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第3章 アーリアのダンジョンに挑もう
第77話 大阪駅を歩こう
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JR大阪駅に到着した僕らは駅のホームに降り立った。
「ひっろーい! すごい! 天井高い! 人多い! どうなってるの!?」
「まあ、近畿圏では一番大きな駅だろうしね」
「近畿圏?」
「地方名だね。いくつかの県や府っていう領を合わせて近畿って呼んでるんだ」
「アーリアがエインフィル領で、周りと合わせて西方って呼ばれてる感じ?」
「多分、そのイメージで間違っていないよ」
というか、アーリアって西方なんだ。多分王都から見てってことなんだろうけど、僕はアーリアが王国の一部であることは知っていても、王国の名前すら知らない。
「アーリアの目抜き通りだってこんなに人はいないよ!」
「大阪府の人口は800万人だっけな」
「はっぴゃくまん……。はっぴゃくまんっていくつ?」
メルは口をパクパクさせる。
「そう言えばアーリアの人口ってどれくらいなの?」
「そんなの私が知ってるわけないよ。偉い人とかだと知ってるかもだけど」
「人頭税を取ってるんだから、徴税所の人は知ってるかもね」
「そうかも。でも800万人はいないと思うな」
それは僕もそう思うな。アーリアは結構大きな町だけど、流石に800万人が住めるとは思えない。多めに見積もって何万人かというところだ。まあ、大阪にしたって市内に住んでいる人に限ればぐっと減るんだろうけど。
僕らはホームを進んで登りのエスカレーターに乗る。3階南北連絡橋で改札を出て北に進み、商業施設に向けて歩く。
「ふぇぇ、ひーくんとはぐれたら終わりだよぉ」
メルはおっかなびっくりと言った感じで僕の後ろを付いてきている。横に並ぶと間に割り込んで来る人がいたりするからだ。しかしメルの言うことも尤もだ。いくらメルが日本語を流暢に話せると言っても、この世界の常識には疎い。はぐれたら合流できる気がしない。
「メル、嫌じゃなかったら手を繋ごうか」
「うん! その方がいい!」
僕らは横に並んで手を繋ぐ。ちょっと緊張して手汗が出ているのではないかと気になるが、メルは僕の手をぎゅっと握る。離すまいとするその強さは、メルの不安の表れだ。そりゃまったく異郷の地でひとりぼっちになったらって考えると怖いよな。土地勘どころか地図すらないのだ。
いや、そこら中に構内図はあるんだけど、メルは多分読めない。日本語が、ではない。立体的に入り組んだ大阪駅の構内図を初めて見て理解しろというほうが難しい。正直、普段から使ってる人でも分かってないんじゃないかな?
大阪駅地下は梅田ダンジョンとも呼ばれている。本物のダンジョンがあるわけではない。地下道が複雑怪奇に入り組んでいて、まるで迷宮のようだからそう呼ばれているのだ。だが実際には地下だけで無く、大阪駅周辺は地上も階上もすべて迷宮のように入り組んでいる。
僕だって知っている道だから迷わず進めているだけだ。
2棟に分かれた商業施設は10階の飲食店街フロアで繋がっている。だけど予約の時間にはまだまだ早い。2時間くらいはどこかで時間を潰さなければならない。
「時間はまだあるし、せっかくだからメルの服でも見に行こうか」
「服なんて高いもの買えないよ!」
「まあ、見てみるだけでも楽しいと思うよ」
父さんに軍資金をもらったおかげで資金には多少の余裕がある。1万円くらいまでならメルの服に使っても惜しくない。
「じゃ、じゃあ見るだけなら」
「ひっろーい! すごい! 天井高い! 人多い! どうなってるの!?」
「まあ、近畿圏では一番大きな駅だろうしね」
「近畿圏?」
「地方名だね。いくつかの県や府っていう領を合わせて近畿って呼んでるんだ」
「アーリアがエインフィル領で、周りと合わせて西方って呼ばれてる感じ?」
「多分、そのイメージで間違っていないよ」
というか、アーリアって西方なんだ。多分王都から見てってことなんだろうけど、僕はアーリアが王国の一部であることは知っていても、王国の名前すら知らない。
「アーリアの目抜き通りだってこんなに人はいないよ!」
「大阪府の人口は800万人だっけな」
「はっぴゃくまん……。はっぴゃくまんっていくつ?」
メルは口をパクパクさせる。
「そう言えばアーリアの人口ってどれくらいなの?」
「そんなの私が知ってるわけないよ。偉い人とかだと知ってるかもだけど」
「人頭税を取ってるんだから、徴税所の人は知ってるかもね」
「そうかも。でも800万人はいないと思うな」
それは僕もそう思うな。アーリアは結構大きな町だけど、流石に800万人が住めるとは思えない。多めに見積もって何万人かというところだ。まあ、大阪にしたって市内に住んでいる人に限ればぐっと減るんだろうけど。
僕らはホームを進んで登りのエスカレーターに乗る。3階南北連絡橋で改札を出て北に進み、商業施設に向けて歩く。
「ふぇぇ、ひーくんとはぐれたら終わりだよぉ」
メルはおっかなびっくりと言った感じで僕の後ろを付いてきている。横に並ぶと間に割り込んで来る人がいたりするからだ。しかしメルの言うことも尤もだ。いくらメルが日本語を流暢に話せると言っても、この世界の常識には疎い。はぐれたら合流できる気がしない。
「メル、嫌じゃなかったら手を繋ごうか」
「うん! その方がいい!」
僕らは横に並んで手を繋ぐ。ちょっと緊張して手汗が出ているのではないかと気になるが、メルは僕の手をぎゅっと握る。離すまいとするその強さは、メルの不安の表れだ。そりゃまったく異郷の地でひとりぼっちになったらって考えると怖いよな。土地勘どころか地図すらないのだ。
いや、そこら中に構内図はあるんだけど、メルは多分読めない。日本語が、ではない。立体的に入り組んだ大阪駅の構内図を初めて見て理解しろというほうが難しい。正直、普段から使ってる人でも分かってないんじゃないかな?
大阪駅地下は梅田ダンジョンとも呼ばれている。本物のダンジョンがあるわけではない。地下道が複雑怪奇に入り組んでいて、まるで迷宮のようだからそう呼ばれているのだ。だが実際には地下だけで無く、大阪駅周辺は地上も階上もすべて迷宮のように入り組んでいる。
僕だって知っている道だから迷わず進めているだけだ。
2棟に分かれた商業施設は10階の飲食店街フロアで繋がっている。だけど予約の時間にはまだまだ早い。2時間くらいはどこかで時間を潰さなければならない。
「時間はまだあるし、せっかくだからメルの服でも見に行こうか」
「服なんて高いもの買えないよ!」
「まあ、見てみるだけでも楽しいと思うよ」
父さんに軍資金をもらったおかげで資金には多少の余裕がある。1万円くらいまでならメルの服に使っても惜しくない。
「じゃ、じゃあ見るだけなら」
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