能力者の都市で僕が最強の"覇王"になるまで。

ミースケ

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#28

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ドォーンと、廃工場前の広場に雷鳴が響き渡る。
「・・・・・」
玲奈は表情を動かさずに、向かってくる能力者達を次々と薙ぎ倒していく。
《雷撃》は能力使用後の後隙がある為同格との戦いにはそこまで適している訳では無いが、サポートがあれば広範囲制圧力に関しては零や京夜よりも上だ。
これで37人目、流石"ICE"のメンバーというだけあり、ほとんどの敵はある程度避けてきたり、一撃では倒れずに反撃してきたりする。
だが、この程度の攻撃なら《具現化》で全然防ぐ事が出来るため、ほとんど問題はない。
『ようやく片付きましたね!』
戦闘開始12分、既に見える範囲の敵を全員倒すことに成功したのだが、想定よりも敵が少ない。
事前情報では最高100人程と書いてあったが、恐らく実際は建物内に居る人数を考えても60人ほどだろうと玲奈は考える。
玲奈は瑠衣によるドローンからのサポートもあり、《具現化》での防御に限界が来たとしてもカバーが入るため、未だに無傷で済んでいる。
玲奈の能力《雷撃》は、体内に溜め込んでいる電気を放出する能力。
戦闘開始時はほぼ100%だったのが、これまでの戦闘で残り4割程度まで減っているが、まだまだ全然戦える。
『これからどうしますか?』
久しぶりの戦闘で、少々効率の悪い電気の使い方をしてしまったと反省しつつ、瑠衣の言う通り零達と合流しようかと考える。
「いや~、アナタ強いデスネ!ウチの連中が軒並み倒されるトハ!」
「・・・・・」
見逃していたのか目の前に1人の男が現れる。
その男の見た目はかなり特徴的で、ピエロが着ているようなカラフルな服に、頭には真っ黒いフードを被っているという訳の分からない服装をしている。
「お次はワタシが相手をさせてイタダキマしょう。・・・最もアタナの能力はワタシとはショウショウ相性が悪いようデスガネ」
フードピエロはそう言うと、自分の腕を下から上へと思い切り振り上げる。
『え!?うわっ!』
瞬間、玲奈の背後に土柱の様な物が立ち、瑠衣のドローンはそれに巻き込まれて上空へと打ち上げられてしまう。
『すいません玲奈さん、ドローンが壊されてしまいました・・・』
「・・・そう」
という事はつまり、玲奈はサポート無しでフードピエロと戦わなくてはいけないということになる。
「そろそろ、勘を取り戻してきたかも・・・」
そう呟きながら、玲奈は手を開いて攻撃の準備をする。

「・・・お前何者だ?」
 僕の姿を見た目の前の男が、僕に視線を向けながらそんな事を聞いてくる。
「零・・・とだけ言っておこうかな?」
 僕は引きずって来た黒田と呼ばれているらしい男を横に投げて、腰につけていた短剣を抜き、戦闘態勢に入る。
 やはり正解だった。黒い箱に捕らえられた後、僕のことをその場で殺せないのなら運ばれる先は牢屋かボスの元かのどちらかだと予想を立てていた。
 結果、黒田は最短ルートでボスの元まで来たため、京夜とは分断されてしまったものの、こいつの所に付くまでの時間をかなり短縮することができた。
「お前らのお陰でこの組織は半壊状態だ。そこの黒田がこのザマじゃ撤退もさせて貰えないだろうしな」
 どうやら黒田が唯一の空間転送が可能な能力者だったのだろう、それを倒されたらもう戦う以外の選択肢は無いだろうり
 男は何処からか剣を取り出して、剣先を僕に向けて構える。
「悪いが、本気で潰させてもらうぞ・・・」
「・・・・・!」
 男がそう言った瞬間、周囲が変貌する___

「・・・っ!」
「ほらっ、どうした?そんなんじゃワタシに傷も付けられないぞ?」
  薄暗いトンネルの様な通路で、京夜はまたしても接敵していた。
 目の前の女性は京夜の放つ弾丸をいとも容易く避けている。
 その上、時折手に持っている不思議な形をした機械的な銃で、レーザービームを撃って反撃してくる。
 このレーザービームは京夜の《狙撃》の様に弾は曲がったりはしないのだが、半径5cm程の大きさのレーザー状の攻撃ほぼ即着で飛んでくる上に、威力もかなり高いため、一瞬たりとも気を抜けない。 
 機械的な銃の仕組みや、なぜ京夜の弾丸をいとも容易く避けれているのかなどの疑問点が多いため、もう少し情報がなければ攻略が出来ない。
「あんた、名前は?」
「あ?ワタシの名はナキだ」
「・・・そうか」
 京夜の突然の質問に、目の前のナキというらしい女性は若干戸惑いつつも、答えてくれる。
「急にどうした?」
 ナキがその行動の理由を京夜に聞くと、京夜は珍しく挑発的な笑みを浮かべてこういう。
「なに、これから倒す相手名前・・・あんた程の実力者なら覚えておきたくてな」
「・・・舐めてんじゃねぇぞ」
 こうして、銃を使う能力者同士の本気の戦闘が始まるのだった___
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