男装の公爵令嬢ドレスを着る

おみなしづき

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番外編 ギルバート

ギルバート視点

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 朝、気付いたら自分の部屋にいた。頭がズキズキと痛む。
 自分がどうやって部屋に戻ってきたのかわからない。
 着替えもしておらず、そのまま寝てしまったようだ。

 だるい体を起こしてシャワーを浴びようと部屋を出て、リビングにいた団長とウルさんとラースさんに会った。

「ギルバート、今日はゆっくり休め」
「「俺らは仕事に行く」」
「ほとんどの騎士は二日酔いで出勤できないだろうからな」

 ガハハと笑う公爵家のみんなを尊敬する。
 みんな酒を浴びるように飲んでいたのに、全く変わった様子がない。

「すごいですね……」
「我らは酒に負けたことはない。お前もそうなれ」
「はい……」

 不甲斐ない……。

 団長達を見送って、シャワーを浴びて部屋に戻ろうとして、隣の部屋に目が行った。
 アデルはまだ寝ているだろうか……。

 ふと隣のドアを遠慮がちにノックする。
 返事がなければ自分の部屋に戻ろうと思っていた。

「……どうぞ……」

 返事があったので、ドアを開けた。
 アデルは、まだベッドの中だった。

「起こしてしまったか?」
「いや……」

 と言いながら、目が開いていない。
 ベッドの端へと腰掛けて、そっとその髪を撫でた。

「昨日は遅かったのか?」

 俺は途中からの記憶がない……。

「カラムとレオと話が盛り上がってしまってな……」

 なんだと……!?
 なんで寝ていたんだ……俺は……。

「二人と……話したのか?」
「ああ……」

 どんな話をしたのか……とか……聞いてもいいんだろうか。
 聞くべきじゃないのだろう。友人と話すのに、俺がいちいち気にする必要はない……。
 悶々と考えていれば、アデルの方から話してくれた。

「ギルの話をした……」

 アデルは、横になりながら微笑んでこちらを見る。

「え?」
「ギルは、口下手で言葉で伝えるのが苦手だ。二人はそれを心配していた」

 クスクスと笑うアデルになんだか面白くない気持ちになる。

「それなら……心配する事はない……」

 屈んでアデルの唇にキスを贈る。
 柔らかい感触に胸が高鳴る。

「態度で示す……」

 自分でやっておきながら恥ずかしい……。
 アデルは、クスリと笑ってから両手を広げてきた。

「婚約者殿、いや、旦那様……でいいよな。態度で示すなら、もっと必要じゃないか?」

 旦那様……幸せすぎて困る。
 アデルの両手を広げる仕草も可愛い。

「そうだな……」

 アデルの上に覆いかぶさるようにすれば、アデルは首の後ろに腕を回す。
 鼻先が触れ合う距離でアデルが可愛く笑った。

「ふふっ」
「なんでそんなに楽しそうなんだ?」
「カラムとレオに、ギルに両手を広げてみせれば喜ぶと言われてな。こういう意味だったのかと納得した」
「あいつら……アデルは、もう俺以外の事を考えるな……」

 俺だってやる時はやる男なんだと証明してやる。
 幸せを噛み締めるようにアデルの感触を楽しんだ。
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