37 / 201
新たなる脅威
裁きの剣
しおりを挟む
~天界~
「お父様、お願いがございます。私に…いえ、私の娘に裁きの剣をお貸し下さい。」
光輝く玉座には父が慈しむ眼でこちらを見つめている。
「ウリエル、元気だったか?」
父は誰にでも寛大で寛容だ。
どんなに裏切られようとも、どれだけ傷つけられようとも許しをあたえる。
「裁きの剣なんて物騒なものをどうするのだ?」
かつて父が下した寛大で寛容な裁きが娘を苦しめていると思うと、自然と声が荒げる。
「アイツが娘を凌辱するのです。何度も何度も……」
涙がとめどなくあふれる。
「今、十三回目の巻き戻し中です。私の力ではこれが最後の巻き戻しになります。娘を守りたいのです。親の罪を娘が背負うことはないのです。」
父が玉座からこちらへと歩み寄る。
「ウリエル…アイツとは
ルシファーのことか?」
父の大きな手が私の頭を優しく包み込む。
「…………」
父の顔色が少しだけかわる。
「ルシファーは私ではなく娘に手を出すのです。
恨むなら私を恨めばいいのに。」
大声で泣きながら父にすがりつく。
「わかった。
一度、娘を連れて帰ってきなさい。
ところで娘の神子名は何て言うのだ?」
「ミカエルです。」
父の顔色が青くなる。
「ミカエル…」
「はい。神子として光を授かった時、娘の額にミカエルと文字が浮かびました。
下界ではクリスティーナと名づけました。」
「セラフィムをここへ。」
父の命により姿を見せた兄は私を見て、顔をほころばせる。
父は兄に何か話すと
兄は静かにうなずいた。
「ウリエル、久しぶりだね。じゃあ一緒に行こっか?ルシファーを倒しに」
「お兄様……」
「父がお許しになったよ。
ルシファーについては、ミカエルに一任するそうだ。」
「お父様……」
いつもの穏やかな父は光の中へと消えていく。
「終わったら、娘を連れておいで。」
「お父様、ありがとう。」
兄が私の肩を抱く。
「ウリエルの知っている限りの話を教えてくれないかな?」
~リオン公爵家~
「お嬢様、本当に申し訳ございませんでした。」
パンジーが深々と頭を下げる。
「私こそ、パンジーの気持ちを考えなくてごめんなさい。」
オースティン兄様がスネイクをよぶ。
「後は二人できちんと話しあいなさい。」
「クリスティーナ、まずは二人だけにしてあげなさい。」
兄に手をひかれ部屋の外へと出る。
「クリスティーナ、どちらにしろパンジーは領地に戻される。
それはクリスティーナが悪いわけではない。
あくまでも、パンジーとスネイクの問題だと言うことだけは忘れちゃ駄目だぞ。」
つながれた兄の手が温かくて、胸が熱くなった。
「お父様、お願いがございます。私に…いえ、私の娘に裁きの剣をお貸し下さい。」
光輝く玉座には父が慈しむ眼でこちらを見つめている。
「ウリエル、元気だったか?」
父は誰にでも寛大で寛容だ。
どんなに裏切られようとも、どれだけ傷つけられようとも許しをあたえる。
「裁きの剣なんて物騒なものをどうするのだ?」
かつて父が下した寛大で寛容な裁きが娘を苦しめていると思うと、自然と声が荒げる。
「アイツが娘を凌辱するのです。何度も何度も……」
涙がとめどなくあふれる。
「今、十三回目の巻き戻し中です。私の力ではこれが最後の巻き戻しになります。娘を守りたいのです。親の罪を娘が背負うことはないのです。」
父が玉座からこちらへと歩み寄る。
「ウリエル…アイツとは
ルシファーのことか?」
父の大きな手が私の頭を優しく包み込む。
「…………」
父の顔色が少しだけかわる。
「ルシファーは私ではなく娘に手を出すのです。
恨むなら私を恨めばいいのに。」
大声で泣きながら父にすがりつく。
「わかった。
一度、娘を連れて帰ってきなさい。
ところで娘の神子名は何て言うのだ?」
「ミカエルです。」
父の顔色が青くなる。
「ミカエル…」
「はい。神子として光を授かった時、娘の額にミカエルと文字が浮かびました。
下界ではクリスティーナと名づけました。」
「セラフィムをここへ。」
父の命により姿を見せた兄は私を見て、顔をほころばせる。
父は兄に何か話すと
兄は静かにうなずいた。
「ウリエル、久しぶりだね。じゃあ一緒に行こっか?ルシファーを倒しに」
「お兄様……」
「父がお許しになったよ。
ルシファーについては、ミカエルに一任するそうだ。」
「お父様……」
いつもの穏やかな父は光の中へと消えていく。
「終わったら、娘を連れておいで。」
「お父様、ありがとう。」
兄が私の肩を抱く。
「ウリエルの知っている限りの話を教えてくれないかな?」
~リオン公爵家~
「お嬢様、本当に申し訳ございませんでした。」
パンジーが深々と頭を下げる。
「私こそ、パンジーの気持ちを考えなくてごめんなさい。」
オースティン兄様がスネイクをよぶ。
「後は二人できちんと話しあいなさい。」
「クリスティーナ、まずは二人だけにしてあげなさい。」
兄に手をひかれ部屋の外へと出る。
「クリスティーナ、どちらにしろパンジーは領地に戻される。
それはクリスティーナが悪いわけではない。
あくまでも、パンジーとスネイクの問題だと言うことだけは忘れちゃ駄目だぞ。」
つながれた兄の手が温かくて、胸が熱くなった。
10
あなたにおすすめの小説
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。
だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。
「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」
どう尋ねる兄の真意は……
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる