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どうしてこうなった。
オレらは裏社会で小さい勢力ながらも頑張ってやってきた。
もちろん法律を無視した行いもやってきたし、それが悪いことだとも自覚していた。
だが1ヶ月ほど前、ある組織から傘下に入れと言われた。
その組織は裏社会では名の通った大組織であり逆らえば、良くて裏社会で生きていけなくなり、最悪仲間共々全員殺される。
そのためその話を断る事が出来ずに傘下入りを承諾せざるをえなかった。
それからは失敗したら殺されるかもという恐怖の中、組織の上から命令されたことをこなしていきながら生きていた。
数日前、ある少女を誘拐しろとの命令を受けた。
なんでもその少女の能力が欲しいらしく、"少女を殺して能力を奪う"為に拐うのだとか。
流石に罪悪感を覚えたが、命令に背けば殺されるため仕方なく実行した。
そして今日、組織の幹部らしき男が少女を回収しにきた。
男は2m四方の鉄の檻檻の中に閉じ込めている少女の顔を確認して、檻ごと持って帰るという。
どうやってもって帰るのかと思ったが、突然檻の下に巨大な人型の黒い影が現れ、檻を持ち上げて運び出す。
人型の影を操れる男の能力に驚きながらもこれで今回も命令を守れた、と安心したのも束の間、このアジトの中に侵入者が現れたらしく、ウチの者では手が付けられないようだ。
それを見かねた影使いの男が直々に出向いってた。
「おいおい、どうする?もしかして侵入を許したオレらも責任を取らされるかも」
「もしかしたらオレらの首も飛ぶかもな(物理)・・・」
「いやいや流石にそんなことは・・・」
"無い"と言い切れないのが恐ろしい所だ。
俺達はアジトの最上階にある女子児童が入っている檻のある部屋で待機していたのだが・・・
「なんだお前!」
気がつくと侵入者と思わしき白髪で左眼に黒い眼帯を付けている男がその檻の上に座っていた。
「僕の名前?零っていうんだけど、漢数字のね?」
とっさに銃を構えて標準をその零というらしい男に向けるが、零はそれに怯える様子もなく話し出す。
「あんたらのボス?かどうかわ知らないけど、影使いの男はもう倒したぜ?」
「・・・は?」
零はスマホを見せてきて、その画面には倒れている影使いの男が写っていた。
アイツが負けた?
あの男は組織の幹部のはずだろう。
そんな強いであろう男が負けたならオレたちでは100%勝ち目が無いだろう。
なら、ここでやるべきことは一つだけだ。
「・・・オレらは大人しく捕まるよ」
それは降参だ。
他の2人もそれを察したようで、オレに続けて手を上げて降参の意を表す。
「あ、降参するの?」
零は少し驚いたような表情をしながら檻の上から降りる。
すると部屋の扉が開き、中に誰かが入ってくる。
「おう京夜、遅かったな!」
一瞬影使いの男かと期待したが、入ってきたのは黒髪の男で、どうやら零の仲間のようだ。
「ああ、アイツはまじでヤバかった。それと瑠衣のドローンは部屋の外に待機させてある」
そこで、影使いの男を倒したのが、この黒髪の男なのだと言うことを察する。
「で、あんたらをこれからどうするのかっていう話なんだけど」
零はこちらを向いてそう言い出す。
「あんたらが持ってる組織の本部の情報全てくれたら見逃してやるよ」
「・・・?」
そんな交換条件に思わず困惑してしまう。
この状況で零がオレたちを見逃してやることにメリットは無いはずだが、見逃して貰えるなら願ってもない。
「・・・分かった」
オレはそれを了承する。
「オッケ!じゃあお前でいいや、こっちに来てくれ」
「・・・?」
突然、オレは指を指されて零と共に部屋の外に出るように促された。
オレはそれを不審に思いながらも、断るわけにもいかないため、零に付いて部屋を出ていく。
「おつかれぃ!」
僕、京夜、玲奈、瑠衣の4人は玲奈の運転する車に乗って事務所に帰っていた。
「ありがとう・・・ございます」
そして、救出した少女もその車に乗っている。
どうやらあの男達は最低限の良心はあるようで、少女の健康状態はほとんど異常が無かった。
「で、あの組織はどうなるんですか?」
部屋の外で待機していて聞いていなかった瑠衣がそんなことを僕に聞いてくる。
「ああ、あいつらはもうすぐ捕まるよ」
僕はそう言って後ろを見る。
この車のトランクには影使いの男が入っており、麻酔で眠らせているため数時間は起きないだろう。
「玲奈、優香さんの所へ向かってくれ」
「・・・ん」
そうして僕たちは今日2回目である優香さんの家に向かう。
事務所に戻ってきて、玲奈のカフェの駐車場に車を止めて、僕たちは事務所に戻る。
救出した少女は何故か僕に懐いており、僕が抱きかかえている。
「じゃ・・・」
玲奈はそのままカフェの仕事に戻るらしく、店の中に入っていく。
僕たちは建物の階段を登り、事務所の扉に向かう。
「・・・!」
すると、階段から事務所の扉の前に女性が立っているのが見え、女性はこちらを見て驚きの表情を浮かべる。
「あの~、娘さん連れて帰って来たんですけど」
この状況からその女性がこの少女の母親だということを理解した僕は女性にそんな声を掛ける。
「ママ・・・?」
それを見た少女は僕の腕から降りて、階段を登って母親に抱きつく。
「ありがとうございます・・・!本当にありがとうございます!」
母親は泣きながら少女を抱きしめて、こちらにお礼を言ってくる。
「・・・・・」
僕は黙ってそれを見つめる。
「あれ、零さん?」
すると、僕の横に来た瑠衣がこちらを見て心配そうな声を上げる。
「"どうして泣いているんですか"?」
「ん・・・?」
そこで僕の右目から涙が流れていることに気がつく。
「なんか・・・な」
僕はそう言って振り向くと、心配そうな顔をした瑠衣と、複雑そうな顔をした京夜がこちらを見ていた。
「まあ、よかったな」
京夜はこちらに近づいて来て、僕の肩を叩いてそう言う。
「・・・そうだな」
僕は涙を拭きながらそう言う。
「おい零、お前大丈夫か?」
校内予選から2日後の月曜日の朝、登校して来て教室に入ってきたクラスメイトである語気鰤が席に座っている僕を見て驚きの表情を浮かべ、僕の方に来る。
「・・・それは何に関してだ?」
僕が不機嫌そうにそう返すと、語気鰤は「何って・・・」というような表情を浮かべながら言う。
「その机、落書きだらけじゃねぇか・・・」
「・・・まあな」
僕の机は何者かに落書きされており、かなり汚くなってある。
「死ね、ゴミ、学校来んな、貴様許さんぞ、童貞がイキんな、死ね・・・暴言のオンパレードだな」
語気鰤は若干引き気味に机に書かれた文字を読み上げる。
僕は、誰だよ「童貞がイキんな」って書いたの、童貞じゃないっての・・・
「お前、可愛そうだな」
「じゃあお前が変われよ」
「丁重にお断りする!」
僕らがそんなやり取りをしていると、教室の扉が開いて、環が入ってくる。
「おわぁぁ!何やってんだお前ぇぇ~!?」
「お前こそ何だよ・・・」
環は僕の机を見ると、そんな声を上げながらこちらに向かって走ってくる。
「どうしたのじゃその席は!?」
「まあ、勝者への嫉妬なんじゃねぇの?」
手を机の上に置いて前に伸ばしながらそう言う。
「そうなのか?まあ、拭いとくのだぞ?」
「お~う」
環はそう言って自分の席に歩いていく。
僕はそれを見てほっと息を付き、ハンカチを取り出して、机手で隠した部分に書かれていた文字を消す。
「委員長、気づいて無いみたいだったな」
「ああ」
僕がここまで嫌がらせを受けているのは、"環の圧倒的人気"故だ。
圧倒的人気を誇る環に校内予選で勝ってしまったのがまずかったらしい。
それを環に気づかれると真面目なあいつは傷つくかも知れないため、バレないようにしている。
僕が机をとっさに隠した部分に書かれていた文字は
"よくもオレらの委員長を!"
というものだった。
能力というものがあっても、こういったイジメや嫌がらせは無くならないんだなと思いつつ、僕は授業の準備をする。
オレらは裏社会で小さい勢力ながらも頑張ってやってきた。
もちろん法律を無視した行いもやってきたし、それが悪いことだとも自覚していた。
だが1ヶ月ほど前、ある組織から傘下に入れと言われた。
その組織は裏社会では名の通った大組織であり逆らえば、良くて裏社会で生きていけなくなり、最悪仲間共々全員殺される。
そのためその話を断る事が出来ずに傘下入りを承諾せざるをえなかった。
それからは失敗したら殺されるかもという恐怖の中、組織の上から命令されたことをこなしていきながら生きていた。
数日前、ある少女を誘拐しろとの命令を受けた。
なんでもその少女の能力が欲しいらしく、"少女を殺して能力を奪う"為に拐うのだとか。
流石に罪悪感を覚えたが、命令に背けば殺されるため仕方なく実行した。
そして今日、組織の幹部らしき男が少女を回収しにきた。
男は2m四方の鉄の檻檻の中に閉じ込めている少女の顔を確認して、檻ごと持って帰るという。
どうやってもって帰るのかと思ったが、突然檻の下に巨大な人型の黒い影が現れ、檻を持ち上げて運び出す。
人型の影を操れる男の能力に驚きながらもこれで今回も命令を守れた、と安心したのも束の間、このアジトの中に侵入者が現れたらしく、ウチの者では手が付けられないようだ。
それを見かねた影使いの男が直々に出向いってた。
「おいおい、どうする?もしかして侵入を許したオレらも責任を取らされるかも」
「もしかしたらオレらの首も飛ぶかもな(物理)・・・」
「いやいや流石にそんなことは・・・」
"無い"と言い切れないのが恐ろしい所だ。
俺達はアジトの最上階にある女子児童が入っている檻のある部屋で待機していたのだが・・・
「なんだお前!」
気がつくと侵入者と思わしき白髪で左眼に黒い眼帯を付けている男がその檻の上に座っていた。
「僕の名前?零っていうんだけど、漢数字のね?」
とっさに銃を構えて標準をその零というらしい男に向けるが、零はそれに怯える様子もなく話し出す。
「あんたらのボス?かどうかわ知らないけど、影使いの男はもう倒したぜ?」
「・・・は?」
零はスマホを見せてきて、その画面には倒れている影使いの男が写っていた。
アイツが負けた?
あの男は組織の幹部のはずだろう。
そんな強いであろう男が負けたならオレたちでは100%勝ち目が無いだろう。
なら、ここでやるべきことは一つだけだ。
「・・・オレらは大人しく捕まるよ」
それは降参だ。
他の2人もそれを察したようで、オレに続けて手を上げて降参の意を表す。
「あ、降参するの?」
零は少し驚いたような表情をしながら檻の上から降りる。
すると部屋の扉が開き、中に誰かが入ってくる。
「おう京夜、遅かったな!」
一瞬影使いの男かと期待したが、入ってきたのは黒髪の男で、どうやら零の仲間のようだ。
「ああ、アイツはまじでヤバかった。それと瑠衣のドローンは部屋の外に待機させてある」
そこで、影使いの男を倒したのが、この黒髪の男なのだと言うことを察する。
「で、あんたらをこれからどうするのかっていう話なんだけど」
零はこちらを向いてそう言い出す。
「あんたらが持ってる組織の本部の情報全てくれたら見逃してやるよ」
「・・・?」
そんな交換条件に思わず困惑してしまう。
この状況で零がオレたちを見逃してやることにメリットは無いはずだが、見逃して貰えるなら願ってもない。
「・・・分かった」
オレはそれを了承する。
「オッケ!じゃあお前でいいや、こっちに来てくれ」
「・・・?」
突然、オレは指を指されて零と共に部屋の外に出るように促された。
オレはそれを不審に思いながらも、断るわけにもいかないため、零に付いて部屋を出ていく。
「おつかれぃ!」
僕、京夜、玲奈、瑠衣の4人は玲奈の運転する車に乗って事務所に帰っていた。
「ありがとう・・・ございます」
そして、救出した少女もその車に乗っている。
どうやらあの男達は最低限の良心はあるようで、少女の健康状態はほとんど異常が無かった。
「で、あの組織はどうなるんですか?」
部屋の外で待機していて聞いていなかった瑠衣がそんなことを僕に聞いてくる。
「ああ、あいつらはもうすぐ捕まるよ」
僕はそう言って後ろを見る。
この車のトランクには影使いの男が入っており、麻酔で眠らせているため数時間は起きないだろう。
「玲奈、優香さんの所へ向かってくれ」
「・・・ん」
そうして僕たちは今日2回目である優香さんの家に向かう。
事務所に戻ってきて、玲奈のカフェの駐車場に車を止めて、僕たちは事務所に戻る。
救出した少女は何故か僕に懐いており、僕が抱きかかえている。
「じゃ・・・」
玲奈はそのままカフェの仕事に戻るらしく、店の中に入っていく。
僕たちは建物の階段を登り、事務所の扉に向かう。
「・・・!」
すると、階段から事務所の扉の前に女性が立っているのが見え、女性はこちらを見て驚きの表情を浮かべる。
「あの~、娘さん連れて帰って来たんですけど」
この状況からその女性がこの少女の母親だということを理解した僕は女性にそんな声を掛ける。
「ママ・・・?」
それを見た少女は僕の腕から降りて、階段を登って母親に抱きつく。
「ありがとうございます・・・!本当にありがとうございます!」
母親は泣きながら少女を抱きしめて、こちらにお礼を言ってくる。
「・・・・・」
僕は黙ってそれを見つめる。
「あれ、零さん?」
すると、僕の横に来た瑠衣がこちらを見て心配そうな声を上げる。
「"どうして泣いているんですか"?」
「ん・・・?」
そこで僕の右目から涙が流れていることに気がつく。
「なんか・・・な」
僕はそう言って振り向くと、心配そうな顔をした瑠衣と、複雑そうな顔をした京夜がこちらを見ていた。
「まあ、よかったな」
京夜はこちらに近づいて来て、僕の肩を叩いてそう言う。
「・・・そうだな」
僕は涙を拭きながらそう言う。
「おい零、お前大丈夫か?」
校内予選から2日後の月曜日の朝、登校して来て教室に入ってきたクラスメイトである語気鰤が席に座っている僕を見て驚きの表情を浮かべ、僕の方に来る。
「・・・それは何に関してだ?」
僕が不機嫌そうにそう返すと、語気鰤は「何って・・・」というような表情を浮かべながら言う。
「その机、落書きだらけじゃねぇか・・・」
「・・・まあな」
僕の机は何者かに落書きされており、かなり汚くなってある。
「死ね、ゴミ、学校来んな、貴様許さんぞ、童貞がイキんな、死ね・・・暴言のオンパレードだな」
語気鰤は若干引き気味に机に書かれた文字を読み上げる。
僕は、誰だよ「童貞がイキんな」って書いたの、童貞じゃないっての・・・
「お前、可愛そうだな」
「じゃあお前が変われよ」
「丁重にお断りする!」
僕らがそんなやり取りをしていると、教室の扉が開いて、環が入ってくる。
「おわぁぁ!何やってんだお前ぇぇ~!?」
「お前こそ何だよ・・・」
環は僕の机を見ると、そんな声を上げながらこちらに向かって走ってくる。
「どうしたのじゃその席は!?」
「まあ、勝者への嫉妬なんじゃねぇの?」
手を机の上に置いて前に伸ばしながらそう言う。
「そうなのか?まあ、拭いとくのだぞ?」
「お~う」
環はそう言って自分の席に歩いていく。
僕はそれを見てほっと息を付き、ハンカチを取り出して、机手で隠した部分に書かれていた文字を消す。
「委員長、気づいて無いみたいだったな」
「ああ」
僕がここまで嫌がらせを受けているのは、"環の圧倒的人気"故だ。
圧倒的人気を誇る環に校内予選で勝ってしまったのがまずかったらしい。
それを環に気づかれると真面目なあいつは傷つくかも知れないため、バレないようにしている。
僕が机をとっさに隠した部分に書かれていた文字は
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