31 / 34
#31
しおりを挟む
「よ~お、お前ら!大丈夫だったか?」
「・・・だいじょーぶい」
「はい!もちろんです!」
「元気だな、お前たち」
十数分後、正面の広場に一同が集合していた。僕たち事務所メンバーの4人と影浦さん、ICEの陽翔とナキっていうやつが向かい合う。
ICEの構成員の中で比較的軽症で起き上がった者は、倒れている人たちを建物内内部へと運んでいる。
「・・・それで、同盟についての話だが」
「そうですよ!どういう事なんですか!?依頼は!?」
「・・・瑠衣、うるさい」
「あ~、その話ねぇ」
陽翔が切り出した話に、瑠衣が思い出したように食い付いてきたので、僕は一連の流れについてみんなに説明する。
「つまり僕は政府を裏切る。・・・この情報に関しては僕の能力で確認済みだ」
「まあ・・・な」
【契約】によって陽翔に「嘘を付くな」という契約を交わし、それで質問することによって、その情報に嘘が混ざっているかどうかが確認できる。
それにより、「10年前の事件の黒幕が龍桜」だという情報が本当だということがわかる。
「優香さん・・・緑間には既に連絡して協力してもらえるようになった」
「零殿、私と私の部下も全力で協力させていただきますよ」
「ありがたいです、影浦さん」
僕が優香さんの家で暮らしていた時代、影浦さんにはよく鍛えて貰っていた。僕は剣術を影浦さんに教えてもらっており、瑠衣も恐らく指南を受けているだろう。
「それならいい、あとは"ウチのボス"に報告する。この判断は俺の独断だからな」
「ったく、その判断がもう少し遅かったらこいつとガチでやれたのにな」
「・・・そんな事言うなよ、俺はあんたとはやりたくないんだ」
「連れねーこと言うなよな!」
「やめてくれ・・・」
ナキというらしい女性にだる絡みされて、ガチで嫌そうにしている京夜はこちらに助けを求めるように視線を送ってくる。
ナキも銃を持っているため、京夜に何かシンパシーを感じているのかもしれない。
「まあ・・・いいんじゃないか?」
「おい、零!」
さて、ここで皆に言っておかなければならないことがある。
僕は皆の方をじっと見て声を上げる。
「お前ら、僕はこれから本格的に政府に対して半旗を翻す事になる。それはもちろん犯罪だし、最悪の場合死刑になることだってあり得るだろう。それでも僕はお前らと共に戦いたい・・・僕と、一緒に地獄に落ちて欲しい」
決して強制はしない。京夜には都市外に仕送りをしている母親が居るし、玲奈はようやく自分の店を開くという夢を叶えた。瑠衣はそもそも経験としてこの事務所に入ったのだ、わざわざ命を掛ける理由も義理も無い。
それでも僕はこいつらと共に戦いたい。この事務所・・・【ZERO】の仲間が、僕の唯一残った家族なのだから。
「俺はお前の相棒だ。お前と共になら地獄にだって行ってやるさ」
「・・・私も零について行く・・・だって私は、零のことが好きだから。」
「お前ら・・・ありがとな」
京夜と玲奈の言葉に少しだけ泣きそうになり、僕は右の目元を拭う。
「わ、わたしも!零さんに付いて行きます!」
「おいおい、瑠衣。そんなに無理しなくてもいいんだぞ?お前にはそこまでする理由が無いだろ?」
震えながらもそんな事を言う瑠衣に対して、僕は警告をする。
瑠衣には命を掛ける理由が無い。一緒に戦ってくれようとしてくれているのはとても嬉しいが、半端な覚悟では戦って欲しくない。
「・・・理由なら、あります!」
「ん?」
「わたしは10年前、ある男の人に命を助けてもらいました。その人はわたしを助けたあとに、あの事件の黒幕と戦ったと言っていました。そいつに8人の仲間を殺され、自身の身体にも酷い後遺症が残っているそうです」
「それがどうしたんだ?」
「その人はわたしの命の恩人です。そんな人を酷い目に合わせた黒幕の事をわたしは許せないんです。だから、わたしも零さん達と一緒に戦わせて欲しいんです!」
「そうか・・・分かった。よろしくな」
「はい!」
そう、変わらず元気に返事をする瑠衣に、僕は少しだけ頬を緩めて笑みを浮かべる。
「・・・お前少し気持ち悪いぞ?」
「そんな事言うなって!」
それを見てそんなことを言う京夜に、僕はそう言いながら京夜の肩を叩く。
「おい、瑠衣・・・といったか?お前の恩人というのはもしかして・・・」
「はい?」
ふと何かに気がついたように陽翔が瑠衣に問い掛けようとするが、その瞬間、陽翔に向けて弾丸が飛来する。
「・・・っ!!なんだ!?」
「お前ら物陰に隠れろ!」
僕は即座に指示を出しながら、もう隠す必要のないその能力を使って巨大な壁を作り上げる。
弾丸が飛んできた方向からして、僕たちが攻め込んでくる際に来た道に敵が居るのだろう。
この"ICE"の本部である廃工場は全方位が山で囲まれており、その内側に入るには正面の小さな通路を通るしかない。
「全員建物内に向え!」
敵が何人居るのか知らないが、唯一の通路で待ち構えられている以上、一旦廃工場に入って状況を整理して迎え撃つか逃げるかの判断をするしかない。
「敵は何者なんだ?」
敵は真っ先に陽翔を狙った。《破壊神》によって弾丸は破壊されたがこの場の誰も直前までその攻撃に気づけなかった。いや、もしかしたら京夜は気づいていたのかも知れないが、それでも対応は出来なかった。
そんな能力や技術を持っていて、尚且つ陽翔を狙う理由がある理由がある者といえば、同業者か、それとももしくは・・・
「・・・だいじょーぶい」
「はい!もちろんです!」
「元気だな、お前たち」
十数分後、正面の広場に一同が集合していた。僕たち事務所メンバーの4人と影浦さん、ICEの陽翔とナキっていうやつが向かい合う。
ICEの構成員の中で比較的軽症で起き上がった者は、倒れている人たちを建物内内部へと運んでいる。
「・・・それで、同盟についての話だが」
「そうですよ!どういう事なんですか!?依頼は!?」
「・・・瑠衣、うるさい」
「あ~、その話ねぇ」
陽翔が切り出した話に、瑠衣が思い出したように食い付いてきたので、僕は一連の流れについてみんなに説明する。
「つまり僕は政府を裏切る。・・・この情報に関しては僕の能力で確認済みだ」
「まあ・・・な」
【契約】によって陽翔に「嘘を付くな」という契約を交わし、それで質問することによって、その情報に嘘が混ざっているかどうかが確認できる。
それにより、「10年前の事件の黒幕が龍桜」だという情報が本当だということがわかる。
「優香さん・・・緑間には既に連絡して協力してもらえるようになった」
「零殿、私と私の部下も全力で協力させていただきますよ」
「ありがたいです、影浦さん」
僕が優香さんの家で暮らしていた時代、影浦さんにはよく鍛えて貰っていた。僕は剣術を影浦さんに教えてもらっており、瑠衣も恐らく指南を受けているだろう。
「それならいい、あとは"ウチのボス"に報告する。この判断は俺の独断だからな」
「ったく、その判断がもう少し遅かったらこいつとガチでやれたのにな」
「・・・そんな事言うなよ、俺はあんたとはやりたくないんだ」
「連れねーこと言うなよな!」
「やめてくれ・・・」
ナキというらしい女性にだる絡みされて、ガチで嫌そうにしている京夜はこちらに助けを求めるように視線を送ってくる。
ナキも銃を持っているため、京夜に何かシンパシーを感じているのかもしれない。
「まあ・・・いいんじゃないか?」
「おい、零!」
さて、ここで皆に言っておかなければならないことがある。
僕は皆の方をじっと見て声を上げる。
「お前ら、僕はこれから本格的に政府に対して半旗を翻す事になる。それはもちろん犯罪だし、最悪の場合死刑になることだってあり得るだろう。それでも僕はお前らと共に戦いたい・・・僕と、一緒に地獄に落ちて欲しい」
決して強制はしない。京夜には都市外に仕送りをしている母親が居るし、玲奈はようやく自分の店を開くという夢を叶えた。瑠衣はそもそも経験としてこの事務所に入ったのだ、わざわざ命を掛ける理由も義理も無い。
それでも僕はこいつらと共に戦いたい。この事務所・・・【ZERO】の仲間が、僕の唯一残った家族なのだから。
「俺はお前の相棒だ。お前と共になら地獄にだって行ってやるさ」
「・・・私も零について行く・・・だって私は、零のことが好きだから。」
「お前ら・・・ありがとな」
京夜と玲奈の言葉に少しだけ泣きそうになり、僕は右の目元を拭う。
「わ、わたしも!零さんに付いて行きます!」
「おいおい、瑠衣。そんなに無理しなくてもいいんだぞ?お前にはそこまでする理由が無いだろ?」
震えながらもそんな事を言う瑠衣に対して、僕は警告をする。
瑠衣には命を掛ける理由が無い。一緒に戦ってくれようとしてくれているのはとても嬉しいが、半端な覚悟では戦って欲しくない。
「・・・理由なら、あります!」
「ん?」
「わたしは10年前、ある男の人に命を助けてもらいました。その人はわたしを助けたあとに、あの事件の黒幕と戦ったと言っていました。そいつに8人の仲間を殺され、自身の身体にも酷い後遺症が残っているそうです」
「それがどうしたんだ?」
「その人はわたしの命の恩人です。そんな人を酷い目に合わせた黒幕の事をわたしは許せないんです。だから、わたしも零さん達と一緒に戦わせて欲しいんです!」
「そうか・・・分かった。よろしくな」
「はい!」
そう、変わらず元気に返事をする瑠衣に、僕は少しだけ頬を緩めて笑みを浮かべる。
「・・・お前少し気持ち悪いぞ?」
「そんな事言うなって!」
それを見てそんなことを言う京夜に、僕はそう言いながら京夜の肩を叩く。
「おい、瑠衣・・・といったか?お前の恩人というのはもしかして・・・」
「はい?」
ふと何かに気がついたように陽翔が瑠衣に問い掛けようとするが、その瞬間、陽翔に向けて弾丸が飛来する。
「・・・っ!!なんだ!?」
「お前ら物陰に隠れろ!」
僕は即座に指示を出しながら、もう隠す必要のないその能力を使って巨大な壁を作り上げる。
弾丸が飛んできた方向からして、僕たちが攻め込んでくる際に来た道に敵が居るのだろう。
この"ICE"の本部である廃工場は全方位が山で囲まれており、その内側に入るには正面の小さな通路を通るしかない。
「全員建物内に向え!」
敵が何人居るのか知らないが、唯一の通路で待ち構えられている以上、一旦廃工場に入って状況を整理して迎え撃つか逃げるかの判断をするしかない。
「敵は何者なんだ?」
敵は真っ先に陽翔を狙った。《破壊神》によって弾丸は破壊されたがこの場の誰も直前までその攻撃に気づけなかった。いや、もしかしたら京夜は気づいていたのかも知れないが、それでも対応は出来なかった。
そんな能力や技術を持っていて、尚且つ陽翔を狙う理由がある理由がある者といえば、同業者か、それとももしくは・・・
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる