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第四章 赦しなき世界
天にむかって唾をはく~ルシファー視点~
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それは一瞬の出来事だった。
幼かった私を父は肩車し、母は私の誕生日ケーキに使う果物と玉子が入った袋を抱えていた。
楽しい一日になるはずだった。
昼下がり穏やかな空気を切り裂く、叫び声。
母がスローモーションで血しぶきをあげ倒れる。
目の前には雄叫びをあげる男。
父が私を胸に抱え男に背をむける。
父の体が私の視線を閉じ込める。
痛いくらい強く抱かれ、いつしか父の体から力が抜けていく。
私の誕生日が両親の命日になった。
最も幸せで喜びに満ちた日が、最も不幸で可哀相な日に変わった。
死者八名、重傷者六名、軽傷者二十三名のこの事件は犯人の極刑を望む声が多くあがった。
しかし我らの主の見解は違った。
我らの主はこう言ったのだ。
不浄症で本人には当時の記憶がない。
不浄症が治った今、彼は真面目に暮らしている。
「罪を赦し、人を愛しましょう。」
主はそう言ったのだ。
「罪を赦し、人を愛せ。」と
笑ってしまった。
笑うしかないだろう。
たった五歳の子供の目の前で親が殺されたのに、赦して愛せ…
出来るわけがない
したくもない。
殺した本人は普通に生活しているのに……
親を失った私は全てを失ったのだ。
それなのに赦して愛せと
主はのたまうのか。
それはもう笑うしかないだろう。
自分が一つ年を取る度に
親を失った日々が一年増える。
彼女と会ったのは、私の二十二回目の誕生日、両親を失って十七回目の命日の日だった。
音楽の趣味も、読む本の系統も似ていた。
声をあげて笑ったのは十七年ぶりだった。
彼女となら……
そう思えた。
でも、彼女は違った。
彼女は私を弄んだのだ。
だから、やり返しただけだ。
自警団に捕まった時
私は彼女のことを思い出す。
だが、罪状は全く違うものだった。
罪が読み上げられ、私は天界からの追放となった。
魂を縛るための鎖の烙印が刻まれる。
明日の昼には地上へと落とされるだろう。
何がおきているのだろうか
今、私の目の前に主がいる。
「私はウリエルの父親だ。
何故、ウリエルを襲った?私を憎むのは構わないが、娘には何の落ち度もない。」
主は私を睨みつける。
アハハハハ
笑ってしまった。
どの口が今の言葉を吐いたのだ。
「私の両親も何の罪もないのに襲われ殺されました。
主はこう言いましたよね。『罪を赦し人を愛しましょう』と。」
「どうです?
身内を傷つけられて、同じことが言えますか?」
何も言わない主の顔を見ながら、彼女が何故、私を拒んだのかわかった気がした。
この日、私は誓った。
私を弄んだウリエルに、地獄を見せ
偽善者の主を討ち取り
私こそが主になろうと。
幼かった私を父は肩車し、母は私の誕生日ケーキに使う果物と玉子が入った袋を抱えていた。
楽しい一日になるはずだった。
昼下がり穏やかな空気を切り裂く、叫び声。
母がスローモーションで血しぶきをあげ倒れる。
目の前には雄叫びをあげる男。
父が私を胸に抱え男に背をむける。
父の体が私の視線を閉じ込める。
痛いくらい強く抱かれ、いつしか父の体から力が抜けていく。
私の誕生日が両親の命日になった。
最も幸せで喜びに満ちた日が、最も不幸で可哀相な日に変わった。
死者八名、重傷者六名、軽傷者二十三名のこの事件は犯人の極刑を望む声が多くあがった。
しかし我らの主の見解は違った。
我らの主はこう言ったのだ。
不浄症で本人には当時の記憶がない。
不浄症が治った今、彼は真面目に暮らしている。
「罪を赦し、人を愛しましょう。」
主はそう言ったのだ。
「罪を赦し、人を愛せ。」と
笑ってしまった。
笑うしかないだろう。
たった五歳の子供の目の前で親が殺されたのに、赦して愛せ…
出来るわけがない
したくもない。
殺した本人は普通に生活しているのに……
親を失った私は全てを失ったのだ。
それなのに赦して愛せと
主はのたまうのか。
それはもう笑うしかないだろう。
自分が一つ年を取る度に
親を失った日々が一年増える。
彼女と会ったのは、私の二十二回目の誕生日、両親を失って十七回目の命日の日だった。
音楽の趣味も、読む本の系統も似ていた。
声をあげて笑ったのは十七年ぶりだった。
彼女となら……
そう思えた。
でも、彼女は違った。
彼女は私を弄んだのだ。
だから、やり返しただけだ。
自警団に捕まった時
私は彼女のことを思い出す。
だが、罪状は全く違うものだった。
罪が読み上げられ、私は天界からの追放となった。
魂を縛るための鎖の烙印が刻まれる。
明日の昼には地上へと落とされるだろう。
何がおきているのだろうか
今、私の目の前に主がいる。
「私はウリエルの父親だ。
何故、ウリエルを襲った?私を憎むのは構わないが、娘には何の落ち度もない。」
主は私を睨みつける。
アハハハハ
笑ってしまった。
どの口が今の言葉を吐いたのだ。
「私の両親も何の罪もないのに襲われ殺されました。
主はこう言いましたよね。『罪を赦し人を愛しましょう』と。」
「どうです?
身内を傷つけられて、同じことが言えますか?」
何も言わない主の顔を見ながら、彼女が何故、私を拒んだのかわかった気がした。
この日、私は誓った。
私を弄んだウリエルに、地獄を見せ
偽善者の主を討ち取り
私こそが主になろうと。
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