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第五章 縺れた糸
空が高い。
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…翌朝…
「兄上、少しお時間をもらえませんか?」
ここに来た一番の理由。
「わかった。
ここだとアレだから外に出ないかい?」
兄に連れられ宿屋の裏庭へと出る。
庭と言ってもベンチが一つあるだけの場所だ。
兄はベンチに腰かけると私に手招きする。
「大変だったな…」
兄が私の肩を叩く。
「兄上…本当に…本当に申し訳ありませんでした。
これは父上からの…」
ジャケットの内ポケットから父から預かった手紙を出す。
「それは受け取れない。」
兄は私の手を掴む。
「兄上…」
「陛下には私が受け取らなかったと言ってくれ…」
「兄上、悪かったのは母で、父上は母に騙されただけなんです。」
兄の手を握りかえす。
「母が…兄上から全てを奪ったんです。
母が…」
兄が首を横にふる。
「私からしたら皇后陛下も陛下もたいして変わらないんだ。
母は愚かで弱かった。愛してはくれない男にしがみつき、周りから冷遇されても、いつの日か報われると…」
兄の瞳から涙がこぼれ落ちる。
「陛下はそんな母を見て見ぬふりをした。
たとえそれが皇后陛下がやったことだとしても、陛下もそれを選んだんだ。
だから、私にとって陛下も皇后陛下も変わらない。
強いて言えば城で働く皆が同じなんだ。」
兄の言う通りだ。
母の呪いのせいで皇族の色を持たずに生まれた兄。
皆が思っていた。
兄は不貞の子だと…
兄や兄の母は皇族に相応しくないと…
そして帝国中を恐怖に陥れた初めての闇の事件の首謀者として祖父と共に名があがった。
リオン公爵家以外、兄の側に寄り添う者はいなかった。
本来なら私と母が負うべき罪だったのに…
私が兄の居場所を奪ったのだ。
母さえ、ちゃんとしていたら…
違う…母さえ薬で父を誘惑しなかったら、父は婚約者だった兄の母と結ばれていたはずだ。
本当ならば兄が皇太子で、ティナの婚約者だったかもしれない。
私が兄の人生を奪ってしまった……
でも…でも……
ティナだけは…
「そんな顔をするな。」
兄が私の背中をたたく。
「家族というものを、皮肉な話だが母を亡くして、皇族から排除されて知ったんだ。
リオンの父は厳しいがきちんと私を息子として認めてくれる。
母はおせっかいでそれでいて私をちゃんと甘やかしてくれる。
そして……クリス…妹は私に甘え慕ってくれる。
リオン公爵家に養子として迎えられてから、私はすごく幸せなんだ。」
兄が笑う。
「だから、そんな顔をするな…チャールズ。」
自分がすごくちっぽけな男に思えた。
謝罪しに来たはずなのに…
兄の居場所を奪ったくせにティナだけは渡したくないと…
返さなきゃいけないのに…
「妹が言ったんだ。
『妬みや嫉妬や嫌な感情ばかり見ていたら、こんなに綺麗な空でも醜く見えてしまう』
とな……
チャールズ空を見上げてごらん。」
兄が空を見上げる。
「空は高いな…」
兄と一緒に空を見上げてみる、
「はい。空が…とても高いです。」
優しい風が兄と私の間にそっと流れた。
「兄上、少しお時間をもらえませんか?」
ここに来た一番の理由。
「わかった。
ここだとアレだから外に出ないかい?」
兄に連れられ宿屋の裏庭へと出る。
庭と言ってもベンチが一つあるだけの場所だ。
兄はベンチに腰かけると私に手招きする。
「大変だったな…」
兄が私の肩を叩く。
「兄上…本当に…本当に申し訳ありませんでした。
これは父上からの…」
ジャケットの内ポケットから父から預かった手紙を出す。
「それは受け取れない。」
兄は私の手を掴む。
「兄上…」
「陛下には私が受け取らなかったと言ってくれ…」
「兄上、悪かったのは母で、父上は母に騙されただけなんです。」
兄の手を握りかえす。
「母が…兄上から全てを奪ったんです。
母が…」
兄が首を横にふる。
「私からしたら皇后陛下も陛下もたいして変わらないんだ。
母は愚かで弱かった。愛してはくれない男にしがみつき、周りから冷遇されても、いつの日か報われると…」
兄の瞳から涙がこぼれ落ちる。
「陛下はそんな母を見て見ぬふりをした。
たとえそれが皇后陛下がやったことだとしても、陛下もそれを選んだんだ。
だから、私にとって陛下も皇后陛下も変わらない。
強いて言えば城で働く皆が同じなんだ。」
兄の言う通りだ。
母の呪いのせいで皇族の色を持たずに生まれた兄。
皆が思っていた。
兄は不貞の子だと…
兄や兄の母は皇族に相応しくないと…
そして帝国中を恐怖に陥れた初めての闇の事件の首謀者として祖父と共に名があがった。
リオン公爵家以外、兄の側に寄り添う者はいなかった。
本来なら私と母が負うべき罪だったのに…
私が兄の居場所を奪ったのだ。
母さえ、ちゃんとしていたら…
違う…母さえ薬で父を誘惑しなかったら、父は婚約者だった兄の母と結ばれていたはずだ。
本当ならば兄が皇太子で、ティナの婚約者だったかもしれない。
私が兄の人生を奪ってしまった……
でも…でも……
ティナだけは…
「そんな顔をするな。」
兄が私の背中をたたく。
「家族というものを、皮肉な話だが母を亡くして、皇族から排除されて知ったんだ。
リオンの父は厳しいがきちんと私を息子として認めてくれる。
母はおせっかいでそれでいて私をちゃんと甘やかしてくれる。
そして……クリス…妹は私に甘え慕ってくれる。
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兄が笑う。
「だから、そんな顔をするな…チャールズ。」
自分がすごくちっぽけな男に思えた。
謝罪しに来たはずなのに…
兄の居場所を奪ったくせにティナだけは渡したくないと…
返さなきゃいけないのに…
「妹が言ったんだ。
『妬みや嫉妬や嫌な感情ばかり見ていたら、こんなに綺麗な空でも醜く見えてしまう』
とな……
チャールズ空を見上げてごらん。」
兄が空を見上げる。
「空は高いな…」
兄と一緒に空を見上げてみる、
「はい。空が…とても高いです。」
優しい風が兄と私の間にそっと流れた。
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