37 / 165
第三章 新たなる脅威
裁きの剣
しおりを挟む
~天界~
「お父様、お願いがございます。私に…いえ、私の娘に裁きの剣をお貸し下さい。」
光輝く玉座には父が慈しむ眼でこちらを見つめている。
「ウリエル、元気だったか?」
父は誰にでも寛大で寛容だ。
どんなに裏切られようとも、どれだけ傷つけられようとも許しをあたえる。
「裁きの剣なんて物騒なものをどうするのだ?」
かつて父が下した寛大で寛容な裁きが娘を苦しめていると思うと、自然と声が荒げる。
「アイツが娘を凌辱するのです。何度も何度も……」
涙がとめどなくあふれる。
「今、十三回目の巻き戻し中です。私の力ではこれが最後の巻き戻しになります。娘を守りたいのです。親の罪を娘が背負うことはないのです。」
父が玉座からこちらへと歩み寄る。
「ウリエル…アイツとは
ルシファーのことか?」
父の大きな手が私の頭を優しく包み込む。
「…………」
父の顔色が少しだけかわる。
「ルシファーは私ではなく娘に手を出すのです。
恨むなら私を恨めばいいのに。」
大声で泣きながら父にすがりつく。
「わかった。
一度、娘を連れて帰ってきなさい。
ところで娘の神子名は何て言うのだ?」
「ミカエルです。」
父の顔色が青くなる。
「ミカエル…」
「はい。神子として光を授かった時、娘の額にミカエルと文字が浮かびました。
下界ではクリスティーナと名づけました。」
「セラフィムをここへ。」
父の命により姿を見せた兄は私を見て、顔をほころばせる。
父は兄に何か話すと
兄は静かにうなずいた。
「ウリエル、久しぶりだね。じゃあ一緒に行こっか?ルシファーを倒しに」
「お兄様……」
「父がお許しになったよ。
ルシファーについては、ミカエルに一任するそうだ。」
「お父様……」
いつもの穏やかな父は光の中へと消えていく。
「終わったら、娘を連れておいで。」
「お父様、ありがとう。」
兄が私の肩を抱く。
「ウリエルの知っている限りの話を教えてくれないかな?」
~リオン公爵家~
「お嬢様、本当に申し訳ございませんでした。」
パンジーが深々と頭を下げる。
「私こそ、パンジーの気持ちを考えなくてごめんなさい。」
オースティン兄様がスネイクをよぶ。
「後は二人できちんと話しあいなさい。」
「クリスティーナ、まずは二人だけにしてあげなさい。」
兄に手をひかれ部屋の外へと出る。
「クリスティーナ、どちらにしろパンジーは領地に戻される。
それはクリスティーナが悪いわけではない。
あくまでも、パンジーとスネイクの問題だと言うことだけは忘れちゃ駄目だぞ。」
つながれた兄の手が温かくて、胸が熱くなった。
「お父様、お願いがございます。私に…いえ、私の娘に裁きの剣をお貸し下さい。」
光輝く玉座には父が慈しむ眼でこちらを見つめている。
「ウリエル、元気だったか?」
父は誰にでも寛大で寛容だ。
どんなに裏切られようとも、どれだけ傷つけられようとも許しをあたえる。
「裁きの剣なんて物騒なものをどうするのだ?」
かつて父が下した寛大で寛容な裁きが娘を苦しめていると思うと、自然と声が荒げる。
「アイツが娘を凌辱するのです。何度も何度も……」
涙がとめどなくあふれる。
「今、十三回目の巻き戻し中です。私の力ではこれが最後の巻き戻しになります。娘を守りたいのです。親の罪を娘が背負うことはないのです。」
父が玉座からこちらへと歩み寄る。
「ウリエル…アイツとは
ルシファーのことか?」
父の大きな手が私の頭を優しく包み込む。
「…………」
父の顔色が少しだけかわる。
「ルシファーは私ではなく娘に手を出すのです。
恨むなら私を恨めばいいのに。」
大声で泣きながら父にすがりつく。
「わかった。
一度、娘を連れて帰ってきなさい。
ところで娘の神子名は何て言うのだ?」
「ミカエルです。」
父の顔色が青くなる。
「ミカエル…」
「はい。神子として光を授かった時、娘の額にミカエルと文字が浮かびました。
下界ではクリスティーナと名づけました。」
「セラフィムをここへ。」
父の命により姿を見せた兄は私を見て、顔をほころばせる。
父は兄に何か話すと
兄は静かにうなずいた。
「ウリエル、久しぶりだね。じゃあ一緒に行こっか?ルシファーを倒しに」
「お兄様……」
「父がお許しになったよ。
ルシファーについては、ミカエルに一任するそうだ。」
「お父様……」
いつもの穏やかな父は光の中へと消えていく。
「終わったら、娘を連れておいで。」
「お父様、ありがとう。」
兄が私の肩を抱く。
「ウリエルの知っている限りの話を教えてくれないかな?」
~リオン公爵家~
「お嬢様、本当に申し訳ございませんでした。」
パンジーが深々と頭を下げる。
「私こそ、パンジーの気持ちを考えなくてごめんなさい。」
オースティン兄様がスネイクをよぶ。
「後は二人できちんと話しあいなさい。」
「クリスティーナ、まずは二人だけにしてあげなさい。」
兄に手をひかれ部屋の外へと出る。
「クリスティーナ、どちらにしろパンジーは領地に戻される。
それはクリスティーナが悪いわけではない。
あくまでも、パンジーとスネイクの問題だと言うことだけは忘れちゃ駄目だぞ。」
つながれた兄の手が温かくて、胸が熱くなった。
10
あなたにおすすめの小説
思い込みの恋
秋月朔夕
恋愛
サッカー部のエースである葉山くんに告白された。けれどこれは罰ゲームでしょう。だって彼の友達二人が植え込みでコッチをニヤニヤしながら見ているのだから。
ムーンライトノベル にも掲載中。
おかげさまでムーンライトノベル では
2020年3月14日、2020年3月15日、日間ランキング1位。
2020年3月18日、週間ランキング1位。
2020年3月19日、週間ランキング1位。
【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。
たまこ
恋愛
公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。
ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。
※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。
好感度0になるまで終われません。
チョコパイ
恋愛
土屋千鶴子(享年98歳)
子供や孫、ひ孫に囲まれての大往生。
愛され続けて4度目の転生。
そろそろ……愛されるのに疲れたのですが…
登場人物の好感度0にならない限り終わらない溺愛の日々。
5度目の転生先は娘が遊んでいた乙女ゲームの世界。
いつもと違う展開に今度こそ永久の眠りにつける。
そう信じ、好きなことを、好きなようにやりたい放題…
自覚なし愛され公女と執着一途皇太子のすれ違いラブロマンス。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる