13 / 40
賑やかな夕食
しおりを挟む
「と、いうワケで。晴れてオレがダウジャン伯爵家を継ぐことになりました~。拍手~」
セイデスが宣言すると、トレーシーたちは拍手した。
「えっ?『パチパチパチ』こっちがダウジャン伯爵? 『パチパチパチ』トレーシー君は、ダウジャン伯爵令嬢ではなくなったのに? 『パチパチパチ』」
「はい。『パチパチパチ』そうです、アルバス先輩。『パチパチパチ』」
「『パチパチパチ』まぁ何はともあれ、良かったわね? 『パチパチパチ』トレーシーちゃん」
「はい。ありがとうございます、トラント部長」
ここは研究棟の一室。
『えっ? 研究三昧だね? 良いね、良いね』と、興奮するアルバスに引きずられるように、朝・昼・晩と食事を届けて貰うようになってしまったトレーシーは、最初の晩以降、食堂には行っていない。
そして、人数多い方が色々とシェア出来て良いね、という事で、トラントやセイデスなども含めて食事をすることが常態化してしまった。
トラントによると、ワイワイしながら食べているのを見ていると生活が不規則な職員たちも食事を摂ろうという気分になるらしく、研究開発部全体の健康に良いということでもあるらしい。
その辺のことはトレーシーにはよく分からないが、変わり者しか居ない部署なので深く考えるのは止めた。
代わりに今日もとっぷりと日が暮れた窓の外を見ながら、ワイワイガヤガヤと食事をしているのだ。
「ホント良かった、安心したわ。セイデス、ダウジャン伯爵家をよろしくね」
「分かってるよ、トレーシー」
「落ち着いたら遊びに行くわね」
「落ち着かなくても遊びに来てよ、トレーシー。セバスチャンとか泣いて喜ぶよ?」
「んー……でも、私は出て来ちゃった身の上だから。少し冷却期間を置こうと思って」
「遠慮しなくていいのに。なんなら、また戻ってきてもいいんだよ? トレーシーの部屋はそのままにしてあるから」
「ありがとう。でも、王城での暮らしは快適よ」
「そうだね、そうだね。研究し放題だもんね? トレーシー君ッ」
「そうですね、アルバス先輩」
ニコニコしているアルバスに笑顔を返しながらトレーシーは頷いた。
(人生って不思議なものね。屋敷で暮らしていた時よりもアットホームな雰囲気ですし。私の家がセイデスの家になってしまったし。……それを、寂しいとも感じない私は冷たい人間なのかしら? 変なのかしら?)
目の前には、資料を大胆に避けて作ったスペースに料理が並ぶ。
資料も機材も大量にある研究棟には、屋敷の食卓のようにスッキリした食事のためのスペースは無い。
毎回、無理矢理スペースを作っている。
(空間魔法でどうとでもなるけど……なぜか皆さん、わぁ~っ、と勢いでスペースを作りたがるのは何故かしら?)
食堂から届けられた料理は様々ではあるが、どれも美味しそうだ。
ただし、上品ではない。
山盛りのロースト肉と山盛りの白身魚のフライ、丸ごとのサーモンパイ、大きなボウルに入ったサラダ。
パンも果物も大きな籠いっぱいに入っている。
大胆な量を取り寄せて、好きなだけ食べるスタイルだ。
残った物は全てトラントが片付けるため、問題はない。
(なぜかスープだけは、小さなお皿に入って人数分、届くのよね)
などど、どうでもよい不思議にトレーシーが思いを馳せていると、
「ちょっといいかな」
と、意外な人物が入ってきて、一同に声をかけた。
セイデスが宣言すると、トレーシーたちは拍手した。
「えっ?『パチパチパチ』こっちがダウジャン伯爵? 『パチパチパチ』トレーシー君は、ダウジャン伯爵令嬢ではなくなったのに? 『パチパチパチ』」
「はい。『パチパチパチ』そうです、アルバス先輩。『パチパチパチ』」
「『パチパチパチ』まぁ何はともあれ、良かったわね? 『パチパチパチ』トレーシーちゃん」
「はい。ありがとうございます、トラント部長」
ここは研究棟の一室。
『えっ? 研究三昧だね? 良いね、良いね』と、興奮するアルバスに引きずられるように、朝・昼・晩と食事を届けて貰うようになってしまったトレーシーは、最初の晩以降、食堂には行っていない。
そして、人数多い方が色々とシェア出来て良いね、という事で、トラントやセイデスなども含めて食事をすることが常態化してしまった。
トラントによると、ワイワイしながら食べているのを見ていると生活が不規則な職員たちも食事を摂ろうという気分になるらしく、研究開発部全体の健康に良いということでもあるらしい。
その辺のことはトレーシーにはよく分からないが、変わり者しか居ない部署なので深く考えるのは止めた。
代わりに今日もとっぷりと日が暮れた窓の外を見ながら、ワイワイガヤガヤと食事をしているのだ。
「ホント良かった、安心したわ。セイデス、ダウジャン伯爵家をよろしくね」
「分かってるよ、トレーシー」
「落ち着いたら遊びに行くわね」
「落ち着かなくても遊びに来てよ、トレーシー。セバスチャンとか泣いて喜ぶよ?」
「んー……でも、私は出て来ちゃった身の上だから。少し冷却期間を置こうと思って」
「遠慮しなくていいのに。なんなら、また戻ってきてもいいんだよ? トレーシーの部屋はそのままにしてあるから」
「ありがとう。でも、王城での暮らしは快適よ」
「そうだね、そうだね。研究し放題だもんね? トレーシー君ッ」
「そうですね、アルバス先輩」
ニコニコしているアルバスに笑顔を返しながらトレーシーは頷いた。
(人生って不思議なものね。屋敷で暮らしていた時よりもアットホームな雰囲気ですし。私の家がセイデスの家になってしまったし。……それを、寂しいとも感じない私は冷たい人間なのかしら? 変なのかしら?)
目の前には、資料を大胆に避けて作ったスペースに料理が並ぶ。
資料も機材も大量にある研究棟には、屋敷の食卓のようにスッキリした食事のためのスペースは無い。
毎回、無理矢理スペースを作っている。
(空間魔法でどうとでもなるけど……なぜか皆さん、わぁ~っ、と勢いでスペースを作りたがるのは何故かしら?)
食堂から届けられた料理は様々ではあるが、どれも美味しそうだ。
ただし、上品ではない。
山盛りのロースト肉と山盛りの白身魚のフライ、丸ごとのサーモンパイ、大きなボウルに入ったサラダ。
パンも果物も大きな籠いっぱいに入っている。
大胆な量を取り寄せて、好きなだけ食べるスタイルだ。
残った物は全てトラントが片付けるため、問題はない。
(なぜかスープだけは、小さなお皿に入って人数分、届くのよね)
などど、どうでもよい不思議にトレーシーが思いを馳せていると、
「ちょっといいかな」
と、意外な人物が入ってきて、一同に声をかけた。
20
あなたにおすすめの小説
薄幸ヒロインが倍返しの指輪を手に入れました
佐崎咲
ファンタジー
義母と義妹に虐げられてきた伯爵家の長女スフィーナ。
ある日、亡くなった実母の遺品である指輪を見つけた。
それからというもの、義母にお茶をぶちまけられたら、今度は倍量のスープが義母に浴びせられる。
義妹に食事をとられると、義妹は強い空腹を感じ食べても満足できなくなる、というような倍返しが起きた。
指輪が入れられていた木箱には、実母が書いた紙きれが共に入っていた。
どうやら母は異世界から転移してきたものらしい。
異世界でも強く生きていけるようにと、女神の加護が宿った指輪を賜ったというのだ。
かくしてスフィーナは義母と義妹に意図せず倍返ししつつ、やがて母の死の真相と、父の長い間をかけた企みを知っていく。
(※黒幕については推理的な要素はありませんと小声で言っておきます)
【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした
きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。
全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。
その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。
失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です
しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
腹黒薬師は復讐するために生きている
怜來
ファンタジー
シャルバリー王国に一人の少女がいた。
カナリヤ・ハルデリス
カナリヤは小さい頃から頭が冴えていた。好奇心旺盛でよく森に行き変な植物などを混ぜたりするのが好きだった。
そんなある日シャルバリー王国に謎の病が発生した。誰一人その病を治すことができなかった中カナリヤがなんと病を治した。
国王に気に入れられたカナリヤであったが異世界からやってきた女の子マリヤは魔法が使えどんな病気でも一瞬で治してしまった。
それからカナリヤはある事により国外追放されることに…
しかしカナリヤは計算済み。カナリヤがしようとしていることは何なのか…
壮絶な過去から始まったカナリヤの復讐劇
平和な国にも裏があることを皆知らない
☆誤字脱字多いです
☆内容はガバガバです
☆日本語がおかしくなっているところがあるかもしれません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる