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第18章 奇怪なる殺戮者?
第720話 またも行く先の街にて
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現在、オレはこれまで通過して来た大陸の中部地域と東方地域の境目とされている巨大な山脈の麓にまでたどり着いていた。
そんなオレの眼前には元の世界では写真でしか見たことのないような、もの凄い山嶺が延々と連なっている。
当然ながらこの山脈を越えるのは簡単ではなく、いくつかの限られたルートがあって、そこが東西交易の重要な通商路となっている。
オレの場合はドルイド魔法によりサバイバルには自信はあるし、垂直の壁面でも魔法の『蜘蛛登り』を使えば造作も無く登れる。
しかし山の精霊とかいろいろ面倒な相手もいるだろうし、場所によっては関所破り扱いもされかねないのでここは普通に交易路を通るとしよう。
またこの巨大な山脈にもいろいろと伝説があって
『偉大な皇帝が、絶え間なく侵略してくる蛮人に対する防御壁として地面を隆起させ一夜にして作り上げた』
(当然ながらその『偉大な皇帝』と『蛮人』については、この山脈の東西で全く正反対の主張がなされている)
『天空を支えていた巨人が果てしない年月の末に山脈となった』
『大陸の地下に眠る巨大な龍の背骨が地面から突き出ているのだ』
などなど、それぞれ矛盾する伝説が語られ、場所によってはその『偉大な皇帝』『巨人』『龍』を神として崇拝する教団まであるのは、この世界ではよくある事だ。
そしてオレが今いる地域ではこの山脈は『龍の背骨』という教えが主流らしく『龍背山脈』と呼ばれている。
そしてオレが現在、その城壁の前に立っているのは、その交易ルートの一つの西側出口に位置するヒュールという名前の地方都市だ。
オレがここに来たのは、この街がいろいろな文化の境目に位置していて、そのためかいろいろな魔法の研究で知られているからだった。
さすがに性転換魔法が見つかるとは思っていないけど、今後の旅に役立つ魔法をいくらかでも見つけられるかもしれない。
ただ以前に出向いたライバンスの魔法学院のように大きな教育機関があるのではなく、交易路における多様な文化が共存し、そのため数は多いが小規模な寺院や魔法使いが軒を並べてしのぎを削り合っているという状況らしい。
もちろん聖女教会の社もあって交易商らを相手にしているようだから、いつものようにオレの正体は隠して行動せねばならないわけだ。
当然ながらこんな交易路だと、アルタシャの名前が広まっているのは確実だから、いつも通り髪の毛は黒く染め、名前も『偽名の偽名』で通す事になる。
このヒュールは交易路に面しつつ、また山から流れてくる川を街に通し、水源と水運の両方に利用している。
一見するに交易商や河川交通の船がひっきりなしに出入りしていて、交易商や旅人など一時滞在者が大勢いるのは間違い無い。
これならオレのようにフードを被って外見を隠していても、それほど怪しまれる事も無いはずだ。
そんなわけでオレはかなり賑わっている、町中に足を踏みいれるがそこで少しばかり目につくものがあった。
高札が掲げられて、大勢の人間が集まって見つめているのだ。
ちょっとばかり興味を引かれたので、近づいて『翻訳』の魔法で読み取ると、どうやら夜間の外出禁止令が出たらしく、日没後に出歩いているものは見つけ次第、警邏隊が身柄を拘束すると言った内容である。
周囲を見るとその高札を眺めている街の住民達はみなどこか怯えた様子がうかがえる。
「やっぱりこうなったか……」
「いつまで怯えてなきゃいけないんだよ」
「夜中に出歩いちゃいけないなら、俺の店は商売あがったりだぜ。どうしてくれるんだよ」
何かロクでもない事がありそうだな。
そんなわけでオレは近くにいる男に向けて話しかける。
「あの夜間外出禁止令はいったい何が理由なのですか?」
「ううん? お前さん旅のものか。それなら知らないのは仕方ないな」
男は小さくため息をつくと、ゆっくりと話を始める。
「ここしばらくの間、夜間に殺人が何度も起きているのさ」
「それは……」
正直に言えばその手の話には過去、何度出くわしたか分からない。
この世界だとロクでもない精霊が解き放たれたり、とんでもない怪物がうろついていたりしても不思議では無いからな。
自分でもつくづくそういう事に慣れてしまったと思わずにはいられない。
そしてオレはそんな厄介事があると、ついつい首を突っ込んでしまう、困った性分でもあるのだ。
「この一月の間にもう分かっているだけでも十人は殺されているはずだ」
うわあ。それはまたとんでもないな。
「人数がハッキリしないのですか?」
「ああ。旅のものも襲われているし、街の人間と言ってもいろいろいるからな」
貧民街の人間だと殺されても、そのまま放置で治安当局でも把握していないのも多いと言う事か。
「噂だが発見された死体はどれも原型を止めない程、酷い有様で、周囲に内臓がまき散らされて、文字通りの血の海だったそうだ」
「その犠牲者には何か共通するところがあるのですか?」
「さあな。聞いた所では老若男女も、富貴も、地位も出身も一切関係ないそうだぜ」
捜査関係者でない一般人なら、その程度だろうか。その噂がどこまで真実か分からないけど、とてつもない殺人鬼なのは確かだろう。
まあ真面目な話、オレは別に『正義の味方』ではないので、仮に殺人鬼がうろついていても自分の身を守る以外に、その対処は地元の官憲にお任せするしかないな。
幾ら凶悪犯でも、行く先々でいちいち相手などしていられない。
そんな事を考えていても、なんとなく関わる羽目になりそうな漠然とした予感があった。とにかくそういう厄介な相手が、オレに引き寄せられてしまうのが分かっているからだ。
そんなオレの眼前には元の世界では写真でしか見たことのないような、もの凄い山嶺が延々と連なっている。
当然ながらこの山脈を越えるのは簡単ではなく、いくつかの限られたルートがあって、そこが東西交易の重要な通商路となっている。
オレの場合はドルイド魔法によりサバイバルには自信はあるし、垂直の壁面でも魔法の『蜘蛛登り』を使えば造作も無く登れる。
しかし山の精霊とかいろいろ面倒な相手もいるだろうし、場所によっては関所破り扱いもされかねないのでここは普通に交易路を通るとしよう。
またこの巨大な山脈にもいろいろと伝説があって
『偉大な皇帝が、絶え間なく侵略してくる蛮人に対する防御壁として地面を隆起させ一夜にして作り上げた』
(当然ながらその『偉大な皇帝』と『蛮人』については、この山脈の東西で全く正反対の主張がなされている)
『天空を支えていた巨人が果てしない年月の末に山脈となった』
『大陸の地下に眠る巨大な龍の背骨が地面から突き出ているのだ』
などなど、それぞれ矛盾する伝説が語られ、場所によってはその『偉大な皇帝』『巨人』『龍』を神として崇拝する教団まであるのは、この世界ではよくある事だ。
そしてオレが今いる地域ではこの山脈は『龍の背骨』という教えが主流らしく『龍背山脈』と呼ばれている。
そしてオレが現在、その城壁の前に立っているのは、その交易ルートの一つの西側出口に位置するヒュールという名前の地方都市だ。
オレがここに来たのは、この街がいろいろな文化の境目に位置していて、そのためかいろいろな魔法の研究で知られているからだった。
さすがに性転換魔法が見つかるとは思っていないけど、今後の旅に役立つ魔法をいくらかでも見つけられるかもしれない。
ただ以前に出向いたライバンスの魔法学院のように大きな教育機関があるのではなく、交易路における多様な文化が共存し、そのため数は多いが小規模な寺院や魔法使いが軒を並べてしのぎを削り合っているという状況らしい。
もちろん聖女教会の社もあって交易商らを相手にしているようだから、いつものようにオレの正体は隠して行動せねばならないわけだ。
当然ながらこんな交易路だと、アルタシャの名前が広まっているのは確実だから、いつも通り髪の毛は黒く染め、名前も『偽名の偽名』で通す事になる。
このヒュールは交易路に面しつつ、また山から流れてくる川を街に通し、水源と水運の両方に利用している。
一見するに交易商や河川交通の船がひっきりなしに出入りしていて、交易商や旅人など一時滞在者が大勢いるのは間違い無い。
これならオレのようにフードを被って外見を隠していても、それほど怪しまれる事も無いはずだ。
そんなわけでオレはかなり賑わっている、町中に足を踏みいれるがそこで少しばかり目につくものがあった。
高札が掲げられて、大勢の人間が集まって見つめているのだ。
ちょっとばかり興味を引かれたので、近づいて『翻訳』の魔法で読み取ると、どうやら夜間の外出禁止令が出たらしく、日没後に出歩いているものは見つけ次第、警邏隊が身柄を拘束すると言った内容である。
周囲を見るとその高札を眺めている街の住民達はみなどこか怯えた様子がうかがえる。
「やっぱりこうなったか……」
「いつまで怯えてなきゃいけないんだよ」
「夜中に出歩いちゃいけないなら、俺の店は商売あがったりだぜ。どうしてくれるんだよ」
何かロクでもない事がありそうだな。
そんなわけでオレは近くにいる男に向けて話しかける。
「あの夜間外出禁止令はいったい何が理由なのですか?」
「ううん? お前さん旅のものか。それなら知らないのは仕方ないな」
男は小さくため息をつくと、ゆっくりと話を始める。
「ここしばらくの間、夜間に殺人が何度も起きているのさ」
「それは……」
正直に言えばその手の話には過去、何度出くわしたか分からない。
この世界だとロクでもない精霊が解き放たれたり、とんでもない怪物がうろついていたりしても不思議では無いからな。
自分でもつくづくそういう事に慣れてしまったと思わずにはいられない。
そしてオレはそんな厄介事があると、ついつい首を突っ込んでしまう、困った性分でもあるのだ。
「この一月の間にもう分かっているだけでも十人は殺されているはずだ」
うわあ。それはまたとんでもないな。
「人数がハッキリしないのですか?」
「ああ。旅のものも襲われているし、街の人間と言ってもいろいろいるからな」
貧民街の人間だと殺されても、そのまま放置で治安当局でも把握していないのも多いと言う事か。
「噂だが発見された死体はどれも原型を止めない程、酷い有様で、周囲に内臓がまき散らされて、文字通りの血の海だったそうだ」
「その犠牲者には何か共通するところがあるのですか?」
「さあな。聞いた所では老若男女も、富貴も、地位も出身も一切関係ないそうだぜ」
捜査関係者でない一般人なら、その程度だろうか。その噂がどこまで真実か分からないけど、とてつもない殺人鬼なのは確かだろう。
まあ真面目な話、オレは別に『正義の味方』ではないので、仮に殺人鬼がうろついていても自分の身を守る以外に、その対処は地元の官憲にお任せするしかないな。
幾ら凶悪犯でも、行く先々でいちいち相手などしていられない。
そんな事を考えていても、なんとなく関わる羽目になりそうな漠然とした予感があった。とにかくそういう厄介な相手が、オレに引き寄せられてしまうのが分かっているからだ。
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