ひたすらイチャラブなふたり

おみなしづき

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結婚式 side尚雪

 その日も輝さんは朝からいなかった。
 不安になる事は多いけれど、大丈夫だと自分に言い聞かせる毎日だった。

 そんな中で、涼君から着信があった。

『ナオさん? 今から僕が言う場所に来てもらえますか? ナオさんにどうしても見てもらいたいものがあって……』

 そう言って伝えられた場所は、結婚式場だった。
 なんで結婚式場?

「ナオさん!」

 涼君に声を掛けられて個室に連れていかれ、礼服を着るように言われた。
 疑問に思うまま礼服を着たけれど、まるで誰かの結婚式にゲストとして呼ばれたかのようだ。

 そのまま連れてかれた式場の前にあった【河西家 高部家】という連盟の案内看板に呆然とする。

 河西って……輝さん? これって……輝さんの結婚式?

 輝さんは結婚しないって言ったはずだ……。
 それなのに……どうして……。
 結婚するのか?
 見せたいものって輝さんの結婚式だったのか……?

 輝さんの結婚式を見てどうするんだ。

「涼君が見せたいものって……これ?」

 皮肉めいた言い方になってしまうのはしょうがない。

「はい」

 淀みのない返答に、痛む胸を押さえて帰ろうとすれば引き止められた。

「一緒に来て下さい」
「嫌だよ……」
「輝に頼まれたんです」
「輝さんに……?」

 現実を突きつけるなんて残酷だ……。

「そうです。言いたい事は直接会って言いましょう?」

 言いたい事なんてない。
 それでも、しばらく悩んでから、輝さんを諦めるならちゃんと現実を見るべきかと思い直す。

 涼君の後をついて行って案内されたのは教会だった。
 扉をそっと開けて中に入って行く。
 一番後ろの誰もいない席に腰掛ける様に囁かれた。
 キラキラとしたステンドグラスから光が降り注いでいて、神聖な雰囲気だった。

 その真ん中で愛を誓い合う新郎は……輝さん……じゃない?
 何度確認しても輝さんではない。

「ナオ……」

 内心で驚いている俺の隣にそっと座ったのは、新郎だと思っていた輝さんだった。
 新郎と輝さんを交互に見比べる。

「あれは……誰ですか?」

 輝さんにしか聞こえないように囁く。

「あれはね……私の母と高部の父だ」

 ニヤリと笑った顔を呆然と見つめた。

「結婚するのって……輝さんのお母さんなんですか……?」
「そう。母にとっての息子と娘が増えただろ? 会社は、高部の子供達や孫が継いだって良くなった」

 まさか……それが目的だった?

「しかもね、母は妊娠してる」
「っ⁉︎」

 大声で驚きそうになってしまって慌てて口元を押さえる。
 輝さんの母親は、確か40代だったはず……。

「だから式を急いだんだ。歳の離れた弟か妹ができるよ。いずれはその子が会社を継いでくれるかもしれない。母には色んな選択肢ができた。私は結婚しなくて済むようになった」

 クスクスと笑う輝さんを見つめていたら、段々と実感が湧いてきた。

「じゃあ……俺は……輝さんとずっと一緒にいられる?」
「そうだよ」

 優しく微笑む顔に安心して、胸の奥から何かが込み上げる。

「私はこの先もずっと……ナオだけのものだ……」
「はいっ……!」

 感動でポロポロと涙がこぼれてくる。
 信じると決めても、本当は結婚してしまうのではないかとずっと不安だった。
 それが溶けて無くなって行くような感覚。

 微笑みながら涙を拭いてくれる輝さんの手がとても優しかった。

 新郎新婦の指輪の交換が始まった。
 それと同時に輝さんにそっと左手を取られて薬指につけられたのは、シンプルなプラチナの指輪。真ん中で小さなダイヤモンドが輝いた。
 良く見れば、輝さんの左手の薬指にも同じ物があった。

「ナオ……命がある限り、君を愛し続ける事を誓おう」
「輝さん……! お、俺も……誓います!」

 感動で涙が止まらない。
 見つめ合えば、二人でそっと誓いのキスをした。

     ◆◇◆

 朝目覚めて隣で眠る輝さんを見て微笑む。
 朝食を作ってから輝さんを起こしに行った。

「輝さん……起きて下さい。時間になってしまいますよ」
「ん……んん……ナオ……?」

 寝ぼけながらこちらに手を伸ばしてきてキスされる。
 朝にするには激しいキスだ。

「ふっ……んん……」

 服越しに胸の頂きをスリスリとイジられて気持ち良くなってくる。

「ダメです……時間が……あ……」
「ふふっ……もう少しだけ……」

 そう言いながら、ベッドに引き摺り込まれた。
 手を握られれば、お互いの指輪が重なるようにキラリと光った。

 輝さんと迎えるこんな朝がとても幸せだ。
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