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3、愛し合えない夫婦は互いに強く想い合う
ヤキモチ妬きな旦那様?
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今、ひじょーに困っていることある。久しぶりに村に帰らせてもらい、のんびりしてきた、そこまでは良かった。
帰ってきたら、セルザイト殿下に無視され続けている。侍女の人達も、「お二人のお話ですから」と言って取り合ってくれない。これは『喧嘩』ではなく、『無視』である。時間が経てば、元に戻ると思っていたがそんなことはなかった。ずっと無視され続けている上に、部屋にも入れてくれない。
「セルザイト殿下?本日はお忙しかったのですか?」
「・・・・」
「何かあったのですか?」
「・・・・」
「お疲れなのですか?」
「・・・・」
こんな状態がずっと続いている。
最近ずっと楽しかったのに、何かしただろうかと頭をひねる。
毎夜毎夜、セルザイト殿下の暖かな胸に抱かれ、甘い言葉を耳元で囁かれていた。それなのに突然この状態。
戸惑いと寂しさが入り混じり、なんとも心細い。
何か気に触ることをしたのだろう。優しい殿下がそんな簡単にここまで怒るわけがない。
不安な気分のまま部屋で待つ。
最近はセルザイト殿下の私室で過ごすこと最も多い。「少しでも側にいてほしい」と、優しく言われた記憶を思い出し、ひとりでに染まる頰。
時計に目をやると、もう十一時を過ぎていた。どんどん不安な思いが募り、落ち着かない。
コンコン
「アーシャ様、お部屋に入ってもよろしいでしょうか?」
ノックの音に、期待したものの可愛らしい女性の声に落胆した。
ドアの元に駆け寄り、そっとドアを開ける。
「あの・・・セルザイト殿下が御寝室にいらっしゃいますので、アーシャ様もよろしければ本日はお休みになったください。」
小さなことなのかもしれない。でも、いつもみたいに迎えに来てくれなかったことがとても寂しかった。
今日だって忙しくて、疲れている殿下に甘えることは良くないと思う。けれど、冷たい態度といい、もしかして嫌われてしまったのかもしれない。そんな風に思い初めてしまうと、全ての現実がそれを肯定しているような気がしてきた。
『不安』その言葉に収まりきらないほど、怖くて、不安で、寂しい。
「わ、分かりました。」
とぼとぼと暗い廊下を歩く。
セルザイト殿下と一緒にいるときのような幸せなドキドキたした感覚ではなく、嫌なドキドキとする感じ。
早く元に戻りたい。早く『愛している』と心地の良い声で言ってほしい。
それなのに、会いたくない気持ちもある。
嫌われた、という事実を知りたくない。
他の部屋に比べて、一段と豪華なドアの前に辿りついてしまった。
護衛の人がいるため、いつまでもその場にいることもできない。
中でセルザイト殿下が眠っているかもしれないので、ゆっくりとドアを開ける。震える足は、確実に天蓋の下がった寝台に近づいた。
(もう眠っているのかしら・・・)
<この話は、一と二に分けさせていただきます。勝手な都合ながら、よろしくお願いします。>
帰ってきたら、セルザイト殿下に無視され続けている。侍女の人達も、「お二人のお話ですから」と言って取り合ってくれない。これは『喧嘩』ではなく、『無視』である。時間が経てば、元に戻ると思っていたがそんなことはなかった。ずっと無視され続けている上に、部屋にも入れてくれない。
「セルザイト殿下?本日はお忙しかったのですか?」
「・・・・」
「何かあったのですか?」
「・・・・」
「お疲れなのですか?」
「・・・・」
こんな状態がずっと続いている。
最近ずっと楽しかったのに、何かしただろうかと頭をひねる。
毎夜毎夜、セルザイト殿下の暖かな胸に抱かれ、甘い言葉を耳元で囁かれていた。それなのに突然この状態。
戸惑いと寂しさが入り混じり、なんとも心細い。
何か気に触ることをしたのだろう。優しい殿下がそんな簡単にここまで怒るわけがない。
不安な気分のまま部屋で待つ。
最近はセルザイト殿下の私室で過ごすこと最も多い。「少しでも側にいてほしい」と、優しく言われた記憶を思い出し、ひとりでに染まる頰。
時計に目をやると、もう十一時を過ぎていた。どんどん不安な思いが募り、落ち着かない。
コンコン
「アーシャ様、お部屋に入ってもよろしいでしょうか?」
ノックの音に、期待したものの可愛らしい女性の声に落胆した。
ドアの元に駆け寄り、そっとドアを開ける。
「あの・・・セルザイト殿下が御寝室にいらっしゃいますので、アーシャ様もよろしければ本日はお休みになったください。」
小さなことなのかもしれない。でも、いつもみたいに迎えに来てくれなかったことがとても寂しかった。
今日だって忙しくて、疲れている殿下に甘えることは良くないと思う。けれど、冷たい態度といい、もしかして嫌われてしまったのかもしれない。そんな風に思い初めてしまうと、全ての現実がそれを肯定しているような気がしてきた。
『不安』その言葉に収まりきらないほど、怖くて、不安で、寂しい。
「わ、分かりました。」
とぼとぼと暗い廊下を歩く。
セルザイト殿下と一緒にいるときのような幸せなドキドキたした感覚ではなく、嫌なドキドキとする感じ。
早く元に戻りたい。早く『愛している』と心地の良い声で言ってほしい。
それなのに、会いたくない気持ちもある。
嫌われた、という事実を知りたくない。
他の部屋に比べて、一段と豪華なドアの前に辿りついてしまった。
護衛の人がいるため、いつまでもその場にいることもできない。
中でセルザイト殿下が眠っているかもしれないので、ゆっくりとドアを開ける。震える足は、確実に天蓋の下がった寝台に近づいた。
(もう眠っているのかしら・・・)
<この話は、一と二に分けさせていただきます。勝手な都合ながら、よろしくお願いします。>
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