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私は試合が始まると同時に、ステージの地面に触れて《物体操作》を発動して、自分から数m離れた位置に、長さ10m、高さ2mの壁を生成する。
お兄様の能力《書き換え》ならばこの程度の壁では足止めにもならないだろうが、まずは出方を探るためにもとりあえず生成した。
10年前、突然能力に覚醒した私とお兄様は、その時点で既に距離を保って過ごしていたため、互いの能力について話す機会が無かった。
まあ、私の能力についてはどうせ両親からお兄様に伝えられているだろうが、両親は私にはお兄様の能力を教えてくれなかった。
そのため、零がお兄様の能力の情報を持ってきてくれた時は素直にナイスと思った。
零は「まだなんか隠してそうだったけどな」と言っていたが、おおよその能力が分かっただけで対策が取りやすくなる。
お兄様が壁の横を通ってこちらに向かって来た場合は更に壁を増やす。
もしも壁を壊すかよじ登って来た場合は・・・
「・・・!」
私がそこまで考えていると、目の前の壁の真ん中に小さな穴が開く。
その穴は次第に大きくなっていき、穴の向こう側からお兄様の姿が見える。
恐らく《書き換え》で壁を柔らかくしたりしたのだろう。
「喰らえ」
私はお兄様を攻撃するために能力を発動して、蛇を生成する。
前回、零に敗北を喫してから、私はどうすれば更に強くなれるのかをひたすら考えた。
その結果、12本の蛇を全て集中させて1匹の"大蛇"を作ることにした。
「何・・・!?」
お兄様は、突然自分の足元から現れた大きな口に驚き、回避行動を取ろうとする。
だが、お兄様の居る足元は既に軟化させており、ジャンプをすることが出来ないようにしている。
回避することが出来なかったお兄様は、ステージの地面から現れた大蛇に丸呑みにされる。
「・・・流石にこれで勝てるなんて思っていないが」
そんな独り言を呟いた瞬間、大蛇が破裂したように消滅し、中からお兄様が出てくる。
「・・・」
私は落ち着いて数歩さがって距離をとり、能力を発動する。
零との戦いでは、立体駐車場での戦いだったため、立体駐車場崩壊する恐れがあったことで使えなかったが、私には"奥の手"がある。
それは・・・
___能力を発動した瞬間、地面が揺れる。
それと共にお兄様の立っている位置を中心に、半径5mの円状の範囲をそのまま6m程凹ませてお兄様の位置を地下へと下げる。
「なるほどな」
お兄様はこちらを見上げてギリギリ聞こえるくらいの声量でそう呟く。
お兄様の能力《書き換え》は、無機物の仕組み書き換える事ができるというもので、極端に硬いものや大きいものを書き換えるには、それ相応の負担と時間が掛かるらしい。
そして、私の能力で半径5m、高さ6m凹ませた地面に元々あった物体は何処に消えたのか?
きっとお兄様はそんな疑問を抱いているだろう。
「そして、これが答えじゃ!」
私は再び"大蛇"を地面から出現させて地下にいるお兄様に攻撃する。
大蛇は地下にいるお兄様に向かって口を広げて一直線に向かい、今度こそお兄様を丸呑みにして仕留めようとしている。
「・・・!」
お兄様は"何か"に気がついたようで、今度は大蛇の攻撃を避けようとする。
が、この円の中、何処へ避けようとも大蛇から避ける事は出来ない。
例え《書き換え》で、壁を書き換えようとも大蛇がお兄様に喰らいつくのが先だからだ。
「・・・勝った!」
しかし、私がそれを確信した瞬間、背後からの謎の衝撃によって前方に倒れてしまい、お兄様に大蛇を当てるために地下を覗き込んでいた私は、そのまま穴の中へと落ちていってしまう。
環によって開けられた大穴の中、大蛇を見て真っ先に感じた感情は"驚き"だった。
環は頭がいい、だからこそ一度全く通用しなかった"大蛇"を再び無策で使ってくる様な事はしないだろう。
___先程、環が大蛇を使った際、凹んだ地面の面積は明らかに大蛇の面積よりも少なかった。
その凹みから大蛇を作っていたのだとしたら、明らかに面積が釣り合っていない。
そこで考えられるのは、環の《物体操作》は、単に物体を操るだけでなく、"物体の質量までも操作出来るのかも知れない"という事だ。
そして、見た感じ大蛇の大きさは先程と同じくらいだ。
つまり、逆に"物体を圧縮出来るのであれば?"
そうだとすると、大蛇の質量が先程よりも大きいため、恐らく大蛇を書き換えるより早く、自分が倒されてしまうだろう。
そうなれば大蛇の攻撃は避けるしかないのだが、生憎周りは壁で囲まれており、避けるスペースが無い。
仲間である零から俺の情報を得て、それを対策するために相手の退路を断ち、防御不可の攻撃を放つ。
ここまでが環の作戦だろう。
「・・・やるな」
正直、環がここまでやるという事には驚いたが、あいつには1つ誤算があった。
それは・・・
「本気を出せばこの質量の物体でも書き換える事が出来るんだよ!」
これは賭けだ。
大蛇の口の中で戦闘不能にさせられるまえに大蛇を《書き換え》で分解させることが出来た場合、もうこの手は食らわないため、俺の勝ち。
・・・《書き換え》が間に合わなかった場合は環の勝ちだ。
生まれて初めての妹とのガチバトルに俺は気分が高揚する。
「・・・!」
が、そこで俺の目には迫りくる大蛇と壁の間からあるものが捉えられた。
そう、環だ。
どうやら気を失っているようで、地上からこちらに向かって落ちようとしている。
落ちてしまえば受け身が取れずに最悪、死・・・
「・・・環!」
俺はそれを見逃す事が出来なく、大蛇を書き換えるのを止めて環の落下予測地点に移動する。
8mの高さから落下した環は俺のちょうど腕に落ちてきて、キャッチすることに成功する。
しかし大蛇は、環という能力者の操作範囲外に出たことで、元々のステージの石に戻り、雨のようにこちらに向かって降り注ぐ。
「・・・ァァァ!」
俺はそれを書き換えて防ごうとするが、普通に考えて、大蛇の質量がもとの質量に戻ればこの穴と同じかそれ以上の量の石が降り注ぐ事になるため、防ぎ切る事は不可能だ。
いや、自分1人ならどうとでもなるかもしれないが、環を抱きかかえてだと、どうしようも無い。
だが、ここで環を見捨てるわけにはいかない。
環は俺のせいで両親から冷遇され、つらい思いをさせてしまったからだ。
まだその罪滅ぼしをしていない。
だから、俺は自分がどうなろうと環だけは守り切る。
だが、どうする?どうやって環を守り切る?この状況で俺ができることはなんだ?
刹那の思考の末、俺は"自分自身に能力を発動させる"___
お兄様の能力《書き換え》ならばこの程度の壁では足止めにもならないだろうが、まずは出方を探るためにもとりあえず生成した。
10年前、突然能力に覚醒した私とお兄様は、その時点で既に距離を保って過ごしていたため、互いの能力について話す機会が無かった。
まあ、私の能力についてはどうせ両親からお兄様に伝えられているだろうが、両親は私にはお兄様の能力を教えてくれなかった。
そのため、零がお兄様の能力の情報を持ってきてくれた時は素直にナイスと思った。
零は「まだなんか隠してそうだったけどな」と言っていたが、おおよその能力が分かっただけで対策が取りやすくなる。
お兄様が壁の横を通ってこちらに向かって来た場合は更に壁を増やす。
もしも壁を壊すかよじ登って来た場合は・・・
「・・・!」
私がそこまで考えていると、目の前の壁の真ん中に小さな穴が開く。
その穴は次第に大きくなっていき、穴の向こう側からお兄様の姿が見える。
恐らく《書き換え》で壁を柔らかくしたりしたのだろう。
「喰らえ」
私はお兄様を攻撃するために能力を発動して、蛇を生成する。
前回、零に敗北を喫してから、私はどうすれば更に強くなれるのかをひたすら考えた。
その結果、12本の蛇を全て集中させて1匹の"大蛇"を作ることにした。
「何・・・!?」
お兄様は、突然自分の足元から現れた大きな口に驚き、回避行動を取ろうとする。
だが、お兄様の居る足元は既に軟化させており、ジャンプをすることが出来ないようにしている。
回避することが出来なかったお兄様は、ステージの地面から現れた大蛇に丸呑みにされる。
「・・・流石にこれで勝てるなんて思っていないが」
そんな独り言を呟いた瞬間、大蛇が破裂したように消滅し、中からお兄様が出てくる。
「・・・」
私は落ち着いて数歩さがって距離をとり、能力を発動する。
零との戦いでは、立体駐車場での戦いだったため、立体駐車場崩壊する恐れがあったことで使えなかったが、私には"奥の手"がある。
それは・・・
___能力を発動した瞬間、地面が揺れる。
それと共にお兄様の立っている位置を中心に、半径5mの円状の範囲をそのまま6m程凹ませてお兄様の位置を地下へと下げる。
「なるほどな」
お兄様はこちらを見上げてギリギリ聞こえるくらいの声量でそう呟く。
お兄様の能力《書き換え》は、無機物の仕組み書き換える事ができるというもので、極端に硬いものや大きいものを書き換えるには、それ相応の負担と時間が掛かるらしい。
そして、私の能力で半径5m、高さ6m凹ませた地面に元々あった物体は何処に消えたのか?
きっとお兄様はそんな疑問を抱いているだろう。
「そして、これが答えじゃ!」
私は再び"大蛇"を地面から出現させて地下にいるお兄様に攻撃する。
大蛇は地下にいるお兄様に向かって口を広げて一直線に向かい、今度こそお兄様を丸呑みにして仕留めようとしている。
「・・・!」
お兄様は"何か"に気がついたようで、今度は大蛇の攻撃を避けようとする。
が、この円の中、何処へ避けようとも大蛇から避ける事は出来ない。
例え《書き換え》で、壁を書き換えようとも大蛇がお兄様に喰らいつくのが先だからだ。
「・・・勝った!」
しかし、私がそれを確信した瞬間、背後からの謎の衝撃によって前方に倒れてしまい、お兄様に大蛇を当てるために地下を覗き込んでいた私は、そのまま穴の中へと落ちていってしまう。
環によって開けられた大穴の中、大蛇を見て真っ先に感じた感情は"驚き"だった。
環は頭がいい、だからこそ一度全く通用しなかった"大蛇"を再び無策で使ってくる様な事はしないだろう。
___先程、環が大蛇を使った際、凹んだ地面の面積は明らかに大蛇の面積よりも少なかった。
その凹みから大蛇を作っていたのだとしたら、明らかに面積が釣り合っていない。
そこで考えられるのは、環の《物体操作》は、単に物体を操るだけでなく、"物体の質量までも操作出来るのかも知れない"という事だ。
そして、見た感じ大蛇の大きさは先程と同じくらいだ。
つまり、逆に"物体を圧縮出来るのであれば?"
そうだとすると、大蛇の質量が先程よりも大きいため、恐らく大蛇を書き換えるより早く、自分が倒されてしまうだろう。
そうなれば大蛇の攻撃は避けるしかないのだが、生憎周りは壁で囲まれており、避けるスペースが無い。
仲間である零から俺の情報を得て、それを対策するために相手の退路を断ち、防御不可の攻撃を放つ。
ここまでが環の作戦だろう。
「・・・やるな」
正直、環がここまでやるという事には驚いたが、あいつには1つ誤算があった。
それは・・・
「本気を出せばこの質量の物体でも書き換える事が出来るんだよ!」
これは賭けだ。
大蛇の口の中で戦闘不能にさせられるまえに大蛇を《書き換え》で分解させることが出来た場合、もうこの手は食らわないため、俺の勝ち。
・・・《書き換え》が間に合わなかった場合は環の勝ちだ。
生まれて初めての妹とのガチバトルに俺は気分が高揚する。
「・・・!」
が、そこで俺の目には迫りくる大蛇と壁の間からあるものが捉えられた。
そう、環だ。
どうやら気を失っているようで、地上からこちらに向かって落ちようとしている。
落ちてしまえば受け身が取れずに最悪、死・・・
「・・・環!」
俺はそれを見逃す事が出来なく、大蛇を書き換えるのを止めて環の落下予測地点に移動する。
8mの高さから落下した環は俺のちょうど腕に落ちてきて、キャッチすることに成功する。
しかし大蛇は、環という能力者の操作範囲外に出たことで、元々のステージの石に戻り、雨のようにこちらに向かって降り注ぐ。
「・・・ァァァ!」
俺はそれを書き換えて防ごうとするが、普通に考えて、大蛇の質量がもとの質量に戻ればこの穴と同じかそれ以上の量の石が降り注ぐ事になるため、防ぎ切る事は不可能だ。
いや、自分1人ならどうとでもなるかもしれないが、環を抱きかかえてだと、どうしようも無い。
だが、ここで環を見捨てるわけにはいかない。
環は俺のせいで両親から冷遇され、つらい思いをさせてしまったからだ。
まだその罪滅ぼしをしていない。
だから、俺は自分がどうなろうと環だけは守り切る。
だが、どうする?どうやって環を守り切る?この状況で俺ができることはなんだ?
刹那の思考の末、俺は"自分自身に能力を発動させる"___
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