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第19章 神気の山脈にて
第815話 『首』の精霊に襲われて気付いた事とは
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このシャーマンはいったい何をするつもりなのだろうか。
ありがちなファンタジーのように、ここに『神の首』があって、その首が胴体と一体になるというものではないはずだ。
そんな事があったらそもそもとっくの昔に首と胴体が一緒になっているはずだからな。
「ここまで追って来たと言う事は、どうしても俺を倒したいのか」
「あなたが諦めてくれさえすれば、いいのですけどね」
「そんなわけにいくか!」
シャーマンは力の限り叫ぶ。
「これまでどれだけ犠牲を出してきたと思っているのだ! 生け贄だけでなく我が魂まで捧げてやってきた事をこんなところで諦められるか!」
ああ。その気持ちは分かるけど『今まで苦労してきた事を捨てられない』というのは、大失敗の原因ですよ。
「そんな事をしても、あなたが無駄に命を捨てるだけですよ。そもそもこんなところに『神の首』があるのですか?」
「もちろんだとも!」
え? 力の限り答えられたけど、いくら何でもそれはおかしくないかい?
「待って下さい。それならどうしてその『首』がいつまでも胴体と離れたままでいるのですか? おかしいでしょう」
いや。まあ生物だったら首をはねられたら、それがくっつく事などあり得ない。
往年の有名ファンタジー漫画だったら『死神』の本体が常に同行している使い魔の方だったので、どれだけダメージを受けてもへっちゃらで、首をはねられても大丈夫な不死身の身体という話があったけど、どう考えてもそういう話じゃないだろう。
「そんな事などどうでもいい。俺はその首に力を与え、そして一体となったのだ!」
「ええ?」
首だけの亡霊に取り憑かれるというのは、あり得るかもしれないけど、それでどうなるというのだろうか。
幸か不幸か、オレの『霊視』では相手の霊力は『弱い』範疇なので、特別強力というわけではない。
そしてここでシャーマンの首のあたりに、大きな精霊が重なって見える。
どうやら取り憑いた首の精霊らしい。
「どうしたんだね? 何か見えるのかい?」
やっぱりフォラジには見えていないらしい。
しかしその態度からするとやはりなにがしか不気味なものを感じてはいるようだ。
そして精霊が叫ぶ。
『我が胴体はどこにも見当たらぬ! もうこの世にはおらぬか!』
ええ? どういうことだ?
ここからちょっと離れたところに、胴体の精霊がいたじゃないか。
脅威に感じたシャーマン達が封じていたとか、ありそうな話ではあるが、少なくとも何百年もここにいて気がつかないものだろうか。
いや。待てよ。首の精霊が『全盛期』の意識を有しているのならば、あの胴体はあまりにもみすぼたらしくて自分の胴体とは思えないのかもしれない。
そうするとあの胴体の精霊に、こちらのシャーマンが贄を捧げていたのは、力をつけて合体させるためだったのか。
それでも何かが引っかかる。
しかしオレがそこを詳しく考える時間は無かった。
首の精霊が大きく口をあけて、こちらに襲いかかってきたのだ。
『お前の身体ならば、我が身にふさわしい。よこすがいい!』
「そんなわけにいきますか!」
オレは『精霊遮断』で精霊を食い止める。
『我が胴体となるのならば、お前は更に力を得ることが出来るだろう。なぜ断る』
そりゃまあこれまであんたに出会った中で、オレが一番『神に近い』だろうからな。
そして崇拝しているものにとっては光栄極まり無い事かもしれないけど、オレにとってはただの悪夢です。
『心配するな。吾に胴体を捧げるならば、そなたの魂は幸福にあの世にいけるだろう』
「そもそもあの世になんか行きたくないのですけど!」
『ならばあの世に行って、そこにある我が胴体を探してくるがいい』
なんだって? あの世に胴体がある?
それはいくら何でも違うのでは無いか。
「待って下さい。あなたの胴体は粉々に打ち砕かれたのではないのですか?」
まさかそれについても気付いていないのか?
ひょっとすると、その現実を受けいれていないのかもしれない。
オレはこうやって当たり前に精霊と会話しているけど、殆どのシャーマンや司祭でも、そう簡単に相手の意図は分からないようだからな。
そしてオレの守護女神であるイロールも信徒の事は殆ど分かっていなかった。
双方共に意思疎通に失敗していた結果が、この事態を招いてしまったのだろうか?
そんな誤解が何百年も続いていたとは、オレとしてもビックリだよ。
『お前の身体を寄こせ! そうすれば吾は首をはねられる前に戻って戦いを続ける事が出来るのだ!』
「その相手とはいったい誰ですか?」
『この吾の首をはねた相手に決まっていようが!』
ううむ。このあたりは以前に聞いた『椀かづき』の伝説と一致しているから、疑う要素など無いはずなのだが、それでも何かがおかしい。
さっきからまとわりつくこの違和感の正体はなんだろうか?
待てよ。イスタスから聞いた伝説では『椀かづき』はあの世の入り口で不意を撃たれて首をはねられたのだったな。
そしてその時の話からすると――まさか?!
そうか! そういうことだったのか!
間違い無い! これは『神代の昔』から来る誤解の積み重ねによるものだったんだ。
気付いた真相のあまりの恐ろしさというか、むしろ馬鹿馬鹿しさに、オレは愕然とならずにはいられなかった。
ありがちなファンタジーのように、ここに『神の首』があって、その首が胴体と一体になるというものではないはずだ。
そんな事があったらそもそもとっくの昔に首と胴体が一緒になっているはずだからな。
「ここまで追って来たと言う事は、どうしても俺を倒したいのか」
「あなたが諦めてくれさえすれば、いいのですけどね」
「そんなわけにいくか!」
シャーマンは力の限り叫ぶ。
「これまでどれだけ犠牲を出してきたと思っているのだ! 生け贄だけでなく我が魂まで捧げてやってきた事をこんなところで諦められるか!」
ああ。その気持ちは分かるけど『今まで苦労してきた事を捨てられない』というのは、大失敗の原因ですよ。
「そんな事をしても、あなたが無駄に命を捨てるだけですよ。そもそもこんなところに『神の首』があるのですか?」
「もちろんだとも!」
え? 力の限り答えられたけど、いくら何でもそれはおかしくないかい?
「待って下さい。それならどうしてその『首』がいつまでも胴体と離れたままでいるのですか? おかしいでしょう」
いや。まあ生物だったら首をはねられたら、それがくっつく事などあり得ない。
往年の有名ファンタジー漫画だったら『死神』の本体が常に同行している使い魔の方だったので、どれだけダメージを受けてもへっちゃらで、首をはねられても大丈夫な不死身の身体という話があったけど、どう考えてもそういう話じゃないだろう。
「そんな事などどうでもいい。俺はその首に力を与え、そして一体となったのだ!」
「ええ?」
首だけの亡霊に取り憑かれるというのは、あり得るかもしれないけど、それでどうなるというのだろうか。
幸か不幸か、オレの『霊視』では相手の霊力は『弱い』範疇なので、特別強力というわけではない。
そしてここでシャーマンの首のあたりに、大きな精霊が重なって見える。
どうやら取り憑いた首の精霊らしい。
「どうしたんだね? 何か見えるのかい?」
やっぱりフォラジには見えていないらしい。
しかしその態度からするとやはりなにがしか不気味なものを感じてはいるようだ。
そして精霊が叫ぶ。
『我が胴体はどこにも見当たらぬ! もうこの世にはおらぬか!』
ええ? どういうことだ?
ここからちょっと離れたところに、胴体の精霊がいたじゃないか。
脅威に感じたシャーマン達が封じていたとか、ありそうな話ではあるが、少なくとも何百年もここにいて気がつかないものだろうか。
いや。待てよ。首の精霊が『全盛期』の意識を有しているのならば、あの胴体はあまりにもみすぼたらしくて自分の胴体とは思えないのかもしれない。
そうするとあの胴体の精霊に、こちらのシャーマンが贄を捧げていたのは、力をつけて合体させるためだったのか。
それでも何かが引っかかる。
しかしオレがそこを詳しく考える時間は無かった。
首の精霊が大きく口をあけて、こちらに襲いかかってきたのだ。
『お前の身体ならば、我が身にふさわしい。よこすがいい!』
「そんなわけにいきますか!」
オレは『精霊遮断』で精霊を食い止める。
『我が胴体となるのならば、お前は更に力を得ることが出来るだろう。なぜ断る』
そりゃまあこれまであんたに出会った中で、オレが一番『神に近い』だろうからな。
そして崇拝しているものにとっては光栄極まり無い事かもしれないけど、オレにとってはただの悪夢です。
『心配するな。吾に胴体を捧げるならば、そなたの魂は幸福にあの世にいけるだろう』
「そもそもあの世になんか行きたくないのですけど!」
『ならばあの世に行って、そこにある我が胴体を探してくるがいい』
なんだって? あの世に胴体がある?
それはいくら何でも違うのでは無いか。
「待って下さい。あなたの胴体は粉々に打ち砕かれたのではないのですか?」
まさかそれについても気付いていないのか?
ひょっとすると、その現実を受けいれていないのかもしれない。
オレはこうやって当たり前に精霊と会話しているけど、殆どのシャーマンや司祭でも、そう簡単に相手の意図は分からないようだからな。
そしてオレの守護女神であるイロールも信徒の事は殆ど分かっていなかった。
双方共に意思疎通に失敗していた結果が、この事態を招いてしまったのだろうか?
そんな誤解が何百年も続いていたとは、オレとしてもビックリだよ。
『お前の身体を寄こせ! そうすれば吾は首をはねられる前に戻って戦いを続ける事が出来るのだ!』
「その相手とはいったい誰ですか?」
『この吾の首をはねた相手に決まっていようが!』
ううむ。このあたりは以前に聞いた『椀かづき』の伝説と一致しているから、疑う要素など無いはずなのだが、それでも何かがおかしい。
さっきからまとわりつくこの違和感の正体はなんだろうか?
待てよ。イスタスから聞いた伝説では『椀かづき』はあの世の入り口で不意を撃たれて首をはねられたのだったな。
そしてその時の話からすると――まさか?!
そうか! そういうことだったのか!
間違い無い! これは『神代の昔』から来る誤解の積み重ねによるものだったんだ。
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