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第23章 女神の聖地にて真相を
第1036話 海賊事情がいろいろと
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追っ手からしばらく逃げたところでミツリーンは小さいが清潔そうな建物を指差す。
「アルタ――いえ。失礼。あそこがいま私の泊まっている宿です」
さすがに『アルタシャ』と呼ぶのはまずいとミツリーンも気づいたようだな。
「今後は『アル』で結構ですよ」
「分かりました。それではアル様。いきましょう」
とりあえずミツリーンとは別室をとって腰を落ち着ける。
しかしフードをかぶっていた俺はともかくミツリーンは顔を知られているし、あんまり表に出て動き回るわけにはいかないだろうな。
とにかく今日はゆっくりと休んで、明日からの行動を考えるとしよう。
そんなわけでミツリーンの部屋に向かうことにする。
少なくともミツリーンから『男の部屋に女がひとりで入る事が何を意味するか知っているだろうな?』などと脅迫される事も無いはずだ。
「こ、これはアルタシャ様、いえ、アル様がいかなるご用件でしょうか?」
オレが部屋を訪れた事で、ミツリーンはむやみと緊張しているように感じられるぞ。
先ほど大勢の武器を持った人間に迫られて動じなかったのにどういうことだ?
「今後の事についていくらか聞きたい事があります」
「そ、そうでしたか。ははは」
ミツリーンはどこか乾いた笑いを浮かべる。
こいつもしかしてオレがあちこちで『恋人』を作っている事を聞いていて、そこで一晩のあれやこれやを期待していたのか。
まあオレがミツリーンの立場でも『万に一つ』の可能性は考えただろうから、ここは気付かなかったフリをしてやろう。
「ところでギルボック島に向かう船についてはご存じですか?」
「はい。彼の地は聖女教会でも有数の聖地ですから、信徒はもちろん癒やしを求める者が大勢向かいますので聖女教会と契約した船が出ています。病人が乗りますので、専属の聖女も乗り込んでいます。船の色は白く塗られていて目立つのですぐに分かりますよ」
聖女教会は女性しか正式な信徒になれないので、信者が船乗りというワケにはいかず、恐らく船長は準信者というところだろうか。
「その船はいつ出航するのですか?」
「それは天候によりますから何とも言えません」
ああ。そうか。まだ元の世界の感覚で考えていたけど、こちらでは基本的に船は風任せだからな。
出航しようにも風が無かったり、海が荒れていたりしたら港に留まるしかないんだ。
動力で航行して、出航から到着の時間まで決まっている元の世界の船とでは比較にならないな。
「あと残念ながら、この近辺では海賊もかなり横行しているようです」
高価な交易品を運んでいる船も多いから、海賊にとっては格好の狩り場と言う事か。
元の世界のフィクションでは『海賊』というと、アウトローなヒーロー的イメージがあったけど、もちろんそんなに甘いわけがない。
「海賊もいろいろです。この近辺には海賊の根城になっている島が幾つかあり、それぞれ自分達の海賊神を崇拝しており、彼らはその神意に従って行動しているのです」
そうだったな。元の世界の超ヒット漫画では『海賊王におれはなる』が有名な台詞だったが、こっちの世界では海賊の王どころか神様がゴロゴロいるんだ。
その神様は崇拝する海賊達にそれぞれ役に立つ魔法を提供しているのだな。
「海賊達も船を襲うだけでなく、沿岸部の略奪を重視するもの、密輸を行うもの、更に漁場を仕切って上がりをかすめるなどいろいろです。中には傭兵として国や港町に雇われる一方で海賊業もしている奴らもいます。あと聖日には捕らえた人間を生け贄に捧げるよう要求する神もあるようですね」
うげえ。やっぱりとてもヒーロー的な海賊などいるわけが無いか。
しかしいくらなんでも聖女教会の船を狙うだろうか? 海賊だって病気や怪我で癒やし手を必要とする事は多い筈だ。
聖女をさらって自分達の癒やし手にすることは考えるかもしれないが、その場合は間違い無く聖女教会からの依頼で報復の手が伸びるだろう。
「海賊は聖女教会の船まで襲うのですか?」
「直接、危害を加えられる事はさすがに少ないのですが、自分達の縄張りを主張して通行料や案内料を要求してくる事は煩雑に起きるそうです。中には無理矢理に横付けして乗り込み、金持ちの乗客に対し強盗まがいの事をするものもいるようですね」
わざわざ長期の船旅をして、癒やしを望むのは当然、金持ちだろうからな。
しかも深刻な病気や怪我持ちとなると、脅されたら結構簡単に金でも何でも差し出してしまいかねないから、海賊にとっては美味しい相手ということか。
腹黒い事を考えると、聖女と海賊が癒着していて、金のある乗客から巻き上げた分の上前をはねているとかあり得るかもしれない。
いや。さすがにそれはないか。常に慎重な聖女教会がそんな浅はかな金儲けにかまけるとは思えない。
だが海賊の存在はオレにとっても困るな。
乗り込んできた場合、当然乗客のボディチェックぐらいはするだろうし、オレの素顔を見ていきり立つ海賊の相手など真っ平だ。
それに聖女教会行きの船に聖女が乗っているとなると、オレについてイロールが啓示を与える可能性があるので避けるべきだな。
さっきのように『アルタシャ』を探し回っている賞金稼ぎもいるし、早くも難題が山積ということか。
「アルタ――いえ。失礼。あそこがいま私の泊まっている宿です」
さすがに『アルタシャ』と呼ぶのはまずいとミツリーンも気づいたようだな。
「今後は『アル』で結構ですよ」
「分かりました。それではアル様。いきましょう」
とりあえずミツリーンとは別室をとって腰を落ち着ける。
しかしフードをかぶっていた俺はともかくミツリーンは顔を知られているし、あんまり表に出て動き回るわけにはいかないだろうな。
とにかく今日はゆっくりと休んで、明日からの行動を考えるとしよう。
そんなわけでミツリーンの部屋に向かうことにする。
少なくともミツリーンから『男の部屋に女がひとりで入る事が何を意味するか知っているだろうな?』などと脅迫される事も無いはずだ。
「こ、これはアルタシャ様、いえ、アル様がいかなるご用件でしょうか?」
オレが部屋を訪れた事で、ミツリーンはむやみと緊張しているように感じられるぞ。
先ほど大勢の武器を持った人間に迫られて動じなかったのにどういうことだ?
「今後の事についていくらか聞きたい事があります」
「そ、そうでしたか。ははは」
ミツリーンはどこか乾いた笑いを浮かべる。
こいつもしかしてオレがあちこちで『恋人』を作っている事を聞いていて、そこで一晩のあれやこれやを期待していたのか。
まあオレがミツリーンの立場でも『万に一つ』の可能性は考えただろうから、ここは気付かなかったフリをしてやろう。
「ところでギルボック島に向かう船についてはご存じですか?」
「はい。彼の地は聖女教会でも有数の聖地ですから、信徒はもちろん癒やしを求める者が大勢向かいますので聖女教会と契約した船が出ています。病人が乗りますので、専属の聖女も乗り込んでいます。船の色は白く塗られていて目立つのですぐに分かりますよ」
聖女教会は女性しか正式な信徒になれないので、信者が船乗りというワケにはいかず、恐らく船長は準信者というところだろうか。
「その船はいつ出航するのですか?」
「それは天候によりますから何とも言えません」
ああ。そうか。まだ元の世界の感覚で考えていたけど、こちらでは基本的に船は風任せだからな。
出航しようにも風が無かったり、海が荒れていたりしたら港に留まるしかないんだ。
動力で航行して、出航から到着の時間まで決まっている元の世界の船とでは比較にならないな。
「あと残念ながら、この近辺では海賊もかなり横行しているようです」
高価な交易品を運んでいる船も多いから、海賊にとっては格好の狩り場と言う事か。
元の世界のフィクションでは『海賊』というと、アウトローなヒーロー的イメージがあったけど、もちろんそんなに甘いわけがない。
「海賊もいろいろです。この近辺には海賊の根城になっている島が幾つかあり、それぞれ自分達の海賊神を崇拝しており、彼らはその神意に従って行動しているのです」
そうだったな。元の世界の超ヒット漫画では『海賊王におれはなる』が有名な台詞だったが、こっちの世界では海賊の王どころか神様がゴロゴロいるんだ。
その神様は崇拝する海賊達にそれぞれ役に立つ魔法を提供しているのだな。
「海賊達も船を襲うだけでなく、沿岸部の略奪を重視するもの、密輸を行うもの、更に漁場を仕切って上がりをかすめるなどいろいろです。中には傭兵として国や港町に雇われる一方で海賊業もしている奴らもいます。あと聖日には捕らえた人間を生け贄に捧げるよう要求する神もあるようですね」
うげえ。やっぱりとてもヒーロー的な海賊などいるわけが無いか。
しかしいくらなんでも聖女教会の船を狙うだろうか? 海賊だって病気や怪我で癒やし手を必要とする事は多い筈だ。
聖女をさらって自分達の癒やし手にすることは考えるかもしれないが、その場合は間違い無く聖女教会からの依頼で報復の手が伸びるだろう。
「海賊は聖女教会の船まで襲うのですか?」
「直接、危害を加えられる事はさすがに少ないのですが、自分達の縄張りを主張して通行料や案内料を要求してくる事は煩雑に起きるそうです。中には無理矢理に横付けして乗り込み、金持ちの乗客に対し強盗まがいの事をするものもいるようですね」
わざわざ長期の船旅をして、癒やしを望むのは当然、金持ちだろうからな。
しかも深刻な病気や怪我持ちとなると、脅されたら結構簡単に金でも何でも差し出してしまいかねないから、海賊にとっては美味しい相手ということか。
腹黒い事を考えると、聖女と海賊が癒着していて、金のある乗客から巻き上げた分の上前をはねているとかあり得るかもしれない。
いや。さすがにそれはないか。常に慎重な聖女教会がそんな浅はかな金儲けにかまけるとは思えない。
だが海賊の存在はオレにとっても困るな。
乗り込んできた場合、当然乗客のボディチェックぐらいはするだろうし、オレの素顔を見ていきり立つ海賊の相手など真っ平だ。
それに聖女教会行きの船に聖女が乗っているとなると、オレについてイロールが啓示を与える可能性があるので避けるべきだな。
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