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校則撤廃。――僕たちは、再び立ち上がるためにルールを壊した。第十章
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第十章:最後の大号令、瓦礫の上の対話
九月一日。かつてなら新学期の喧騒が校舎に満ちるはずだったその日、誠和学園を包んでいたのは、巨大な重機のキャタピラが刻む不吉な金属音と、終わりを予感させる静寂だった。朝九時。旧校舎の中庭には、呼びかけに応じた数百人の生徒たちが集まっていた。彼らの顔ぶれは、校則に抗った者、現状に絶望した者、そして二十万円という見舞金に魂を売りかけた者まで、実に雑多だった。誰もが、これから何が起きるのかを計りかね、互いに距離を置きながら、湿った熱気の中に立ち尽くしている。
佐伯永遠は、中庭の中央にある、今は水が枯れ、落ち葉と泥に埋まった噴水の縁に立っていた。その隣には、腕を組み、鋭い眼光で重機の動きを監視する日向海斗、そして汚れ一つない白ブラウスを纏い、背筋を伸ばして立つ神崎雅の姿があった。彼らの前には、解体業者が設置した無機質なバリケードが立ち塞がり、その向こう側では、黄色いヘルメットを被った作業員たちが、大型の油圧ショベルを起動させていた。
「……時間だね、永遠君」
雅が静かに囁いた。彼女は手に持っていたワイヤレスマイクのスイッチを入れた。その瞬間、スピーカーから流れるハウリングの音が、重機の轟音を切り裂くように中庭に響き渡った。
「皆さん。今日、この場所は壊されます。……誠和学園という名前も、私たちが守り、あるいは憎んできた校則も、すべては瓦礫の下に埋まることになります」
雅の声は、震えていなかった。かつての「支配者」としての威圧感ではなく、一人の等身大の少女としての、切実な響きがそこにはあった。生徒たちの私語が、潮が引くように止まっていく。
「私たちは、この数ヶ月間で多くのものを失いました。信頼、友情、そして自分たちの拠り所。……今、私たちの目の前にあるのは、自由という名の荒野です。でも、その荒野に踏み出す前に、私たちは、この場所が本当は何であったのかを知る権利があります。……永遠君、お願いします」
永遠は、雅からマイクを受け取った。彼は、カバンの中から一冊の、泥に汚れた古いノートを取り出した。父・航(わたる)が命を懸けて守り、地下通路の濁流の中から救い出した、あの記録だ。
「……みんな、聞いてくれ。ここに書かれているのは、僕たちの成績や素行の記録じゃない。……この学園が、僕たちの人生をいかに『商品』として扱ってきたかの証拠だ」
永遠は、ノートの一節を読み上げ始めた。特定の生徒をわざと追い込み、その反応をデータ化して企業に売り渡していたこと。再開発の利権のために、意図的に校則を厳格化し、不都合な生徒を排除していたこと。そして、この校舎の下にある地盤が、最初から大規模な商業施設を建てるには不向きな、危険な状態であることを。
「梅田たちが進めていた売却計画は、僕たちの将来を売るためのものだった。……でも、それを止めた僕たちのせいで、みんなが期待していた見舞金も消えた。……ごめん。僕は、君たちの『生活』を壊したのかもしれない」
永遠の言葉に、中庭のあちこちからすすり泣くような声や、押し殺したような溜息が漏れた。しかし、罵倒する者は一人もいなかった。彼らは、永遠の言葉の裏にある、あまりにも残酷で、それでいて誠実な「真実」に、圧倒されていたのだ。
「……だがよ、佐伯」
日向が、一歩前に出てマイクを奪った。彼は、バリケードの向こう側でこちらを睨みつけている解体業者のリーダー格の男を指差した。
「俺たちは、ただ壊されるのを待つだけのガラクタじゃねえ。……この校舎が消えても、俺たちがここで味わった怒りや、流した涙は消えねえんだよ。……おい、そこの作業員共! 動かすんじゃねえ! この下には、あんたたちが隠したがってる『爆弾』が埋まってるんだ!」
その時だった。バリケードを強引に押し破り、数台の黒いセダンが中庭になだれ込んできた。車から降りてきたのは、新しい理事会の代理人を名乗る弁護士たちと、彼らが雇った民間の警備員たちだった。
「日向君、佐伯君。これ以上の不法占拠は容認できない。速やかに退去しなさい。さもなくば、警察に強制排除を要請する」
「……警察なら、もうすぐ来ますよ」
背後から、低く力強い声が響いた。振り返ると、校庭の入り口に、包帯を巻いた古谷(ふるや)が立っていた。彼の横には、フリーライターの阿澄(あすみ)、そして数人の報道関係者と、制服を着た本物の警察官たちが控えていた。
「古谷先生……」
「私は、あの日、自分の犯した罪のすべてを自白した。……そして、この学園の地下貯水槽に隠されていた、地質データの捏造に関わる原本の在処も、すでに検察に伝えてある」
古谷の言葉に、弁護士たちの顔色が瞬時に変わった。解体業者の男たちも、慌てて重機のエンジンを切った。
「解体工事を急いだのは、証拠が隠滅されるのを恐れたからだろう。……だが、横川(よこがわ)の地下水脈は、そう簡単には飲み込んでくれない。……佐伯君、日向君。君たちが繋いだ糸は、今、ようやく実を結ぼうとしている」
古谷は、かつての生活指導部長としての厳格さを、全く別の、生徒を守るための盾として使っていた。
その時、集まった生徒たちの間を縫うようにして、一人の少女が現れた。七海汐里(ななみ しおり)だった。彼女は、あの雨の駅での別れ際とは違う、晴れやかな、しかしどこか悲しげな瞳で永遠を見つめた。彼女の手には、二十万円を受け取るためのあの署名用紙の控えが握られていた。
「……佐伯君。私、これ、破り捨ててきた」
七海は、永遠の目の前で、署名用紙を粉々に引き裂いた。白い紙吹雪が、真夏の熱風に舞う。
「……お金が欲しかったのは本当。お母さんのことが心配なのも本当。……でも、あのままお金をもらってたら、私は一生、自分のことを許せなかった。……校則がなくても、お金がなくても、私は私の足で生きていける。……そう思わせてくれたのは、あなたたちが、最後まで戦ってくれたからだよ」
七海の言葉に、中庭のあちこちで、同じように署名用紙を取り出し、破り捨てる生徒たちが現れた。それは、誰に強制されるでもない、彼ら自身の意志による「校則撤廃」の真の完結だった。
「……バカな連中だ」
日向が、照れ隠しのように鼻をすすった。
「自由っていうのは、本当に腹が減るな。……だが、悪くねえ気分だ」
その瞬間、旧校舎の時計塔が、かつてチャイムとして使われていた鐘の音を、数ヶ月ぶりに鳴り響かせた。それは、解体される建物が、最後に振り絞った咆哮のように聞こえた。
警察と検察の捜査員たちがバリケードを越え、地下貯水槽へと続く階段の封印を解いた。阿澄のカメラが、その一部始終を記録していく。やがて、瓦礫の中から運び出されたのは、十年前、永遠の父が、そして日向の兄が、命を懸けて守り抜いた「真実」の原本だった。
横川の街に、パトカーのサイレンが重なり合う。誠和学園という箱庭は、皮肉なことに、自らが崩壊するその瞬間に、最も純粋な「正義」を体現した。
生徒たちは、一人、また一人と、中庭を去っていった。もはや、そこには自分たちを縛るものは何もない。彼らが歩き出す先は、決して楽な道ではないだろう。編入、就職、世間の冷たい目。しかし、彼らの足取りは、あの日、管理アプリに歩数を測られていた時よりも、ずっと確かで、力強かった。
永遠は、中庭の隅に咲いた小さな名もなき花を見つめていた。瓦礫と泥にまみれながらも、それは逞しく太陽を仰いでいた。
「……雅さん。これから、どうするの?」
永遠が尋ねると、雅は解体される校舎を最後にもう一度見上げ、静かに微笑んだ。
「私は、父が壊したこの街の信頼を、もう一度作り直すための勉強をします。……今度は、校則ではなく、一人ひとりの声を聞くための方法を」
「……君なら、できるよ」
二人の横を、日向が通り過ぎた。
「おい、佐伯。……高架下のあの店、店主が『特製煮込み』用意して待ってるってよ。……行くんだろ?」
「……ああ。行こう」
永遠は、最後に一度だけ、旧校舎の窓を振り返った。そこには、若き日の父と秋斗が、自分たちを見送っているような、そんな幻影が見えた気がした。
横川駅へと続くあの坂道。
雨上がりのアスファルトから立ち昇る、懐かしい街の匂い。
校則撤廃の向こうにあったもの。
それは、終わりのない対話と、決して逃げ出さないための勇気。
そして、どんなに不条理な世界であっても、自分の心の中にだけは「自分だけの校則」を持つこと。
永遠は、仲間たちと共に、横川の雑踏の中へと踏み出した。
線路の軋む音が、新しい物語の幕開けを告げるファンファーレのように、どこまでも、どこまでも響き渡っていた。
つづく
九月一日。かつてなら新学期の喧騒が校舎に満ちるはずだったその日、誠和学園を包んでいたのは、巨大な重機のキャタピラが刻む不吉な金属音と、終わりを予感させる静寂だった。朝九時。旧校舎の中庭には、呼びかけに応じた数百人の生徒たちが集まっていた。彼らの顔ぶれは、校則に抗った者、現状に絶望した者、そして二十万円という見舞金に魂を売りかけた者まで、実に雑多だった。誰もが、これから何が起きるのかを計りかね、互いに距離を置きながら、湿った熱気の中に立ち尽くしている。
佐伯永遠は、中庭の中央にある、今は水が枯れ、落ち葉と泥に埋まった噴水の縁に立っていた。その隣には、腕を組み、鋭い眼光で重機の動きを監視する日向海斗、そして汚れ一つない白ブラウスを纏い、背筋を伸ばして立つ神崎雅の姿があった。彼らの前には、解体業者が設置した無機質なバリケードが立ち塞がり、その向こう側では、黄色いヘルメットを被った作業員たちが、大型の油圧ショベルを起動させていた。
「……時間だね、永遠君」
雅が静かに囁いた。彼女は手に持っていたワイヤレスマイクのスイッチを入れた。その瞬間、スピーカーから流れるハウリングの音が、重機の轟音を切り裂くように中庭に響き渡った。
「皆さん。今日、この場所は壊されます。……誠和学園という名前も、私たちが守り、あるいは憎んできた校則も、すべては瓦礫の下に埋まることになります」
雅の声は、震えていなかった。かつての「支配者」としての威圧感ではなく、一人の等身大の少女としての、切実な響きがそこにはあった。生徒たちの私語が、潮が引くように止まっていく。
「私たちは、この数ヶ月間で多くのものを失いました。信頼、友情、そして自分たちの拠り所。……今、私たちの目の前にあるのは、自由という名の荒野です。でも、その荒野に踏み出す前に、私たちは、この場所が本当は何であったのかを知る権利があります。……永遠君、お願いします」
永遠は、雅からマイクを受け取った。彼は、カバンの中から一冊の、泥に汚れた古いノートを取り出した。父・航(わたる)が命を懸けて守り、地下通路の濁流の中から救い出した、あの記録だ。
「……みんな、聞いてくれ。ここに書かれているのは、僕たちの成績や素行の記録じゃない。……この学園が、僕たちの人生をいかに『商品』として扱ってきたかの証拠だ」
永遠は、ノートの一節を読み上げ始めた。特定の生徒をわざと追い込み、その反応をデータ化して企業に売り渡していたこと。再開発の利権のために、意図的に校則を厳格化し、不都合な生徒を排除していたこと。そして、この校舎の下にある地盤が、最初から大規模な商業施設を建てるには不向きな、危険な状態であることを。
「梅田たちが進めていた売却計画は、僕たちの将来を売るためのものだった。……でも、それを止めた僕たちのせいで、みんなが期待していた見舞金も消えた。……ごめん。僕は、君たちの『生活』を壊したのかもしれない」
永遠の言葉に、中庭のあちこちからすすり泣くような声や、押し殺したような溜息が漏れた。しかし、罵倒する者は一人もいなかった。彼らは、永遠の言葉の裏にある、あまりにも残酷で、それでいて誠実な「真実」に、圧倒されていたのだ。
「……だがよ、佐伯」
日向が、一歩前に出てマイクを奪った。彼は、バリケードの向こう側でこちらを睨みつけている解体業者のリーダー格の男を指差した。
「俺たちは、ただ壊されるのを待つだけのガラクタじゃねえ。……この校舎が消えても、俺たちがここで味わった怒りや、流した涙は消えねえんだよ。……おい、そこの作業員共! 動かすんじゃねえ! この下には、あんたたちが隠したがってる『爆弾』が埋まってるんだ!」
その時だった。バリケードを強引に押し破り、数台の黒いセダンが中庭になだれ込んできた。車から降りてきたのは、新しい理事会の代理人を名乗る弁護士たちと、彼らが雇った民間の警備員たちだった。
「日向君、佐伯君。これ以上の不法占拠は容認できない。速やかに退去しなさい。さもなくば、警察に強制排除を要請する」
「……警察なら、もうすぐ来ますよ」
背後から、低く力強い声が響いた。振り返ると、校庭の入り口に、包帯を巻いた古谷(ふるや)が立っていた。彼の横には、フリーライターの阿澄(あすみ)、そして数人の報道関係者と、制服を着た本物の警察官たちが控えていた。
「古谷先生……」
「私は、あの日、自分の犯した罪のすべてを自白した。……そして、この学園の地下貯水槽に隠されていた、地質データの捏造に関わる原本の在処も、すでに検察に伝えてある」
古谷の言葉に、弁護士たちの顔色が瞬時に変わった。解体業者の男たちも、慌てて重機のエンジンを切った。
「解体工事を急いだのは、証拠が隠滅されるのを恐れたからだろう。……だが、横川(よこがわ)の地下水脈は、そう簡単には飲み込んでくれない。……佐伯君、日向君。君たちが繋いだ糸は、今、ようやく実を結ぼうとしている」
古谷は、かつての生活指導部長としての厳格さを、全く別の、生徒を守るための盾として使っていた。
その時、集まった生徒たちの間を縫うようにして、一人の少女が現れた。七海汐里(ななみ しおり)だった。彼女は、あの雨の駅での別れ際とは違う、晴れやかな、しかしどこか悲しげな瞳で永遠を見つめた。彼女の手には、二十万円を受け取るためのあの署名用紙の控えが握られていた。
「……佐伯君。私、これ、破り捨ててきた」
七海は、永遠の目の前で、署名用紙を粉々に引き裂いた。白い紙吹雪が、真夏の熱風に舞う。
「……お金が欲しかったのは本当。お母さんのことが心配なのも本当。……でも、あのままお金をもらってたら、私は一生、自分のことを許せなかった。……校則がなくても、お金がなくても、私は私の足で生きていける。……そう思わせてくれたのは、あなたたちが、最後まで戦ってくれたからだよ」
七海の言葉に、中庭のあちこちで、同じように署名用紙を取り出し、破り捨てる生徒たちが現れた。それは、誰に強制されるでもない、彼ら自身の意志による「校則撤廃」の真の完結だった。
「……バカな連中だ」
日向が、照れ隠しのように鼻をすすった。
「自由っていうのは、本当に腹が減るな。……だが、悪くねえ気分だ」
その瞬間、旧校舎の時計塔が、かつてチャイムとして使われていた鐘の音を、数ヶ月ぶりに鳴り響かせた。それは、解体される建物が、最後に振り絞った咆哮のように聞こえた。
警察と検察の捜査員たちがバリケードを越え、地下貯水槽へと続く階段の封印を解いた。阿澄のカメラが、その一部始終を記録していく。やがて、瓦礫の中から運び出されたのは、十年前、永遠の父が、そして日向の兄が、命を懸けて守り抜いた「真実」の原本だった。
横川の街に、パトカーのサイレンが重なり合う。誠和学園という箱庭は、皮肉なことに、自らが崩壊するその瞬間に、最も純粋な「正義」を体現した。
生徒たちは、一人、また一人と、中庭を去っていった。もはや、そこには自分たちを縛るものは何もない。彼らが歩き出す先は、決して楽な道ではないだろう。編入、就職、世間の冷たい目。しかし、彼らの足取りは、あの日、管理アプリに歩数を測られていた時よりも、ずっと確かで、力強かった。
永遠は、中庭の隅に咲いた小さな名もなき花を見つめていた。瓦礫と泥にまみれながらも、それは逞しく太陽を仰いでいた。
「……雅さん。これから、どうするの?」
永遠が尋ねると、雅は解体される校舎を最後にもう一度見上げ、静かに微笑んだ。
「私は、父が壊したこの街の信頼を、もう一度作り直すための勉強をします。……今度は、校則ではなく、一人ひとりの声を聞くための方法を」
「……君なら、できるよ」
二人の横を、日向が通り過ぎた。
「おい、佐伯。……高架下のあの店、店主が『特製煮込み』用意して待ってるってよ。……行くんだろ?」
「……ああ。行こう」
永遠は、最後に一度だけ、旧校舎の窓を振り返った。そこには、若き日の父と秋斗が、自分たちを見送っているような、そんな幻影が見えた気がした。
横川駅へと続くあの坂道。
雨上がりのアスファルトから立ち昇る、懐かしい街の匂い。
校則撤廃の向こうにあったもの。
それは、終わりのない対話と、決して逃げ出さないための勇気。
そして、どんなに不条理な世界であっても、自分の心の中にだけは「自分だけの校則」を持つこと。
永遠は、仲間たちと共に、横川の雑踏の中へと踏み出した。
線路の軋む音が、新しい物語の幕開けを告げるファンファーレのように、どこまでも、どこまでも響き渡っていた。
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