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第19章 神気の山脈にて
第816話 『首』の秘められた真相とは
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オレのこの想像が当たっているならば、首と胴体が永遠に一つになる事はあり得ない。
そして互いに永遠に悶え苦しむ事になるわけか。
「もしかするとあなたは『椀かづき』の首をはねた神だったのですか?」
『そうだとも! 吾は力の限りを尽くして我が父の仇を討った。だがそこで吾もまた首をはねられ、そのままヤツに持ち運ばれて、この世に戻る事になったのだ』
なるほど。そういう事か。
つまり『椀かづき』の首だとばかり思っていた『神の首』とは、首をはねられた『椀かづき』が引きちぎり、そのままこの世に持ち帰った『息子』の首だったんだ。
ひょっとすると首をはねられた胴体の方は、手に持った首と自分の首の区別がつかず、どうにか繋げようと不毛な努力をしていたのかもしれない。
そうだ。先ほど出会った『首無し精霊』はオレの首を奪おうとしていたけど、恐らく首を失った胴体の方は何が自分の本当の首かも分からず、とにかく力のある存在の首なら何でもいい状態になっているのかもしれない――もちろんそれで元通りになるはずもないので、神代の昔からずっと首を求めているのだろう。
そしてそんな『首無し精霊』の首を求める声が中途半端に伝わった結果が『椀かづき』に捧げる生け贄の首をはねて、その血を椀に注ぐというものに変化していったに違いない。
それで『息子』の胴体と『椀かづき』の首があの世に残り、この世には逆の組み合わせがやってきたというわけだ。
これでは永遠に元に戻る筈が無い。
フォラジが言っていたマークホール神が『神の首』を見つけたという話は、たぶん遥か昔にかの神の信徒が探索行でこの首の精霊を発見した事を神が見つけたのだ、と言うことにしたのだろう。
しかしそれが何なのかハッキリしないうちに『象牙の塔』の不毛な議論に巻き込まれて、真相が不明になってしまったに違いない。
恐らくこの地域のシャーマンの中にも真相に気付いた人間はいたはずだ。
だけど口伝の中で、そちら真相の方が伝えられず誤った方が主流になってしまったという事も当然考えられるわけだ。
いずれにせよ、この場で問題を解決する事は不可能である。
『今までこやつのように、自分の身を吾に捧げたヤツもいるが、とても吾を受け入れるだけの器が無かった。だがお前の身ならば大丈夫だ』
今はシャーマンを現し身にしてこの世に顕現しているが、それでは不十分なのでオレの首から下が欲しいと言うわけか。
『さあ。お前の身体をよこせ!』
「こっちの身体は女ですよ! それでいいんですか!」
元の世界でもホラーな話では首をはねられた男の化け物が、女性の首を引きちぎり身体を奪ってTSするなんてネタがたまにあったけど、まさかオレ自身がその対象になろうとは。
そんな事、予想出来るはずも無いだろ!
『大丈夫だ。お前の身体を得た後で、吾は本当に自分の身体を探しに向かうから』
全然、大丈夫じゃねえよ!
そもそもそんな理不尽な要求を聞き入れると思っているのか!
「それならあなたが自分で探しにいけばいいでしょう!」
『残念だが。今の吾にそこまでの力は無い。残っているのはかつての残滓に過ぎんのだ』
だったらとっとと諦めて、あの世に行ってくれ。
それが『普通』というものだ。
『それならば仕方ない。本当の身体を見つけたら、お前の身体は返すと約束しよう』
「首をはねられても生きていられるのはあなたのような神だけですよ! こっちは即死です!」
あんたもさっき『あの世』に行ってこいと言っていただろうが。
『なんだ。そんな事を心配していたのか』
「どういう意味ですか?」
さんざん人間との感覚の違いは思い知らされてきたけど、また何かとんでもない事を当たり前のように言うのだろうか。
『死ぬのがイヤならばお前の首は吾が持ち歩こうではないか。そうすればお前の魂をその首に封じて、生きたままでいる事が出来る。そして我が身体を得た暁には、お前の首は改めて元に戻すだけでなく更なる力を与えようぞ』
ウソはついていないかもしれないけど、こちらに受け入れる余地はないな。
だいたいはねた首だけ生かしておくなんてのは、どう考えても悪党のやることでしょうが。
しかもコイツの神話だと、あの世で『椀かづき』を待っているだけでよちよち歩きの子供が立派な大人になるぐらい時間がかかっていたはずだ。
それが本当かどうかはともかく、胴体を探すだけでも何年かかるか分かったもんじゃない。
そんなオレの表情に気付いたのか『息子』は安心させるように言葉を紡ぐ。
『不満か? ならば吾が復活した時にはそなたを我が妻としようではないか』
「全くもって論外です!」
毎度の事ではあるがオレに対して『妻にする』のを報酬だと思っている男はどうにかしてもらいたい――などと思ったところでどうにかなるのなら苦労は無い。
『そうか。どうしてもイヤというなら仕方ないな』
「分かってくれましたか?」
僅かな期待を持って問いかけるが、こういう場合にオレの希望が通る事は普通無いのだ。
『ならば力尽くでもその身体をもらうとしよう』
やっぱりそうなるか。
長年に渡って自分の胴体を見つけられずに苦悶してきたのが、目の前にチャンスが舞い込んできたら何が何でも手に入れたくなるのだろう。
その気持ちはまあ理解出来るけど、首を切り取られて持ち運ばれる運命など絶対に受け入れられません!
そして互いに永遠に悶え苦しむ事になるわけか。
「もしかするとあなたは『椀かづき』の首をはねた神だったのですか?」
『そうだとも! 吾は力の限りを尽くして我が父の仇を討った。だがそこで吾もまた首をはねられ、そのままヤツに持ち運ばれて、この世に戻る事になったのだ』
なるほど。そういう事か。
つまり『椀かづき』の首だとばかり思っていた『神の首』とは、首をはねられた『椀かづき』が引きちぎり、そのままこの世に持ち帰った『息子』の首だったんだ。
ひょっとすると首をはねられた胴体の方は、手に持った首と自分の首の区別がつかず、どうにか繋げようと不毛な努力をしていたのかもしれない。
そうだ。先ほど出会った『首無し精霊』はオレの首を奪おうとしていたけど、恐らく首を失った胴体の方は何が自分の本当の首かも分からず、とにかく力のある存在の首なら何でもいい状態になっているのかもしれない――もちろんそれで元通りになるはずもないので、神代の昔からずっと首を求めているのだろう。
そしてそんな『首無し精霊』の首を求める声が中途半端に伝わった結果が『椀かづき』に捧げる生け贄の首をはねて、その血を椀に注ぐというものに変化していったに違いない。
それで『息子』の胴体と『椀かづき』の首があの世に残り、この世には逆の組み合わせがやってきたというわけだ。
これでは永遠に元に戻る筈が無い。
フォラジが言っていたマークホール神が『神の首』を見つけたという話は、たぶん遥か昔にかの神の信徒が探索行でこの首の精霊を発見した事を神が見つけたのだ、と言うことにしたのだろう。
しかしそれが何なのかハッキリしないうちに『象牙の塔』の不毛な議論に巻き込まれて、真相が不明になってしまったに違いない。
恐らくこの地域のシャーマンの中にも真相に気付いた人間はいたはずだ。
だけど口伝の中で、そちら真相の方が伝えられず誤った方が主流になってしまったという事も当然考えられるわけだ。
いずれにせよ、この場で問題を解決する事は不可能である。
『今までこやつのように、自分の身を吾に捧げたヤツもいるが、とても吾を受け入れるだけの器が無かった。だがお前の身ならば大丈夫だ』
今はシャーマンを現し身にしてこの世に顕現しているが、それでは不十分なのでオレの首から下が欲しいと言うわけか。
『さあ。お前の身体をよこせ!』
「こっちの身体は女ですよ! それでいいんですか!」
元の世界でもホラーな話では首をはねられた男の化け物が、女性の首を引きちぎり身体を奪ってTSするなんてネタがたまにあったけど、まさかオレ自身がその対象になろうとは。
そんな事、予想出来るはずも無いだろ!
『大丈夫だ。お前の身体を得た後で、吾は本当に自分の身体を探しに向かうから』
全然、大丈夫じゃねえよ!
そもそもそんな理不尽な要求を聞き入れると思っているのか!
「それならあなたが自分で探しにいけばいいでしょう!」
『残念だが。今の吾にそこまでの力は無い。残っているのはかつての残滓に過ぎんのだ』
だったらとっとと諦めて、あの世に行ってくれ。
それが『普通』というものだ。
『それならば仕方ない。本当の身体を見つけたら、お前の身体は返すと約束しよう』
「首をはねられても生きていられるのはあなたのような神だけですよ! こっちは即死です!」
あんたもさっき『あの世』に行ってこいと言っていただろうが。
『なんだ。そんな事を心配していたのか』
「どういう意味ですか?」
さんざん人間との感覚の違いは思い知らされてきたけど、また何かとんでもない事を当たり前のように言うのだろうか。
『死ぬのがイヤならばお前の首は吾が持ち歩こうではないか。そうすればお前の魂をその首に封じて、生きたままでいる事が出来る。そして我が身体を得た暁には、お前の首は改めて元に戻すだけでなく更なる力を与えようぞ』
ウソはついていないかもしれないけど、こちらに受け入れる余地はないな。
だいたいはねた首だけ生かしておくなんてのは、どう考えても悪党のやることでしょうが。
しかもコイツの神話だと、あの世で『椀かづき』を待っているだけでよちよち歩きの子供が立派な大人になるぐらい時間がかかっていたはずだ。
それが本当かどうかはともかく、胴体を探すだけでも何年かかるか分かったもんじゃない。
そんなオレの表情に気付いたのか『息子』は安心させるように言葉を紡ぐ。
『不満か? ならば吾が復活した時にはそなたを我が妻としようではないか』
「全くもって論外です!」
毎度の事ではあるがオレに対して『妻にする』のを報酬だと思っている男はどうにかしてもらいたい――などと思ったところでどうにかなるのなら苦労は無い。
『そうか。どうしてもイヤというなら仕方ないな』
「分かってくれましたか?」
僅かな期待を持って問いかけるが、こういう場合にオレの希望が通る事は普通無いのだ。
『ならば力尽くでもその身体をもらうとしよう』
やっぱりそうなるか。
長年に渡って自分の胴体を見つけられずに苦悶してきたのが、目の前にチャンスが舞い込んできたら何が何でも手に入れたくなるのだろう。
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