能力者の都市で僕が最強の"覇王"になるまで。

ミースケ

文字の大きさ
10 / 34

#10

しおりを挟む
『京夜さんが「強そうな敵と遭遇したから先に目的の部屋に入って児童を救出してろ」と・・・』
「おう、分かった」
耳に付けているワイヤレスイヤホンから京夜からの伝言内容を話す瑠衣の声は少し怖がって居る様子だ。
にしても京夜が危険を感じるほどの敵か、ここまでの道のりで遭遇した奴は全員素人だったため弱小犯罪組織かと思っていたが、どうやら違うらしい。
そいつレベルの敵があと2,3人いるならかなり困ったりしてしまうが、まあなんとかなるだろう。
「まあいいや、先に行ってるからって京夜に伝えといてくれ。あとそいつから"情報"を聞き出しとけってな!」
「え?それってどういう・・・?」
僕は瑠衣の疑問の声を無視して通信を切り、5階へと続く階段を登っていく。

「さて、どうするか」
男の周りには数十体の人型の黒い影のような物がいる。
先程、通路で攻撃された時に影と思わしきものが一瞬で姿を現したり消していたため、影には姿を消す様な能力があると仮定する。
その上、姿を消した状態で追撃をしてこなかったり、弾丸が当たらなかったことから、姿を消している状態では何かに干渉することは出来ないとかんがえられる。
警戒すべきなのは姿を消され、近づかれて攻撃されることだ。
「瑠衣、視覚のサポート頼む。俺が見逃した敵の位置を教えてくれ」
「分かりました」
それを防ぐために瑠衣にサポートを頼む。
「本当に退いてくれないんだな?」
「そうだな」
もう一度確認を取るが本当に通してくれる気は一切無いようだ。
「なら仕方ないな・・・」
京夜はそう言いつつ、素早く銃を構えて標準を男の頭に合わせて発砲する。
「いきなり頭か!容赦ないね!」
しかし、弾丸は男の周りの影の内の一体が男の前に立ち、身代わりとなって弾丸を受けたことで防がれる。
弾丸を食らった身代わりはその場に倒れ込み、数秒間悶えるように手足をジタバタさせた後にガラスが割れたように粉々になり、消えていく。
『京夜さん後に影が!』
京夜の真上で姿を消して飛んでいるドローンから見た情報をワイヤレスイヤホンを通じて瑠衣が伝えてくる。
そこには身長2m以上はありそうな巨体の影がこれまた巨大な剣を振りかぶっている。
「何だコイツ?」
京夜はその影が剣を持っている指にに向かって弾丸を2発放つ。
弾丸は見事影の指に命中し、影は持っていた剣を床に落としてしまう。
その隙を付いて更に3発の弾丸を影の頭部に向けて放ち、それをまともに食らった影は先程と同じようにガラスが割れたように消えていく。
「やるね!これならどうだい?」
背後からそんな声が聞こえてきて、男の方に向き直ると、一般的な体格をした影が数十体こちらに向かってきていた。
『数体姿を消しているやつがいました!』
瑠衣のその報告により死角からの奇襲にも警戒しなければならないことが分かるが、京夜は数十体の影に向かって突っ込んでいく。
向かってくる影全員に弾丸を頭に打ち込んで倒しながら男との距離を詰めていく。
「やるじゃん。その威力、能力を使っているのかな?」
男はそんな事を言って、自分の目の前に刀を持った影を新たに出す。
その影は刀を抜いて構える。
「・・・っ!」
その構えを見た京夜は本能的にその場で立ち止まる。
これまで3年ほど、この仕事で沢山の経験を積んで相手の強さの判断や状況の判断をかなり正確に行えるようになってきた。
そしてその経験から「こいつはやばい」と、自分の中で警報がなっているのを感じる。
これ以上前に進んだ瞬間に自分の首が飛ぶと判ってしまう。
それほどまでの強さが目の前の刀を持った影にはある。
「これはどうするかな・・・」
京夜は小さな声でそう呟き、思考を巡らせる。
___2秒の思考の結果、京夜はある作戦を思いついた。
「瑠衣、聞こえるか?3秒後にドローンから男に攻撃を放ってくれ」
『え?ちょ・・・!』
京夜はそう言って影に向かって銃を連射する。
だが、その弾丸は全て影によって切り捨てられる。
しかし京夜は"作戦通り"と思う。
放った弾丸は6発、そして斬られた弾丸は5発。
残りの1発はどこに行ったのか?答えは簡単、弾丸を曲げることによって影に斬られるのを避けてそのまま直線上に男に向かって飛んでいっている。
通常ならこれも先程のように防がれて終わりだが、ここで瑠衣のドローンが上から男に向かって光線たっぷりのレーザービームを放つ。
これにより、一瞬男の意識がドローンに逸れて防御の判断を遅らせる。
そしてその一瞬があれば京夜の弾丸は男に命中する。
「・・・あ」
男はそんな声を出しながら、その瞬間弾丸に撃ち抜かれてその勢いで後ろの壁に激突する。
男がダウンしたことで形が保てなくなったのか刀を持ったか影はどんどん溶けていき、やがて姿を消す。
次の瞬間、後ろから気配を感じ、ノールックで弾丸を2発放つ。
すると背後からガラスが割れるような音が2つ聞こえてくる。
予想通り、忍ばせた影を使うなら俺が勝ちを確信したこのタイミングが一番効果的だろう。
しかし瑠衣の報告によって影が潜んでいることは分かっており、警戒していたため、その不意打ちを効かなかった。
「強いな」
京夜はそう言ってダウンした男に向けて数発弾丸を放つ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...