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第18章 奇怪なる殺戮者?
第762話 どうにか片付いたが、それから……
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やったか?
サレナの魔法で加速された投石は見事に怪物と化したガザックの肉体をぶち抜いたが、もし一瞬でも避けるのが遅れたら、オレの方も同じ運命だったろう。
我ながら毎度毎度、ギリギリの事ばかりしているものだ。
つくづく変身ヒーローなり、バトル系魔法少女なりが必殺技であっさりと片付けるのが羨ましく思えるところだな。
城壁の上で鈴なりになっていた連中は、固唾を飲んでこちらの様子を伺っているようだ。
それは怪物と化したガザックを仕留めることが出来たかどうかと言うことと、もう一つ巨大化しているオレが暴れ出さないかという警戒でもあるだろう。
とにかく緊張しつつオレを注視している連中の誤解を招くような迂闊な動きはせずに、とっとと終わらせよう。
「どうにかなったでしょうか? サレナさんに中核部の位置はわかりますか」
《大体のところはね。とりあえずもう時間がないから急いで言う通りにしてちょうだい》
そんなわけでオレは気色の悪い肉塊の残骸に手を伸ばし、サレナの指示通り中からいろいろと抉り出す。
《気をつけてよね。あんたの場合は仕方なかったけど、ガザックみたいな奴の人格を取り込むなんて想像するだけで、胸が悪くなるから》
「それはわたしも同意見ですよ」
人格が崩壊しつつもなお力を求めてオレを取り込もうとするガザックの意識の断片が聞こえて来ただけで、背筋が寒くなった。
もちろんこれ以上、擬似生命体に取りつかれる人間を増やすわけにはいかないので慎重に対処するしかない。
しばらくしてサレナの安堵の声が脳裏に響く。
《どうやらこれで全部らしいわね。もう時間がないから一体化を解くわよ》
「その後、わたしはいいとしてサレナさんはどうするのですか?」
《そんな事まであんたに教える義理はないわね》
つっけんどんな反応にオレは慌てて問いかける。
「え……ちょっと待って下さい。シドンに話をして――」
《そんな事をしても無駄よ。何と言ってもあたしは『化け物』なんだから。シドンもそう言い切っていたでしょ》
確かにサレナが本性を現した時、シドンはそう言ってサレナを糾弾した。
だけどそのままでいいはずがない。サレナがシドンやこの町を守った事は絶対に伝えねばならないし、誤解も解く必要がある。
「いえ。さっきだってシドンはこちらに攻撃するのを止めるよう、守備隊に呼びかけてくれていましたよ。見えていませんでしたか?」
《もちろんそれぐらいは分かっていたわよ。ちょっとだけでも嬉しかったわ》
「最初にシドンが言った事は、いきなりのことで混乱したからでしょう。冷静になって話をすればきっと分かってもらえますよ」
だがここで困ったようなため息の声が響いて来た気がする。
《むしろ……あたしが『化け物』として憎まれていた方がまだ気が楽だった気がするわ……ためらわずに立ち去れるから》
「それならわたしも協力しますから――」
《仮にシドンが了承したとして、今後あたしがあの子と一緒に暮らすなんて、出来ない事は分からないの? さっきも言ったけど、あんたはあまりに人間離れしすぎて『普通の人間』の考える事とズレ過ぎているわよ》
「そ、それは……」
言われてみればその通りだ。
オレは彼女が疑似生命体であっても、ずっと『サレナ』だった事を知り、ごく当たり前に受け入れたけど、他の人間はそうはいかない。
擬似生命体が連続殺人を引き起こし、挙げ句の果てに町に大被害をもたらしておきながら『サレナはあいつらと違うから、これからも今まで通りよろしく』と言って信じてくれる相手はまずいない。
精一杯、よく考えても魔術師協会で身柄を拘束されて、実験材料に使われるのが関の山というところだろう。
オレが弁護したところで、町の住民たちが納得するとはとても思えない。何しろ目の前で擬似生命体がこんなとてつもない事をやらかしてしまったのだからな。
《そういうわけだから、後はあんたに任せるわ。さようなら!》
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
引き留めようとした瞬間、オレの周囲の景色が全て切り替わった。
一瞬だが意識が飛び、気がつくとオレの目の前には砕けた肉片や、どす黒い血しぶきの跡が広がっていただけだった。
思わず辺りを見回すが、サレナの少女の姿も白銀の乙女の姿も、両方が影も形も残っていなかった。
いったいどこに行ってしまったのか。
「とにかくサレナを探して……あれ?」
「「「……」」」
城壁の方から固唾を飲んで見守っていた視線が、また別の意味でオレの身に突き刺さっている事に気がついたのだ。
そしてオレはちょっとどころではなく、自分の身がヤバい状況にあることを遅まきながら理解した。
なんということだろう――この時のオレは全裸だったのだ!
「うぉぉぉ! 何とお美しい!」
「生きていてよかった」
大分離れている筈だけど見えてんのかよ!
結構強力な攻撃魔法を放てるだけ魔法使いが何人もいるのだから、遠く離れたところの画像をアップにするぐらいは出来て不思議では無いが、粘液プレイの次は全裸晒し者かよ!
これでも『巨大化した化け物』などと言われて、石持て追われるよりはマシと思うしかないのか。
サレナの魔法で加速された投石は見事に怪物と化したガザックの肉体をぶち抜いたが、もし一瞬でも避けるのが遅れたら、オレの方も同じ運命だったろう。
我ながら毎度毎度、ギリギリの事ばかりしているものだ。
つくづく変身ヒーローなり、バトル系魔法少女なりが必殺技であっさりと片付けるのが羨ましく思えるところだな。
城壁の上で鈴なりになっていた連中は、固唾を飲んでこちらの様子を伺っているようだ。
それは怪物と化したガザックを仕留めることが出来たかどうかと言うことと、もう一つ巨大化しているオレが暴れ出さないかという警戒でもあるだろう。
とにかく緊張しつつオレを注視している連中の誤解を招くような迂闊な動きはせずに、とっとと終わらせよう。
「どうにかなったでしょうか? サレナさんに中核部の位置はわかりますか」
《大体のところはね。とりあえずもう時間がないから急いで言う通りにしてちょうだい》
そんなわけでオレは気色の悪い肉塊の残骸に手を伸ばし、サレナの指示通り中からいろいろと抉り出す。
《気をつけてよね。あんたの場合は仕方なかったけど、ガザックみたいな奴の人格を取り込むなんて想像するだけで、胸が悪くなるから》
「それはわたしも同意見ですよ」
人格が崩壊しつつもなお力を求めてオレを取り込もうとするガザックの意識の断片が聞こえて来ただけで、背筋が寒くなった。
もちろんこれ以上、擬似生命体に取りつかれる人間を増やすわけにはいかないので慎重に対処するしかない。
しばらくしてサレナの安堵の声が脳裏に響く。
《どうやらこれで全部らしいわね。もう時間がないから一体化を解くわよ》
「その後、わたしはいいとしてサレナさんはどうするのですか?」
《そんな事まであんたに教える義理はないわね》
つっけんどんな反応にオレは慌てて問いかける。
「え……ちょっと待って下さい。シドンに話をして――」
《そんな事をしても無駄よ。何と言ってもあたしは『化け物』なんだから。シドンもそう言い切っていたでしょ》
確かにサレナが本性を現した時、シドンはそう言ってサレナを糾弾した。
だけどそのままでいいはずがない。サレナがシドンやこの町を守った事は絶対に伝えねばならないし、誤解も解く必要がある。
「いえ。さっきだってシドンはこちらに攻撃するのを止めるよう、守備隊に呼びかけてくれていましたよ。見えていませんでしたか?」
《もちろんそれぐらいは分かっていたわよ。ちょっとだけでも嬉しかったわ》
「最初にシドンが言った事は、いきなりのことで混乱したからでしょう。冷静になって話をすればきっと分かってもらえますよ」
だがここで困ったようなため息の声が響いて来た気がする。
《むしろ……あたしが『化け物』として憎まれていた方がまだ気が楽だった気がするわ……ためらわずに立ち去れるから》
「それならわたしも協力しますから――」
《仮にシドンが了承したとして、今後あたしがあの子と一緒に暮らすなんて、出来ない事は分からないの? さっきも言ったけど、あんたはあまりに人間離れしすぎて『普通の人間』の考える事とズレ過ぎているわよ》
「そ、それは……」
言われてみればその通りだ。
オレは彼女が疑似生命体であっても、ずっと『サレナ』だった事を知り、ごく当たり前に受け入れたけど、他の人間はそうはいかない。
擬似生命体が連続殺人を引き起こし、挙げ句の果てに町に大被害をもたらしておきながら『サレナはあいつらと違うから、これからも今まで通りよろしく』と言って信じてくれる相手はまずいない。
精一杯、よく考えても魔術師協会で身柄を拘束されて、実験材料に使われるのが関の山というところだろう。
オレが弁護したところで、町の住民たちが納得するとはとても思えない。何しろ目の前で擬似生命体がこんなとてつもない事をやらかしてしまったのだからな。
《そういうわけだから、後はあんたに任せるわ。さようなら!》
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
引き留めようとした瞬間、オレの周囲の景色が全て切り替わった。
一瞬だが意識が飛び、気がつくとオレの目の前には砕けた肉片や、どす黒い血しぶきの跡が広がっていただけだった。
思わず辺りを見回すが、サレナの少女の姿も白銀の乙女の姿も、両方が影も形も残っていなかった。
いったいどこに行ってしまったのか。
「とにかくサレナを探して……あれ?」
「「「……」」」
城壁の方から固唾を飲んで見守っていた視線が、また別の意味でオレの身に突き刺さっている事に気がついたのだ。
そしてオレはちょっとどころではなく、自分の身がヤバい状況にあることを遅まきながら理解した。
なんということだろう――この時のオレは全裸だったのだ!
「うぉぉぉ! 何とお美しい!」
「生きていてよかった」
大分離れている筈だけど見えてんのかよ!
結構強力な攻撃魔法を放てるだけ魔法使いが何人もいるのだから、遠く離れたところの画像をアップにするぐらいは出来て不思議では無いが、粘液プレイの次は全裸晒し者かよ!
これでも『巨大化した化け物』などと言われて、石持て追われるよりはマシと思うしかないのか。
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