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黎奈編
【黎奈編】#6 始まり
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「これでよしっと!」
「・・・かなり出来が悪いわね」
「そんな事を言うなよ!」
「実際そうじゃない?」
僕と陽向は家の外から玄関を見ながらそんなやり取りをする。
「頑張って作ったんだ、これでいいだろ」
「そうなの、かしら・・・ね?」
陽向は少し困惑している様子だが、まあ気にしなくても良いだろう。
「これで良いんだよ」
「・・・恋愛相談したい」
「え、恋愛相談!?」
配信の準備をしていた琉輝の部屋に入ってきていた黎奈は、琉輝にそんな話を切り出す。
黎奈と琉輝は、ほぼほぼ同時期にこのシェアハウスで暮らすことになり、年も同じなため、話す回数自体は少ないが仲はそこそこ良い。
「なんでボク?それなら駿君とか陽向さんにしたほうがいいんじゃない?」
「・・・それじゃ、だめ。恥ずかしい」
「まあ別に良いけどさ、その相手はどんな人なの?」
特に断る理由も無かった琉輝は、黎奈にそんな事を尋ねる。
「・・・優しくて、気にかけてくれて。あとお節介で・・・でもそこが良くて・・・」
「そっか・・・そうなんだ・・・」
少し恥ずかしそうにそう言う黎奈に、琉輝は少し視線を落として、少しだけ悩むような素振りを見せると、すぐに視線をもとに戻す。
「私は不登校だからさ、もちろん恋愛なんて経験した事が無いわけよ。でも、もしも好きな人が出来たら自分から積極的にアタックしていくって決めてるんだよ」
「・・・そうなんだ」
少し恥じらいつつも、琉輝は自分ならどうするかと言うのを語りだす。黎奈はそれを真面目に聞き、「なるほど」と頷く。
「つまり、どうにかして相手に自分の事を知ってもらって、好きになってもらうんだよ」
「・・・なるほど」
「・・・ごめんね、大したアドバイス出来なくて!でも、ボクは黎奈のその恋を応援するよ!頑張れ!」
「・・・ありがと」
琉輝からアドバイスを聞いた黎奈は、お礼を言いながら部屋を出る。
積極的に・・・か。
部屋を出た黎奈の頭の中には、琉輝のその言葉が巡っていた___
「今日はご馳走だぞ~!」
「「いぇ~い!」」
「・・・美味しそう」
「凄いね、これ」
はるかさんのお墓参りに行った次の日の夕方。僕はそう言いながら、皆が居るいつものテーブルにローストビーフ、チーズフォンデュ、グラタン、骨付きチキン、サラダなどのいつもよりも豪華な料理を並べていた。
陽向が黎奈と結希を誘って買い物に行っている間に、僕が頑張って作ったのだ。サプライズにしたほうが良いかなと思いそうしたわけだが、一人でこの量の料理を作るのは、かなり大変だった。
「お兄ちゃん、これってこの間買い物に行ったときのやつですよね?」
「おう、そうだぞ」
「今日って何の日なんですか?」
去年もこの日にはこんな感じで僕が豪華な料理を作っているのだが、去年はまだ居なかった結希が不思議そうにそう聞いてくる。
「おう!今日はな・・・」
「"このシェアハウスが出来た日"よ」
僕はウッキウキで結希の質問に答えようとしたのだが、それに被せるように陽向がそう言った。
「そう、今日はシェアハウス創立記念日だ!今年で2周年なんだぞ?」
「へぇ~!そうだったんですか!」
それを聞いた結希は驚いたようにそんな反応をする。
「それにしてもお兄ちゃん、よくこんな量の料理を一人で作れましたね」
「・・・おつかれ。」
「これ、一人で作ったんだ・・・駿君って意外と凄い・・・?」
「まあ、なかなかの出来じゃないかしら?」
皆からの反応も悪くないようで良かった。ふぅ、一安心だ。
「それじゃ、食うか!」
僕のその合図で皆手を合わせる。
「「「「「いただきます」」」」」
そうして、僕が頑張って作った料理を食べ始める。
「うん、我ながら美味い」
「確かに、去年よりも美味しいわ」
僕と陽向はローストビーフを食べながらそんな感想を言う。このメニューだけは4年間練習し続けてきたからな、この今日の夕食だけなら結希よりも上手く作れる自身がある。
「わぁ!これ美味しいです!」
「チーズフォンデュ、だっけ?去年食べたのと合わせて2回目だけど美味しいよね」
「・・・うまうま」
僕の正面で夕食を食べている黎奈、琉輝、結希たちも美味しいと言ってくれている。嬉しい。
「はるかさんも嬉しいでしょうね、自分の好きな料理をあんたがこれほど上手く作れるようになって」
「かな~り練習したからな!」
そう、今日の夕食のメニューは全てはるかさんの好物なのだ。僕がこの家で暮らし始めた頃から、ずっとはるかさんに作り方を教わり続けた料理たちなのだ。
「・・・シュン君シュン君」
「ん?どうしたんだ?」
正面で食べていた黎奈がいつの間にか僕の左隣の席に座ってきており、僕の肩を叩いてくる。
「・・・あ~ん」
「え?あ、おう・・・」
黎奈がそう言いながら、グラタンの乗ったスプーンを僕の口元まで近づけて来ていたので、僕はそのグラタンを食べる。
「あ・・・」
「へえ、黎奈やるじゃん」
「お兄ちゃんが黎奈ちゃんにあ~んしてもらった!」
「ちょっと駿?」
グラタンは美味かった。美味かったのだが、今の状況は不味かった。
突然スプーンを差し出されたから咄嗟に食べてしまったのだが、周りから見れば「あ~ん」してもらったと言うことになるだろう。というか実際そうだろう。
しかもこのスプーン、さっきまで黎奈が使っていたスプーンなのだ。つまりそれは間接キスをしたということを意味していて・・・
「・・・グラタン、おいし?」
僕がグラタンを食べたのを見た黎奈は、珍しく笑顔でそう尋ねてくる。
「うん、とっても美味しいよ!!」
その黎奈の可愛さと、グラタンの美味さと、今の状況の訳の分からなさで、ショート寸前になった僕の頭は活動を停止し、脳死でそんな言葉を発するのだった。
「ここから始まるんだよ」
「そうね、この・・・」
僕と陽向は玄関の表札を見ながらこう言う。
「「シェアハウスが!」」
『しぇあはうす!』
手作りの木製の表札には、下手くそな字でそう書かれていた。
「・・・ん?夢か」
自室のベッドで、僕は目を覚ます。
そういえば、あの後も色々なことがあり、最終的に寝ることになったのだったな。
たまに夢に見るシェアハウスが始まった日こと。"あの日の誓い"を僕は果たせているのか、心配になることもあるが頑張ってはいるつもりだ。
「よいしょっと」
まだ太陽の光が窓から差し込んできていないため、朝ではないのだろう。僕は現在時刻を確認するために、すぐ近くの机の上にあるデジタル時計に視線を向ける。
「・・・は?」
だが、僕の視界に入っていたのはデジタル時計ではなく・・・少し動けば唇に触れてしまいそうなほどに至近距離で寝ている黎奈の寝顔だった。
???????????????
何で黎奈が!?ここは確かに僕の部屋だ。ならば黎奈が間違えて入ってきた?いやそれも違う、僕は寝る前に、黎奈が自分の部屋に入って行くのを見た記憶がある。
ヤバい、心拍数が上がってきた。黎奈は表情はあまり動かないが、顔はかな~り可愛い。そんな黎奈の寝顔をこの至近距離で見てドキドキしないわけがない。
当然僕がそんな状況で眠れるはずもなく、その後一睡も出来なかった僕は寝不足になるのだった。
「・・・かなり出来が悪いわね」
「そんな事を言うなよ!」
「実際そうじゃない?」
僕と陽向は家の外から玄関を見ながらそんなやり取りをする。
「頑張って作ったんだ、これでいいだろ」
「そうなの、かしら・・・ね?」
陽向は少し困惑している様子だが、まあ気にしなくても良いだろう。
「これで良いんだよ」
「・・・恋愛相談したい」
「え、恋愛相談!?」
配信の準備をしていた琉輝の部屋に入ってきていた黎奈は、琉輝にそんな話を切り出す。
黎奈と琉輝は、ほぼほぼ同時期にこのシェアハウスで暮らすことになり、年も同じなため、話す回数自体は少ないが仲はそこそこ良い。
「なんでボク?それなら駿君とか陽向さんにしたほうがいいんじゃない?」
「・・・それじゃ、だめ。恥ずかしい」
「まあ別に良いけどさ、その相手はどんな人なの?」
特に断る理由も無かった琉輝は、黎奈にそんな事を尋ねる。
「・・・優しくて、気にかけてくれて。あとお節介で・・・でもそこが良くて・・・」
「そっか・・・そうなんだ・・・」
少し恥ずかしそうにそう言う黎奈に、琉輝は少し視線を落として、少しだけ悩むような素振りを見せると、すぐに視線をもとに戻す。
「私は不登校だからさ、もちろん恋愛なんて経験した事が無いわけよ。でも、もしも好きな人が出来たら自分から積極的にアタックしていくって決めてるんだよ」
「・・・そうなんだ」
少し恥じらいつつも、琉輝は自分ならどうするかと言うのを語りだす。黎奈はそれを真面目に聞き、「なるほど」と頷く。
「つまり、どうにかして相手に自分の事を知ってもらって、好きになってもらうんだよ」
「・・・なるほど」
「・・・ごめんね、大したアドバイス出来なくて!でも、ボクは黎奈のその恋を応援するよ!頑張れ!」
「・・・ありがと」
琉輝からアドバイスを聞いた黎奈は、お礼を言いながら部屋を出る。
積極的に・・・か。
部屋を出た黎奈の頭の中には、琉輝のその言葉が巡っていた___
「今日はご馳走だぞ~!」
「「いぇ~い!」」
「・・・美味しそう」
「凄いね、これ」
はるかさんのお墓参りに行った次の日の夕方。僕はそう言いながら、皆が居るいつものテーブルにローストビーフ、チーズフォンデュ、グラタン、骨付きチキン、サラダなどのいつもよりも豪華な料理を並べていた。
陽向が黎奈と結希を誘って買い物に行っている間に、僕が頑張って作ったのだ。サプライズにしたほうが良いかなと思いそうしたわけだが、一人でこの量の料理を作るのは、かなり大変だった。
「お兄ちゃん、これってこの間買い物に行ったときのやつですよね?」
「おう、そうだぞ」
「今日って何の日なんですか?」
去年もこの日にはこんな感じで僕が豪華な料理を作っているのだが、去年はまだ居なかった結希が不思議そうにそう聞いてくる。
「おう!今日はな・・・」
「"このシェアハウスが出来た日"よ」
僕はウッキウキで結希の質問に答えようとしたのだが、それに被せるように陽向がそう言った。
「そう、今日はシェアハウス創立記念日だ!今年で2周年なんだぞ?」
「へぇ~!そうだったんですか!」
それを聞いた結希は驚いたようにそんな反応をする。
「それにしてもお兄ちゃん、よくこんな量の料理を一人で作れましたね」
「・・・おつかれ。」
「これ、一人で作ったんだ・・・駿君って意外と凄い・・・?」
「まあ、なかなかの出来じゃないかしら?」
皆からの反応も悪くないようで良かった。ふぅ、一安心だ。
「それじゃ、食うか!」
僕のその合図で皆手を合わせる。
「「「「「いただきます」」」」」
そうして、僕が頑張って作った料理を食べ始める。
「うん、我ながら美味い」
「確かに、去年よりも美味しいわ」
僕と陽向はローストビーフを食べながらそんな感想を言う。このメニューだけは4年間練習し続けてきたからな、この今日の夕食だけなら結希よりも上手く作れる自身がある。
「わぁ!これ美味しいです!」
「チーズフォンデュ、だっけ?去年食べたのと合わせて2回目だけど美味しいよね」
「・・・うまうま」
僕の正面で夕食を食べている黎奈、琉輝、結希たちも美味しいと言ってくれている。嬉しい。
「はるかさんも嬉しいでしょうね、自分の好きな料理をあんたがこれほど上手く作れるようになって」
「かな~り練習したからな!」
そう、今日の夕食のメニューは全てはるかさんの好物なのだ。僕がこの家で暮らし始めた頃から、ずっとはるかさんに作り方を教わり続けた料理たちなのだ。
「・・・シュン君シュン君」
「ん?どうしたんだ?」
正面で食べていた黎奈がいつの間にか僕の左隣の席に座ってきており、僕の肩を叩いてくる。
「・・・あ~ん」
「え?あ、おう・・・」
黎奈がそう言いながら、グラタンの乗ったスプーンを僕の口元まで近づけて来ていたので、僕はそのグラタンを食べる。
「あ・・・」
「へえ、黎奈やるじゃん」
「お兄ちゃんが黎奈ちゃんにあ~んしてもらった!」
「ちょっと駿?」
グラタンは美味かった。美味かったのだが、今の状況は不味かった。
突然スプーンを差し出されたから咄嗟に食べてしまったのだが、周りから見れば「あ~ん」してもらったと言うことになるだろう。というか実際そうだろう。
しかもこのスプーン、さっきまで黎奈が使っていたスプーンなのだ。つまりそれは間接キスをしたということを意味していて・・・
「・・・グラタン、おいし?」
僕がグラタンを食べたのを見た黎奈は、珍しく笑顔でそう尋ねてくる。
「うん、とっても美味しいよ!!」
その黎奈の可愛さと、グラタンの美味さと、今の状況の訳の分からなさで、ショート寸前になった僕の頭は活動を停止し、脳死でそんな言葉を発するのだった。
「ここから始まるんだよ」
「そうね、この・・・」
僕と陽向は玄関の表札を見ながらこう言う。
「「シェアハウスが!」」
『しぇあはうす!』
手作りの木製の表札には、下手くそな字でそう書かれていた。
「・・・ん?夢か」
自室のベッドで、僕は目を覚ます。
そういえば、あの後も色々なことがあり、最終的に寝ることになったのだったな。
たまに夢に見るシェアハウスが始まった日こと。"あの日の誓い"を僕は果たせているのか、心配になることもあるが頑張ってはいるつもりだ。
「よいしょっと」
まだ太陽の光が窓から差し込んできていないため、朝ではないのだろう。僕は現在時刻を確認するために、すぐ近くの机の上にあるデジタル時計に視線を向ける。
「・・・は?」
だが、僕の視界に入っていたのはデジタル時計ではなく・・・少し動けば唇に触れてしまいそうなほどに至近距離で寝ている黎奈の寝顔だった。
???????????????
何で黎奈が!?ここは確かに僕の部屋だ。ならば黎奈が間違えて入ってきた?いやそれも違う、僕は寝る前に、黎奈が自分の部屋に入って行くのを見た記憶がある。
ヤバい、心拍数が上がってきた。黎奈は表情はあまり動かないが、顔はかな~り可愛い。そんな黎奈の寝顔をこの至近距離で見てドキドキしないわけがない。
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