能力者の都市で僕が最強の"覇王"になるまで。

ミースケ

文字の大きさ
26 / 34

#26

しおりを挟む
薄暗い部屋の中で、2人が会話している。
「どうするんだよ・・・このままじゃいずれここもバレる。そうなれば今度こそ終わりだぞ」
「分かってる・・・ボスたちも頑張ってくれてるんだ、なのにオレたちが諦める訳にはいかないんだよ・・・そうだろ?ナキ」
片方は30代の、長い髪ということ以外は特にこれといった特徴は無い男性。
もう片方のナキと呼ばれる20代の女性だが、男勝りな口調や鋭い目つきのせいもあり男性のような印象を受けるが、髪を後ろで括ってポニーテールにしてることやスカートを履いていることから見た目はしっかりと女性だ。
2人がそんな会話をしていた瞬間、部屋中に警報が響き渡る。
「・・・!」
「ッチ!ここがバレやがった!」
男性は直ぐ様目の前のモニターを使って建物周囲の監視カメラを確認する。
「政府軍の奴らが来たのか!?」
ナキは焦燥の表情で男性にそう問いかける。
「いや、それが・・・1人か?」
「・・・は?」
男性にそう言われ、ナキもモニターを見るが、そこに写っていたのは1人の女性だけだった。

「ほんとに玲奈には悪いな・・・」
「凄く引きずってるな」
「そりゃまあな」
僕と京夜はそんな会話をしながら、廃工場内に侵入していた。
「玲奈さんなら大丈夫だとは思う、瑠衣もいるしな。それより一番危険なのはお前だ、零」
「そうだな」
この作戦、こちら側の勝利条件は"こちら側は誰も倒されずに組織の残党を全員捕縛する"というものだ。
役割的には玲奈と瑠衣(ドローン)正面から雑兵を相手をして、僕と京夜は裏口から侵入して、僕は一番強いやつと戦い、京夜はそれをサポートする感じだ。
一番強いやつと言うのは、写真で見たあいつだ。
「建物内が騒がしいな、玲奈さんが頑張ってくれてるからみんな出撃してるんだろうな」
「玲奈たちがこの調子で頑張ってくれたら半数ほどは建物外に追い出せるかな?」
テレポート系の能力は概ねかなりコスパが悪く、多様はできないため、恐らく最悪の状況にならないと使ってこないだろう。
能力は力が強いほどその代償も大きくなるからな。
つまり、これはスピード勝負だ、どうせ相手には感知系の能力者がいるだろうから僕たちが建物内に侵入してることもすぐにバレるだろう。
だから対応される前にあいつを倒して捕まえる、その後は消化試合だ。
「京夜、道中の敵は頼む。僕は色々と温存しておきたいからな」
「了解」
そう言って僕たちは走る速度を上げる。

『すご・・・』
瑠衣は目の前の光景に驚愕していた。
なんせ数人もの能力者たちが玲奈に掛かって行くが、その攻撃は"まるで何かに弾かれているように"全く当たることはなく、逆に玲奈が能力を発動して、何か光のようなものが一瞬見えると、次の瞬間には相手が倒れている。
瑠衣は驚きながらも、ドローンを操作してレーザービームを放ち、玲奈をサポートする。
事前に零から言われていた事なのだが、なんでも玲奈は攻撃後に僅かな硬直時間があるらしい。
瑠衣の役目は、玲奈が攻撃を放った直後に相手をレーザービームで撃ち、玲奈に攻撃が行かないようにすることだ。
『強いですね!』
瑠衣は玲奈をサポートしつつそう言う。
玲奈の能力も零の能力を教えてもらった時に教えてくれた。
___《雷撃》×《具現化》・・・それが玲奈の能力だ。
能力を複数持っているということは、過去に能力者を殺したことがあるという事だ。
そのため瑠衣はそれを聞いたときは始めは驚いたが、何か事情があったのだということを察してそれ以上は聞かなかった。
玲奈も誰も話さないことから、あまり触れないほうがいい話題だということは容易に察しが付く。
玲奈の戦闘スタイルはシンプルで、《雷撃》で攻撃し、《具現化》で守るというものだ。
《雷撃》は予め充電しておいた電力を使って色々な事が出来るという能力で、基本的には電気を放出して攻撃している。
《具現化》は気体をその場で具現化させる事が出来るというもので、基本的には空気を具現化して相手の攻撃を防ぐのに使える。
この様に攻守に優れた能力を持っており、幅広く対応できる玲奈だからこそ、この役割を任されたのだろう。
瑠衣はそう考えながら、自分の任された役割をこなそうと、気合を入れる。

「はいっ!」
僕はそんな声を上げながらドアを蹴破り、通路を進んでいくいく。
目の前には3人の敵がおり、驚きの表情を浮かべている。
僕はそいつらを無視して横を素通りして先に進む。
3人は一瞬遅れて僕が敵だということを認識したようで、僕に向けて銃を構えるが、その時には既にもう京夜が攻撃を終えており、3人は同時に倒れる。
「ナイスッ!」
僕は3人を倒した京夜に向けてそう言う。
京夜の弾丸をまともに食らったからにはこいつらはしばらく動けない。
後から回収に来る政府の奴らが運んでいってくれるだろう。
これで14人、事前情報によれば50~100という人数らしいが、問題はどれだけの人数の強者が居るかだ。
仮に強者が複数人居るとして、約3分の1は正面の迎撃に、あとはすぐに動けるように待機させる。少なくとも僕ならそうする。
ならば建物内の被害状況を考えて見てもそろそろ僕たちを止めるために強者が来てもおかしくはない。
建物の見取り図はもう読んでいて覚えているし、さっき倒した敵からあいつの居場所も聞き出した。
そのためあと数分も走ればあいつと戦うことになるだろう。
「・・・!」
「・・・・・」
瞬間、目の前に何者かを確認して僕と京夜は立ち止まる。
「あんたら侵入者だろ?悪いけど、ここで止めさせてもらうよ」
建物内は薄暗く、影のせいで顔は見えないが、声の高さからして男性なのだろう。
そいつはそう言うとこちらに向けて黒い箱のような物を投げてくる。
「おわっ!」
僕はそれを横に避けて回避しようとするが、その箱は僕の横を通り過ぎようとしたところで巨大化する。
本来なら余裕で避けれたのだが、僕たちの居た通路は狭くてあまり動き回れなかったため、僕はその黒い箱に触れてしまう。
「零っ!」
京夜がこちらに向けて叫んでいるが、僕はその箱に触れた瞬間箱の中に吸い込まれて行ってしまうのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...