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第8章 ライバンス・魔法学院編
第158話 ガランディアの秘められた能力とは
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なんでガランディアがこんなところにいるんだよ!
オレの居場所については、ここに来るまででも正直に言ってかなり目立っていたし、あとガランディアは魔力の波動を察知出来る能力があるらしいので、それでこの部屋を見いだした事までは分る。
しかし女子寮の庭に忍び込んでくるとは、どう考えても『不法侵入者』だろうが。
ここはオレの魔法でとっ捕まえて、突き出すべきだろうか?
いや。この学校の規則は知らないけど、常識的にはほぼ確実に退学だろう。
さすがにそれはちょっと可哀想な気がするな。
それにスビーリー、アニーラは仕方ないとしてもホン・イールとの関係が悪化して図書館を閲覧できなくなったら、オレが困る。
仕方ないのでとりあえずガランディアが何のために来たのか、確認する事にしよう。
万が一にも不埒な真似をしたら、そのときに改めて思い知らせてやればそれでいい。
オレがそんな事を考えているとガランディアもオレが無事であることを確認したらしく、安堵の息をこぼす。
「よかった。大丈夫だったんだね。君が襲撃されたと聞いて、気が気でなかったんだよ」
オレが昼間、謎の精霊に襲われていた事はコイツも察していたし、後でまたアンデッドに攻撃されたのも気付いたに違いない。
もっとも二度目の襲撃では常人なら確実に死ぬダメージを受ける羽目になっていたけど、そこまでわざわざ伝える事も無いだろう。
「少なくともこっちが無事だった事ぐらいは、人に聞いていたら分ると思いますけど?」
「それは聞いていたけど、だけどどうしても心配だったんだよ。だからいてもたってもいられなくなってここまで来たんだ」
そう訴えるガランディアの表情は真剣そのものだ。
なるほど。これで他の女の子を落としたのか。
ハーレムものではよくあるパターンだけど、残念ながらこっちはそれで釣られたりはしないんですよ。
そっちの手の内はお見通しですから ―― 別にガランディア自身は意識してやっているわけではないんだろうけどね。
「わたしの祖国では日が暮れてから、男子が女子寮の庭に忍び込むのを『変質者』といいますよ」
「手厳しいな。だけど本当に無事なようで安心したよ」
それはどうも。分ってくれたのならさっさと帰って欲しいのだけど。
「まさかと思いますけど、このまま部屋に上がり込んだりする気はないですよね?」
「当たり前だよ。僕だってそこまで非常識じゃ無い」
「あとわたしを守るためと称して、窓の外に居座ったりもしないですね」
「それは希望があればやろうかと思っていたよ」
ええい。むしろオレよりもお前の方が心配なんだよ ―― などと下手に口にするとツンデレヒロインと勘違いされそうな台詞が思い浮かぶ。
「ところでスビーリーとアニーラも君と一緒にいて、怪我をしたと聞いたけどそれは本当なのかい?」
「本当ですよ。だけど二人とも完全に回復してますから、それについても心配ありません」
ハーレムものだとここでオレは『なぜあの二人の事を聞くんですか』などとちょっとばかり嫉妬心を抱く場面なんだろうな。
もちろんそんな事はしませんよ。
「そうか……その場に僕がいたら少しでも君たちの助けになれたと思うと残念だよ」
別にガランディアがいても時間稼ぎ以上の戦力になったとは思えないけどな。
それとも何か秘められた能力でもあるのか?
確かに『英雄の末裔』というなら、いろいろあっても不思議では無い。
そんなわけでガランディアの能力についてもちょっとばかり興味がある。
まあ女子寮の庭に忍び込んでいる現状はあんまりいい機会というわけでもないし、他人に見られたら確実に逢い引きと誤解されそうだ。
それが分っていてもついつい好奇心を抑えられない自分の性分はイヤだけど、こればっかりはどうしようもない。
「一つ質問したいんですけど、ガランディアさんは他人の魔力を感知出来るのですよね?」
「うん。そうだよ。だから初めてあったときの――」
「その件で深入りするのは、辞めた方がいいと思いますよ」
オレの少々とげの入った台詞と視線を受けて、ガランディアの表情は少々引きつる。
以前に口を滑らせて股間を蹴り上げられた事を想いだしたのだろう。
「ははは。ゴメン」
このスケベが。ひょっとするとオレの裸でよからぬ妄想を抱いて、男としていろいろやらかしているのかもしれないな。
「もちろん普通の人の魔力だったら、そう簡単に区別はつかないよ。君が特別なんだ」
むう。これがいわゆる『鈍感系ハーレム主人公』による口説き文句なのだな。
あくまでも『魔力が特別』だと言っているのを『自分が特別』だと勘違いして、頬を染めるのがハーレム要員のお約束というわけだ。
もちろんオレはそんな定番の展開に入ったりはしない。
「どんな風に特別なんですか?」
「それは正直には口で説明しづらいよ。もちろん魔力の量だって桁外れだけど、それ以外にもいろいろとあってね。ただ一言で例えるなら君にふさわしい『美しい魔力』という感じがするね」
ああ。簡単に表せないものを『美しい』なんて表現する事で、何となく分った気がするというやつだ。
そんでもってハーレム要員の方は自分を美しいと褒められたと誤解して、また好意を抱くのだな。
こいつはこうやって女の子を次々とゲットしているのか。
断っておくけど別にうらやましくなんかないからね!
勘違いしないでよ!
しかしこのハーレム野郎の真の能力は、いまこのオレに見せているように『意識せずに女の子を落とす』ことなのか?
日本のハーレムものでは、ものすごくありがちな能力だけど、自分で目の当たりにすると少々嫉妬 ―― もとい引いてしまうな。
いや。いくら何でもそんな事は無いだろう。
きっと何か凄い能力が秘められているはずだ。それだからこそホン・イールがあれだけオレに向けてガランディアを推しているはずだ。
「それであなたの能力は魔力を感知するだけなんですか?」
「……」
この問いかけに対し、ガランディアはどこかバツが悪そうに視線を背ける。
あれ? 何かマズいことを聞いてしまったのかな?
仮にガランディアの能力が『他者の魔力を感知する』ものだけだったとしても、別に恥ずかしい事では無いはずだ。
お約束の通りだとしたらその能力故に迫害されたとか、大事な人を傷つけたとかそっちのパターンだろうか。
何しろガランディアのご先祖様は英雄にして背教者という存在だから、何があってもおかしくはない。
「君が見ぬいた通り、僕にはまた別の能力があるんだよ」
やっぱりな。
英雄にして悪漢というご先祖様由来の能力か? それとも特に関連性はないものか?
どっちにしても『主役っぽい』能力なんだろうか。
もちろんオレはガランディアの能力がどれほど凄かろうと、それを見せられても魅せられたりはしないぞ!
「僕の場合は他人の魔力を感知するだけでなく、その魔法を真似る事も出来るんだよ」
何だって? 魔法を真似る? 確かにそれは凄い!
使いようによっては主人公クラスの能力じゃ無いか!
待て。ここは落ち着け。
こういうときに焦って飛びついて今まで何度失敗したと思っているんだ。
見た目だけそっくりだけど、中身はスカスカとかそういう表面だけコピーするというヤツかもしれないし、何がコピーできるかはランダムで本人が選べないとかそんなパターンかもしれない。
「それで具体的にどんな風に真似出来るんですか?」
「ただ感じただけでは無理だけど、入念に調べればその人とおおむね同じ魔法を使う事が出来るようになるんだ」
さすがに『一目見ただけでコピー』というわけにはいかないようだけど、それでも大したものだ。
この世界ではオレのような例外を除き、魔法を一つ覚えるだけでも相当な訓練が必要なはずだからな。
何よりその話が本当ならば、オレの回復魔法をガランディアがコピーすれば『回復魔法は女しか使えない』という聖女教会のウソを暴く事が出来るかもしれないぞ。
チートで何の努力も無く魔法が使えるようになったオレは、逆を言うと自分の魔法を他人に教える事が出来ない。
だから今までも『男子に回復魔法を教えて、使わせる』という選択が出来なかったけど、ガランディアなら可能になるかもしれない。
「それではわたしの魔法を――」
「残念だけど君のは真似出来ないんだ」
オレの質問を予期していたのか、ガランディアはあっさりとこちらの希望を粉砕する。
どうやらバツが悪そうにしていたのは、それが理由らしい。
「ええ? なぜですか?」
「真似出来るのはあくまでも僕の魔力の範疇までだからだよ。君ほどの魔力を真似するなんてとても無理なんだ」
「一部だけでもどうにかならないんですか?」
「僕の能力はしょせん真似でしかないから、魔法が身につくわけじゃないんだ。相手の魔法を一部だけつまみ食いする事も出来ないし、僕の魔力の枠を越えた分は消えてしまって二度と使えない」
うう。そういうことか。
考えて見れば当然の話だな。そんなに簡単に他人の能力が身についたら、ガランディアはとっくに『世界最強の魔法使い』になっているだろう。
やっぱりぬか喜びだったということか。全くもっていつものことだから、そんなに落胆もしないけどな。
「ただね。相手との繋がりが強くなれば、真似出来る魔法もより増えてくる傾向にあるんだよ」
つまり何だ? こっちがハーレム要員としてもっと親しくなれば、オレの魔法でもガランディアがコピー出来るかもしれなくなるって事か?
これが十八禁だったら、チョメチョメする事で相手の魔法の力を得られるとか、そんなとんでもない展開になったかもしれないな。
いや。ガランディアの能力については当然、ホン・イールも知っていたはずだから、こっちをくっつけようとしていたのも、オレの魔法をガランディアにコピーさせる意図だってあったかもしれないな。
どっちにしろ、オレが男のハーレム要員になるのは無理というものだ。
それ以外にはガランディアの魔力が、オレの魔法をコピーできるようになるまで増大するのを待つか ―― どう考えてもそっちの方が更にあり得ない。
やっぱり他人に頼っていてはダメという事か。
仕方ない。ガランディアの能力を当てにするのは諦めるしかない。
短い夢だったけど仕方ないな。やっぱりガランディアには図書の閲覧時に手助けしてもらうぐらいしか期待出来ないか。
「それでは君の無事も確認出来た事だし、そろそろ帰らせてもらうよ。さすがにこんな事をしているのを見つかったら大事だからね」
「ええ……それではまた……」
毎度のごとく期待外れに終わったオレはちょっとばかり落胆しつつ、ガランディアに別れを告げる。
むう。これも傍目からはオレがガランディアとの別れを惜しんでいるかのように見える光景なんだろうか。
つくづくハーレム野郎というのは困ったものだな。
オレはかつて自分が憧れた存在を目の当たりにしつつ、去りゆくガランディアの背を見て嘆息していた。
オレの居場所については、ここに来るまででも正直に言ってかなり目立っていたし、あとガランディアは魔力の波動を察知出来る能力があるらしいので、それでこの部屋を見いだした事までは分る。
しかし女子寮の庭に忍び込んでくるとは、どう考えても『不法侵入者』だろうが。
ここはオレの魔法でとっ捕まえて、突き出すべきだろうか?
いや。この学校の規則は知らないけど、常識的にはほぼ確実に退学だろう。
さすがにそれはちょっと可哀想な気がするな。
それにスビーリー、アニーラは仕方ないとしてもホン・イールとの関係が悪化して図書館を閲覧できなくなったら、オレが困る。
仕方ないのでとりあえずガランディアが何のために来たのか、確認する事にしよう。
万が一にも不埒な真似をしたら、そのときに改めて思い知らせてやればそれでいい。
オレがそんな事を考えているとガランディアもオレが無事であることを確認したらしく、安堵の息をこぼす。
「よかった。大丈夫だったんだね。君が襲撃されたと聞いて、気が気でなかったんだよ」
オレが昼間、謎の精霊に襲われていた事はコイツも察していたし、後でまたアンデッドに攻撃されたのも気付いたに違いない。
もっとも二度目の襲撃では常人なら確実に死ぬダメージを受ける羽目になっていたけど、そこまでわざわざ伝える事も無いだろう。
「少なくともこっちが無事だった事ぐらいは、人に聞いていたら分ると思いますけど?」
「それは聞いていたけど、だけどどうしても心配だったんだよ。だからいてもたってもいられなくなってここまで来たんだ」
そう訴えるガランディアの表情は真剣そのものだ。
なるほど。これで他の女の子を落としたのか。
ハーレムものではよくあるパターンだけど、残念ながらこっちはそれで釣られたりはしないんですよ。
そっちの手の内はお見通しですから ―― 別にガランディア自身は意識してやっているわけではないんだろうけどね。
「わたしの祖国では日が暮れてから、男子が女子寮の庭に忍び込むのを『変質者』といいますよ」
「手厳しいな。だけど本当に無事なようで安心したよ」
それはどうも。分ってくれたのならさっさと帰って欲しいのだけど。
「まさかと思いますけど、このまま部屋に上がり込んだりする気はないですよね?」
「当たり前だよ。僕だってそこまで非常識じゃ無い」
「あとわたしを守るためと称して、窓の外に居座ったりもしないですね」
「それは希望があればやろうかと思っていたよ」
ええい。むしろオレよりもお前の方が心配なんだよ ―― などと下手に口にするとツンデレヒロインと勘違いされそうな台詞が思い浮かぶ。
「ところでスビーリーとアニーラも君と一緒にいて、怪我をしたと聞いたけどそれは本当なのかい?」
「本当ですよ。だけど二人とも完全に回復してますから、それについても心配ありません」
ハーレムものだとここでオレは『なぜあの二人の事を聞くんですか』などとちょっとばかり嫉妬心を抱く場面なんだろうな。
もちろんそんな事はしませんよ。
「そうか……その場に僕がいたら少しでも君たちの助けになれたと思うと残念だよ」
別にガランディアがいても時間稼ぎ以上の戦力になったとは思えないけどな。
それとも何か秘められた能力でもあるのか?
確かに『英雄の末裔』というなら、いろいろあっても不思議では無い。
そんなわけでガランディアの能力についてもちょっとばかり興味がある。
まあ女子寮の庭に忍び込んでいる現状はあんまりいい機会というわけでもないし、他人に見られたら確実に逢い引きと誤解されそうだ。
それが分っていてもついつい好奇心を抑えられない自分の性分はイヤだけど、こればっかりはどうしようもない。
「一つ質問したいんですけど、ガランディアさんは他人の魔力を感知出来るのですよね?」
「うん。そうだよ。だから初めてあったときの――」
「その件で深入りするのは、辞めた方がいいと思いますよ」
オレの少々とげの入った台詞と視線を受けて、ガランディアの表情は少々引きつる。
以前に口を滑らせて股間を蹴り上げられた事を想いだしたのだろう。
「ははは。ゴメン」
このスケベが。ひょっとするとオレの裸でよからぬ妄想を抱いて、男としていろいろやらかしているのかもしれないな。
「もちろん普通の人の魔力だったら、そう簡単に区別はつかないよ。君が特別なんだ」
むう。これがいわゆる『鈍感系ハーレム主人公』による口説き文句なのだな。
あくまでも『魔力が特別』だと言っているのを『自分が特別』だと勘違いして、頬を染めるのがハーレム要員のお約束というわけだ。
もちろんオレはそんな定番の展開に入ったりはしない。
「どんな風に特別なんですか?」
「それは正直には口で説明しづらいよ。もちろん魔力の量だって桁外れだけど、それ以外にもいろいろとあってね。ただ一言で例えるなら君にふさわしい『美しい魔力』という感じがするね」
ああ。簡単に表せないものを『美しい』なんて表現する事で、何となく分った気がするというやつだ。
そんでもってハーレム要員の方は自分を美しいと褒められたと誤解して、また好意を抱くのだな。
こいつはこうやって女の子を次々とゲットしているのか。
断っておくけど別にうらやましくなんかないからね!
勘違いしないでよ!
しかしこのハーレム野郎の真の能力は、いまこのオレに見せているように『意識せずに女の子を落とす』ことなのか?
日本のハーレムものでは、ものすごくありがちな能力だけど、自分で目の当たりにすると少々嫉妬 ―― もとい引いてしまうな。
いや。いくら何でもそんな事は無いだろう。
きっと何か凄い能力が秘められているはずだ。それだからこそホン・イールがあれだけオレに向けてガランディアを推しているはずだ。
「それであなたの能力は魔力を感知するだけなんですか?」
「……」
この問いかけに対し、ガランディアはどこかバツが悪そうに視線を背ける。
あれ? 何かマズいことを聞いてしまったのかな?
仮にガランディアの能力が『他者の魔力を感知する』ものだけだったとしても、別に恥ずかしい事では無いはずだ。
お約束の通りだとしたらその能力故に迫害されたとか、大事な人を傷つけたとかそっちのパターンだろうか。
何しろガランディアのご先祖様は英雄にして背教者という存在だから、何があってもおかしくはない。
「君が見ぬいた通り、僕にはまた別の能力があるんだよ」
やっぱりな。
英雄にして悪漢というご先祖様由来の能力か? それとも特に関連性はないものか?
どっちにしても『主役っぽい』能力なんだろうか。
もちろんオレはガランディアの能力がどれほど凄かろうと、それを見せられても魅せられたりはしないぞ!
「僕の場合は他人の魔力を感知するだけでなく、その魔法を真似る事も出来るんだよ」
何だって? 魔法を真似る? 確かにそれは凄い!
使いようによっては主人公クラスの能力じゃ無いか!
待て。ここは落ち着け。
こういうときに焦って飛びついて今まで何度失敗したと思っているんだ。
見た目だけそっくりだけど、中身はスカスカとかそういう表面だけコピーするというヤツかもしれないし、何がコピーできるかはランダムで本人が選べないとかそんなパターンかもしれない。
「それで具体的にどんな風に真似出来るんですか?」
「ただ感じただけでは無理だけど、入念に調べればその人とおおむね同じ魔法を使う事が出来るようになるんだ」
さすがに『一目見ただけでコピー』というわけにはいかないようだけど、それでも大したものだ。
この世界ではオレのような例外を除き、魔法を一つ覚えるだけでも相当な訓練が必要なはずだからな。
何よりその話が本当ならば、オレの回復魔法をガランディアがコピーすれば『回復魔法は女しか使えない』という聖女教会のウソを暴く事が出来るかもしれないぞ。
チートで何の努力も無く魔法が使えるようになったオレは、逆を言うと自分の魔法を他人に教える事が出来ない。
だから今までも『男子に回復魔法を教えて、使わせる』という選択が出来なかったけど、ガランディアなら可能になるかもしれない。
「それではわたしの魔法を――」
「残念だけど君のは真似出来ないんだ」
オレの質問を予期していたのか、ガランディアはあっさりとこちらの希望を粉砕する。
どうやらバツが悪そうにしていたのは、それが理由らしい。
「ええ? なぜですか?」
「真似出来るのはあくまでも僕の魔力の範疇までだからだよ。君ほどの魔力を真似するなんてとても無理なんだ」
「一部だけでもどうにかならないんですか?」
「僕の能力はしょせん真似でしかないから、魔法が身につくわけじゃないんだ。相手の魔法を一部だけつまみ食いする事も出来ないし、僕の魔力の枠を越えた分は消えてしまって二度と使えない」
うう。そういうことか。
考えて見れば当然の話だな。そんなに簡単に他人の能力が身についたら、ガランディアはとっくに『世界最強の魔法使い』になっているだろう。
やっぱりぬか喜びだったということか。全くもっていつものことだから、そんなに落胆もしないけどな。
「ただね。相手との繋がりが強くなれば、真似出来る魔法もより増えてくる傾向にあるんだよ」
つまり何だ? こっちがハーレム要員としてもっと親しくなれば、オレの魔法でもガランディアがコピー出来るかもしれなくなるって事か?
これが十八禁だったら、チョメチョメする事で相手の魔法の力を得られるとか、そんなとんでもない展開になったかもしれないな。
いや。ガランディアの能力については当然、ホン・イールも知っていたはずだから、こっちをくっつけようとしていたのも、オレの魔法をガランディアにコピーさせる意図だってあったかもしれないな。
どっちにしろ、オレが男のハーレム要員になるのは無理というものだ。
それ以外にはガランディアの魔力が、オレの魔法をコピーできるようになるまで増大するのを待つか ―― どう考えてもそっちの方が更にあり得ない。
やっぱり他人に頼っていてはダメという事か。
仕方ない。ガランディアの能力を当てにするのは諦めるしかない。
短い夢だったけど仕方ないな。やっぱりガランディアには図書の閲覧時に手助けしてもらうぐらいしか期待出来ないか。
「それでは君の無事も確認出来た事だし、そろそろ帰らせてもらうよ。さすがにこんな事をしているのを見つかったら大事だからね」
「ええ……それではまた……」
毎度のごとく期待外れに終わったオレはちょっとばかり落胆しつつ、ガランディアに別れを告げる。
むう。これも傍目からはオレがガランディアとの別れを惜しんでいるかのように見える光景なんだろうか。
つくづくハーレム野郎というのは困ったものだな。
オレはかつて自分が憧れた存在を目の当たりにしつつ、去りゆくガランディアの背を見て嘆息していた。
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