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第24章 全てはアルタシャのために?
第1125話 襲撃の後で決めた事は
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亡霊の襲撃ぐらいはオレにとって何でも無いが、しかしそれだけで終わるという保障はないので、急いで宿屋に戻ることにする。
もちろん宿屋だからといって安心は出来ないけど、撃退された亡霊共をそうそう幾度も送り込んではこれないと思いたい。
それにこの帝国で『女神』として崇拝されているオレに対し、正面切って兵士を送ってくるような真似も難しい筈だ。
逃げた後の事はテセルとミツリーンに合流してから決めるとしよう。
「あんな奴らは僕だったら全て根こそぎ滅ぼしてやったのに……」
イオは不満そうだな。
今の人型でどこまで出来るかは分からないが、本気で暴れ出したらオレ以外の人間の事など一切、意に介さないからやらせてみるわけにはいかない。
ドラゴンが味方というのは、普通に考えれば頼りになる話の筈なのだが、オレの場合は不安の方がずっと先に立つよ。
「さっきのあれはいったい何だったのじゃ?」
この質問からすると、マルキウスはまるで心当たりがないらしい。
万が一、この老人が狙われていたのならとっくの昔に命がなくなっていただろうから、標的は間違い無くオレだろうな。
「たぶん……わたしを狙っているのでしょうけど、何者が行っているのかは分かりません」
亡霊の送り主は神造者である可能性が高いけど、今のところ根拠はないので断定は出来ない。
「そうか。この国でもお主に対してはいろいろとあってのう……」
「もしかして皇后の地位を巡る話でしょうか?」
「そうじゃ。お主を亡き者にすれば陛下も諦め、改めて皇后を選んで下さるのではないかと思っている大貴族は少なくあるまい」
言っている事は分かるけど、いきなり本人かどうかの確認もせずに亡霊なんぞ送り込んで来るものだろうか?
いや。オレの有する魔力は常人を三桁は上回っているわけだから、見る人が見ればすぐに何者か見当ぐらいはつくか。
だが貴族達がオレをあんな亡霊で襲撃するというのはやっぱり無理がある。マルキウスはこの国の宮廷のことしか知らないのから、そちらを優先させて考えているのだろう。
だがマルキウスの言葉を聞いて、イオが身を乗り出してくる。
「そうか。だったら僕がその連中をみんな滅ぼしてきてやるよ!」
「な? なんじゃと?!」
「ええ?!」
「僕がアルタシャを守るんだ。傷つけようとする奴らはみんな八つ裂きにするぞ」
少年のイオの身からは魔力が立ち上る。
これはもしかしてドラゴンの身に戻ろうとしているのか?
「待って下さい! 先ほどわたしの了解無く暴れたりしないと約束したでしょう」
「分かっている。約束は守るつもりだよ。だけど相手がアルタシャを傷つけようというのならば、僕は自分を抑える事なんて出来ないよ!」
それはあまりにもまずい!
イオがどこまでの戦闘力があるのか、オレも把握していないけど、ドラゴン化して攻撃すれば、ほとんどの相手はひとたまりも無いはずだ。
しかしドラゴンが宮城を攻撃し要人を殺害するような事になれば、この国が大混乱に陥りかねない。
もちろん国軍も全力で攻撃してくるはずだから、イオにとっても危険だろう。
「そこの小童 気持ちは分かるが無理をするでないぞ。お前ごときがいかに背伸びをしようが無駄に命を落とすだけじゃ」
イオの正体がドラゴンだと知らないマルキウスにとって先ほどの発言は『アルタシャを慕う少年が現実も理解せずに威勢のいい事を口走っているだけ』にしか思えないのだろうな。
事情を説明すれば、マルキウスも分かってくれるだろうけど今はイオを抑えるのが先だ。
「心配してくれるのは感謝しますけど、イオが力を振るうような事にはなりませんよ。あの程度なら切り抜けるのはワケもありませんから」
「だけど……」
「わたしが信じられませんか?」
「そうじゃ。アルタシャは今ではこの国はおろか、大陸中で女神と崇拝される偉大なる女傑なのじゃ」
マルキウスはその『アルタシャ』を見いだした事を随分と誇りに思っているらしく、オレの事を語る時には我が事のように誇らしげだな。
「アルタシャが言っているのだから間違いはあるまい。イオとか言ったの? お主がアルタシャを守れるようになるのはもう少し大きくなってからの事じゃ」
この老人の言っている事は間違い無く正論だ――ただし相手がドラゴンでなかったら、と言う条件がつくけどな。
「しかし……あのような相手がいるとなると、やはり宮城に助けを求めるべきではないかのう? お主がアルタシャである事はこのワシだけでなく、以前に見た多くの将軍や兵士も証人になってくれるはずじゃ」
「マルキウスさんの言うことも分かるのですけど……」
正面切って乗り込んだ場合、水戸○門のようにあっさりと悪党がひれ伏してめでたく解決というわけにはいくまい。
「陛下が病身ならばなおのこと『癒やしの女神の化身』たるアルタシャが治癒に訪れたとなれば、何をさておいても、玉体(注:天子の身体)の元に案内する義務があろう。お主も陛下の身を案じてきてくれたのではないのか?」
ウァリウス皇帝の事が気にならなかったと言えば嘘になるけど、身を案じていたわけではないのだから説明が面倒だな。
だが可能ならウァリウスにあって話を聞いてみたいし、もしも危機にあるなら助ける意志もある。
そうなるとオレがやることは決まっているな。正面から乗り込む――のではなくこっそりと忍び込むのだ。
皇帝の寝所に忍び込むとは、夜這いと勘違いされてしまいそうな行為だけどな。
もちろん宿屋だからといって安心は出来ないけど、撃退された亡霊共をそうそう幾度も送り込んではこれないと思いたい。
それにこの帝国で『女神』として崇拝されているオレに対し、正面切って兵士を送ってくるような真似も難しい筈だ。
逃げた後の事はテセルとミツリーンに合流してから決めるとしよう。
「あんな奴らは僕だったら全て根こそぎ滅ぼしてやったのに……」
イオは不満そうだな。
今の人型でどこまで出来るかは分からないが、本気で暴れ出したらオレ以外の人間の事など一切、意に介さないからやらせてみるわけにはいかない。
ドラゴンが味方というのは、普通に考えれば頼りになる話の筈なのだが、オレの場合は不安の方がずっと先に立つよ。
「さっきのあれはいったい何だったのじゃ?」
この質問からすると、マルキウスはまるで心当たりがないらしい。
万が一、この老人が狙われていたのならとっくの昔に命がなくなっていただろうから、標的は間違い無くオレだろうな。
「たぶん……わたしを狙っているのでしょうけど、何者が行っているのかは分かりません」
亡霊の送り主は神造者である可能性が高いけど、今のところ根拠はないので断定は出来ない。
「そうか。この国でもお主に対してはいろいろとあってのう……」
「もしかして皇后の地位を巡る話でしょうか?」
「そうじゃ。お主を亡き者にすれば陛下も諦め、改めて皇后を選んで下さるのではないかと思っている大貴族は少なくあるまい」
言っている事は分かるけど、いきなり本人かどうかの確認もせずに亡霊なんぞ送り込んで来るものだろうか?
いや。オレの有する魔力は常人を三桁は上回っているわけだから、見る人が見ればすぐに何者か見当ぐらいはつくか。
だが貴族達がオレをあんな亡霊で襲撃するというのはやっぱり無理がある。マルキウスはこの国の宮廷のことしか知らないのから、そちらを優先させて考えているのだろう。
だがマルキウスの言葉を聞いて、イオが身を乗り出してくる。
「そうか。だったら僕がその連中をみんな滅ぼしてきてやるよ!」
「な? なんじゃと?!」
「ええ?!」
「僕がアルタシャを守るんだ。傷つけようとする奴らはみんな八つ裂きにするぞ」
少年のイオの身からは魔力が立ち上る。
これはもしかしてドラゴンの身に戻ろうとしているのか?
「待って下さい! 先ほどわたしの了解無く暴れたりしないと約束したでしょう」
「分かっている。約束は守るつもりだよ。だけど相手がアルタシャを傷つけようというのならば、僕は自分を抑える事なんて出来ないよ!」
それはあまりにもまずい!
イオがどこまでの戦闘力があるのか、オレも把握していないけど、ドラゴン化して攻撃すれば、ほとんどの相手はひとたまりも無いはずだ。
しかしドラゴンが宮城を攻撃し要人を殺害するような事になれば、この国が大混乱に陥りかねない。
もちろん国軍も全力で攻撃してくるはずだから、イオにとっても危険だろう。
「そこの小童 気持ちは分かるが無理をするでないぞ。お前ごときがいかに背伸びをしようが無駄に命を落とすだけじゃ」
イオの正体がドラゴンだと知らないマルキウスにとって先ほどの発言は『アルタシャを慕う少年が現実も理解せずに威勢のいい事を口走っているだけ』にしか思えないのだろうな。
事情を説明すれば、マルキウスも分かってくれるだろうけど今はイオを抑えるのが先だ。
「心配してくれるのは感謝しますけど、イオが力を振るうような事にはなりませんよ。あの程度なら切り抜けるのはワケもありませんから」
「だけど……」
「わたしが信じられませんか?」
「そうじゃ。アルタシャは今ではこの国はおろか、大陸中で女神と崇拝される偉大なる女傑なのじゃ」
マルキウスはその『アルタシャ』を見いだした事を随分と誇りに思っているらしく、オレの事を語る時には我が事のように誇らしげだな。
「アルタシャが言っているのだから間違いはあるまい。イオとか言ったの? お主がアルタシャを守れるようになるのはもう少し大きくなってからの事じゃ」
この老人の言っている事は間違い無く正論だ――ただし相手がドラゴンでなかったら、と言う条件がつくけどな。
「しかし……あのような相手がいるとなると、やはり宮城に助けを求めるべきではないかのう? お主がアルタシャである事はこのワシだけでなく、以前に見た多くの将軍や兵士も証人になってくれるはずじゃ」
「マルキウスさんの言うことも分かるのですけど……」
正面切って乗り込んだ場合、水戸○門のようにあっさりと悪党がひれ伏してめでたく解決というわけにはいくまい。
「陛下が病身ならばなおのこと『癒やしの女神の化身』たるアルタシャが治癒に訪れたとなれば、何をさておいても、玉体(注:天子の身体)の元に案内する義務があろう。お主も陛下の身を案じてきてくれたのではないのか?」
ウァリウス皇帝の事が気にならなかったと言えば嘘になるけど、身を案じていたわけではないのだから説明が面倒だな。
だが可能ならウァリウスにあって話を聞いてみたいし、もしも危機にあるなら助ける意志もある。
そうなるとオレがやることは決まっているな。正面から乗り込む――のではなくこっそりと忍び込むのだ。
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