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第24章 全てはアルタシャのために?
第1293話 欲望も貫き通せば無欲となり、偽善でも貫き通せば善となる
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そんなわけでオレは決意した。
世界に戻ったら間違い無く、大勢の人間からの称賛が渦を巻くだろう――もちろん悪意も欲望も少なからずあるだろう。
いずれにせよどれだけもてはやされようが、力を持とうがあくまでも「ひとりの人間」であることを貫く。
もちろん他人からすれば「何を厚かましい事を言っているか」と言われそうだ。もとの世界にいた頃のオレだって、そう考えるだろうな。
だけどそれはそれで構わない。
確かにフィクションでも勝利した後の勇者は、一般人として生活する何てことが多いけど――最近はそれでスローライフなんてネタが珍しくも無い――オレの場合はこれからが大変なのだ。
ほぼ確実に数百年単位で時間がかかるのは間違い無い事である。
そして何より、これは人々の意識を変えるところからがスタートラインなのだ。
この世界において人々が「神や精霊を崇拝し、その見返りに魔力を得る」のはもう遥か昔から行われてきたことだ。
元の世界で革命で国王を処刑するまで「国王がいなければ太陽は登らない」と本気で信じる人間がいたと聞いた事がある。
もちろんそこまでは当時でも少数だったろうが、こっちは神様が実在していて、街でも国でも実際に力を与えているからややこしい。
一度、神様同士が衝突すれば、その遺恨は何百年でも続きかねないのだ。
下手をすれば遺恨のある人間が、忘れられた神や精霊を利用することすらあった。
もちろん同じような事は元の世界でもあったし、一千年以上前の遺恨話を持ち出して戦争するような話もあったから偉そうな事を言える筋合いではないのだが。
しかしそれでもマジモンの神様の意志だとか、その神を人間がいじくる事で自然や人の心まで自由に操り、一歩間違えば世界の滅亡までやらかしてしまうような事は絶対に避けねばならない。
かなり極端な話であるが無理やり例えるなら「世界平和は無理だけど、全面核戦争ぐらいは何とか阻止したい」という気分である。
世界平和なんて確かに幻想でしかないけど、それでもその幻想に少しでも近づきたいというオレの意識が、たぶん「今のアルタシャ」を形成しているのだと思う。
そしてテセルは改めて問うてくる。
「世界を自分の思い通りにしたいこと実現しようと考えるのがむしろ自然だと僕は考えてきたのだがな?」
「神造者はそれが目的だったのですよね。そしてその結果はテセルが幾度も見てきた通りですよ」
実際に神造者の創設者といろいろやり合ってみたが、良くも悪くもというか悲しい程に「人間」だった。
そして「あらゆるものを利害得失で計算して扱う」というのは、元の世界では当たり前の話であり、人命だって「金」で換算される世界だった。
別にその事が悪いとは思わないが、それで人間を本当に金に代えようとする輩もしょっちゅう出てきた。
何だって行き過ぎはマイナスなのである。
「アルタシャはつまり自分の思い通りにしようと全力を尽くしてきたくせに、実際に思い通りにするのはイヤだというへそ曲がりなわけか?」
相変わらず毒舌は収まる気配がないな。
「ええ。そうですよ。あなたもよく知っているはずです」
「アルタシャは本当は実に欲深いのだな。世界を今までにない形にしたいと思っていて、それはあらゆるもののあり方を変えてしまうほど巨大な望みだ。そしてそれを何百年かけようと貫くのを当たり前だと思っている」
「確かにその通りです」
「その癖に自分の欲望そのものは可能な限り表に出す事がなく、徹底的に抑えようとしているタイプだな。だから殆どの人間は『無欲の極み』に見えてしまう。もっと言えば――」
「偽善者だと言いたいのでしょう?」
自分でもそう思うところは結構ある。
「まあそんなところだ」
「そんなの別にいいんですよ。『やらない善よりやる偽善』という言葉があるんですからね」
たとえ自己満足だろうが、何だろうが困っている人間を助ける事にこそ意義がある。政治家が名声が欲しくて平和のために働いたのならば、それは立派な業績というものだ。
まあオレの場合は、自分でも突き抜けすぎたとは思うが、その理由の大部分はたぶん「この世界の住民」ではなかったからだ。
そのためにしがらみもなければ、名声や地位や富にも全然執着しなかった。
しかしそんなオレがいつの間にやら「この世界を変える」事に執着してしまっているのだから、まさしく「一周回った」状態という事になるのだろう。
ここでテセルは頷くように答えてくる。
「それはいい言葉だな。きっと歴史に残るぞ」
「残念ながらわたしの郷里ではとっくに広まっているんですよ」
「そうか。しかし自分で偽善だと分かっていて、見ず知らずの相手のために幾度も命を賭けるなんて、やっぱりアルタシャはどうかしている」
「どうかしているからこそ、ここまで来たのですよ。そして改めてこの世界の皆さんに、わたしの意志を伝えるつもりです」
そう宣言して、オレはかつての「別世界」であり、今は「オレの世界」に向けて足を踏み出した。
世界に戻ったら間違い無く、大勢の人間からの称賛が渦を巻くだろう――もちろん悪意も欲望も少なからずあるだろう。
いずれにせよどれだけもてはやされようが、力を持とうがあくまでも「ひとりの人間」であることを貫く。
もちろん他人からすれば「何を厚かましい事を言っているか」と言われそうだ。もとの世界にいた頃のオレだって、そう考えるだろうな。
だけどそれはそれで構わない。
確かにフィクションでも勝利した後の勇者は、一般人として生活する何てことが多いけど――最近はそれでスローライフなんてネタが珍しくも無い――オレの場合はこれからが大変なのだ。
ほぼ確実に数百年単位で時間がかかるのは間違い無い事である。
そして何より、これは人々の意識を変えるところからがスタートラインなのだ。
この世界において人々が「神や精霊を崇拝し、その見返りに魔力を得る」のはもう遥か昔から行われてきたことだ。
元の世界で革命で国王を処刑するまで「国王がいなければ太陽は登らない」と本気で信じる人間がいたと聞いた事がある。
もちろんそこまでは当時でも少数だったろうが、こっちは神様が実在していて、街でも国でも実際に力を与えているからややこしい。
一度、神様同士が衝突すれば、その遺恨は何百年でも続きかねないのだ。
下手をすれば遺恨のある人間が、忘れられた神や精霊を利用することすらあった。
もちろん同じような事は元の世界でもあったし、一千年以上前の遺恨話を持ち出して戦争するような話もあったから偉そうな事を言える筋合いではないのだが。
しかしそれでもマジモンの神様の意志だとか、その神を人間がいじくる事で自然や人の心まで自由に操り、一歩間違えば世界の滅亡までやらかしてしまうような事は絶対に避けねばならない。
かなり極端な話であるが無理やり例えるなら「世界平和は無理だけど、全面核戦争ぐらいは何とか阻止したい」という気分である。
世界平和なんて確かに幻想でしかないけど、それでもその幻想に少しでも近づきたいというオレの意識が、たぶん「今のアルタシャ」を形成しているのだと思う。
そしてテセルは改めて問うてくる。
「世界を自分の思い通りにしたいこと実現しようと考えるのがむしろ自然だと僕は考えてきたのだがな?」
「神造者はそれが目的だったのですよね。そしてその結果はテセルが幾度も見てきた通りですよ」
実際に神造者の創設者といろいろやり合ってみたが、良くも悪くもというか悲しい程に「人間」だった。
そして「あらゆるものを利害得失で計算して扱う」というのは、元の世界では当たり前の話であり、人命だって「金」で換算される世界だった。
別にその事が悪いとは思わないが、それで人間を本当に金に代えようとする輩もしょっちゅう出てきた。
何だって行き過ぎはマイナスなのである。
「アルタシャはつまり自分の思い通りにしようと全力を尽くしてきたくせに、実際に思い通りにするのはイヤだというへそ曲がりなわけか?」
相変わらず毒舌は収まる気配がないな。
「ええ。そうですよ。あなたもよく知っているはずです」
「アルタシャは本当は実に欲深いのだな。世界を今までにない形にしたいと思っていて、それはあらゆるもののあり方を変えてしまうほど巨大な望みだ。そしてそれを何百年かけようと貫くのを当たり前だと思っている」
「確かにその通りです」
「その癖に自分の欲望そのものは可能な限り表に出す事がなく、徹底的に抑えようとしているタイプだな。だから殆どの人間は『無欲の極み』に見えてしまう。もっと言えば――」
「偽善者だと言いたいのでしょう?」
自分でもそう思うところは結構ある。
「まあそんなところだ」
「そんなの別にいいんですよ。『やらない善よりやる偽善』という言葉があるんですからね」
たとえ自己満足だろうが、何だろうが困っている人間を助ける事にこそ意義がある。政治家が名声が欲しくて平和のために働いたのならば、それは立派な業績というものだ。
まあオレの場合は、自分でも突き抜けすぎたとは思うが、その理由の大部分はたぶん「この世界の住民」ではなかったからだ。
そのためにしがらみもなければ、名声や地位や富にも全然執着しなかった。
しかしそんなオレがいつの間にやら「この世界を変える」事に執着してしまっているのだから、まさしく「一周回った」状態という事になるのだろう。
ここでテセルは頷くように答えてくる。
「それはいい言葉だな。きっと歴史に残るぞ」
「残念ながらわたしの郷里ではとっくに広まっているんですよ」
「そうか。しかし自分で偽善だと分かっていて、見ず知らずの相手のために幾度も命を賭けるなんて、やっぱりアルタシャはどうかしている」
「どうかしているからこそ、ここまで来たのですよ。そして改めてこの世界の皆さんに、わたしの意志を伝えるつもりです」
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