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『先日起こった能力傷害事件ですが、調査の結果数年前に壊滅したと"ICE"の残党によるものだと思われ・・・』
テレビから流れてくるニュースの音声が事務所に響き渡る。
今事務所にいるのは4人。
僕と京夜と瑠衣、そして僕の目の前に座っている依頼人の男だ。
京夜はデスクで作業をしており、瑠衣はお茶を入れているため、僕が依頼人の座っている椅子の正面の椅子に座っている。
「・・・で、政府がウチに何のようですか?」
事前に事務所に送られてきた情報によると、今回の依頼は政府直々の依頼だそうで、目の前の男はその使いというわけだ。
男はスーツ姿だがガタイが良く、雰囲気からして強者だということが一目で分かる。
「今テレビで流れている"ICE"の残党の捕縛もしくは殺害の依頼したいのです。」
男は敬語ながらも低音の威圧感ある声でそう答える。
「なぜウチに?事務所なら他にもあるでしょうに」
「いや、何しろ6区能力者大会の優勝チームのメンバーが2人も所属している事務所というだけで実力面においてはかなりの信頼性がありますからね」
男は瑠衣から出されたお茶を受け取り一口飲む。
なるほどな、6区能力者大会で優勝すると就職などで役に立つ以外にも、事務所をやっていた場合、依頼の信頼性にも繋がるのか。
道理で最近依頼が増えたのかと想いつつ、僕は渡された書類を見る。
組織の予想人数は50~100人か、残党にしては多い気がするがまあいいだろう。問題は数より質だ。
「いいですよ、この依頼受けましょう」
「おお、そうですか」
男は喜んだようにそう言うと、新たな書類をカバンから取り出して渡してくる。
僕はそれを受け取ってその書類に目を通す、そこには組織の一部構成員の顔写真や能力の情報などが乗っていた。
「それではよろしくお願いしますね」
そう言って男は席を立ち、事務所の扉を開けて外に出ていく。
「あの人怖くないですか?」
「まあ、そうだな」
3人になった事務所の中で瑠衣がそう言う。
まあガタイもいいし高身長だったしそれもそうかと思いつつ、僕は書類を見ながらそう返す。
「・・・ん」
組織残党の顔写真一覧を見ていると、1人目についた男がいた。
___こいつはヤバい
僕は見た瞬間にそう思う。
さっきの男はガタイがいいことや高身長だということなど、ある程度見た目で強者だということが分かったが、この写真の男はガタイや身長も一般的で特に特徴がある訳では無いが、ヤバさを感じる。
「お前ら今回の依頼、過去一厳しくなるかもしれないぞ」
「まじですか!?」
僕は2人にそう言って、事務所を出て一階の玲奈のいるカフェに向かう。
「・・・こういうことは出来れば頼みたくないんだが、今回の依頼、玲奈も協力してくれないか?」
僕はカフェで玲奈のカフェオレを飲みながら、玲奈にそんな頼み事をしていた。
玲奈は僕にとって大切な存在だ。だからこそ危険の付き纏う依頼にはあまり参加させたくないのだが、今回の依頼は3人だけだと下手すると全滅の恐れもあるため、玲奈に頼らざるを得ない。
「・・・いいよ、零の頼みだし」
「そうか、ありがとな」
玲奈は全然大丈夫らしいが、それでもまだ気乗りはしない。
"ICE"は10年前の事件の2ヶ月後に、被害の対応などのためこの街に設置された臨時政府の拠点に能力者が数百人規模で襲撃し、民間人にも多大な被害を出したとされる史上最大級の能力犯罪組織だ。
その事件は世間では10年前の"最悪の能力犯罪"に続き、"史上2番目の規模の能力犯罪"と呼ばれており、今では教科書にも乗っている。
その両方の事件から多くの市民を守ったからこそ、龍桜は英雄と呼ばれ、この"能力者特別待遇地域"のトップにまでなることが出来たのだろう。
「悪いな、お前を危険な目に合わせようとして・・・」
「・・・だいじょうぶ」
やはり申し訳ないと思いつつ、僕は心の中で玲奈に感謝するのだった。
「おまえら!準備はいいか!?」
「ああ」
「はい!」
「・・・ん」
深夜2時、僕たちは地図に書かれていた組織の拠点がある場所付近で装備と作戦の最終確認を行っていた。
どうやら"ICE"残党は6区最南端にある廃工場を拠点にしているらしい。
僕の装備は防弾性の黒コートに、いつもの道具入れポーチと、大会でも一応持っていた短剣だ。
京夜は僕とは違うデザインの黒コートに、肩に巨大な黒いカバンを背負っている。中には京夜の愛銃の【刹那】とかが入っているらしい。
瑠衣はドローン操作によって車で待機なため、特に目立った武器などは持っていないが、車の中にドローンやら色々と置いているのだろう。
玲奈はいつもと服装は変わらず、武器なども特に何も持っていない。まあ、玲奈の能力の性質上、特にそういったものが必要無いのもあるのだが。
そして・・・
「・・・悪いな影浦さん」
僕は自分の背後に立っている男性に話しかける。
「いえいえ、大丈夫ですよ。恩人と弟子の頼みとあらば」
この人は影浦さん。優香さんの所の初老の男性で、そこで暮らしていた頃、僕の事を鍛えてくれていた人・・・言うなれば優香さんと同じく師匠というやつだ。
この人は剣術に特化しており、とてつもない基礎スペックでボコボコにしてくるのは今でも軽いトラウマだ。
今回は瑠衣の護衛として、優香さんに頼んで来てもらったのだ。
影浦さんが居てくれるなら瑠衣はまず安全だろう。
「じゃ~行くぞ!瑠衣、ドローンでサポート頼んだ!」
そう言って、僕たちは"ICE"残党の拠点である廃工場へと向かう。
テレビから流れてくるニュースの音声が事務所に響き渡る。
今事務所にいるのは4人。
僕と京夜と瑠衣、そして僕の目の前に座っている依頼人の男だ。
京夜はデスクで作業をしており、瑠衣はお茶を入れているため、僕が依頼人の座っている椅子の正面の椅子に座っている。
「・・・で、政府がウチに何のようですか?」
事前に事務所に送られてきた情報によると、今回の依頼は政府直々の依頼だそうで、目の前の男はその使いというわけだ。
男はスーツ姿だがガタイが良く、雰囲気からして強者だということが一目で分かる。
「今テレビで流れている"ICE"の残党の捕縛もしくは殺害の依頼したいのです。」
男は敬語ながらも低音の威圧感ある声でそう答える。
「なぜウチに?事務所なら他にもあるでしょうに」
「いや、何しろ6区能力者大会の優勝チームのメンバーが2人も所属している事務所というだけで実力面においてはかなりの信頼性がありますからね」
男は瑠衣から出されたお茶を受け取り一口飲む。
なるほどな、6区能力者大会で優勝すると就職などで役に立つ以外にも、事務所をやっていた場合、依頼の信頼性にも繋がるのか。
道理で最近依頼が増えたのかと想いつつ、僕は渡された書類を見る。
組織の予想人数は50~100人か、残党にしては多い気がするがまあいいだろう。問題は数より質だ。
「いいですよ、この依頼受けましょう」
「おお、そうですか」
男は喜んだようにそう言うと、新たな書類をカバンから取り出して渡してくる。
僕はそれを受け取ってその書類に目を通す、そこには組織の一部構成員の顔写真や能力の情報などが乗っていた。
「それではよろしくお願いしますね」
そう言って男は席を立ち、事務所の扉を開けて外に出ていく。
「あの人怖くないですか?」
「まあ、そうだな」
3人になった事務所の中で瑠衣がそう言う。
まあガタイもいいし高身長だったしそれもそうかと思いつつ、僕は書類を見ながらそう返す。
「・・・ん」
組織残党の顔写真一覧を見ていると、1人目についた男がいた。
___こいつはヤバい
僕は見た瞬間にそう思う。
さっきの男はガタイがいいことや高身長だということなど、ある程度見た目で強者だということが分かったが、この写真の男はガタイや身長も一般的で特に特徴がある訳では無いが、ヤバさを感じる。
「お前ら今回の依頼、過去一厳しくなるかもしれないぞ」
「まじですか!?」
僕は2人にそう言って、事務所を出て一階の玲奈のいるカフェに向かう。
「・・・こういうことは出来れば頼みたくないんだが、今回の依頼、玲奈も協力してくれないか?」
僕はカフェで玲奈のカフェオレを飲みながら、玲奈にそんな頼み事をしていた。
玲奈は僕にとって大切な存在だ。だからこそ危険の付き纏う依頼にはあまり参加させたくないのだが、今回の依頼は3人だけだと下手すると全滅の恐れもあるため、玲奈に頼らざるを得ない。
「・・・いいよ、零の頼みだし」
「そうか、ありがとな」
玲奈は全然大丈夫らしいが、それでもまだ気乗りはしない。
"ICE"は10年前の事件の2ヶ月後に、被害の対応などのためこの街に設置された臨時政府の拠点に能力者が数百人規模で襲撃し、民間人にも多大な被害を出したとされる史上最大級の能力犯罪組織だ。
その事件は世間では10年前の"最悪の能力犯罪"に続き、"史上2番目の規模の能力犯罪"と呼ばれており、今では教科書にも乗っている。
その両方の事件から多くの市民を守ったからこそ、龍桜は英雄と呼ばれ、この"能力者特別待遇地域"のトップにまでなることが出来たのだろう。
「悪いな、お前を危険な目に合わせようとして・・・」
「・・・だいじょうぶ」
やはり申し訳ないと思いつつ、僕は心の中で玲奈に感謝するのだった。
「おまえら!準備はいいか!?」
「ああ」
「はい!」
「・・・ん」
深夜2時、僕たちは地図に書かれていた組織の拠点がある場所付近で装備と作戦の最終確認を行っていた。
どうやら"ICE"残党は6区最南端にある廃工場を拠点にしているらしい。
僕の装備は防弾性の黒コートに、いつもの道具入れポーチと、大会でも一応持っていた短剣だ。
京夜は僕とは違うデザインの黒コートに、肩に巨大な黒いカバンを背負っている。中には京夜の愛銃の【刹那】とかが入っているらしい。
瑠衣はドローン操作によって車で待機なため、特に目立った武器などは持っていないが、車の中にドローンやら色々と置いているのだろう。
玲奈はいつもと服装は変わらず、武器なども特に何も持っていない。まあ、玲奈の能力の性質上、特にそういったものが必要無いのもあるのだが。
そして・・・
「・・・悪いな影浦さん」
僕は自分の背後に立っている男性に話しかける。
「いえいえ、大丈夫ですよ。恩人と弟子の頼みとあらば」
この人は影浦さん。優香さんの所の初老の男性で、そこで暮らしていた頃、僕の事を鍛えてくれていた人・・・言うなれば優香さんと同じく師匠というやつだ。
この人は剣術に特化しており、とてつもない基礎スペックでボコボコにしてくるのは今でも軽いトラウマだ。
今回は瑠衣の護衛として、優香さんに頼んで来てもらったのだ。
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