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第20章 とある国と聖なる乙女
第822話 久しぶりに聖女教会を訪ねてみると
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オレは『龍背山脈』を超えて、大陸の東方に入っている。
東方地域と言っても広大なもので、元の世界で言えば『中国大陸』と呼ばれた地域並には広く、当然ながら同じ地域に属していたとしても、宗教や文化の違いは大きい。
そしてそのほぼ全域を支配する大帝国がかつては存在していたが、それも昔の話だ。
何世代も前に、東方全域を巻き込んだ動乱が起きて、今ではかつての帝国の領域には幾つもの国が勃興したと聞いている。
先日、出会ったフォラジの属するテシュノ王国もその一つだが、分裂したと言っても元々が巨大な帝国だったので、それらの国の多くは大陸中部ではむしろ大国の部類に属する規模であり、互いにしのぎを削って張り合っている。
だがそれでもかつての大帝国の意識は残っており、国によっては『天に二日なし、地に二王なし』と唱えて、かつての帝国領の領域を全て自国のものと主張している国も複数あるようだ。
いま現在はそれらの国も、せいぜい国境線で小競り合いをしている程度のようだが、何かのきっかけがあれば、複数国を巻き込んだ大戦争にだってなりかねない。
元の世界でもよくあった事だけど『天下統一』を掲げたりしたら、互いを尊重するわけにはいかず、相手を屈服させるか滅ぼすしか道は無くなってしまう場合があるのだ。
出来ればそういうところとはなるだけ関わり合いになりたくないところではあるが、オレの場合はイヤでも関わる事はしょっちゅうだから、我ながら困った性分ではある。
フォラジに聞いたところではこの東方の更にずっと東の果てに、オレの守護女神であるイロールの生誕の地があり、かの女神をかたどった巨大な壁画があるらしい。
とりあえずそちらを訪れるのが目的なのだが、それとは別にこの地域にも『回復魔法』を独占して聖女教会が存在しているのは間違い無い。
とりあえずいま通過しているところはフラネス王国という国の領域だ。
情報によれば、この国もかつての帝国再興を掲げた軍事国家らしく、かなり厳しい統治が行われているらしい。
そんな国でもわざわざ訪れたのは、東方でも有数の聖女教会の寺院があると聞いていたからだ。
ここしばらく聖女教会の大きな寺院を訪れる機会が無かったけど、今でも聖女教会では回復魔法の素養のある男子を性転換させているのは間違い無い。
ここの寺院でもそんな真似をしているのなら、オレに止める事は出来ないだろうか。
もちろんその場合、聖女教会の方でも証拠は無いと知らぬ存ぜぬで押し通す事は当然ありうるし、オレをこっそりと拘束するか、場合によっては『アルタシャを騙る偽者』扱いして捕まえる事も考えられる。
だけどオレも『女神の化身』になれるだけの力が身についているのだから、危険はあってもどうにか出来るかもしれない。
あと聖女教会も地域毎の差が結構大きいので、本当にこの地域では男子を性転換させていない可能性もあるが、それならそれで先に進むだけの事だ。
そんなわけでオレも話を聞いていた、聖女教会の寺院を訪れたのだが、そこでまたしても思わぬ光景を目の当たりにする羽目となったのだ。
オレがくだんの聖女教会の寺院に近づいたところで、違和感を抱く。
良く知られた聖女教会の寺院ならば巡礼者や病人はもちろん、救貧院での施しを目当てに多くの貧しい人間が集まっている筈だ。
しかし近づいてもそのような人の流れが感じられない。
かなり前に訪れたマニリア帝国にあった聖女教会は内戦の煽りを受けて、焼け落ちていたけど、もしかしてこちらでも戦乱で焼き討ちや略奪をされて滅ぼされてしまったのではあるまいな?
何しろこの世界では、魔法で遠隔地と連絡は取れると言っても情報は基本的に人の足で運ばれるものだ。
オレが得ている情報が一月どころかもっと古いと言う事は当然ありうる。
少しばかり不安がわき上がる中、大きな建物が見えてきた。あれがこのフラネス王国の聖女教会だろうか。
見た限りでは焼き討ちをされたとか、そんな様子は感じられないが、それでもやっぱり賑わっているようには思えない。
急いで近づいて見ると、大きな寺院の門は封鎖され、栄えていたと思しき門前町も廃虚と化していた。
これはいったいどういうことだ?
少なくとも戦争で攻撃を受けたとかそういった有様には見られない。
建物も軍勢に焼き払われたり、略奪されたりした様子は無く、ただ人だけがいなくなったように感じられるのだ。
オレが周囲を見回していると、遠くから声が響いてくる。
「おい! そこのお前、何をしにここに来たのだ?」
封鎖された救貧院の門の前で、数人の兵士が槍を手にしてこちらに近寄ってきた。
どうやらここを警備しているらしい。
とりあえず暴力的活動を抑止する『調和』をかけて話を伺うことにしよう。
「あの……すみません。ここはフラネス王国の聖女教会の寺院ですよね?」
「それは二月前までの話だ」
「どういう事ですか?」
「知らないのか? 二月前に新王様が即位されてな、そこでここの聖女教会に移転を迫ったんだよ」
「ええ?」
さすがにこれはちょっとどころでなく驚いた。その新王はいくら何でも強引過ぎやしませんか。
回復魔法を独占している聖女教会に、即位してすぐに移転を強要するとなると、これは聖女達を使って何かよからぬ事を考えているのでは無いか、そんな予感がヒシヒシとわき上がってくるのだった。
東方地域と言っても広大なもので、元の世界で言えば『中国大陸』と呼ばれた地域並には広く、当然ながら同じ地域に属していたとしても、宗教や文化の違いは大きい。
そしてそのほぼ全域を支配する大帝国がかつては存在していたが、それも昔の話だ。
何世代も前に、東方全域を巻き込んだ動乱が起きて、今ではかつての帝国の領域には幾つもの国が勃興したと聞いている。
先日、出会ったフォラジの属するテシュノ王国もその一つだが、分裂したと言っても元々が巨大な帝国だったので、それらの国の多くは大陸中部ではむしろ大国の部類に属する規模であり、互いにしのぎを削って張り合っている。
だがそれでもかつての大帝国の意識は残っており、国によっては『天に二日なし、地に二王なし』と唱えて、かつての帝国領の領域を全て自国のものと主張している国も複数あるようだ。
いま現在はそれらの国も、せいぜい国境線で小競り合いをしている程度のようだが、何かのきっかけがあれば、複数国を巻き込んだ大戦争にだってなりかねない。
元の世界でもよくあった事だけど『天下統一』を掲げたりしたら、互いを尊重するわけにはいかず、相手を屈服させるか滅ぼすしか道は無くなってしまう場合があるのだ。
出来ればそういうところとはなるだけ関わり合いになりたくないところではあるが、オレの場合はイヤでも関わる事はしょっちゅうだから、我ながら困った性分ではある。
フォラジに聞いたところではこの東方の更にずっと東の果てに、オレの守護女神であるイロールの生誕の地があり、かの女神をかたどった巨大な壁画があるらしい。
とりあえずそちらを訪れるのが目的なのだが、それとは別にこの地域にも『回復魔法』を独占して聖女教会が存在しているのは間違い無い。
とりあえずいま通過しているところはフラネス王国という国の領域だ。
情報によれば、この国もかつての帝国再興を掲げた軍事国家らしく、かなり厳しい統治が行われているらしい。
そんな国でもわざわざ訪れたのは、東方でも有数の聖女教会の寺院があると聞いていたからだ。
ここしばらく聖女教会の大きな寺院を訪れる機会が無かったけど、今でも聖女教会では回復魔法の素養のある男子を性転換させているのは間違い無い。
ここの寺院でもそんな真似をしているのなら、オレに止める事は出来ないだろうか。
もちろんその場合、聖女教会の方でも証拠は無いと知らぬ存ぜぬで押し通す事は当然ありうるし、オレをこっそりと拘束するか、場合によっては『アルタシャを騙る偽者』扱いして捕まえる事も考えられる。
だけどオレも『女神の化身』になれるだけの力が身についているのだから、危険はあってもどうにか出来るかもしれない。
あと聖女教会も地域毎の差が結構大きいので、本当にこの地域では男子を性転換させていない可能性もあるが、それならそれで先に進むだけの事だ。
そんなわけでオレも話を聞いていた、聖女教会の寺院を訪れたのだが、そこでまたしても思わぬ光景を目の当たりにする羽目となったのだ。
オレがくだんの聖女教会の寺院に近づいたところで、違和感を抱く。
良く知られた聖女教会の寺院ならば巡礼者や病人はもちろん、救貧院での施しを目当てに多くの貧しい人間が集まっている筈だ。
しかし近づいてもそのような人の流れが感じられない。
かなり前に訪れたマニリア帝国にあった聖女教会は内戦の煽りを受けて、焼け落ちていたけど、もしかしてこちらでも戦乱で焼き討ちや略奪をされて滅ぼされてしまったのではあるまいな?
何しろこの世界では、魔法で遠隔地と連絡は取れると言っても情報は基本的に人の足で運ばれるものだ。
オレが得ている情報が一月どころかもっと古いと言う事は当然ありうる。
少しばかり不安がわき上がる中、大きな建物が見えてきた。あれがこのフラネス王国の聖女教会だろうか。
見た限りでは焼き討ちをされたとか、そんな様子は感じられないが、それでもやっぱり賑わっているようには思えない。
急いで近づいて見ると、大きな寺院の門は封鎖され、栄えていたと思しき門前町も廃虚と化していた。
これはいったいどういうことだ?
少なくとも戦争で攻撃を受けたとかそういった有様には見られない。
建物も軍勢に焼き払われたり、略奪されたりした様子は無く、ただ人だけがいなくなったように感じられるのだ。
オレが周囲を見回していると、遠くから声が響いてくる。
「おい! そこのお前、何をしにここに来たのだ?」
封鎖された救貧院の門の前で、数人の兵士が槍を手にしてこちらに近寄ってきた。
どうやらここを警備しているらしい。
とりあえず暴力的活動を抑止する『調和』をかけて話を伺うことにしよう。
「あの……すみません。ここはフラネス王国の聖女教会の寺院ですよね?」
「それは二月前までの話だ」
「どういう事ですか?」
「知らないのか? 二月前に新王様が即位されてな、そこでここの聖女教会に移転を迫ったんだよ」
「ええ?」
さすがにこれはちょっとどころでなく驚いた。その新王はいくら何でも強引過ぎやしませんか。
回復魔法を独占している聖女教会に、即位してすぐに移転を強要するとなると、これは聖女達を使って何かよからぬ事を考えているのでは無いか、そんな予感がヒシヒシとわき上がってくるのだった。
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