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第23章 女神の聖地にて真相を
第1088話 大神官との対面では
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案内の聖女はオレを大聖堂に誘う。
「それではこちらにいらして下さい。大神官様がお待ちでございます」
その大神官がどんな人物なのかは分からないが、簡単に真意を見せるような浅はかな相手ではあるまい。
これまでオレを狙ってきた相手がこの大聖堂で何をしかけてくるか――少なくともあっさりと諦めるとは思えない。
そしてオレがここに来た理由の一つが、ここにいるであろう『最初の選ばれし者』の霊体と接触する事だ。
ここのトップの大神官であろうと性転換魔法の真実を知っている保証はない。
いや。下手をすれば大神官だからこそ『本来は女なのに間違って男で生まれてしまったのを正しく直しただけ』という聖女教会の教義を一切疑わずに信じ込んでいる可能性もあるし、虚偽だと分かっていて平然とシラを切り通す場合もあるだろう。
何しろ聖女教会が崇拝する女神であるイロールの言葉を信じれば、かの女神ですら性転換については全く知らないのだ。
あの女神が嘘をついているのか、聖女教会が女神を欺いているのか、それとも全く別の何かがあるのか、いずれにしても大神官がオレに対してペラペラと真相を明かすとは思えない。
しかし『最初の選ばれし者』について聞いたところでは、彼女もオレと同じ元男であり探索行の最中に女に変身してしまったという。
それならばその過程で何があったのかオレが問えば『自らの体験』について教えてくれるかもしれない。
希望的観測かもしれないが、個人的な感覚として神や精霊を含めた霊体の方が話が通じることがしばしばあるので、ここはそれに期待したいところである。
いずれにしても相手がこの寺院にいる霊体ならば、相手の方から顔を出すのを待つだけだし、それまでは人間の相手をするしかない。
「ご存じかもしれませんが、大神官様は聖女教会最高幹部会の議長を務めておられるお方です。つまり現在の聖女教会における最高位と言っても過言ではありません」
オレにとってはそんなのどうでもいいのだが、この寺院にいる聖女にとってそれが誇らしい事なのは間違い無いな。
しかし聖女教会の実質最高位だと言う事は、言いかえれば『現体制の最大の庇護者』であるわけだから、なおさらオレに協力する見込みは薄いな。
その場合、下手をすると大神官こそがこれまでの襲撃の黒幕だったりする可能性すら否定出来ない。
いや。幾ら何でもこのギルボック島でオレが殺害されたら、大神官の面目は丸つぶれであり、責任を追及されるのは疑う余地も無い。
しかし逆を言えば反主流派がオレを殺害して、大神官の追い落としを考える可能性もあるな。
いずれにしても警戒を怠るわけにはいかないな。
そんなわけでオレは奥の間に案内される。
ううむ。繰り返し『大聖堂』と聞いていたから大勢の信徒を収容出来る、巨大な聖堂で大勢の前に引き出されるかと思っていたが、どうやらそこまで大げさな事にはならないようだ。
聖女教会の内部にオレを狙う相手がいるのは明白だから、大勢の人間がいたら、その中に暗殺者が入り込む事を警戒したのかもしれないな。
案内された部屋はちょっとした会議室のようなところであり、十数人の聖女がオレを待っていた。
もちろん面識のある相手は一人もいないし、注がれる視線にはいろいろな感情が含まれていた。
当たり前だが殺意全開でオレをにらみつけているような相手はいない。
この場にオレの暗殺を命じた相手が本当にいたとしても、それをあっさり明かすような間抜けがいたら、そっちの方が驚きだけどな。
そして聖女達が一斉に立ち上がるとオレに対して一礼する。
「我らが女神に選ばれし英雄『輝ける者』アルタシャ様のお越しを心より歓迎いたします」
もっとも奥まった場所にいる、外見は三十代後半の聖女が代表する形で口を開く。
どうやら彼女が大神官らしいな。
対面そのものは何ともあっさりとしたものだ。
ただ見た目が他の聖女と比べて何か違いがあるわけではない。
オレの『霊視』では霊体のこもった物品をいくつも身につけているし『魔法眼』でもいろいろと魔法がかかっている事が分かるから、普通の聖女でない事は明らかだけどハッキリ言えばそれだけだ。
大神官はひょっとするともの凄い力の持ち主かもしれないと、少しばかり警戒はしていたが、魔力に関しては桁違いという程ではないようだ。
ちょっと旅をすると神様と顔を合わせる事もしょっちゅうのオレにとっては『聖女教会の最高位』であって『ただの人』の範疇でしかない。
もちろん実務能力や弁舌、場合によっては策略でトップに上りつめたかもしれないし、たとえ魔力が高くなくとも甘く見るのは禁物だけど。
「改めてお尋ねしますが、このたびのご訪問はいかなる神命に基づくものでございましょう? 差し支えなければお教え下さい」
もちろんオレは神命なんぞには一切関係無く、性転換魔法について調べたくてここまで来たのだよ。
しかし大神官一人だけでも難しいのに、他に高位の聖女が大勢いるなかでオレが問い詰めたところで、正直に答えてくれるはずがない。
そうなるとここはなるだけ大神官一人だけと話をしたいところだ。
だがオレが返答を躊躇していたら、大神官の表情が少しばかり陰る。
「アルタシャ様が自ら聖女教会の寺院を訪れる事は滅多に無いそうですが、そのような時は大きな事件が巻き起こると聞いております」
確かにオレが聖女教会の寺院や救貧院を訪問するといろいろトラブルが巻き起こるものだった。
そうするともしかしたらむしろオレはここの連中から、厄介事を連れてくる存在だと恐れられているのか?
「それではこちらにいらして下さい。大神官様がお待ちでございます」
その大神官がどんな人物なのかは分からないが、簡単に真意を見せるような浅はかな相手ではあるまい。
これまでオレを狙ってきた相手がこの大聖堂で何をしかけてくるか――少なくともあっさりと諦めるとは思えない。
そしてオレがここに来た理由の一つが、ここにいるであろう『最初の選ばれし者』の霊体と接触する事だ。
ここのトップの大神官であろうと性転換魔法の真実を知っている保証はない。
いや。下手をすれば大神官だからこそ『本来は女なのに間違って男で生まれてしまったのを正しく直しただけ』という聖女教会の教義を一切疑わずに信じ込んでいる可能性もあるし、虚偽だと分かっていて平然とシラを切り通す場合もあるだろう。
何しろ聖女教会が崇拝する女神であるイロールの言葉を信じれば、かの女神ですら性転換については全く知らないのだ。
あの女神が嘘をついているのか、聖女教会が女神を欺いているのか、それとも全く別の何かがあるのか、いずれにしても大神官がオレに対してペラペラと真相を明かすとは思えない。
しかし『最初の選ばれし者』について聞いたところでは、彼女もオレと同じ元男であり探索行の最中に女に変身してしまったという。
それならばその過程で何があったのかオレが問えば『自らの体験』について教えてくれるかもしれない。
希望的観測かもしれないが、個人的な感覚として神や精霊を含めた霊体の方が話が通じることがしばしばあるので、ここはそれに期待したいところである。
いずれにしても相手がこの寺院にいる霊体ならば、相手の方から顔を出すのを待つだけだし、それまでは人間の相手をするしかない。
「ご存じかもしれませんが、大神官様は聖女教会最高幹部会の議長を務めておられるお方です。つまり現在の聖女教会における最高位と言っても過言ではありません」
オレにとってはそんなのどうでもいいのだが、この寺院にいる聖女にとってそれが誇らしい事なのは間違い無いな。
しかし聖女教会の実質最高位だと言う事は、言いかえれば『現体制の最大の庇護者』であるわけだから、なおさらオレに協力する見込みは薄いな。
その場合、下手をすると大神官こそがこれまでの襲撃の黒幕だったりする可能性すら否定出来ない。
いや。幾ら何でもこのギルボック島でオレが殺害されたら、大神官の面目は丸つぶれであり、責任を追及されるのは疑う余地も無い。
しかし逆を言えば反主流派がオレを殺害して、大神官の追い落としを考える可能性もあるな。
いずれにしても警戒を怠るわけにはいかないな。
そんなわけでオレは奥の間に案内される。
ううむ。繰り返し『大聖堂』と聞いていたから大勢の信徒を収容出来る、巨大な聖堂で大勢の前に引き出されるかと思っていたが、どうやらそこまで大げさな事にはならないようだ。
聖女教会の内部にオレを狙う相手がいるのは明白だから、大勢の人間がいたら、その中に暗殺者が入り込む事を警戒したのかもしれないな。
案内された部屋はちょっとした会議室のようなところであり、十数人の聖女がオレを待っていた。
もちろん面識のある相手は一人もいないし、注がれる視線にはいろいろな感情が含まれていた。
当たり前だが殺意全開でオレをにらみつけているような相手はいない。
この場にオレの暗殺を命じた相手が本当にいたとしても、それをあっさり明かすような間抜けがいたら、そっちの方が驚きだけどな。
そして聖女達が一斉に立ち上がるとオレに対して一礼する。
「我らが女神に選ばれし英雄『輝ける者』アルタシャ様のお越しを心より歓迎いたします」
もっとも奥まった場所にいる、外見は三十代後半の聖女が代表する形で口を開く。
どうやら彼女が大神官らしいな。
対面そのものは何ともあっさりとしたものだ。
ただ見た目が他の聖女と比べて何か違いがあるわけではない。
オレの『霊視』では霊体のこもった物品をいくつも身につけているし『魔法眼』でもいろいろと魔法がかかっている事が分かるから、普通の聖女でない事は明らかだけどハッキリ言えばそれだけだ。
大神官はひょっとするともの凄い力の持ち主かもしれないと、少しばかり警戒はしていたが、魔力に関しては桁違いという程ではないようだ。
ちょっと旅をすると神様と顔を合わせる事もしょっちゅうのオレにとっては『聖女教会の最高位』であって『ただの人』の範疇でしかない。
もちろん実務能力や弁舌、場合によっては策略でトップに上りつめたかもしれないし、たとえ魔力が高くなくとも甘く見るのは禁物だけど。
「改めてお尋ねしますが、このたびのご訪問はいかなる神命に基づくものでございましょう? 差し支えなければお教え下さい」
もちろんオレは神命なんぞには一切関係無く、性転換魔法について調べたくてここまで来たのだよ。
しかし大神官一人だけでも難しいのに、他に高位の聖女が大勢いるなかでオレが問い詰めたところで、正直に答えてくれるはずがない。
そうなるとここはなるだけ大神官一人だけと話をしたいところだ。
だがオレが返答を躊躇していたら、大神官の表情が少しばかり陰る。
「アルタシャ様が自ら聖女教会の寺院を訪れる事は滅多に無いそうですが、そのような時は大きな事件が巻き起こると聞いております」
確かにオレが聖女教会の寺院や救貧院を訪問するといろいろトラブルが巻き起こるものだった。
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