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第24章 全てはアルタシャのために?
第1247話 聖人の方が神よりもある意味恐ろしい
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ザーロンの合図と共にここで注がれてきたのは今までとは違った形での力だが、どうやらオレも西方で「聖人」として扱われてきた事でかなりの崇拝と信者を得ていたらしい。
なぜ今までオレに全然その崇拝が届いてこなかったのかというと、西方では「神も聖人も信徒に対しては意志を示さない」「神の声は預言者を通じ、聖人の意志は当人が自ら示す」の事になっているからだろう。
一神教徒は崇拝を捧げた聖人の司る美徳に応じた力を信徒は得られるので、自己犠牲の聖人に崇拝を捧げれば「他人の傷や病気を自分に移す」能力を獲得できる。
あちらの人間が「そういうこと」として崇拝しているから、彼らの声は神界にいる側には届かないのでもあるのだな。
崇拝されている聖人の側も、生きている間はその前提で行動してきたから、自分が聖人として崇拝されている状況を変える気もないのだろう。
もちろん「街の神」だった聖人は違うだろうけど、そちらは一神教全体から見ればごくごく小さな勢力だから、大勢を覆すことは出来ないのだ。
これは一見すると不利益にも見えるが、神の意志が示されないからこそ今現在、信徒を率いている司祭たちの考えで教団が運営されるわけで、そういう意味では元の世界の教団にも近いと言える。
何にしても一神教の聖人の呼びかけのお陰で、更にオレの力が増してくる。
オレ自身の力が増すと、この身を導管にして通る力の量もまた一気に増してくる。
理屈はよく分からないが、どうやらオレ自身の有する「魔力の許容量」が一度に通過出来る分らしい。
だがどうやら一神教徒達の捧げた力の量がオレの限界を超えてしまったらしい。
全身を覆う苦痛が一気に跳ね上がったのだ。
数の上では一神教徒が極めて多い上に「聖人崇拝」と言う事で信仰を捧げる事に抵抗がないからだろう。
だがこれはマズイ! 『アルタシャの肉体』という導管の許容量を一気に超える力が集中してきたのだ。
『大丈夫か? 様子がおかしいようだが?』
ザーロンは心配げに問いかけてきたが、もしかすると何が起きているのか分かっていないのか?
考えてみればこいつも千年ほど「聖人」として神界にいた身だから、こっちが「人の身」であることをあんまり分かってなかったのだろう。
今まではどうにか耐えてきたが、このままでは遠からず意識を失ってしまう。
その場合は全て水泡に帰すどころか、最悪この身が内部から粉々になってしまうかもしれないぞ。
「このままではこの体が持ちこたえられそうにないです……」
どうにか絞り出すとザーロンは「何だそんな事か」と言わんばかりの態度を示す。
『それならその身を捨てればよい。簡単な事だろう?』
服を脱ぎ捨てるかのように簡単に言ってくれるな。
マジで肉体を持たずに精神だけの存在なのが当たり前なのだろう。
そして他の神々も一緒になって言ってくる。
『その通りだ。アルタシャも我らと同じになればよい』
『そうすれば永遠に吾と共に神界で暮らせるぞ』
それが嫌だからオレは人間のままでいるんだって。
いつの間にやら「神々の共有物」扱いだが、この世界の神々の場合はその地その地で都合のよい形で崇拝されるから「全員の嫁かつ一夫一婦」という矛盾しまくった話でも珍しくは無いのだった。
場合によっては「ある地域では女神の息子として崇拝されている神」が「別の地域では女神の夫として崇拝されている」とか、聞いていてもワケの分からん話もあるぐらいだ。
肉体は一つしか無いから、神々でも分け合う事は出来ないが、
他人事としてはどうでもいいが、オレ自身に降りかかるのは真っ平である。
「すいませんが今はそんな事よりも、この状況をどうにか出来ませんか? もしもわたしの身が壊れてしまったら、何もかも台無しになるかもしれないのですよ」
嘘をついているわけではないが、かなりの部分はハッタリだ。
ここにいる神々や聖人も別に、オレの身が砕けたらどうなるか何て知らないだろうからな。
しかし失敗したらマズイ事は理解しているから、手を貸してくれているはずだ。
『分かった……ならば貴女の受けている苦痛を信徒達に引き受けさせよう』
かなり久しぶりだが、一神教徒は他人の苦痛を引き受ける事が出来たんだな。だが次の言葉でオレの背筋は一気に寒くなる。
『今の貴女の受けているものを引き受けさせたら、数百人から数千人は命を落とすだろうがやむを得ない犠牲だろう』
「やらなくていいです!」
やっぱり人の身を捨てて千年も経つと、人間的な感覚がスッパリ抜け落ちているんだな。
連中にとって人間はせいぜい数十年しか生きていないし、仮に死んでも魂がやってくるからそれも何でも無い普通の事なのだろう。
神というと「邪神」系のロクでもないヤツも含まれるのが暗黙の前提だったが「聖人」様でも大して違わないのだな。
まあいい。今まで何度もあったけどダメならダメでそれを貫き通してやる!
結果が失敗でももう覚悟の上だ。もうオレにはバックギアなど残ってはいないのだ。
こんなところだけ主人公ぽいなと思わずにはいられない。
なぜ今までオレに全然その崇拝が届いてこなかったのかというと、西方では「神も聖人も信徒に対しては意志を示さない」「神の声は預言者を通じ、聖人の意志は当人が自ら示す」の事になっているからだろう。
一神教徒は崇拝を捧げた聖人の司る美徳に応じた力を信徒は得られるので、自己犠牲の聖人に崇拝を捧げれば「他人の傷や病気を自分に移す」能力を獲得できる。
あちらの人間が「そういうこと」として崇拝しているから、彼らの声は神界にいる側には届かないのでもあるのだな。
崇拝されている聖人の側も、生きている間はその前提で行動してきたから、自分が聖人として崇拝されている状況を変える気もないのだろう。
もちろん「街の神」だった聖人は違うだろうけど、そちらは一神教全体から見ればごくごく小さな勢力だから、大勢を覆すことは出来ないのだ。
これは一見すると不利益にも見えるが、神の意志が示されないからこそ今現在、信徒を率いている司祭たちの考えで教団が運営されるわけで、そういう意味では元の世界の教団にも近いと言える。
何にしても一神教の聖人の呼びかけのお陰で、更にオレの力が増してくる。
オレ自身の力が増すと、この身を導管にして通る力の量もまた一気に増してくる。
理屈はよく分からないが、どうやらオレ自身の有する「魔力の許容量」が一度に通過出来る分らしい。
だがどうやら一神教徒達の捧げた力の量がオレの限界を超えてしまったらしい。
全身を覆う苦痛が一気に跳ね上がったのだ。
数の上では一神教徒が極めて多い上に「聖人崇拝」と言う事で信仰を捧げる事に抵抗がないからだろう。
だがこれはマズイ! 『アルタシャの肉体』という導管の許容量を一気に超える力が集中してきたのだ。
『大丈夫か? 様子がおかしいようだが?』
ザーロンは心配げに問いかけてきたが、もしかすると何が起きているのか分かっていないのか?
考えてみればこいつも千年ほど「聖人」として神界にいた身だから、こっちが「人の身」であることをあんまり分かってなかったのだろう。
今まではどうにか耐えてきたが、このままでは遠からず意識を失ってしまう。
その場合は全て水泡に帰すどころか、最悪この身が内部から粉々になってしまうかもしれないぞ。
「このままではこの体が持ちこたえられそうにないです……」
どうにか絞り出すとザーロンは「何だそんな事か」と言わんばかりの態度を示す。
『それならその身を捨てればよい。簡単な事だろう?』
服を脱ぎ捨てるかのように簡単に言ってくれるな。
マジで肉体を持たずに精神だけの存在なのが当たり前なのだろう。
そして他の神々も一緒になって言ってくる。
『その通りだ。アルタシャも我らと同じになればよい』
『そうすれば永遠に吾と共に神界で暮らせるぞ』
それが嫌だからオレは人間のままでいるんだって。
いつの間にやら「神々の共有物」扱いだが、この世界の神々の場合はその地その地で都合のよい形で崇拝されるから「全員の嫁かつ一夫一婦」という矛盾しまくった話でも珍しくは無いのだった。
場合によっては「ある地域では女神の息子として崇拝されている神」が「別の地域では女神の夫として崇拝されている」とか、聞いていてもワケの分からん話もあるぐらいだ。
肉体は一つしか無いから、神々でも分け合う事は出来ないが、
他人事としてはどうでもいいが、オレ自身に降りかかるのは真っ平である。
「すいませんが今はそんな事よりも、この状況をどうにか出来ませんか? もしもわたしの身が壊れてしまったら、何もかも台無しになるかもしれないのですよ」
嘘をついているわけではないが、かなりの部分はハッタリだ。
ここにいる神々や聖人も別に、オレの身が砕けたらどうなるか何て知らないだろうからな。
しかし失敗したらマズイ事は理解しているから、手を貸してくれているはずだ。
『分かった……ならば貴女の受けている苦痛を信徒達に引き受けさせよう』
かなり久しぶりだが、一神教徒は他人の苦痛を引き受ける事が出来たんだな。だが次の言葉でオレの背筋は一気に寒くなる。
『今の貴女の受けているものを引き受けさせたら、数百人から数千人は命を落とすだろうがやむを得ない犠牲だろう』
「やらなくていいです!」
やっぱり人の身を捨てて千年も経つと、人間的な感覚がスッパリ抜け落ちているんだな。
連中にとって人間はせいぜい数十年しか生きていないし、仮に死んでも魂がやってくるからそれも何でも無い普通の事なのだろう。
神というと「邪神」系のロクでもないヤツも含まれるのが暗黙の前提だったが「聖人」様でも大して違わないのだな。
まあいい。今まで何度もあったけどダメならダメでそれを貫き通してやる!
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