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第21章 神の試練と預言者
第940話 嵐の中でただ一人さまようと
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オレは荒れ狂う『嵐の亡霊』の中に飛び込んだが、周囲は轟々と渦巻く烈風のために普通だったら移動どころか目を開けることすら出来ないだろう。
おまけにあちこちで稲光がきらめき、吹き飛ばされた石なんだから雹なんだか、分からない物体が絶え間なくオレの身を打ってくる。
これでは確かに常人だったら、岩陰に隠れてやり過ごすしか出来まい。こんな中で動き回るなど、危険どころか自殺行為だ。
チラと振り向くと、どうやらサロールやテセルは岩陰から何か叫んでいるようだが、いくら魔法で聴覚を強化していても、とても聞こえはしない。
改めて先に進む事にするが、今は目深くフードをかぶっているものの、たぶん見る間にボロボロになっているだろうな。
もちろんオレの皮膚にも小さな傷が次から次へと生じ、あちこちが痛み出す。
まったく『乙女の柔肌』をなんだと思っているんだ。少しは遠慮しやがれ、などと胸の中で毒づいたところで『嵐の亡霊』がそんなことを聞いてくれるなら苦労はない。
これでも元の世界にいた時のオレだったら、立て続けに押し寄せる痛みと恐怖でパニック状態に陥っていた事だろう。
魔法で身体能力や自己再生能力を高めているから、どうにか耐えて進むことができるだけなのだ。
ただ飛び出したのはいいが、いつものようにあまり後先は考えていなかったからな。
とにかく亡霊たちとどうにか話し合いが出来ればいいが、それでダメだならば次に打つ手があまり無い。
最悪の場合、オレひとりに攻撃を集中させて『嵐の亡霊』が力つきるのを誘うしか無いかもしれないな。
まあいくら強大な亡霊の集合体でも、崇拝を受けているわけではないから、霊力ではオレの方がずっと上のはず。
いつまでも攻撃を続ける事は出来ないだろう。
それを信じて先に進むと、ますます風は強くなり、打ち付ける小石もより荒々しくなってくる感じがする。
間違いなくオレ一人をターゲットにして攻撃を集中しているな。
何とも不毛な消耗戦だが、何しろ一発で嵐を吹き飛ばす必殺技なんて都合のいいものは無いのだから仕方ない。
これでサロールやテセルへの攻撃がそれてくれると考えれば、むしろ少しばかりホッとするところだ。
稲妻を放ってこないのは、先ほどオレが『魔力消散』を使って消し去ったので、学習したのだろうか。
いずれにしてもオレとしては霊力の集まっている方に向かうしかない。
そうすると当然ながらますます風圧は増し、飛んでくる石礫もより強烈なものとなる。
いや。それだけではない。
周囲には明らかに人の姿をした亡霊がまとわりつきだしたのだ。
もちろんそんな相手はこの『聖地巡礼』を始めてから、ずっとつきまとっていたのだが、今いる連中は その輪郭もかなりハッキリしていてより強い力を有しているのは間違いない。
どうやらそんな奴らがオレを呪って、自分たちの同類へと引き込もうとしている様子だ。
まあ今までにもそんな相手に出くわす事はしょっちゅうだったから、この程度では驚きはしないが、ここでオレは一つの事に気づく。
この『嵐の亡霊』を形成している亡霊は、イル=フェロ信徒だけではない。いや。むしろそれ以外の連中の方が多数のようだ。
きっかけはこの地域が火山活動により荒れ果て、滅びたときに無念や恐怖の中で命を落とした人間達の魂が狂気に駆られて、近づいた相手を次々に襲うようになったのだろう。
そうか。冷静に考えればイル=フェロ神はこの地域の火山活動を司っている神でもあるのだから、嵐とは直接関係ないものな。
しかしここはイル=フェロ神の聖地なのに、そんな奴らがうろついていてもいいのか?
まあ神の意思など想像するだけ無意味なので、ひとまずこんな事になっている理由を考えてみよう。
サロールの言葉が本当ならば、イル=フェロ神は信徒に対しても薄情というか、力なきものには生きる資格がないという教えだ。
だから神とは直接無関係無い霊体がうろつき信徒を害していても『そんな奴らに負けるような弱者には信徒の資格など無い』という発想かもしれない。
いやはや。いま周囲は目を開ける事すら難しく、空気を引き裂く轟音で耳も聞こえないような状況の中で進みつつ、こんな事を考えていられるのは、我ながら『人間離れ』していると思わずにはいられないな。
だがここでいきなり烈風が収まり、叩きつけてくる石礫の苦痛も消え去る。
なんだ? 嵐が収まったのか?
だがおかしい。風の音は消えたワケではない。
目を開けて、周囲の様子を確認するとオレの周囲だけ嵐がおさまった状態だ。
いや。どちらかと言えば『台風の目』のごとく、中心部に入り込んだと考えるべきだろう。
改めて自分の身を確かめると、服も皮膚も全身くまなく散弾銃で撃たれたのかと思えるほどボロボロだけど、どうにか耐えきったようだ。
だがこれはどうにか亡霊の攻撃を凌いだだけに過ぎない。
オレが見上げるとそこには無数の霊体が集まって渦巻く、大きな霊力の塊がうごめいていたのだった。
おまけにあちこちで稲光がきらめき、吹き飛ばされた石なんだから雹なんだか、分からない物体が絶え間なくオレの身を打ってくる。
これでは確かに常人だったら、岩陰に隠れてやり過ごすしか出来まい。こんな中で動き回るなど、危険どころか自殺行為だ。
チラと振り向くと、どうやらサロールやテセルは岩陰から何か叫んでいるようだが、いくら魔法で聴覚を強化していても、とても聞こえはしない。
改めて先に進む事にするが、今は目深くフードをかぶっているものの、たぶん見る間にボロボロになっているだろうな。
もちろんオレの皮膚にも小さな傷が次から次へと生じ、あちこちが痛み出す。
まったく『乙女の柔肌』をなんだと思っているんだ。少しは遠慮しやがれ、などと胸の中で毒づいたところで『嵐の亡霊』がそんなことを聞いてくれるなら苦労はない。
これでも元の世界にいた時のオレだったら、立て続けに押し寄せる痛みと恐怖でパニック状態に陥っていた事だろう。
魔法で身体能力や自己再生能力を高めているから、どうにか耐えて進むことができるだけなのだ。
ただ飛び出したのはいいが、いつものようにあまり後先は考えていなかったからな。
とにかく亡霊たちとどうにか話し合いが出来ればいいが、それでダメだならば次に打つ手があまり無い。
最悪の場合、オレひとりに攻撃を集中させて『嵐の亡霊』が力つきるのを誘うしか無いかもしれないな。
まあいくら強大な亡霊の集合体でも、崇拝を受けているわけではないから、霊力ではオレの方がずっと上のはず。
いつまでも攻撃を続ける事は出来ないだろう。
それを信じて先に進むと、ますます風は強くなり、打ち付ける小石もより荒々しくなってくる感じがする。
間違いなくオレ一人をターゲットにして攻撃を集中しているな。
何とも不毛な消耗戦だが、何しろ一発で嵐を吹き飛ばす必殺技なんて都合のいいものは無いのだから仕方ない。
これでサロールやテセルへの攻撃がそれてくれると考えれば、むしろ少しばかりホッとするところだ。
稲妻を放ってこないのは、先ほどオレが『魔力消散』を使って消し去ったので、学習したのだろうか。
いずれにしてもオレとしては霊力の集まっている方に向かうしかない。
そうすると当然ながらますます風圧は増し、飛んでくる石礫もより強烈なものとなる。
いや。それだけではない。
周囲には明らかに人の姿をした亡霊がまとわりつきだしたのだ。
もちろんそんな相手はこの『聖地巡礼』を始めてから、ずっとつきまとっていたのだが、今いる連中は その輪郭もかなりハッキリしていてより強い力を有しているのは間違いない。
どうやらそんな奴らがオレを呪って、自分たちの同類へと引き込もうとしている様子だ。
まあ今までにもそんな相手に出くわす事はしょっちゅうだったから、この程度では驚きはしないが、ここでオレは一つの事に気づく。
この『嵐の亡霊』を形成している亡霊は、イル=フェロ信徒だけではない。いや。むしろそれ以外の連中の方が多数のようだ。
きっかけはこの地域が火山活動により荒れ果て、滅びたときに無念や恐怖の中で命を落とした人間達の魂が狂気に駆られて、近づいた相手を次々に襲うようになったのだろう。
そうか。冷静に考えればイル=フェロ神はこの地域の火山活動を司っている神でもあるのだから、嵐とは直接関係ないものな。
しかしここはイル=フェロ神の聖地なのに、そんな奴らがうろついていてもいいのか?
まあ神の意思など想像するだけ無意味なので、ひとまずこんな事になっている理由を考えてみよう。
サロールの言葉が本当ならば、イル=フェロ神は信徒に対しても薄情というか、力なきものには生きる資格がないという教えだ。
だから神とは直接無関係無い霊体がうろつき信徒を害していても『そんな奴らに負けるような弱者には信徒の資格など無い』という発想かもしれない。
いやはや。いま周囲は目を開ける事すら難しく、空気を引き裂く轟音で耳も聞こえないような状況の中で進みつつ、こんな事を考えていられるのは、我ながら『人間離れ』していると思わずにはいられないな。
だがここでいきなり烈風が収まり、叩きつけてくる石礫の苦痛も消え去る。
なんだ? 嵐が収まったのか?
だがおかしい。風の音は消えたワケではない。
目を開けて、周囲の様子を確認するとオレの周囲だけ嵐がおさまった状態だ。
いや。どちらかと言えば『台風の目』のごとく、中心部に入り込んだと考えるべきだろう。
改めて自分の身を確かめると、服も皮膚も全身くまなく散弾銃で撃たれたのかと思えるほどボロボロだけど、どうにか耐えきったようだ。
だがこれはどうにか亡霊の攻撃を凌いだだけに過ぎない。
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