148 / 165
第四章 帝国にて~殿下視点~
記憶の歯車
しおりを挟む
ずっとひっかかっていた記憶がある。
幼い頃、薔薇園で父と側室の睦あう姿を見たことがあった。
子供心にその行為が恥ずべきものだと感じた。
大きくなるにつれその行為の意味がわかるようになると私は父を軽蔑するようになっていった。
母が居るのに他の女を抱く父が汚く思えたのだ。
アクアミューズで過去の会議資料の内容に目を通している時、気がついてしまったのだ。
「これは……」
父がこの会議の為に他国へ行っていた日にちが私が薔薇園で父と側室の睦あう姿を見た日と同じことに気がついたのだ。
「そんな馬鹿なことが…」
記憶の歯車が回りだす。
あっ……
薔薇園にあの日行ったのは母に会いに行ったからだ。
剣の稽古中、ふと目にはいったクローバー。
侍女に母は薔薇園に居ると教えてもらい駆け足で薔薇園へ向かった。
四つ葉のクローバーを大好きな母にあげたくて…
霧がはれるように記憶がクリアーになる。
頬につうっーと滴が流れ落ちていく。
「私は初めから間違えていたんだな…」
あれは父ではなかった。
父に良く似ているが父は日中は必ず燕尾服を着用している。
でもあの日の男はシャツとベスト姿だった。
男の下ではしたない声をあげていたのは…側室なんかではなく…
母だった…
母が男の下で股を広げ…
歯車が回りだす。
カーミラ王国の王女を紹介してきたのは母だった。
あの時、母にお茶に誘われて…甘ったるい香りがして……
今ならわかる…母が全てに関与していると…
パーツが揃ってくると自ずと全体像が見えてくる。
母がルシファーを手引きしていた…
どうして母が…ルシファーなんかを…
兄が言っていた言葉を思い出す。
「初めはクリスティーナを憎んでいる誰かの仕業だと思っていたんだ…
でも今ならわかる。
これはクリスティーナだけではなく、帝国のことを憎んでいる者の仕業だと…」
兄が言葉を続ける。
「闇が城に入り込んでいる時点で帝国貴族が何らかの形で関与している事がわかるだろう…
それに、皇室を離れた今だからわかることがあるのだが…」
兄は私の耳元で囁いた。
「足場を見誤るな」と…
足場…それは皇室で私にもっとも近い場所の事を言っていたのだと今ならわかる。
ここで突如、私とドラゴニアの王女との政略結婚の話が出た時、気がつくべきだった。
噂は恐ろしいほど早く広がり愚かな私は行動を間違えたのだ。
あの時、私は皇太子としてではなく男として振る舞うべきだった。
ティナ……
私はまた君を傷つけたんだな…
すまないティナ…
急いで帝国に戻らないと…帝国が…
と、同時に信じたかった。
剣の稽古で怪我をした時、癒しの光で傷を治してくれた母…
怖い夢を見た時、抱きしめて共に眠ってくれた母…
兄が従者を引きずって部屋へと入ってくる。
「クリスティーナを悲しませるな!!
コイツがあらぬ噂をばらまいていたぞ。」
蹴り倒された従者は母が私につけた者だった。
もう疑う余地はない。
そうとわかれば私のやることは一つだ。
私はセラフィム様に言伝てを頼んだ。
兄ではなくセラフィム様に…
「今回で確信しました。母上とルシファーが主犯で間違いないかと…
父上を守るためにも、知らぬふりで過ごします。でも、必ずティナの元へ帰るとティナへ伝えて下さい。」と……
兄に言えるわけがなかった。
何故なら私の母が兄の母を陥れたかもしれないから…
セラフィム様は私の額に加護の口づけをおとす。
「これ以上、ミカエルを悲しませないでくれ」
セラフィム様の言葉が胸に重くのしかかった。
幼い頃、薔薇園で父と側室の睦あう姿を見たことがあった。
子供心にその行為が恥ずべきものだと感じた。
大きくなるにつれその行為の意味がわかるようになると私は父を軽蔑するようになっていった。
母が居るのに他の女を抱く父が汚く思えたのだ。
アクアミューズで過去の会議資料の内容に目を通している時、気がついてしまったのだ。
「これは……」
父がこの会議の為に他国へ行っていた日にちが私が薔薇園で父と側室の睦あう姿を見た日と同じことに気がついたのだ。
「そんな馬鹿なことが…」
記憶の歯車が回りだす。
あっ……
薔薇園にあの日行ったのは母に会いに行ったからだ。
剣の稽古中、ふと目にはいったクローバー。
侍女に母は薔薇園に居ると教えてもらい駆け足で薔薇園へ向かった。
四つ葉のクローバーを大好きな母にあげたくて…
霧がはれるように記憶がクリアーになる。
頬につうっーと滴が流れ落ちていく。
「私は初めから間違えていたんだな…」
あれは父ではなかった。
父に良く似ているが父は日中は必ず燕尾服を着用している。
でもあの日の男はシャツとベスト姿だった。
男の下ではしたない声をあげていたのは…側室なんかではなく…
母だった…
母が男の下で股を広げ…
歯車が回りだす。
カーミラ王国の王女を紹介してきたのは母だった。
あの時、母にお茶に誘われて…甘ったるい香りがして……
今ならわかる…母が全てに関与していると…
パーツが揃ってくると自ずと全体像が見えてくる。
母がルシファーを手引きしていた…
どうして母が…ルシファーなんかを…
兄が言っていた言葉を思い出す。
「初めはクリスティーナを憎んでいる誰かの仕業だと思っていたんだ…
でも今ならわかる。
これはクリスティーナだけではなく、帝国のことを憎んでいる者の仕業だと…」
兄が言葉を続ける。
「闇が城に入り込んでいる時点で帝国貴族が何らかの形で関与している事がわかるだろう…
それに、皇室を離れた今だからわかることがあるのだが…」
兄は私の耳元で囁いた。
「足場を見誤るな」と…
足場…それは皇室で私にもっとも近い場所の事を言っていたのだと今ならわかる。
ここで突如、私とドラゴニアの王女との政略結婚の話が出た時、気がつくべきだった。
噂は恐ろしいほど早く広がり愚かな私は行動を間違えたのだ。
あの時、私は皇太子としてではなく男として振る舞うべきだった。
ティナ……
私はまた君を傷つけたんだな…
すまないティナ…
急いで帝国に戻らないと…帝国が…
と、同時に信じたかった。
剣の稽古で怪我をした時、癒しの光で傷を治してくれた母…
怖い夢を見た時、抱きしめて共に眠ってくれた母…
兄が従者を引きずって部屋へと入ってくる。
「クリスティーナを悲しませるな!!
コイツがあらぬ噂をばらまいていたぞ。」
蹴り倒された従者は母が私につけた者だった。
もう疑う余地はない。
そうとわかれば私のやることは一つだ。
私はセラフィム様に言伝てを頼んだ。
兄ではなくセラフィム様に…
「今回で確信しました。母上とルシファーが主犯で間違いないかと…
父上を守るためにも、知らぬふりで過ごします。でも、必ずティナの元へ帰るとティナへ伝えて下さい。」と……
兄に言えるわけがなかった。
何故なら私の母が兄の母を陥れたかもしれないから…
セラフィム様は私の額に加護の口づけをおとす。
「これ以上、ミカエルを悲しませないでくれ」
セラフィム様の言葉が胸に重くのしかかった。
0
あなたにおすすめの小説
思い込みの恋
秋月朔夕
恋愛
サッカー部のエースである葉山くんに告白された。けれどこれは罰ゲームでしょう。だって彼の友達二人が植え込みでコッチをニヤニヤしながら見ているのだから。
ムーンライトノベル にも掲載中。
おかげさまでムーンライトノベル では
2020年3月14日、2020年3月15日、日間ランキング1位。
2020年3月18日、週間ランキング1位。
2020年3月19日、週間ランキング1位。
【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。
たまこ
恋愛
公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。
ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。
※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。
好感度0になるまで終われません。
チョコパイ
恋愛
土屋千鶴子(享年98歳)
子供や孫、ひ孫に囲まれての大往生。
愛され続けて4度目の転生。
そろそろ……愛されるのに疲れたのですが…
登場人物の好感度0にならない限り終わらない溺愛の日々。
5度目の転生先は娘が遊んでいた乙女ゲームの世界。
いつもと違う展開に今度こそ永久の眠りにつける。
そう信じ、好きなことを、好きなようにやりたい放題…
自覚なし愛され公女と執着一途皇太子のすれ違いラブロマンス。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる