恋のヤンキー闇日記

あらき奏多

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遅かれ早かれ(side美夜飛)

02

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 この一週間、ほぼ廣瀬と行動をともにしている。
 理由は明確だ。
 兼嗣の日記を見て以降、あいつにどう接していけばいいか分からなくなった、から。

 偶然か気分なのか、兼嗣もあの日からわざわざ俺の部屋に来てまで通学や晩飯に誘ってくることがなくなった。

 これ幸いとばかりに俺も自分から兼嗣の部屋には行っていない。

 学校内では作業場など授業でたまに会うが、クラスの人数も多くて近くにいないことがほとんどだから接点がない。

 まあ別にこちらから全力で避けてるってわけでもないし。
 本当にたまたま、そういう機会がないだけだ。
……その機会を、作らないようにしてるのは俺だけど。

「……美夜飛、食欲ないのか?」

「……いや、あるよ。ちゃんと食ってるじゃん。なんで?」

 廣瀬はそのことに関して何も言ってこないから、俺も何も言わないけれど。

 黙々と唐揚げを頬張り、そしてサラダを無心でモシャモシャ食っていたら、向かいにいる廣瀬は何故だかぎょっとした怪訝な面持ちで、俺もつられて眉をひそめる。

「だって、お前……、サラダ食ってるじゃん。どっか悪いのか?」

「っはぁあー?! 失礼か! お前がサラダ食えっつったんだろが」

「いやまあそうだけど、前はトマトとか皿の端っこによけてたのに」

「うるせー! 別に好きじゃないだけで、食えることには食えるんだよっ」

「そうなの?」

「そうだよっ!」

 何かと思えば、こいつ……。好き勝手言いやがって。

 廣瀬は兄貴肌というか、面倒見がいい。
 それにかなり助けられることもあるが、今のは普通に腹立ったぞ。

 俺をまるで実家の中坊の弟たちみたいに扱ってくる。
 嫌ではないが、見くびってもらっても困る。一応お前と同い年なんだが。

「……ふーん。ま、いいけどよ。サラダ食うくらい自暴自棄になったのかと思った」

「ん? なんじゃそら」

「違うんならいいよ。でも、俺そういうの気になっちゃう性分だから」

「……」

「言いたくねーなら聞かねえけど、助けられたくねえなら、俺の前で悩んでる顔すんな」

「へ?」

……びっくりした。そんな顔に出てたのか?
 なんだこいつ、本当に兄貴みたいだな。
 いや、俺に兄貴はいないから分からんけど、でも小うるさい姉貴はいるから、そういうときの顔と何となく重なった。

「廣瀬、お前すげーな」

「え、なにが」

「なんか姉貴のこと思い出したわ。あいつさ、普段全く顔合わせねえくせに、たまにめっちゃ図星突いてくんの。エスパーかって」

「ぶはっ、なにそれ。じゃあ今の、図星だったのかよ」

「あー……、まあそれは……でもそんな、悩んでるとかじゃ……」

「歯切れクソ悪いな。言いたくねぇなら聞かねえっつったろ。どうせ遠山のことかなあ、とは思ったけど」

「エスパー……?」

「あれ、ビンゴ?」

 茫然と呟いた俺の一言に、廣瀬はドヤ顔なのに爽やかに笑った。


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