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第24章 全てはアルタシャのために?
第1156話 久しぶりに『神の領域』に足を踏みいれて
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この首都グレイスフルに来て半日でもそれなりの情報は得られたが、次に何をすべきかはまだハッキリしないな。
当初の目的は神造者の派閥抗争につけ込んでオレの化身を作る事を止める事だったが、そもそもテセルの話からすれば最高神学会が機能不全に陥っていて、どこに近づけばよいのかも分からない。
ただミシェルが協力してくれるのならば、このグレイスフルで現職の神造者である彼女の方がテセルよりも突っ込んだ情報が得られるかもしれないが、あまり当てにも出来ない。
こういう場合はいつものようにできる事を優先的にやるべきだな。
取りあえず一応はオレの守護女神であるイロールに接触するとしよう。
「すみませんがしばらくひとりにしてもらえますか?」
「分かりました。失礼します」
「情報を得てきた僕に返礼のキスぐらいはないのかい?」
「さあ。我らはアルタシャ様の邪魔をしないように引き上げるぞ」
テセルの軽口を無視して、ミツリーンはその首根っこをつかむ。
「お、おい! 何をする――」
「うるさい。アルタシャ様のご指示だからさっさと出て行け」
少しはミツリーンもテセルのあしらい方に長けてきたと言うべきなのか。
二人がいなくなって静かになったところで、オレはイロールに呼びかける。
だがしばらくの間、反応はない。
今までは呼びかけた瞬間にあの女神の声がオレの心の中に響いて来たものだったが、もしかすると声が届いていないのか?
普通だったら、どれほど高位の信徒だろうと、寺院でもない場所で神に己の意志を伝える事は至難の業だ。
いや。寺院の中であろうとも大規模な儀式が必要になるのが普通である。
そういう意味では確かに打てば響くかのように意志疎通が出来たオレとイロールの関係は尋常ではなかったのだろう。
正直に言えばあの女神の助けを借りるのは躊躇してきたからこそ、あんまり意識はしていなかったが、呼びかけてすぐに返事がこなくなると逆に気になるな。
まさか『失ってみて初めて気付く関係の大切さ』なんて事になるのではあるまいな?
この理由は何だろうか?
前回の別れ際の反応からして、いくら何でもあの女神がオレを見捨てたとは思えない。
だがその時、聖女教会が男子を性転換させるのを止めるために、あの女神が信徒を化身とする事を辞めるようにオレは要求した。
頼みは聞き入れられたが、結果としてオレもあの女神の化身となってパワーアップする手段は失われた。
要するにイロールと信徒との距離がある程度、遠くなったと言えるかもしれない――もともとあの女神は信徒の行動には殆ど関心を持っていなかったから『信徒との距離』が開いても気にもしない可能性はある。
もしかするとその結果として、オレの呼びかけも女神に届きにくくなったのか?
あくまでも推測に過ぎないが、そうなるとこの地で聖女教会の協力を得るのはますます難しくなるな。
いや。結論を出すのはまだ早すぎる。
もうしばらく呼びかけてみよう。そもそもこの世界に来たばかりのオレは、イロールの神意に触れる事すら出来なかったのだから、少しばかり女神との距離が遠くなったぐらいの事で諦めていてどうする!
オレの意志が届かなければ、もっと霊力を込めて届けてやればいいだけだ。
そんなわけでオレは改めて力を込めて、イロールに呼びかける。
あの女神はオレを『娘』とまで呼んでいたのだから、少しばかり距離が遠くなったとしてもオレの事を気にかけてくれているはずだ。
そう考えて呼びかけをしばらく続けていると、急に周囲の景色が歪み出す。
まさか? これはもしかすると神の領域へのお誘いか?
ただ問題なのは決してイロールからのものとは限らないという事だ。
オレの存在を察すればちょっかいをかけてくる神は多い。
なにしろこのフォンリット帝国で広く崇拝されている天空の神アンブラールに至っては、絶世の美女が天空に顔を晒していると自分の化身を送り込んでチョメチョメしようとするぐらいだ――だからここではオレはフードを外せない。
それ以外にもいろいろな神の領域に引き込まれた事は幾度もある。
ただこの雰囲気は『癒し』の権能を持つ神様であるように感じられるので、ほぼ間違いなくイロールのはずだ。
そんなわけでオレは『癒しの神』の領域へと足を踏み入れる。
気が付くとオレは巨大な神殿の中にいた。
周囲はシミ一つ無い純白の大理石によって築かれ、見事な石柱が並んでいる。
石柱の間には同じく大理石から削り出された数多くの像が安置されていた。
像はいずれも美しい女性の像であり、その服装から聖女らしい。
間違いなくイロールの領域だ。
ただ周囲には人影は全く見当たらないし、何よりあの女神の意思が感じられない。
これが何を意味しているのだろうか?
どこか不穏な空気も漂っている気もするがここで引き下がるわけにもいかないのだ。
オレは神殿の正面に位置する巨大な扉へと近づく。
まず間違いなくその先にこの神殿のご本尊、すなわちイロール自身がいるはずだ。
緊張と共に扉に近づくと、誰もいないのにゆっくりと扉は開いていく。
こういう場合、元の世界のフィクションにおいて先に待っているのは高い確率でロクでもない存在だ。
しかしイロールの領域にそのような相手がいることなどありうるのか?
いろいろと疑問を抱きつつ、オレは先に進むことにした。
当初の目的は神造者の派閥抗争につけ込んでオレの化身を作る事を止める事だったが、そもそもテセルの話からすれば最高神学会が機能不全に陥っていて、どこに近づけばよいのかも分からない。
ただミシェルが協力してくれるのならば、このグレイスフルで現職の神造者である彼女の方がテセルよりも突っ込んだ情報が得られるかもしれないが、あまり当てにも出来ない。
こういう場合はいつものようにできる事を優先的にやるべきだな。
取りあえず一応はオレの守護女神であるイロールに接触するとしよう。
「すみませんがしばらくひとりにしてもらえますか?」
「分かりました。失礼します」
「情報を得てきた僕に返礼のキスぐらいはないのかい?」
「さあ。我らはアルタシャ様の邪魔をしないように引き上げるぞ」
テセルの軽口を無視して、ミツリーンはその首根っこをつかむ。
「お、おい! 何をする――」
「うるさい。アルタシャ様のご指示だからさっさと出て行け」
少しはミツリーンもテセルのあしらい方に長けてきたと言うべきなのか。
二人がいなくなって静かになったところで、オレはイロールに呼びかける。
だがしばらくの間、反応はない。
今までは呼びかけた瞬間にあの女神の声がオレの心の中に響いて来たものだったが、もしかすると声が届いていないのか?
普通だったら、どれほど高位の信徒だろうと、寺院でもない場所で神に己の意志を伝える事は至難の業だ。
いや。寺院の中であろうとも大規模な儀式が必要になるのが普通である。
そういう意味では確かに打てば響くかのように意志疎通が出来たオレとイロールの関係は尋常ではなかったのだろう。
正直に言えばあの女神の助けを借りるのは躊躇してきたからこそ、あんまり意識はしていなかったが、呼びかけてすぐに返事がこなくなると逆に気になるな。
まさか『失ってみて初めて気付く関係の大切さ』なんて事になるのではあるまいな?
この理由は何だろうか?
前回の別れ際の反応からして、いくら何でもあの女神がオレを見捨てたとは思えない。
だがその時、聖女教会が男子を性転換させるのを止めるために、あの女神が信徒を化身とする事を辞めるようにオレは要求した。
頼みは聞き入れられたが、結果としてオレもあの女神の化身となってパワーアップする手段は失われた。
要するにイロールと信徒との距離がある程度、遠くなったと言えるかもしれない――もともとあの女神は信徒の行動には殆ど関心を持っていなかったから『信徒との距離』が開いても気にもしない可能性はある。
もしかするとその結果として、オレの呼びかけも女神に届きにくくなったのか?
あくまでも推測に過ぎないが、そうなるとこの地で聖女教会の協力を得るのはますます難しくなるな。
いや。結論を出すのはまだ早すぎる。
もうしばらく呼びかけてみよう。そもそもこの世界に来たばかりのオレは、イロールの神意に触れる事すら出来なかったのだから、少しばかり女神との距離が遠くなったぐらいの事で諦めていてどうする!
オレの意志が届かなければ、もっと霊力を込めて届けてやればいいだけだ。
そんなわけでオレは改めて力を込めて、イロールに呼びかける。
あの女神はオレを『娘』とまで呼んでいたのだから、少しばかり距離が遠くなったとしてもオレの事を気にかけてくれているはずだ。
そう考えて呼びかけをしばらく続けていると、急に周囲の景色が歪み出す。
まさか? これはもしかすると神の領域へのお誘いか?
ただ問題なのは決してイロールからのものとは限らないという事だ。
オレの存在を察すればちょっかいをかけてくる神は多い。
なにしろこのフォンリット帝国で広く崇拝されている天空の神アンブラールに至っては、絶世の美女が天空に顔を晒していると自分の化身を送り込んでチョメチョメしようとするぐらいだ――だからここではオレはフードを外せない。
それ以外にもいろいろな神の領域に引き込まれた事は幾度もある。
ただこの雰囲気は『癒し』の権能を持つ神様であるように感じられるので、ほぼ間違いなくイロールのはずだ。
そんなわけでオレは『癒しの神』の領域へと足を踏み入れる。
気が付くとオレは巨大な神殿の中にいた。
周囲はシミ一つ無い純白の大理石によって築かれ、見事な石柱が並んでいる。
石柱の間には同じく大理石から削り出された数多くの像が安置されていた。
像はいずれも美しい女性の像であり、その服装から聖女らしい。
間違いなくイロールの領域だ。
ただ周囲には人影は全く見当たらないし、何よりあの女神の意思が感じられない。
これが何を意味しているのだろうか?
どこか不穏な空気も漂っている気もするがここで引き下がるわけにもいかないのだ。
オレは神殿の正面に位置する巨大な扉へと近づく。
まず間違いなくその先にこの神殿のご本尊、すなわちイロール自身がいるはずだ。
緊張と共に扉に近づくと、誰もいないのにゆっくりと扉は開いていく。
こういう場合、元の世界のフィクションにおいて先に待っているのは高い確率でロクでもない存在だ。
しかしイロールの領域にそのような相手がいることなどありうるのか?
いろいろと疑問を抱きつつ、オレは先に進むことにした。
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