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第14章 拳の王
第478話 新たな道連れが……
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マクラマンはいったい何を言い出すのか。
周囲の一同の視線が集まる中、マクラマンはオレにその顔を見せる。
それは特に怒りや敵意を示すモノでは無かったが、表に出さない決意が秘められているようにオレには感じられた。
「それならば、愚僧はしばらくあなたに同行させてもらいましょう」
「え? それはどういうことですか?」
「あなたが本当に何者なのか、愚僧の目で確かめたいと思いましてな。後ろめたい事が無いのなら、それぐらいは構いませんね?」
ああそうか。
やっぱりマクラマンはこのオレが『アルタシャを騙る詐欺師』という可能性を疑っているのだな。
だけどそんな詐欺師だったら、そもそもこんなガイザーのような貧乏な信徒ばかりの教団についたりせず、もっと金持ちを狙うだろう。
いや。ミツリーンによれば詐欺師の中には、自分を崇拝させるインチキ教団をつくって人心を惑わす輩もいたらしいので、場合によってはオレがこのガイザーの教団を乗っ取る可能性を考えているのかもしれない。
そういえばオレとビネースが顔を合わせたばかりだということも、マクラマンは知らないからな。
さっき顔を合わせた時に、ビネースはオレと親しそうに振る舞っていた事から、ガイザー神の司祭たる『心の王』がオレをかばうのも、教団乗っ取りのためにオレがたらし込んだかもしれないと考えているのか?
そりゃまあ元の世界の刑事ドラマでも『刑事の仕事はまず疑う事だ』と言われていたけど、そんな悪行を企んでいるかもしれないと思われるのは何とも心外だ。
「ひとつお断りしておきますけど、わたしとビネースさんは少し前に出会ったばかりですよ」
「そうですか。出会ったばかりのあなたの為に、一騎打ちを挑むとは随分とお親しい関係になったものですね」
例によってマクラマンの表向きの態度には殆ど感情が出てこないので、どこまでオレを疑っているのかもよく分からない。
何というか『法の執行者』らしく、個人の感情をなるだけ排除するような心構えを持っているのかもしれない。
「それで同行は了承してもらえますかな?」
「構いませんけど、わたしはこれからしばらくビネースさんにお付き合いする約束をしているのですよ」
チラとビネースを見ると、心の王はそのたくましい肩をすくめる。
「やむを得ませんな。ただついてくるだけで敵対しない相手をこちらから攻撃するのは、平和と尊ぶガイザー神の神命に背きます。こちらからは一切手助けはしませんが、ご自由にどうぞとしか言いようがありません」
オレとしてはこの二人に挟まれるのは激しく遠慮したいのだが、困った事にオレにはマクラマンに対して『身の潔白』を証明する手段も無い。
何しろ聖女教会に問い合わされるわけにはいかないからな。
そうするとやむを得ないが、ここはマクラマンに付き合ってもらうべきだろうか。
少なくともオレがいかがわしい教団をでっち上げるとか、他人を詐欺にかけるとか、どんな角度から見てもあり得ないわけだし、しばらく付き合ってくれれば諦めてくれるはずだ。
もっともその場合、どう考えてもマクラマンとビネースが仲良くするのは無理だろうけど、幸か不幸かマクラマンは一騎打ちを求められても応じるつもりは無いらしいので、そこはどうにかなると思うとしよう。
「ただしこの先の領域には武器を持つものを入れるワケにはいきません。それは前もって断っておきますよ」
「まあいいでしょう。いくら同行すると言っても、ご婦人に始終付きまとうほど愚僧もバカではありませんからな」
ここでマクラマンの目が厳しく光ったような気がするが、恐らくオレが逃げたらどこまでも追い回すつもりなのだろう。
「お二人とも決して無益な争いはしないで下さいよ」
「無益な争いこそガイザー神のもっとも嫌うものですよ」
「法と秩序、弱者を守るのが愚僧の戦いです」
ふう。いろいろと面倒臭いが、一応はこの場を切り抜けられたらしい。
これでどうにか余計な争い事が起きる前に、マクラマンが納得して引き上げてくれたらいいのだけど。
しかしここでマクラマンはオレがこれまで故意に避けていた事を指摘する。
「ところで同行するからには、あなたの素顔をよく見せてくれますか?」
「確かにずっとアルタシャはフードをかぶっていますが、何か理由があるのですかな」
ビネースもオレに問いかけてくる。
むう。それは当然と言えば当然の要求だけど、容姿だけでも目立ち過ぎるのでどうにか誤魔化したかったところなのだ。
しかし顔をフードに隠したままで済むはずも無いか。
問題を引き寄せるのは分かっていても、仕方ないのでオレはフードを取って素顔を晒す。
「これでよろしいですか?」
オレが素顔を見せたところで、マクラマンだけでなくビネースやミーリア、そして周囲にいたガイザー信徒達も一斉に絶句する様子がうかがえた。
こうなることが分かっていたから、なるだけ顔を見せたくなかったのだが仕方ない。
「少しばかり驚きました」
「これは噂通りの……しかし……」
ビネースは単純に驚いただけらしいが、まさかマクラマンはオレが『本人』だと気付いたのか?
いや。さすがにそこまでは飛躍しすぎか。
「すみませんが、これで勘弁させて下さい」
オレは毎度のように不安を抱えつつ、フードを被り直した。
周囲の一同の視線が集まる中、マクラマンはオレにその顔を見せる。
それは特に怒りや敵意を示すモノでは無かったが、表に出さない決意が秘められているようにオレには感じられた。
「それならば、愚僧はしばらくあなたに同行させてもらいましょう」
「え? それはどういうことですか?」
「あなたが本当に何者なのか、愚僧の目で確かめたいと思いましてな。後ろめたい事が無いのなら、それぐらいは構いませんね?」
ああそうか。
やっぱりマクラマンはこのオレが『アルタシャを騙る詐欺師』という可能性を疑っているのだな。
だけどそんな詐欺師だったら、そもそもこんなガイザーのような貧乏な信徒ばかりの教団についたりせず、もっと金持ちを狙うだろう。
いや。ミツリーンによれば詐欺師の中には、自分を崇拝させるインチキ教団をつくって人心を惑わす輩もいたらしいので、場合によってはオレがこのガイザーの教団を乗っ取る可能性を考えているのかもしれない。
そういえばオレとビネースが顔を合わせたばかりだということも、マクラマンは知らないからな。
さっき顔を合わせた時に、ビネースはオレと親しそうに振る舞っていた事から、ガイザー神の司祭たる『心の王』がオレをかばうのも、教団乗っ取りのためにオレがたらし込んだかもしれないと考えているのか?
そりゃまあ元の世界の刑事ドラマでも『刑事の仕事はまず疑う事だ』と言われていたけど、そんな悪行を企んでいるかもしれないと思われるのは何とも心外だ。
「ひとつお断りしておきますけど、わたしとビネースさんは少し前に出会ったばかりですよ」
「そうですか。出会ったばかりのあなたの為に、一騎打ちを挑むとは随分とお親しい関係になったものですね」
例によってマクラマンの表向きの態度には殆ど感情が出てこないので、どこまでオレを疑っているのかもよく分からない。
何というか『法の執行者』らしく、個人の感情をなるだけ排除するような心構えを持っているのかもしれない。
「それで同行は了承してもらえますかな?」
「構いませんけど、わたしはこれからしばらくビネースさんにお付き合いする約束をしているのですよ」
チラとビネースを見ると、心の王はそのたくましい肩をすくめる。
「やむを得ませんな。ただついてくるだけで敵対しない相手をこちらから攻撃するのは、平和と尊ぶガイザー神の神命に背きます。こちらからは一切手助けはしませんが、ご自由にどうぞとしか言いようがありません」
オレとしてはこの二人に挟まれるのは激しく遠慮したいのだが、困った事にオレにはマクラマンに対して『身の潔白』を証明する手段も無い。
何しろ聖女教会に問い合わされるわけにはいかないからな。
そうするとやむを得ないが、ここはマクラマンに付き合ってもらうべきだろうか。
少なくともオレがいかがわしい教団をでっち上げるとか、他人を詐欺にかけるとか、どんな角度から見てもあり得ないわけだし、しばらく付き合ってくれれば諦めてくれるはずだ。
もっともその場合、どう考えてもマクラマンとビネースが仲良くするのは無理だろうけど、幸か不幸かマクラマンは一騎打ちを求められても応じるつもりは無いらしいので、そこはどうにかなると思うとしよう。
「ただしこの先の領域には武器を持つものを入れるワケにはいきません。それは前もって断っておきますよ」
「まあいいでしょう。いくら同行すると言っても、ご婦人に始終付きまとうほど愚僧もバカではありませんからな」
ここでマクラマンの目が厳しく光ったような気がするが、恐らくオレが逃げたらどこまでも追い回すつもりなのだろう。
「お二人とも決して無益な争いはしないで下さいよ」
「無益な争いこそガイザー神のもっとも嫌うものですよ」
「法と秩序、弱者を守るのが愚僧の戦いです」
ふう。いろいろと面倒臭いが、一応はこの場を切り抜けられたらしい。
これでどうにか余計な争い事が起きる前に、マクラマンが納得して引き上げてくれたらいいのだけど。
しかしここでマクラマンはオレがこれまで故意に避けていた事を指摘する。
「ところで同行するからには、あなたの素顔をよく見せてくれますか?」
「確かにずっとアルタシャはフードをかぶっていますが、何か理由があるのですかな」
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むう。それは当然と言えば当然の要求だけど、容姿だけでも目立ち過ぎるのでどうにか誤魔化したかったところなのだ。
しかし顔をフードに隠したままで済むはずも無いか。
問題を引き寄せるのは分かっていても、仕方ないのでオレはフードを取って素顔を晒す。
「これでよろしいですか?」
オレが素顔を見せたところで、マクラマンだけでなくビネースやミーリア、そして周囲にいたガイザー信徒達も一斉に絶句する様子がうかがえた。
こうなることが分かっていたから、なるだけ顔を見せたくなかったのだが仕方ない。
「少しばかり驚きました」
「これは噂通りの……しかし……」
ビネースは単純に驚いただけらしいが、まさかマクラマンはオレが『本人』だと気付いたのか?
いや。さすがにそこまでは飛躍しすぎか。
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