をまとめ裏庭の作業小屋にそれを隠す。
小さなケーキと娘の大好きなオムレツ、夫の好物のロールキャベツ、ポテトのチーズソースを机に並べる。
夫と娘と過ごす最後の夜。
無邪気に笑う娘を、それを愛おしそうに見つめる夫の姿を脳裏に焼きつける。
三人で娘を真ん中にはさんで眠りにつく……
夫の規則正しい寝息と娘の小さな寝息が聞こえてくる。
私は静かに部屋を出るとそのまま二度と家に戻ることはなかった。
何故なら裏庭の小屋へと向かう途中、翼のもがれた男に連れ去られたからだ。
私は囚われの身となり、孕女として犯され続ける。
エンドロールが流れる。
次の朝、私の置き手紙を読んで狂ったように私を探し回る夫と泣き続ける娘。
娘を自分の両親に預けると夫は私を探す旅にでる。
まるで浮浪者のようは出で立ちになりながらも、懸命に私を探し求める。
七度目の冬が過ぎた後、夫は私を見つけ私を解放するために自らの手で翼をもぎ取る。
犯され生まされ続けた私はもう廃人だった。
それでも夫は何のためらいもなく美しい金色の翼と引き換えに私を救ったのだ。
そしてエンドロールの終わりに夫は冷たくなった私を抱きしめたまま自らの首をナイフで突き刺して命を絶つ。
「クリスティーナ、来世こそ幸せになろう」
目が覚めると私は着の身着のままシュナイダーを探す。
「シュナイダー」
あの泉のほとりにシュナイダーが立っている。
泣きながら彼の背中に抱きつく。
「思い出したのか?
馬鹿だな…思い出さなければ傷つかずにすんだのに…」
私は首を横にふる。
「あの頃…私の生きる意味は全てシュナイダー貴方だけでした。」
私の言葉にシュナイダーが声をあげて泣き始める。
今ではない前世の記憶。
それでも私達にとって確かに愛し合った日々は紛れもなく本物だった。
「一度だけキスしていいかい?クリスティーナの温もりを匂いを覚えておきたいんだ。」
私達は一度だけ触れるだけの優しいキスを交わした。
今生の別れと、過去への決別として……
次の日の朝…おじ様と殿下と私はStairway to Heavenで海底国アクアミューズへと向かった。
見送りにきてくれたみんなに手を振る。
その中にシュナイダーは居なかった。
私は最後にお祖父様に抱きつき別れを告げた。
「心のままに……
私は何があろうとミカエルを信じるよ。」
祖父の言葉を胸に天界を後にした。
私より先に娘が仕事から帰ってきた夫の足に抱きつく。
シュナイダーと結ばれて四年が経った。
二歳になる娘は夫と同じ金色の翼を持って生まれた。
翼を持って生まれた娘を見た時、夫は声をあげて泣いた。
訓戒を受けた者から、天人は生まれることはない。
しかし娘は天人としての祝福を受けたのだ。
「クリスティーナ、娘を天界にいる両親に預けようと思っている。
天人として学ぶべき事が地上では教えてあげられない。
今は翼が小さいからごまかせるが、そのうち隠せなくなる。
娘には翼を隠して生きるより、堂々と生きてほしいんだ。」
夫の言葉にうなずくことしか出来なかった。
私も夫も本当の姿を隠して暮らしている。
だからせめて娘にはありのまま暮らして欲しい。
親なら子供の幸せを願うのは当たり前だ。
「ママァ…」
夫に抱かれてご満悦な娘が小さな金色の翼をパタパタ羽ばたかせて喜んでいる。
「二人とも愛しているわ」
私は夫と娘に抱きついた。
私さえいなくなれば、天人の二人なら共に天界へ戻れるのに…
私は知っている。
夫に啓示が降りたことを。
真夜中目が覚めた時、夫がベッドに居ないことに胸騒ぎを覚えて眠っている娘を起こさぬよう、静かに部屋を抜け出したのだ。
リビングの窓辺に夫は跪き祈りを捧げている。
月明かりに照らされて金色の翼が光を帯びて見える。
一瞬、部屋中が眩しくなったと思ったら夫の身体が光を放ちはじめる。
「私には妻が居るので帰れません。
主よ…娘をお願いします。私は妻と二人、ここで暮らそうと思います。」
夫は私のせいで失ってばかりだ。
私さえいなければ、私さえあの夜、教会に行かなければ……
夫には天人としての輝かしい未来があったのに…
翼を折り畳み隠して暮らすことなどなかったのに。
娘の3回目の誕生日。
お祝いを終えた次の日、
娘を天界の夫の両親に預けることになっている。
「あなたご馳走を作って待っているわ。
いってらっしゃい…」
笑顔で娘と二人夫を見送る。
私は小さなカバンに荷物をまとめ裏庭の作業小屋にそれを隠す。
小さなケーキと娘の大好きなオムレツ、夫の好物のロールキャベツ、ポテトのチーズソースを机に並べる。
夫と娘と過ごす最後の夜。
無邪気に笑う娘を、それを愛おしそうに見つめる夫の姿を脳裏に焼きつける。
三人で娘を真ん中にはさんで眠りにつく……
夫の規則正しい寝息と娘の小さな寝息が聞こえてくる。
私は静かに部屋を出るとそのまま二度と家に戻ることはなかった。
何故なら裏庭の小屋へと向かう途中、翼のもがれた男に連れ去られたからだ。
私は囚われの身となり、孕女として犯され続ける。
エンドロールが流れる。
次の朝、私の置き手紙を読んで狂ったように私を探し回る夫と泣き続ける娘。
娘を自分の両親に預けると夫は私を探す旅にでる。
まるで浮浪者のようは出で立ちになりながらも、懸命に私を探し求める。
七度目の冬が過ぎた後、夫は私を見つけ私を解放するために自らの手で翼をもぎ取る。
犯され生まされ続けた私はもう廃人だった。
それでも夫は何のためらいもなく美しい金色の翼と引き換えに私を救ったのだ。
そしてエンドロールの終わりに夫は冷たくなった私を抱きしめたまま自らの首をナイフで突き刺して命を絶つ。
「クリスティーナ、来世こそ幸せになろう」
目が覚めると私は着の身着のままシュナイダーを探す。
「シュナイダー」
あの泉のほとりにシュナイダーが立っている。
泣きながら彼の背中に抱きつく。
「思い出したのか?
馬鹿だな…思い出さなければ傷つかずにすんだのに…」
私は首を横にふる。
「あの頃…私の生きる意味は全てシュナイダー貴方だけでした。」
私の言葉にシュナイダーが声をあげて泣き始める。
今ではない前世の記憶。
それでも私達にとって確かに愛し合った日々は紛れもなく本物だった。
「一度だけキスしていいかい?クリスティーナの温もりを匂いを覚えておきたいんだ。」
私達は一度だけ触れるだけの優しいキスを交わした。
今生の別れと、過去への決別として……
次の日の朝…おじ様と殿下と私はStairway to Heavenで海底国アクアミューズへと向かった。
見送りにきてくれたみんなに手を振る。
その中にシュナイダーは居なかった。
私は最後にお祖父様に抱きつき別れを告げた。
「心のままに……
私は何があろうとミカエルを信じるよ。」
祖父の言葉を胸に天界を後にした。
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