あだ花姫は18禁ジャンルからジャンル替えしたいみたいです。

チョコパイ

文字の大きさ
126 / 165
第二部七章 It's you.

歯車がまわる

しおりを挟む
「いいな…地上へ降りたらそのまま姿をかくすのだぞ。」

主の盟友であり天界の知将と呼ばれた父が今、掟に背いてまでも私を地上へと留まるようにと命じる。

「ケルビム殿から教えてもらったのだ。
ラファエル…お前が今まで犯してきた罪について
…」

父の言葉がナイフのように私の心に突き刺さる。

私のしてきたことがセラフィム様にバレた……

私はただ自分の物を取り返したかっただけなのに…

ウリエルからセラフィム様を取り戻したかっただけなのに……

「お父様、お母様……」

私より傷ついた表情を浮かべる両親の姿がやけに小さく見える。

あぁ…憎い
私から全てを奪ったウリエルが、セラフィム様だけではなく、とうとう私から天界までうばうのね。

なら……


「お父様、お母様…本当にお世話になりました。」

別れの朝、互いの手をつなぎあわせる。

この手をほどいたら、もう二度とつなぎあわせることは出来ない。

自然とつないだ手に力が入る。

「どうかお身体には気をつけて…」

こみ上げてくる涙が邪魔をして言葉が続かない。

「目立たぬよう息をひそめて暮らすのだ。
自分の犯した罪をちゃんと償うのだぞ。」

父の言葉が胸をさす。

私は本当にここを去らなければいけないのだ。

堕ちるなら共に……
ウリエル、そうでしょう?
貴方が私から奪ったのだから、私も奪ってもいいわよね……

地上での任務を終え穢れた身体を清めるため湖へと身を沈める。

お香から抽出した液体を香油と偽りウリエルの髪にぬる。

これで後は待つだけだ。
匂いを辿ってくる男達を…

愚かだった。
今ならわかる。
精神が清らかなウリエルに香を使っても穢を持った私のようにならぬと…

運命の歯車が動き始める。
この夜、私はセラフィムとどこか似た男と出会う。

後に彼が帝国の皇太子だと知った。
そしてウリエルも運命の出会いを果たす。

欲情のまま男と身体を重ねる。
それがまさか皇太子とは思いもしなかった。

香に引き寄せられたせいなのか男はまるで私が運命の相手だと熱病にかかったように何度も何度も身体を求める。

ウリエルも…今頃
あの男とそう思うと余計に乱れた。

ウリエルにテレパシーをおくる。

恋に落ちたと…
そして天界には戻らないと……


彼は優しかった。
でも次第にその優しさは私だけではないことに気がつく。

皇帝になった途端、彼は側室を迎える。

歯車が狂い出す。

彼の来ない夜
飛べない翼を広げ天を見つめる。

セラフィム様との眩しい時がよみがえる。

私の中の闇が語りかける。

そして私は私の中のもう一人の私と計画を練る。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

思い込みの恋

秋月朔夕
恋愛
サッカー部のエースである葉山くんに告白された。けれどこれは罰ゲームでしょう。だって彼の友達二人が植え込みでコッチをニヤニヤしながら見ているのだから。 ムーンライトノベル にも掲載中。 おかげさまでムーンライトノベル では 2020年3月14日、2020年3月15日、日間ランキング1位。 2020年3月18日、週間ランキング1位。 2020年3月19日、週間ランキング1位。

歳の差を気にして去ろうとした私は夫の本気を思い知らされる

紬あおい
恋愛
政略結婚の私達は、白い結婚から離縁に至ると思っていた。 しかし、そんな私にお怒りモードの歳下の夫は、本気で私を籠絡する。

【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。

たまこ
恋愛
 公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。  ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。 ※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。

好感度0になるまで終われません。

チョコパイ
恋愛
土屋千鶴子(享年98歳) 子供や孫、ひ孫に囲まれての大往生。 愛され続けて4度目の転生。 そろそろ……愛されるのに疲れたのですが… 登場人物の好感度0にならない限り終わらない溺愛の日々。 5度目の転生先は娘が遊んでいた乙女ゲームの世界。 いつもと違う展開に今度こそ永久の眠りにつける。 そう信じ、好きなことを、好きなようにやりたい放題… 自覚なし愛され公女と執着一途皇太子のすれ違いラブロマンス。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

処理中です...