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第24章 全てはアルタシャのために?
第1185話 いろいろと面倒な「呼びかけ」により
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一度、やると決めた以上、いまさらためらいはしないが、それでもオレは改めてエルウリン神に問いかける。
「あなたが滅びた事にしてしまっても、本当に構わないのですか?」
『仕方あるまい。吾の使命を果たす事が信徒達を滅ぼしてしまうのならば、大人しく消えるのも我が使命と言う事だ』
最近になって人間に造られた神様だけあって、自分自身の存在についても殆どこだわりは無いらしい。
まあテセルの言葉によれば完全に消滅するわけではないようだから、それはオレにとっても少しは助かるところだ。
オレも死ぬのはイヤだけど、神様として崇拝されなくなるのは別に構わないからそれに近い感覚なのかもしれないな。
『それではこの吾を通じて、信徒達に呼びかけてくれ。もちろんそなたの化身の口もそなたと繋がっているから、同じ事を口にしてくれるはずだ』
最初から化身とオレが繋がっていて、同じ事を口に出来る状態だった、こんな事にはならなかったのだろうな。
この破局はオレがここに来た事がきっかけになったわけだが、それはあくまでも既に決壊寸前だったひび割れた堤防に『トドメの一撃』になっただけだ。
どのみち早いか遅いかの問題だったとして、オレがどうにかすればこの場をより少ない犠牲で乗り切れるとすればこれもまた運命という事だろう。
そしてオレの身に、大勢の誰かと繋がる感覚が生まれた。
同時に視界には無数の光景が広がる。恐らくは化身達の見ている光景だろう。
その中には少なからず、男としとねを共にしているものが含まれているのは、予想はしていたが虫ずが走るよ。
だいたい今はまだ昼間だろ。
真っ昼間から女としけ込むとはどういうことだ。しかもそいつらの殆どは国家の要人で、オマケに今はあちこちで天変地異が巻き起こっている。
推測だけど神造者と関わりの深い地域の殆どで、大惨事が引き起こされつつあるはずだ。
もちろんそれは時間と共に拡大し、神造者を無関係な人間だって巻き込むだろう。
それにも関わらず、少なからぬ男が『アルタシャ』にまだ夢中になっているのだ。
そうやって男共を堕落させるなんて、ほとんどサキュバスか何かだろう。
いや。今はそんな事を考えている場合では無い。
オレの化身も口を通じてでも、伝えねばならないことがあるのだ。
「皆さん。聞いて下さい! わたしはアルタシャ。これから大陸全ての人々の命運を左右する重大な事を伝えねばなりません!」
オレのこの叫びを聞いて、エルウリンの信徒はもちろんオレの化身と対面している男共も一斉に息を呑んだ様子が伝わってくる。
中には『アルタシャと繋がっている』時にそれを聞いた奴もいて、オレの方がかなり恥ずかしいよ。
「この大陸はいま大いなる危機に直面しているのです!」
これに対し、既に大きな災害が発生しているところや発生しつつある地域からは大きな叫びがあがるが、それとは別に困惑した声も聞こえてくる。
その地域はまだ神造者の勢力も小さく、神界が崩壊しつつある事の影響がハッキリと目に見えていないのだろうな。
当然ながら説明を求める声が無数に殺到してくる。もちろんむつみ合っているオレに対して、驚きつつ問いかける男もいる。
数の上ではそんなのごく少数なのだが、オレとの繋がりはそっちの方が圧倒的に密接なので、何とも困った事にそちらの声が大きく響いてくるのだ。
しかし今は細かいところは抜きにするしかない。
これはつい先日『男でも回復魔法は使える』事を大陸中に広めた時と同じだが、強引に押し切るしかないのだ。
「実はこの危機は神造者が造った神である、創造神エルウリンが滅び去った事が原因なのです!」
「!!!」
大陸中から無数の叫びと困惑の声が殺到する。もしも普通に耳で聞いていたら、鼓膜が一瞬で破れた事だろう。
以前にイロールが信徒の問い合わせが殺到している事に、困った顔をしていたが、今のオレもそれに近い状況にあるらしい。
もちろんそんなものは無視して、話は本題に入る。
説明などせずに一方的に進める――偉い人の気持ちが少しばかり分かった気がするよ。
「みなさん。もうエルウリンは存在しないのです。いまあなた方と繋がっているのは、その影に過ぎません! だからもうかの神に呼びかけても答えはないのですよ!」
そう叫んだところでエルウリンの方を見ると、かの神は小さく――そして少しばかり寂しげに頷いた。
それからしばらくオレの感覚にはいろいろと言葉にならない悲鳴や文句が殺到したが、確かにエルウリンが答えなくなった事に気付いたらしい。
「だから皆さん。もうエルウリンに祈るのでは無く、自らの力で今の危機を切り抜けて下さい。力のある者はその力で弱き者を助け、財のある者はその財で飢える人たちを救って下さい! お願いします!」
オレのこの宣告と共に、エルウリンの神体そのものである巨大な工場は急速に停止しつつあるようだ。
それは先ほど緊急停止したのとは違い、全てが力を失い、命を無くしていく、そんな風に感じられたのだ。
「あなたが滅びた事にしてしまっても、本当に構わないのですか?」
『仕方あるまい。吾の使命を果たす事が信徒達を滅ぼしてしまうのならば、大人しく消えるのも我が使命と言う事だ』
最近になって人間に造られた神様だけあって、自分自身の存在についても殆どこだわりは無いらしい。
まあテセルの言葉によれば完全に消滅するわけではないようだから、それはオレにとっても少しは助かるところだ。
オレも死ぬのはイヤだけど、神様として崇拝されなくなるのは別に構わないからそれに近い感覚なのかもしれないな。
『それではこの吾を通じて、信徒達に呼びかけてくれ。もちろんそなたの化身の口もそなたと繋がっているから、同じ事を口にしてくれるはずだ』
最初から化身とオレが繋がっていて、同じ事を口に出来る状態だった、こんな事にはならなかったのだろうな。
この破局はオレがここに来た事がきっかけになったわけだが、それはあくまでも既に決壊寸前だったひび割れた堤防に『トドメの一撃』になっただけだ。
どのみち早いか遅いかの問題だったとして、オレがどうにかすればこの場をより少ない犠牲で乗り切れるとすればこれもまた運命という事だろう。
そしてオレの身に、大勢の誰かと繋がる感覚が生まれた。
同時に視界には無数の光景が広がる。恐らくは化身達の見ている光景だろう。
その中には少なからず、男としとねを共にしているものが含まれているのは、予想はしていたが虫ずが走るよ。
だいたい今はまだ昼間だろ。
真っ昼間から女としけ込むとはどういうことだ。しかもそいつらの殆どは国家の要人で、オマケに今はあちこちで天変地異が巻き起こっている。
推測だけど神造者と関わりの深い地域の殆どで、大惨事が引き起こされつつあるはずだ。
もちろんそれは時間と共に拡大し、神造者を無関係な人間だって巻き込むだろう。
それにも関わらず、少なからぬ男が『アルタシャ』にまだ夢中になっているのだ。
そうやって男共を堕落させるなんて、ほとんどサキュバスか何かだろう。
いや。今はそんな事を考えている場合では無い。
オレの化身も口を通じてでも、伝えねばならないことがあるのだ。
「皆さん。聞いて下さい! わたしはアルタシャ。これから大陸全ての人々の命運を左右する重大な事を伝えねばなりません!」
オレのこの叫びを聞いて、エルウリンの信徒はもちろんオレの化身と対面している男共も一斉に息を呑んだ様子が伝わってくる。
中には『アルタシャと繋がっている』時にそれを聞いた奴もいて、オレの方がかなり恥ずかしいよ。
「この大陸はいま大いなる危機に直面しているのです!」
これに対し、既に大きな災害が発生しているところや発生しつつある地域からは大きな叫びがあがるが、それとは別に困惑した声も聞こえてくる。
その地域はまだ神造者の勢力も小さく、神界が崩壊しつつある事の影響がハッキリと目に見えていないのだろうな。
当然ながら説明を求める声が無数に殺到してくる。もちろんむつみ合っているオレに対して、驚きつつ問いかける男もいる。
数の上ではそんなのごく少数なのだが、オレとの繋がりはそっちの方が圧倒的に密接なので、何とも困った事にそちらの声が大きく響いてくるのだ。
しかし今は細かいところは抜きにするしかない。
これはつい先日『男でも回復魔法は使える』事を大陸中に広めた時と同じだが、強引に押し切るしかないのだ。
「実はこの危機は神造者が造った神である、創造神エルウリンが滅び去った事が原因なのです!」
「!!!」
大陸中から無数の叫びと困惑の声が殺到する。もしも普通に耳で聞いていたら、鼓膜が一瞬で破れた事だろう。
以前にイロールが信徒の問い合わせが殺到している事に、困った顔をしていたが、今のオレもそれに近い状況にあるらしい。
もちろんそんなものは無視して、話は本題に入る。
説明などせずに一方的に進める――偉い人の気持ちが少しばかり分かった気がするよ。
「みなさん。もうエルウリンは存在しないのです。いまあなた方と繋がっているのは、その影に過ぎません! だからもうかの神に呼びかけても答えはないのですよ!」
そう叫んだところでエルウリンの方を見ると、かの神は小さく――そして少しばかり寂しげに頷いた。
それからしばらくオレの感覚にはいろいろと言葉にならない悲鳴や文句が殺到したが、確かにエルウリンが答えなくなった事に気付いたらしい。
「だから皆さん。もうエルウリンに祈るのでは無く、自らの力で今の危機を切り抜けて下さい。力のある者はその力で弱き者を助け、財のある者はその財で飢える人たちを救って下さい! お願いします!」
オレのこの宣告と共に、エルウリンの神体そのものである巨大な工場は急速に停止しつつあるようだ。
それは先ほど緊急停止したのとは違い、全てが力を失い、命を無くしていく、そんな風に感じられたのだ。
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