攻め×攻め事情

おみなしづき

文字の大きさ
17 / 22

どちらが上問題の答え ①

しおりを挟む
「こうやって泊まりに来るの久しぶりだね」

 近嗣の家にやってきた美羽は、近嗣の手料理を食べていた。
 エプロン姿の近嗣を見て、毎回可愛いと思っている。

「そうだな……」

 美羽は、少し緊張しているのを悟られないように澄ましていた。

「俺ね……ここで一人暮らしする事になった……」

 近嗣の言葉に美羽は、手料理を食べる手を止めて箸を置いた。

「母さん、このまま実家に残るって……。俺は高校があるからこっちに居たいってお願いした……」
「そうなのか?」

 近嗣が微笑んで頷く。

「母さんも和希さんも、時々様子を見に来てくれるらしいし、何より、母さんが実家に戻れるのはいい事だと思う……」

 紀子が和解した事を近嗣も喜んでいるみたいだった。美羽もそんな近嗣を見て微笑む。

「それでチカは淋しくないのか?」
「淋しくない……みぃちゃんがいる……」

 二人で見つめ合ってクスクスと笑い合う。
 近嗣がテーブルの上にあった美羽の手にそっと触れてきた。
 スリッと親指で擦られた手が熱い。

「チカ……お風呂に先に入れ……」

 それが何を意味するのかは、二人ともわかっている。
 近嗣が頷けば、二人にもう会話はなかった。

     ◆◇◆

 風呂から戻ってきた美羽は、一組しか敷かれていない布団を見て口元が緩んだ。
 近嗣もその気なんだとわかって嬉しい。
 かけていた眼鏡を布団の脇に置いた。

 なんだか照れ臭くて、布団の上に胡座だった近嗣の目の前に正座した。すると、近嗣も正座する。
 お見合い状態の二人は、お互いの様子を窺っていた。

 そのうちに、言葉を交わす事なく見つめ合って唇を重ねた。
 舌を絡めるキスは、段々と熱を帯びて興奮を煽る。
 時々漏れる吐息は甘く、胸の鼓動を早くした。

 先に手を伸ばして来たのは近嗣だった。
 美羽の頬を近嗣の指先が愛おしそうに撫でた。
 美羽は、近嗣の首の後ろに手を伸ばした。
 キスしながら、近嗣へと体重をかけて押し倒そうとした。
 けれど、一向に倒れる気配はない。
 それどころか、逆に美羽の方がドサリと布団の上へ押し倒された。
 近嗣は、布団へ横たわった美羽を上から見下ろしてくる。

「チカ……?」
「みぃちゃん、ごめん……」

 美羽が近嗣の物欲しそうな顔を見るのは何度目か……。

「俺、やっぱりみぃちゃんを抱きたい……」
「卒業祝いは……?」
「別のものを用意する……」

 近嗣がスリッと美羽の首筋に擦り寄る。
 近嗣の唇が美羽の素肌にキスを落とす。

「お、おい……チカ……」

 肩を掴んでも、本気で抵抗をしていない抵抗は、近嗣にはびくともしない。
 
「みぃちゃんが俺に会いに来てくれた時、やっぱり俺は……みぃちゃんが可愛くて仕方なかった。優しくして、甘やかして……愛したいと思った……」

 近嗣の舌が美羽の首筋を這う。

「ん……」
「みぃちゃん……俺に愛されて──」

 近嗣が、美羽の耳元で囁いた。
 鼓膜から全身を痺れさせるようなゾクゾクとした快感が全身を駆け巡るみたいだった。
 近嗣に求められる事に嬉しいと思う気持ちを誤魔化せない。
 美羽は、近嗣の両頬を手のひらで包み込んで、視線を合わせた。
 男を感じる表情は、美羽の胸をキュンと鳴らした。

「チカが居なくなる事を思えば……何でも出来ると思った……」

 あの時の事を思い出すと今でも辛くなる。

「チカを繋ぎ止めておけるなら、抱かれてもいいとすら……思えたんだ──」

 美羽は、恥ずかしそうに視線を逸らしてからまた近嗣を見つめて微笑んだ。

「いっぱい愛してくれ──」

 美羽から近嗣の首の後ろへ腕を回した。
 堪らなくなった近嗣が美羽の言葉を奪う。
 呼吸ができないほどのキスをした事はない。
 近嗣とは思えない本能を剥き出しにした舌使いに美羽は翻弄されていく。

 服を脱いだのはどちらが先かもわからない。
 お互いの素肌が触れ合った場所が溶け合うみたいに熱かった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】出会いは悪夢、甘い蜜

琉海
BL
憧れを追って入学した学園にいたのは運命の番だった。 アルファがオメガをガブガブしてます。

過保護な義兄ふたりのお嫁さん

ユーリ
BL
念願だった三人での暮らしをスタートさせた板垣三兄弟。双子の義兄×義弟の歳の差ラブの日常は甘いのです。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。 あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。 ♡♡♡ 恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

処理中です...