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第18章 奇怪なる殺戮者?
第750話 襲撃してきた相手は
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なんだ? いったい何事だ?
考えられるのはやはり例の殺人鬼がオレを狙ってやってきたことだろう。
身体を乗り移っても一日は自由に出来ないと会長は言っていたが、それをあまり簡単に鵜呑みにしすぎたかもしれない。
そうだ。あの事なかれ主義でタヌキな会長なら、口先で大丈夫だと言い切ってあの場を凌ごうとするぐらいのことはやるだろう。
とにかく今はサレナやシドンに危害が及ばないようにせねばならない!
「わたしが行きます。サレナさんはシドンと一緒に避難して下さい!」
「やっぱりあんたは疫病神ね」
「文句は後で聞きますから!」
オレはそれだけ叫ぶと、玄関に向かって走る。
だがそこにいたのはオレの予想をまたしても裏切る相手だった。
「ガザック……さん? なぜここに?」
オレが入った後、鍵がかかっていた玄関の扉をぶち壊して入り込んでいたのは、魔術師協会で別れたガザックだったのだ。
「……」
だがその血走った目が向けられた瞬間、オレは直感した。
コイツはガザックでは無い。いや。正確に言えば『かつてガザックだったもの』だ。
「あなたはまさか疑似生命体にその身体を……」
「ああそうだとも。思っていたよりなかなかいいぞ」
そう言って疑似生命体と同化したガザックは笑う。
ちょっと前までは『善人面しているが出世欲に駆られた小悪党』程度の存在だったけど、今ではもう立派に人間を辞めてしまったというわけか。
そしてせいぜい数時間で、ガザックが疑似生命体と一体となっている理由もだいたい見当がつくぞ。
「取り憑かれた……のではないのですね。あなたは自らの意志で見つけ出した疑似生命体に身体を差し出した」
「そういうことだ。さすがに名高い女英雄だけだって落ち着いているのだな」
昨晩出会った時にも霊力では遥かに下でありながら、オレが同意していれば憑依できると言っていたからな。
もちろん『乗り移るのに同意せねば殺す』とかそんな強制による口約束では意味は無いのだろうけど、ガザックは心から疑似生命体に身体も魂も捧げてしまったのか。
「いったい何のためにそんな事を? あなたの言っていた疑似生命体メルティナに乗っ取られる事を選ぶなんて――」
「それはいくつか誤っているな」
どこか獣めいた印象を漂わせつつ、ガザックはジリジリと迫ってくる。
「私が追っていたのはメルティナでは無かったと言う事だ。何とも滑稽な話だがな」
「それならばいまあなたが同化していて、わたしが会話している疑似生命体は何という名前なのですか?」
ここは無駄話でもなんでも時間を稼ぐべきだ。
サレナとシドンが一緒にこの屋敷から逃げる時間は最低でも必要だし、魔術師協会だってガザックを追っているはずだ。
時間があればオレの方が有利になると期待しておこう。
逆に不利な要素は暴力的活動を抑止する『調和』が疑似生命体には通用しないことだ。
知性の無い動物の補食活動には効果が無いのと同様、疑似生命体には人間を喰う事が当たり前なので『暴力的活動』という意識そのものが無いのではないか。
「魔術師協会の記録ではこれの――いや、今の我が名はラザラだな」
「地下の保管庫に封印されていたのが、それだったと言う事ですか?」
「てっきりメルティナだと思っていたのだが、どうやらヤツはもう一体の方らしい。そうすると先代会長が死んだ後で十年間どこで何をしていたのだか……」
そうするとあの『水銀の女性』がメルティナの方なのか。
サレナの父である先代会長の残した資料は殆ど失われていたので、ガザックは勘違いしていたと言う事になる。
しかしこの言い方からすると、一つの疑惑が出てくるぞ。
「あなたはもしかして……魔術師協会の地下に封印されていた疑似生命体を解き放ったのではないのですか?」
「あの老いぼれ共は禁忌だなどと抜かし、避けていたからな。もっとも我が手の者が乗っ取られて、これだけ面倒な事になるとは思ってもいなかったが」
さすがにガザック本人が直接、地下の保管庫から盗み出したわけでは無く、誰か手先を送り込んで盗もうとしたのか。
だけど会長が言っていたように『休眠状態』だった疑似生命体ラザラはその盗人に取り憑いて逃げ出したのだろう。
断片的な情報しか得ていなかったガザックは、そこまで知らなかったのだな。
そしてラザラは言わば『本能の赴くまま』『自分探しの旅』と言う事で殺人行為を繰り返していたに違いない。
「いったいなぜそんな事をしたのですか?」
「決まっているだろう。『永遠の命』そして何よりも力に憧れぬ者がいるのか? 大陸にその名を馳せ、皇帝や王ですらひれ伏すというお前のような存在になりたいと思って何が悪い」
いや。オレは全くそんな事を望んではいなかったんだけど、それは言うだけ無駄だって事ぐらいは分かる。
「しかしお前には感謝はしているぞ。魔術師協会であの屈辱を受けなかったら、ラザラと一つになる覚悟は固まらなかったろう」
そもそもその原因は全部、そちらの方でしょう、などと指摘したところで改心するような相手なら苦労は無い。
「そしてもう一つ感謝しているぞ。いまお前を喰ってその力を得れば、私は一気に神にも届く力を得られるだろうからな!」
ガザックがそう叫んだ瞬間、その爪は一気に延び、口からは牙が延び、全身が獣じみた外見と化す。
どうやら無駄話はここまでのようだ。だがオレが身構えたそのとき、これまた思わぬ声が背後から響いて来た。
「ちょっと待ちなさい! 危ないから!」
「ダメだよ! アルさんを置いて逃げられないよ!」
廊下の向こうにシドンとサレナが姿を見せたのだった。
おい。オレを気遣ってくれたのは分かるし、勇気があるのは結構だが、向こう見ずにも程があるだろうが!
考えられるのはやはり例の殺人鬼がオレを狙ってやってきたことだろう。
身体を乗り移っても一日は自由に出来ないと会長は言っていたが、それをあまり簡単に鵜呑みにしすぎたかもしれない。
そうだ。あの事なかれ主義でタヌキな会長なら、口先で大丈夫だと言い切ってあの場を凌ごうとするぐらいのことはやるだろう。
とにかく今はサレナやシドンに危害が及ばないようにせねばならない!
「わたしが行きます。サレナさんはシドンと一緒に避難して下さい!」
「やっぱりあんたは疫病神ね」
「文句は後で聞きますから!」
オレはそれだけ叫ぶと、玄関に向かって走る。
だがそこにいたのはオレの予想をまたしても裏切る相手だった。
「ガザック……さん? なぜここに?」
オレが入った後、鍵がかかっていた玄関の扉をぶち壊して入り込んでいたのは、魔術師協会で別れたガザックだったのだ。
「……」
だがその血走った目が向けられた瞬間、オレは直感した。
コイツはガザックでは無い。いや。正確に言えば『かつてガザックだったもの』だ。
「あなたはまさか疑似生命体にその身体を……」
「ああそうだとも。思っていたよりなかなかいいぞ」
そう言って疑似生命体と同化したガザックは笑う。
ちょっと前までは『善人面しているが出世欲に駆られた小悪党』程度の存在だったけど、今ではもう立派に人間を辞めてしまったというわけか。
そしてせいぜい数時間で、ガザックが疑似生命体と一体となっている理由もだいたい見当がつくぞ。
「取り憑かれた……のではないのですね。あなたは自らの意志で見つけ出した疑似生命体に身体を差し出した」
「そういうことだ。さすがに名高い女英雄だけだって落ち着いているのだな」
昨晩出会った時にも霊力では遥かに下でありながら、オレが同意していれば憑依できると言っていたからな。
もちろん『乗り移るのに同意せねば殺す』とかそんな強制による口約束では意味は無いのだろうけど、ガザックは心から疑似生命体に身体も魂も捧げてしまったのか。
「いったい何のためにそんな事を? あなたの言っていた疑似生命体メルティナに乗っ取られる事を選ぶなんて――」
「それはいくつか誤っているな」
どこか獣めいた印象を漂わせつつ、ガザックはジリジリと迫ってくる。
「私が追っていたのはメルティナでは無かったと言う事だ。何とも滑稽な話だがな」
「それならばいまあなたが同化していて、わたしが会話している疑似生命体は何という名前なのですか?」
ここは無駄話でもなんでも時間を稼ぐべきだ。
サレナとシドンが一緒にこの屋敷から逃げる時間は最低でも必要だし、魔術師協会だってガザックを追っているはずだ。
時間があればオレの方が有利になると期待しておこう。
逆に不利な要素は暴力的活動を抑止する『調和』が疑似生命体には通用しないことだ。
知性の無い動物の補食活動には効果が無いのと同様、疑似生命体には人間を喰う事が当たり前なので『暴力的活動』という意識そのものが無いのではないか。
「魔術師協会の記録ではこれの――いや、今の我が名はラザラだな」
「地下の保管庫に封印されていたのが、それだったと言う事ですか?」
「てっきりメルティナだと思っていたのだが、どうやらヤツはもう一体の方らしい。そうすると先代会長が死んだ後で十年間どこで何をしていたのだか……」
そうするとあの『水銀の女性』がメルティナの方なのか。
サレナの父である先代会長の残した資料は殆ど失われていたので、ガザックは勘違いしていたと言う事になる。
しかしこの言い方からすると、一つの疑惑が出てくるぞ。
「あなたはもしかして……魔術師協会の地下に封印されていた疑似生命体を解き放ったのではないのですか?」
「あの老いぼれ共は禁忌だなどと抜かし、避けていたからな。もっとも我が手の者が乗っ取られて、これだけ面倒な事になるとは思ってもいなかったが」
さすがにガザック本人が直接、地下の保管庫から盗み出したわけでは無く、誰か手先を送り込んで盗もうとしたのか。
だけど会長が言っていたように『休眠状態』だった疑似生命体ラザラはその盗人に取り憑いて逃げ出したのだろう。
断片的な情報しか得ていなかったガザックは、そこまで知らなかったのだな。
そしてラザラは言わば『本能の赴くまま』『自分探しの旅』と言う事で殺人行為を繰り返していたに違いない。
「いったいなぜそんな事をしたのですか?」
「決まっているだろう。『永遠の命』そして何よりも力に憧れぬ者がいるのか? 大陸にその名を馳せ、皇帝や王ですらひれ伏すというお前のような存在になりたいと思って何が悪い」
いや。オレは全くそんな事を望んではいなかったんだけど、それは言うだけ無駄だって事ぐらいは分かる。
「しかしお前には感謝はしているぞ。魔術師協会であの屈辱を受けなかったら、ラザラと一つになる覚悟は固まらなかったろう」
そもそもその原因は全部、そちらの方でしょう、などと指摘したところで改心するような相手なら苦労は無い。
「そしてもう一つ感謝しているぞ。いまお前を喰ってその力を得れば、私は一気に神にも届く力を得られるだろうからな!」
ガザックがそう叫んだ瞬間、その爪は一気に延び、口からは牙が延び、全身が獣じみた外見と化す。
どうやら無駄話はここまでのようだ。だがオレが身構えたそのとき、これまた思わぬ声が背後から響いて来た。
「ちょっと待ちなさい! 危ないから!」
「ダメだよ! アルさんを置いて逃げられないよ!」
廊下の向こうにシドンとサレナが姿を見せたのだった。
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