あだ花姫は18禁ジャンルからジャンル替えしたいみたいです。

チョコパイ

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 Don't look at me

兄と弟

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「兄上……」

真夜中過ぎに突然、部屋に押しかけてきた弟はアルコールの臭いをプンプンと漂わせていた。

「兄上……ティナに…ティナに友達に戻ろうって…ヒック…恋を…ヒック…」

チャールズがお酒に酔うことはない。
皇太子として幼い頃から免疫をつけられているからだ。

それでも酔ったふりをしなくてはいけないほど苦しいのだろう…

「ティナに友達に戻ろうって…それで恋をしようって……」

プッ……

思わず笑ってしまった。

「兄上?」

クリスティーナは弟のこういうところが好きなのだろう…

そしてこういうところが不安なのだろう…

「クリスティーナらしいなと思って…」

弟をソファーに座らせる。

「クリスティーナは真っ直ぐなんだよ。

愛することも、愛されることも…

チャールズが闇に操られてクリスティーナと婚約破棄した事があっただろう…

あの時のチャールズは本当にクズだったよ。
 
クリスティーナの前で王女にキスしたり抱き寄せたり…

その度にクリスティーナがギュウっと唇を噛みしめるんだ。
血がにじむぐらい…

この間の婚約問題の時も眠れなかったんじゃないかな…

あの食いしん坊が食事がとれなくなるくらい思い悩んでいたよ。」

グラスにワインを注いで弟の前に置く。

「チャールズ、お前は帝国の唯一の皇太子だ。

でもクリスティーナに対してはチャールズ、お前は皇太子では駄目なんだ。」

弟がワインを一気に飲み干す。

「チャールズ、お前はクリスティーナにとって唯一の婚約者でなければいけなかったんだよ。

帝国の皇太子ではなく、クリスティーナの婚約者として…ね。」

「私は……」

弟が空のグラスを見つめる。

「クリスティーナは感じたんじゃないかな…

この先、同じようなことがあったらチャールズ、お前はまた同じように悩むと…

主のお告げで今後は一夫一妻制になる。

クリスティーナと婚姻した後、帝国に有益な婚姻の話が来たら、お前はどうする?

クリスティーナはこう思ったんじゃないかな…チャールズは私より帝国を選ぶと…」

チャールズのグラスを持つ手が震える。

皇太子としては正しい。

でもクリスティーナの婚約者としては最低最悪だ。

「私は…そんなつもりは……」

「なら何故、それをクリスティーナに伝えなかった。

自分が愛しているのはクリスティーナだけで他の女など考えていないと…

何故クリスティーナに言ってあげられなかったんだ。」

黙りこむ弟の肩をたたく。

「陛下は皇后陛下に惚れこんで私の母を側室にしてまでも正妻として娶った。

リオン公爵は公爵夫人を娶るために家門の皆に頭を下げた。

チャールズ、お前には覚悟がないんだ。

時には誰かを傷つけたとしても選ばなくてはいけないことがあるんだ。

よく考えるんだ。
お前が大切なのは帝国なのかクリスティーナなのか……」

兄として弟にもクリスティーナにも幸せになって欲しい。

でも正直、今の弟にクリスティーナを渡したくなかった。

『私ならクリスティーナにあんな顔をさせないのに……』

上手にしまいこんだクリスティーナへの想いが時々、表に飛び出してきてしまう。

「羨ましいよ…チャールズ。」

弟の背中を思いっきり叩く。

「兄として言えることは、後悔しないよう悩んで悩んで悩み抜け…

そして選んだのならぶれるな。

自分自身のためにも、クリスティーナのためにも……」

どんな答えを出しても悔やむ時があるだろう…

今の私のように…

だから言える。

「『明日は明日の風が吹く、くよくよしたって始まらない。』

クリスティーナがそう言ってたよ。」

きっとクリスティーナも悩みに悩んでそう思ったのだろう。

私のベッドで眠る弟の顔を見つめながらソファーに寝ころぶ。

その夜、久しぶりに母の夢を見た。

父と皇后が仲良く腕を組み歩く姿を今にも泣き出しそうな顔で見つめていた母…

きっと今の私の顔はあの時の母の顔と同じだろう……
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