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第21章 神の試練と預言者
第917話 廃墟で行われていた事は
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廃墟となった城壁の中で動いている連中は、その格好からサロールと同じこの地域のイル=フェロ信徒なのは間違いないだろう。
見えているのは一部だけなので、総勢は分からないが少なくとも十人はいるだろうか。
イル=フェロ信徒はこの火山地帯では地中に潜む熱気の精霊を使役出来るので、オレにとってもかなり厄介な相手だ。
出来る限り邪魔はされたくない。
「いったいどうしたんだ?」
「あちらを見て下さい」
オレが廃墟の中を指し示すと、サロールもどうやら気づいたらしい。
「あいつらは何をしているんだ?」
「何かを探しているようですね。ひょっとするとわたしたちを探しているのかも」
このままやり過ごすのが一番簡単だが、探しているのが何なのかは確認したいな。
仮にサロールを追っていたとしても普通に考えて、オレの事まで連絡が伝わっているはずがない。
オレひとりならこっそりと近づき、様子を探るぐらいなら出来るだろう。
「ここで待っていて下さい。何をしているのか調べてきます」
「待て。お前が行くのか?」
「サロールさんは聖地にたどり着いて、神意を確かめる使命があるのでしょう? こんなところで無駄な戦いをするべきではありませんよ」
「何を言うか。偉大なるイル=フェロはいかなる苦難にも正面から向かい、誰にも負ける事なき強者を求めておいでだ。この程度でひるむようなものを神がお認めになるはずがない!」
サロールはその鍛えられた身を見せつけるかのごとき勢いで歩み出す。
あちゃあ。やぶ蛇かよ。
しかし神と対面するためは、立ちはだかる苦難を全部正面から乗り越えねばならないとなると、確かに聖地に向かった者がほとんど生きて帰れないのは当然か。
「待って下さい。その乗り越えねばならない苦難というのはあくまでも聖地へ向かう道にあるものではないのですか? あちらの人たちは別にわたしたちに立ちはだかっているワケでは無いですよ」
「むう。まあいいだろう……ここはお前に任せよう」
とりあえず納得してくれたようだし、ここは急いでいくか。
まずは『穏身』の魔法をかける。これで自分から発見されるような事をしない限り、見つかる可能性はほとんど無くなる。
ただし相手に魔術師がいれば魔法そのものが察知される事はありうるので、絶対に安心というわけでもないけどな。
その上でオレは廃墟に近づく。
こんな廃墟に足を踏み入れるのはしょっちゅうだけど、何度やっても慣れるもんじゃないな。オレの場合は、人間だけで無く廃墟に棲まう亡霊や精霊、場合によってはかつての守護神まで出てくるのだから面倒くさい。
城壁はあちこち崩壊しているので、隙間から何をしているのか確認するのはさほど難しい事では無い。
遠目では連中はどうやら廃墟をあさっているらしい。
どうやら人探しではないようだ。
一安心ではあるが、今後は逆に気になるな。
力を第一に重んじるイル=フェロ信徒がこんなところで何を探しているのか。
ここは火山活動で埋もれてしまった街の廃墟だから、見つかる可能性があるのは鉱物か金属類ぐらいだろう。
サロールも粗末な装身具をつけている事から、彼らも人間なので身なりもある程度、興味はあるのは間違いない。
しかし大勢で廃墟を掘り返してまで、宝石類を探すとも思えない。
外部との交易もしていない様子だから、宝石類は彼らにとって『ただの綺麗な石』でしかないのだ。
そうすると探しているのは、古い武器や防具ぐらいだろうか?
普通だったら金属もほとんど朽ちている筈だが、魔法のアイテムならば残っている可能性はあるな。
そんなわけでオレはもう少し近づいて確認することにした。
もたもたした動きからすると、どうやら探している連中はあまり真剣に取り組んでいるわけではないようだ。
その表情を見る限り『自分たちはなぜこんなことをしているのか?』と言わんばかりに不満を抱いているぞ。
恐らく理由も分からず、誰かに命じられるままに何かを探しているのだろう。
古いヒーローものだったら、下っ端の戦闘員がオレの隠れているところに近づいてきて、わざわざ真相に繋がるヒントを話してくれるものだが、もちろんそんなに都合良くいく事はあり得ない。
ここは危険があるかもしれないが、彼らのリーダーらしき相手を探すべきだな。
そう思って中に入り込むと、彼らの指揮をしているのはかなり屈強な戦士だ。
力の信奉者であるイル=フェロ信徒達に望まぬ事を強制出来るのは、相応の腕力がある人間だけだろう。
「おい! お前らもっと真剣に探せ!」
どうもかなり苛立っている様子だな。
リーダーらしき戦士の足下には、部下達が廃墟から引っ張り出してきたと思しきガラクタの類いが雑多に並べられている。
一応は『魔法眼』で確認したが、特に魔力などは無いようだ。
考古学者なら価値を見いだすかもしれないけど、少なくともイル=フェロ信徒が欲しがるものではないな。
ここが普通の地なら、ちょっと声をかけて話を聞くことも出来るのだが、ここではそんな事をするワケにもいかない。
だがここでリーダーは改めて思わぬ事を叫ぶ。
「これは偉大なるシャンサのご命令によるものだぞ! 分かっているのか!」
むう。この廃墟の捜索はサロールの言う『偽りの預言者シャンサ』の命によるものなのか?
その真意はよく分からないが、やはり普通のイル=フェロ信徒にとっては理解しがたい事を考えている可能性があるぞ。
見えているのは一部だけなので、総勢は分からないが少なくとも十人はいるだろうか。
イル=フェロ信徒はこの火山地帯では地中に潜む熱気の精霊を使役出来るので、オレにとってもかなり厄介な相手だ。
出来る限り邪魔はされたくない。
「いったいどうしたんだ?」
「あちらを見て下さい」
オレが廃墟の中を指し示すと、サロールもどうやら気づいたらしい。
「あいつらは何をしているんだ?」
「何かを探しているようですね。ひょっとするとわたしたちを探しているのかも」
このままやり過ごすのが一番簡単だが、探しているのが何なのかは確認したいな。
仮にサロールを追っていたとしても普通に考えて、オレの事まで連絡が伝わっているはずがない。
オレひとりならこっそりと近づき、様子を探るぐらいなら出来るだろう。
「ここで待っていて下さい。何をしているのか調べてきます」
「待て。お前が行くのか?」
「サロールさんは聖地にたどり着いて、神意を確かめる使命があるのでしょう? こんなところで無駄な戦いをするべきではありませんよ」
「何を言うか。偉大なるイル=フェロはいかなる苦難にも正面から向かい、誰にも負ける事なき強者を求めておいでだ。この程度でひるむようなものを神がお認めになるはずがない!」
サロールはその鍛えられた身を見せつけるかのごとき勢いで歩み出す。
あちゃあ。やぶ蛇かよ。
しかし神と対面するためは、立ちはだかる苦難を全部正面から乗り越えねばならないとなると、確かに聖地に向かった者がほとんど生きて帰れないのは当然か。
「待って下さい。その乗り越えねばならない苦難というのはあくまでも聖地へ向かう道にあるものではないのですか? あちらの人たちは別にわたしたちに立ちはだかっているワケでは無いですよ」
「むう。まあいいだろう……ここはお前に任せよう」
とりあえず納得してくれたようだし、ここは急いでいくか。
まずは『穏身』の魔法をかける。これで自分から発見されるような事をしない限り、見つかる可能性はほとんど無くなる。
ただし相手に魔術師がいれば魔法そのものが察知される事はありうるので、絶対に安心というわけでもないけどな。
その上でオレは廃墟に近づく。
こんな廃墟に足を踏み入れるのはしょっちゅうだけど、何度やっても慣れるもんじゃないな。オレの場合は、人間だけで無く廃墟に棲まう亡霊や精霊、場合によってはかつての守護神まで出てくるのだから面倒くさい。
城壁はあちこち崩壊しているので、隙間から何をしているのか確認するのはさほど難しい事では無い。
遠目では連中はどうやら廃墟をあさっているらしい。
どうやら人探しではないようだ。
一安心ではあるが、今後は逆に気になるな。
力を第一に重んじるイル=フェロ信徒がこんなところで何を探しているのか。
ここは火山活動で埋もれてしまった街の廃墟だから、見つかる可能性があるのは鉱物か金属類ぐらいだろう。
サロールも粗末な装身具をつけている事から、彼らも人間なので身なりもある程度、興味はあるのは間違いない。
しかし大勢で廃墟を掘り返してまで、宝石類を探すとも思えない。
外部との交易もしていない様子だから、宝石類は彼らにとって『ただの綺麗な石』でしかないのだ。
そうすると探しているのは、古い武器や防具ぐらいだろうか?
普通だったら金属もほとんど朽ちている筈だが、魔法のアイテムならば残っている可能性はあるな。
そんなわけでオレはもう少し近づいて確認することにした。
もたもたした動きからすると、どうやら探している連中はあまり真剣に取り組んでいるわけではないようだ。
その表情を見る限り『自分たちはなぜこんなことをしているのか?』と言わんばかりに不満を抱いているぞ。
恐らく理由も分からず、誰かに命じられるままに何かを探しているのだろう。
古いヒーローものだったら、下っ端の戦闘員がオレの隠れているところに近づいてきて、わざわざ真相に繋がるヒントを話してくれるものだが、もちろんそんなに都合良くいく事はあり得ない。
ここは危険があるかもしれないが、彼らのリーダーらしき相手を探すべきだな。
そう思って中に入り込むと、彼らの指揮をしているのはかなり屈強な戦士だ。
力の信奉者であるイル=フェロ信徒達に望まぬ事を強制出来るのは、相応の腕力がある人間だけだろう。
「おい! お前らもっと真剣に探せ!」
どうもかなり苛立っている様子だな。
リーダーらしき戦士の足下には、部下達が廃墟から引っ張り出してきたと思しきガラクタの類いが雑多に並べられている。
一応は『魔法眼』で確認したが、特に魔力などは無いようだ。
考古学者なら価値を見いだすかもしれないけど、少なくともイル=フェロ信徒が欲しがるものではないな。
ここが普通の地なら、ちょっと声をかけて話を聞くことも出来るのだが、ここではそんな事をするワケにもいかない。
だがここでリーダーは改めて思わぬ事を叫ぶ。
「これは偉大なるシャンサのご命令によるものだぞ! 分かっているのか!」
むう。この廃墟の捜索はサロールの言う『偽りの預言者シャンサ』の命によるものなのか?
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