異世界転移したら女神の化身にされてしまったので、世界を回って伝説を残します

高崎三吉

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第15章 とある御家騒動の話

第524話 新しい連れと共にいると

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 とりあえず前もって『調和』をかけて、暴力的な行動は止めておこう。
 遠目に見る限り、連中はかなり急いでいる様子だ。たぶん先ほど見えた魔法の『烽火』が緊急事態を示すものだったからだろう。
 その上で急いでいる相手がこちらを無視して通り過ぎてくれるならよし、そうで無い場合はとっとと逃げるだけだ。
 我ながらいつも通りの行き当たりばったりだけど仕方ないな。
 そしてしばしの後、連中はそのままオレ達とすれ違う。
こちらが少しばかり安堵するが、そこでこちらに声が飛んでくる。

「おい! そこの二人!」

 見ると男が一人、こちらに警戒心のこもった声をかけている。
 むう。マズいな。
 声を出すと女の身だと簡単にバレてしまいかねないが、黙っていたらかえって怪しまれるのは必定だ。

「どうした。何を黙っている」
「すみません。何かご用でしょうか?」

 オレが答えたところで、くだんの男ともう一人がこちらに向かってくる。
 仕方ない。今のところ『調和』は有効なはずだから、ここは適当に応じて誤魔化すしか無いだろう。

「……」

 フードの人は緊張で身体を固めている。むうマズいな。オレが『調和』をかけているので、彼女が剣を振るう事は無いはずだから、今はこちらにあわせてくれる事を期待するしかないな。

「お前達、この道を歩いてきたのだな」
「ええ……仰る通りです」
「お前達の来た道には何人か武器を持った連中がいたはずだが、どんな様子だった?」

 どうやら仲間の様子を確認したいだけらしい。
 ここは可能な限り正直に答えるとしよう。

「すみませんけど、この道には誰もいませんでしたよ」
「なんだと? それは本当か?」
「ああそうだ。確かに誰もいなかった」

 フードの人もオレに話を合わせて答える。

「むう……いったい何があったんだ?」
「おい! いつまでそんな奴らに関わっている。早く行くぞ!」

 ここで少し離れた仲間から、急かす声が響いてくる。

「分かった。すぐに行く」

 ふう。どうやらこのまま見逃してくれるようだな。
 珍しく安心出来る展開と言うべきか。

「それではフードを取って顔を見せろ」
「え?」
「こっちは急いでいるんだ。早くしろ!」

 これは仕方ないか。何しろこちらは見る限り怪しい二人組だからな。
 オレは仕方なくフードを取って顔を見せる。

「ぬう……これは……」

 いつも通りではあるが、オレの容貌を見て相手は息を呑む。

「おいそちらのお前も――」

 そこまで口にしたところで、フードの人は逃げるように駆け出す。いや。たぶん本当に逃げ出したんだろう。

「おい! やっぱりお前達は!」

 別に彼女の仲間というワケでは無いのですけど、おそろいのフード姿で一緒に歩いて来たらそう見られるのが当たり前だよな。
 そして男達の叫びを聞いて、前を進んでいた三人もこちらに駆け寄ってくる。
 こうなっては仕方ない。
 まずは手近なところにいる二人に対し魔力を増強した『平静』カームをかけて、精神を膠着させる。
 その上で『成長加速』グロウス『植物歪曲』ワープ・ウッドの魔法で周囲の植物を伸ばして道を封鎖しよう。

「なんだこれは?!」

 さすがにこれは想定外だったようで、戻ってきた連中も驚愕しているようだ。
 これで足止めをしている間にとっとと逃げるしか無いな。
 そんなわけでオレは走って一気にフードの人に追いつく。
 当然ながら相手はかなり必死な様子で駆けているが、このまま突っ走ってもたぶん他のところにいる連中の仲間に引っかかるだけだろう。

「落ち着いて下さい。さっきの連中はしばらくは足止め出来ているはずですから、今は焦らないで」
「いったい……あなたは何者なんだ?」

 フードの人はオレの言葉を一応は受け入れてくれたらしく、足を止めて問いかけてくる。
 当然の疑問でしょうけど、今は詳しく説明している場合ではありません。
 そう思っていると、さっきの連中のいた辺りから、また別の光が空に上って輝く。
 やっぱりあいつらも魔法の『烽火』シグナルファイアは使えたらしい。
 そしてそれを見てフードの人は唇を噛む。
 よくよく見ると走ったので、フードがズレて少しばかり顔が見えていますけど、髪は金髪で容貌もなかなかの美人だ。
 どうやら本当に追われているのは彼女らしい。
 いつもの事だけどピンポイントでこういう相手と出くわすのが、オレの運命というものなのかね。
 お陰で、これぐらいの事ではまるで動じなくなってしまったよ。

「少し待って下さい。周囲の様子を確認しますから」
「いったいどうするつもりなんだ?」

 オレは魔法の『鷹の目』イーグル・アイで視覚を上空へと飛ばす。
 そうすると先ほどの検問以外にも、この周辺の山道のあちこちに見張りの人間がいるようだ。それが全員、彼女を追っているかどうかは分からないが、ざっと見て数十人はいるだろう。
 少なくとも道を通っていたら、確実にそのどれかと出くわすだろう。
 こうなるとどのグループも『烽火』を使えると考えるべきだから、次々に集まってくるといろいろ面倒だ。
 仕方ないな。ここは道は道でも『獣道』を突っ切るとしよう。
 オレが視覚を身体に戻すと、フードの人は心配げに問いかけてきた。

「何をしていたんだ?」
「詳しい説明は後です。今はこちらについてきて下さい」
「分かった……今はあなたを信じよう」

 そんなわけでオレ達二人は文字通り『道なき道』に足を踏みいれる事となった。
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